【妻つま、小学生しょうがくせいになる。第だい9話わ 感想かんそう】『つましょー』は新島にいじま家かだけが主役しゅやくではない・ネタバレあり By - grape編集へんしゅう部ぶ 公開こうかい:2022-03-24 更新こうしん:2022-03-24 ドラマコラム吉田よしだ羊ひつじ堤つつみ真一しんいち妻つま、小学生しょうがくせいになる。杉野すぎの遥はるか亮あきら石田いしだゆり子こ神木しぼく隆之たかゆき介かい蒔田まきた彩あや珠たま Share Post LINE はてな コメント Twitterで人気にんきドラマの感想かんそうをつづり注目ちゅうもくを集あつめる、まっち棒ぼう(@ma_dr__817125)さんのドラマコラム。 2022年ねん1月がつスタートのテレビドラマ『妻つま、小学生しょうがくせいになる。』(TBS系けい)の見みどころや考察こうさつを連載れんさいしていきます。 人ひとは失しつくしたものばかり見みてしまう。それは、失うしなってからその大事だいじさに気きづくからなのだろうか。しかし本当ほんとうに見みつめるべきものは、すぐそばにあるのだ。 最終さいしゅう回かい前編ぜんぺんとなる第だい9話わは、再ふたたび消きえてしまった貴恵きえ(石田いしだゆり子こ)と残のこされた人々ひとびとが選えらぶこれからが描えがかれる。 万まん理り華はなを取とり戻もどした千せん嘉よしみ その一方いっぽうで… あの日ひから万まん理り華はな(毎まい田た暖だん乃)は、貴恵きえとしての万まん理り華はなのことをずっと見みていた。明あかるくて、元気げんきで、皆みなに人気にんきな万まん理り華はな。夢ゆめの中なかで、そんな自分じぶんが『ママの理想りそう』と思おもい込こんで…。 「誰だれも万まん理り華はなのこと見みえていない」とは、人格じんかくが浮遊ふゆうして周まわりから見みえないということであるが、生いきていながらも誰だれも自分じぶんのことを見みてくれる人じんがいないという意味いみもあると思おもう。 「自分じぶんは必要ひつようない」と思おもい詰つめて、消きえたいと願ねがってしまったのだ。 でも、今いまは違ちがう。 ずっと素直すなおになれなかった千せん嘉よしみ(吉田よしだ羊ひつじ)だったが、真まっ直すぐ、大切たいせつな万まん理り華はなの目めを見みて謝あやまる。そんな千せん嘉よしみを見みて、万まん理り華はなはその小ちいさな身体しんたいでそっと抱だきしめた。 画像がぞうを見みる(全ぜん15枚まい) 一方いっぽう、貴恵きえを失うしなった圭介けいすけ(堤つつみ真一しんいち)と麻衣まい(蒔田まきた彩あや珠たま)。 うちのママは10年ねん前まえに死しんだ。それからお父とうさんと私わたしは、ゾンビになった。 これは第だい1話わで語かたられた麻衣まいのモノローグ。 そこに、新あらたな言葉ことばが加くわわった。 10年ねん後ご、ママは帰かえってきた。小学生しょうがくせいの姿すがたで。 止とまったままの10年ねんが再ふたたび動うごき出だし、新あたらしく色いろづき始はじめた生活せいかつ。 なのに、『ママはまた消きえてしまった』。同おなじ家かにいるだけの、心しんもバラバラのすれ違ちがいの生活せいかつに逆戻ぎゃくもどりした。 そんな二人ふたりを守屋もりや(森田もりた智さとし望もち)や蓮司れんじ(杉野すぎの遥はるか亮あきら)は気きにかける。 連絡れんらくの取とれない麻衣まいを心配しんぱいし、蓮司れんじは新島にいじま家かを訪おとずれるも、麻衣まいは一人ひとりになりたいと帰かえしてしまう。 友利ともり(神木しぼく隆之たかゆき介かい)も心しんにはぽっかりと穴あなが空あいたままだ。 遺のこしてきた大切たいせつな人達ひとたちに最後さいごの別わかれをする貴恵きえ 一方いっぽうの貴恵きえはまだ成仏じょうぶつできていなかった。声こえが届とどかないと分わかっていながら、遺のこしてきてしまった大切たいせつな人達ひとたちに最後さいごのお別わかれをしていた。 ある日ひ、貴恵きえは漫画まんがを描えがき終おえた友利ともりのもとへ来きていた。 友利ともりが心配しんぱいでこちらも成仏じょうぶつできていなかった吉原よしはら(かたまり/空気くうき階段かいだん)と共ともに完成かんせいした漫画まんがを読よむ。 自信満々じしんまんまんで、でもどこか不ふ安気あんきな友利ともりの横よこで、貴恵きえは一人ひとり、確たしかな友利ともりの成長せいちょうを感かんじていた。 自分じぶんの力ちからで、逃にげ続つづけた現実げんじつに一いち歩ほ踏ふみ出だした、たった一人ひとりの大切たいせつな弟おとうとに、貴恵きえは別わかれを告つげるのだった。 