【『大奥おおおく Season2』感想かんそう2話わ】主演しゅえん級きゅうの女優じょゆうたちの演技えんぎが艶あでやかな火花ひばなを散ちらす By - かな 公開こうかい:2023-10-12 更新こうしん:2023-10-12 かなドラマコラム大奥おおおく Share Post LINE はてな コメント ※写真しゃしんはイメージ SNSを中心ちゅうしんに注目ちゅうもくドラマの感想かんそうを独自どくじの視点してんでつづり人気にんきを博はくしている、かな(@kanadorama)さん。 2023年ねん10月がつスタートのテレビドラマ『大奥おおおく Season2』(NHK)の見みどころを連載れんさいしていきます。 かなさんがこれまでに書かいたコラムは、こちらから読よめます。 伝説でんせつのようにカリスマを持もち合あわせた人物じんぶつも、30年ねん程度ていどの経過けいかでその実像じつぞうがぶれてくる。 ましてや100年ねん近ちかく経たてば体制たいせいが作つくられた当時とうじの社会しゃかい情勢じょうせいや、その時ときの切迫せっぱく感かんも否応いやおうなく失うしなわれていく。 それでも生身なまみの人ひとの喜怒哀楽きどあいらくは、螺旋らせんのように似にたものを繰くり返かえしていく。 ※写真しゃしんはイメージ 名将めいしょう軍ぐん・吉宗よしむねを慕したう孫まごの代だいは、既すでに名君めいくんの本質ほんしつを捉とらえていない。 そして将軍しょうぐんの夫おっととして京きょうから来きた皇族こうぞくの青年せいねんは、妻つまとの間あいだに子こを得えられない寂さびしさを学問がくもんや仲間なかまたちとの友情ゆうじょうで癒いやす。 同おなじように、かつて京きょうから来きて僧そうから還俗げんぞく(げんぞく)し、将軍しょうぐんの夫おっととして生いきた哀かなしい青年せいねんのように。 絶妙ぜつみょうな配役はいやく、映像えいぞう化かにあたって編集へんしゅうしながらも原作げんさくの本質ほんしつをとらえた脚本きゃくほん、NHKならではの豪華ごうかな美術びじゅつといった魅力みりょくでSeason1から大だい好評こうひょうのNHKドラマ10『大奥おおおく Season2』(火曜かよう22時じ)。 男子だんしばかりが罹患りかんする架空かくうの伝染でんせん病びょう・赤面せきめん疱瘡ほうそうで、男女だんじょの人口じんこう比ひが崩くずれた江戸えど時代じだい。 労働ろうどうを担になうのは女性じょせいとなり、一いち国こくの主あるじの将軍しょうぐんもまた女おんなが務つとめ、世継よつぎを作つくるために大奥おおおくに集あつめられるのは男子だんしであった。 名君めいくんと謳うたわれた八はち代だい将軍しょうぐん吉宗よしむね(冨永とみなが愛あい)は、赤面せきめん疱瘡ほうそうの撲滅ぼくめつを願ねがい、蘭学らんがくの研究けんきゅうを始はじめるよう側用人そばようにんの田沼たぬま意次おきつぐ(松下まつした奈緒なお)に命めいずる。 田沼たぬまがその為ために呼よび寄よせたのは、旧知きゅうちの本草学ほんぞうがく者しゃ・平賀ひらが源内げんない(鈴木すずき杏あんず)と、長崎ながさきで蘭学らんがくを学まなんだ混血こんけつの青年せいねん・青沼あおぬま(村雨むらさめ辰たつ剛つよし)だった。 ※写真しゃしんはイメージ 赤面せきめん疱瘡ほうそうの研究けんきゅうが更さらに深ふかまる2話わは、学問がくもんへの真剣しんけんさが生うみ出だす楽園らくえんのような展開てんかいだった。 将軍家しょうぐんけ治ち(高田たかだ夏帆なつほ)と御台みだい所しょ・五ご十じゅう宮みや(趙ちょう珉和)からの支援しえんを受うけ、当初とうしょ閑古鳥かんこどりだった青沼あおぬまの蘭学らんがく教室きょうしつは軌道きどうに乗のる。 生真面目きまじめな御ご右筆ゆうひつ助すけの黒木くろき(玉置たまき玲れい央ひさし)、やんちゃで陽気ようきな伊兵衛いへえ(岡本おかもと圭けい人じん)、お人好ひとよしで優やさしい僖助(新名にいな基はじめ浩ひろし)といった面々めんめんに、源内げんないそして五ご十じゅう宮みやを加くわえた教室きょうしつは身分みぶんも才能さいのうの有無うむも、分わけ隔へだてのない空間くうかんだ。 そこに飛とび交かう言葉ことばは青沼あおぬまの長崎ながさき弁べんであり、源内げんないの江戸えど言葉ことばであり、そして五ご十じゅう宮みやの京きょうことばであり、真しんにボーダーレスな集団しゅうだんであることをよく表あらわしている。 原作げんさくの紙面しめんでぼんやりと受うけ取とっていたことを音おとで改あらためて実感じっかんできるのは、映像えいぞう化かならではだと思おもう。 だが続つづくかにみえたその楽園らくえんは、五ご十じゅう宮みやの病死びょうしという悲かなしみを経へることになる。 蘭学らんがくの教室きょうしつを守まもるために病気びょうきを隠かくし続つづけた五ご十じゅう宮みやは、将軍しょうぐんの夫おっととして抱かかえ続つづけた寂さびしさを学問がくもんと仲間なかまたちが埋うめてくれたと青沼あおぬまに礼れいを述のべる。 ※写真しゃしんはイメージ その姿すがたは、万里小路まりこうじ有功ゆうこう(福士ふくし蒼あお汰)が家光いえみつ(堀田ほった真由まゆ)との愛あいに苦くるしみ抜ぬきながらも、総そう取締とりしまりとして大奥おおおくへの献身けんしんや、春日局かすがのつぼね(斉藤さいとう由貴ゆき)の看病かんびょうで自みずからの存在そんざい意義いぎを見みいだしていった姿すがたと重かさなる。 そして自みずからは子こをなせなかったと語かたる五ご十じゅう宮みやは、その寂さびしさゆえに先々さきざきまで―いずれ赤面せきめん疱瘡ほうそうを防ふせぐ人ひと痘接種せっしゅが完成かんせいするまで、間接かんせつ的てきに蘭学らんがく研究けんきゅうを守まもり、後ごの世よに大おおきな財産ざいさんを残のこすのである。 そして2話わでは、名君めいくん・吉宗よしむねの流ながれを受うけ継つぐ三さん人にんの女おんなが揃そろう。 一人ひとりは生前せいぜんの吉宗よしむねの姿すがたを心しんに刻きざみ、その政治せいじの志こころざしを継つぐ田沼たぬま意次おきつぐ。鷹揚おうようだが闘争とうそう心しんの薄うすい女おんなを松下まつした奈緒なおが上品じょうひんに演えんじている。 一人ひとりは孫まごとして吉宗よしむねの正義せいぎ感かんや清冽せいれつさに憧あこがれる松平まつだいら定信さだのぶ(安達あだち祐実ゆみ)。潔癖けっぺきな優等生ゆうとうせいを安達あだち祐実ゆみが張はりつめた糸いとのような緊張きんちょう感かんで演えんじる。 そしてもう一人ひとり、同おなじく吉宗よしむねの孫まごであり、人心じんしんを操あやつるモンスター、一橋ひとつばし治済はるさだ(仲間なかま由紀恵ゆきえ)。優やさしく語かたり口くちも穏おだやかだが、のっぺりとして見みている者ものをどこか不安ふあんにさせる美うつくしい女おんなを、仲間なかま由紀恵ゆきえが緻密ちみつに演えんじる。 ※写真しゃしんはイメージ 根回ねまわしに長たけ政策せいさくの実行じっこう能力のうりょくも高たかい田沼たぬまだが、その理性りせいと高たかい能力のうりょくゆえに、理由りゆうのない悪意あくいを見抜みぬくことが出来できない。 正義せいぎ感かんも理想りそうも高たかい松平まつだいら定信さだのぶは、その高たかさに反比例はんぴれいして視野しやが狭せまく、清濁せいだくあわせもった判断はんだんが出来できない。 そして人ひとの悪意あくいや弱よわみを増幅ぞうふくして味方みかたに引ひき込こむ一橋ひとつばし治済はるさだの恐おそろしい能力のうりょく、理想りそうも信念しんねんもなく、ただ自分じぶんの権力けんりょくを増大ぞうだいさせることを目的もくてきにした策略さくりゃくが、二人ふたりに忍しのび寄よろうとしている。 この三さん人にんのもつれ合あう運命うんめいを、いずれも主演しゅえん級きゅうかつ実力じつりょく派はの女優じょゆう達たちが華はなやかな火花ひばなとともに演えんじる場面ばめんはさすがの見応みごたえであり、まさに眼福がんぷくだった。 よしながふみの『大奥おおおく』という大作たいさくを通とおして見みても、平賀ひらが源内げんないというキャラクターの魅力みりょくは際立きわだっているし、その源みなもと内ないに降おりかかる運命うんめいもまた作中さくちゅう屈指くっしの過酷かこくさである。 ※写真しゃしんはイメージ その残酷ざんこくさゆえにドラマは原作げんさく通どおりに描えがけるだろうかと、ある意味いみマイルドになっていたらそれはそれでいいのかもしれないと思おもっていたが、2話わのラストを見みるかぎり原作げんさく通どおりのようだ。 作つくり手しゅの覚悟かくごに大おおきな拍手はくしゅを送おくりたい。そしてその覚悟かくごに応こたえるべく、私わたしたちもこのドラマの行方ゆくえをしっかり目めに焼やき付つけようと思おもう。 ドラマコラムの一覧いちらんはこちら [文ぶん・構成こうせい/grape編集へんしゅう部ぶ] かな SNSを中心ちゅうしんに注目ちゅうもくドラマの感想かんそうを独自どくじの視点してんでつづり人気にんきを博はくしている。 ⇒ かなさんのコラムはこちら Share Post LINE はてな コメント
SNSを中心 に注目 ドラマの感想 を独自 の視点 でつづり人気 を博 している、かな(@kanadorama)さん。
2023年 10月 スタートのテレビドラマ『大奥 Season2』(NHK)の見 どころを連載 していきます。
かなさんがこれまでに書 いたコラムは、こちらから読 めます。
ましてや100年 近 く経 てば体制 が作 られた当時 の社会 情勢 や、その時 の切迫 感 も否応 なく失 われていく。
それでも生身 の人 の喜怒哀楽 は、螺旋 のように似 たものを繰 り返 していく。
※写真 はイメージ
そして将軍 の夫 として京 から来 た皇族 の青年 は、妻 との間 に子 を得 られない寂 しさを学問 や仲間 たちとの友情 で癒 やす。
※写真 はイメージ
そこに飛 び交 う言葉 は青沼 の長崎 弁 であり、源内 の江戸 言葉 であり、そして五 十 宮 の京 ことばであり、真 にボーダーレスな集団 であることをよく表 している。
だが続 くかにみえたその楽園 は、五 十 宮 の病死 という悲 しみを経 ることになる。
※写真 はイメージ
その姿 は、万里小路 有功 (福士 蒼 汰)が家光 (堀田 真由 )との愛 に苦 しみ抜 きながらも、総 取締 として大奥 への献身 や、春日局 (斉藤 由貴 )の看病 で自 らの存在 意義 を見 いだしていった姿 と重 なる。
そして自 らは子 をなせなかったと語 る五 十 宮 は、その寂 しさゆえに先々 まで―いずれ赤面 疱瘡 を防 ぐ人 痘接種 が完成 するまで、間接 的 に蘭学 研究 を守 り、後 の世 に大 きな財産 を残 すのである。
そして2話 では、名君 ・吉宗 の流 れを受 け継 ぐ三 人 の女 が揃 う。
そしてもう一人 、同 じく吉宗 の孫 であり、人心 を操 るモンスター、一橋 治済 (仲間 由紀恵 )。優 しく語 り口 も穏 やかだが、のっぺりとして見 ている者 をどこか不安 にさせる美 しい女 を、仲間 由紀恵 が緻密 に演 じる。
※写真 はイメージ
そして人 の悪意 や弱 みを増幅 して味方 に引 き込 む一橋 治済 の恐 ろしい能力 、理想 も信念 もなく、ただ自分 の権力 を増大 させることを目的 にした策略 が、二人 に忍 び寄 ろうとしている。
この三 人 のもつれ合 う運命 を、いずれも主演 級 かつ実力 派 の女優 達 が華 やかな火花 とともに演 じる場面 はさすがの見応 えであり、まさに眼福 だった。
よしながふみの『大奥 』という大作 を通 して見 ても、平賀 源内 というキャラクターの魅力 は際立 っているし、その源 内 に降 りかかる運命 もまた作中 屈指 の過酷 さである。
※写真 はイメージ
その残酷 さゆえにドラマは原作 通 りに描 けるだろうかと、ある意味 マイルドになっていたらそれはそれでいいのかもしれないと思 っていたが、2話 のラストを見 るかぎり原作 通 りのようだ。
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