貴恵きえは千せん嘉よしみと万まん理り華はなにも会あいにきた。千せん嘉よしみは、頼たよりにしていた貴恵きえに何なにもしてあげられなかったことを悔くやんでいるようだった。 しかし貴恵きえの表情ひょうじょうは暖あたたかい。 貴恵きえの望のぞみは見返みかえりなんかではない。今いま、万まん理り華はなとこうして向むき合あっていることが何なによりの望のぞみなのだと思おもう。 貴恵きえの言葉ことばはいつも周まわりを包つつんでくれる。周まわりをポンコツにするなんていわれてしまうのは、そんな貴恵きえのことをみんなが頼たよりにしているからなのだ。 圭介けいすけは家いえで一人ひとり、貴恵きえの言葉ことばを思おもい出だす。俯うつむいた時ときには顔かおをあげてと頬ほおを包つつんでくれる大切たいせつな人ひとの声こえ。 「失うしなったものを見みつめて、死しぬまで過すごすの?」 夢ゆめから覚さめた時ときが一番いちばん怖こわい。どんなにいい夢ゆめを見みて幸しあわせに浸ひたっていても、また失うしなう。幸しあわせはそう長ながくは続つづかないのだ。 しかしそれで全すべてが元通もとどおりになるわけではない…。この奇跡きせきがもたらしたもの、貴恵きえが帰かえってきた意味いみを考かんがえる圭介けいすけ。 ここにはもう、貴恵きえはいない。しかし圭介けいすけは、一人ひとりで歩あゆみ出だす。自分じぶん一いち人にんの力ちからで、そしてほんの少すこしの貴恵きえが残のこしてくれた大切たいせつな思おもい出でに後押あとおしされ、進すすんでいく。 圭介けいすけの10年間ねんかん分ぶんの言葉ことば 「10年ねん前まえ、あの時とき、私わたし、ママと一緒いっしょに消きえちゃえばよかったんだよ」 ご飯はんも食たべず、部屋へやに引ひきこもる麻衣まいに、圭介けいすけは10年ねん分ぶんの、言葉ことばを。 「ママがいなくても、二人ふたりで一緒いっしょに生いきていく道みちを探さがさなきゃいけなかったんだ」 圭介けいすけは貴恵きえが亡なくなってからというもの、麻衣まいと向むき合あうことすらずっと逃にげ続つづけてきた。 麻衣まいをゾンビにさせたのは圭介けいすけなのだ。時間じかんを止とめたのは死しではなく、生いきながらにして『生いきること』を諦あきらめてしまった圭介けいすけだ。 でもこれからは違ちがう。 「これからは、なくしたものじゃなく、ママがくれたものを見みつめて、生いきていかないか?」 麻衣まいが大人おとなになりきれなかったのは、ずっと甘あまえられず、泣なきたくても泣なけずに、10歳さいで時ときは止とまっていたからなのだと思おもう。 そして麻衣まいはドアを開あける。 10年間ねんかん、閉とじ切きったままだった心しんが開ひらく。 圭介けいすけはやっと貴恵きえが帰かえってきた意味いみに気きづけたのだ。失うしなったものをいつまでも見みつめるだけじゃなく、これから生いきていく世界せかいを…。 そして周まわりの人ひとに向むき合あい、前まえに進すすむことの方ほうがずっと大事だいじだということを。 貴恵きえを救すくった、万まん理り華はなの言葉ことば 貴恵きえは、あの公園こうえんでお迎むかえの時ときを待まっていた。 もう十分じゅうぶんわがままして、皆みなとはお別わかれしたから、もう思おもい残のこすことはない。そんな貴恵きえの前まえに、万まん理り華はなは現あらわれた。 「会あいたいって思おもうのは、わがままなんかじゃないよ」 真まっ直すぐな万まん理り華はなの言葉ことばに、貴恵きえの本音ほんねが溢あふれる。 「もう一いち度どだけでいいから、会あいたいよ。家族かぞくに会あいたい」 万まん理り華はなの優やさしい手てが、涙なみだで濡ぬれた貴恵きえの頬ほおを包つつむ。 あの時とき、貴恵きえがひとりぼっちの万まん理り華はなを優やさしく包つつんだように。 もうこの世よに未練みれんはない、そう思おもって別わかれを告つげたが、貴恵きえは本当ほんとうのさよならをできていなかった。 伝つたえたいことも言いえずに、もう一度いちど会あいたいって思おもう気持きもちを殺ころしてまで。 そんな貴恵きえを救すくうのは、万まん理り華はななのだ。 この奇跡きせきは万まん理り華はなにも大おおきなものをもたらした。会あいたいと思おもう気持きもちを一いち歩ほ踏ふみ出だす力ちからを大切たいせつにすること…。 誰だれよりも優やさしい貴恵きえと万まん理り華はなが周まわりを救すくい、そしてお互たがいを助たすけ合あう。新島にいじま家かの物語ものがたりだけじゃない。 白石しらいし家かの物語ものがたりでもあり、そして見みている私わたしたちへ向むけた物語ものがたり。 今いま話ばなしと来週らいしゅうの2回かい続つづいての最さい終章しゅうしょうとしたことは、この物語ものがたりが紡つむがれる意味いみとしても非常ひじょうに大おおきかったと思おもう。 次週じしゅう、ついに『妻つま、小学生しょうがくせいになる。』は注目ちゅうもくの最終さいしゅう回かいを迎むかえる。 この記事きじの画像がぞう(全ぜん15枚まい) 妻つま、小学生しょうがくせいになる。/TBS系けいで毎週まいしゅう金曜きんよう・夜よる10時じ~放送ほうそう ドラマコラムの一覧いちらんはこちら [文ぶん・構成こうせい/grape編集へんしゅう部ぶ] Share Post LINE はてな コメント
Twitterで人気 ドラマの感想 をつづり注目 を集 める、まっち棒 (@ma_dr__817125)さんのドラマコラム。
2022年 1月 スタートのテレビドラマ『妻 、小学生 になる。』(TBS系 )の見 どころや考察 を連載 していきます。
あの日 から万 理 華 (毎 田 暖 乃)は、貴恵 としての万 理 華 のことをずっと見 ていた。明 るくて、元気 で、皆 に人気 な万 理 華 。夢 の中 で、そんな自分 が『ママの理想 』と思 い込 んで…。
「誰 も万 理 華 のこと見 えていない」とは、人格 が浮遊 して周 りから見 えないということであるが、生 きていながらも誰 も自分 のことを見 てくれる人 がいないという意味 もあると思 う。
「自分 は必要 ない」と思 い詰 めて、消 えたいと願 ってしまったのだ。
でも、今 は違 う。
ずっと素直 になれなかった千 嘉 (吉田 羊 )だったが、真 っ直 ぐ、大切 な万 理 華 の目 を見 て謝 る。そんな千 嘉 を見 て、万 理 華 はその小 さな身体 でそっと抱 きしめた。
うちのママは10年 前 に死 んだ。それからお父 さんと私 は、ゾンビになった。
これは第 1話 で語 られた麻衣 のモノローグ。
そこに、新 たな言葉 が加 わった。
10年 後 、ママは帰 ってきた。小学生 の姿 で。
なのに、『ママはまた消 えてしまった』。同 じ家 にいるだけの、心 もバラバラのすれ違 いの生活 に逆戻 りした。
そんな二人 を守屋 (森田 智 望 )や蓮司 (杉野 遥 亮 )は気 にかける。
ある日 、貴恵 は漫画 を描 き終 えた友利 のもとへ来 ていた。
しかし貴恵 の表情 は暖 かい。
「失 ったものを見 つめて、死 ぬまで過 ごすの?」
しかしそれで全 てが元通 りになるわけではない…。この奇跡 がもたらしたもの、貴恵 が帰 ってきた意味 を考 える圭介 。
ここにはもう、貴恵 はいない。しかし圭介 は、一人 で歩 み出 す。自分 一 人 の力 で、そしてほんの少 しの貴恵 が残 してくれた大切 な思 い出 に後押 しされ、進 んでいく。
「10年 前 、あの時 、私 、ママと一緒 に消 えちゃえばよかったんだよ」
ご飯 も食 べず、部屋 に引 きこもる麻衣 に、圭介 は10年 分 の、言葉 を。
「ママがいなくても、二人 で一緒 に生 きていく道 を探 さなきゃいけなかったんだ」
でもこれからは違 う。
「これからは、なくしたものじゃなく、ママがくれたものを見 つめて、生 きていかないか?」
そして麻衣 はドアを開 ける。
10年間 、閉 じ切 ったままだった心 が開 く。
そして周 りの人 に向 き合 い、前 に進 むことの方 がずっと大事 だということを。
もう十分 わがままして、皆 とはお別 れしたから、もう思 い残 すことはない。そんな貴恵 の前 に、万 理 華 は現 れた。
「会 いたいって思 うのは、わがままなんかじゃないよ」
「もう一 度 だけでいいから、会 いたいよ。家族 に会 いたい」
あの時 、貴恵 がひとりぼっちの万 理 華 を優 しく包 んだように。
もうこの世 に未練 はない、そう思 って別 れを告 げたが、貴恵 は本当 のさよならをできていなかった。
そんな貴恵 を救 うのは、万 理 華 なのだ。
この奇跡 は万 理 華 にも大 きなものをもたらした。会 いたいと思 う気持 ちを一 歩 踏 み出 す力 を大切 にすること…。
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