気弱男子と幼女体系のお嬢様が恋人に…!?『さび抜きカノジョ』
同作家による『旦那が何を言っているかわからない件』の登場人物が主人公であり、『ピーチボーイリバーサイド』とも密接な関係がある作品です。 本作は『旦那が何を言っているかわからない件』の主人公カオルの友人・樹瀬リノと、その旦那であるプロボクサー・樹瀬(木村)望の2人の過去の話を描いています。 大学時代に出会った二人、気弱な望に対し、見た目は幼女のお金持ちお嬢様リノはいちいちつっかかります。ところが、リノが望に一目ぼれをしたり、ひょんなことから彼女になったと勘違いしたり、二人のドギマギした日常が始まったのです。
- 著者
- クール教信者
- 出版日
- 2014-11-05
本作の一番のポイントはやはりリノのキャラクターです。見た目は小学生でありながら偉そうな口ぶり、しかし望を意識するようになってからはふとした瞬間に乙女な顔つきを見せます。ツンデレっぽい口調になるのも男性読者にとっては口元が緩むポイントなのではないでしょうか。
後述の『おじょじょじょ』にもいえることですが、クール教信者はお金持ちの家で育った少女の気難しさゆえに一人になりがちな性格を描くのが大変上手です。これまで友達ができなかったようなお嬢様に素敵な異性があらわれ、それを暖かく見守るメイドの様子も一興あります。
実は出会った当初は望が大学1年生、リノが大学3年生なわけですが、どういうわけかお互い居心地の良さを感じています。早く付き合ってしまえ!と読んでいて思うでしょうが、穏やかで鈍感な望と照れたり怒ったりを繰り返すリノのじれったいやり取りこそ本作の面白さとなっているのでしょう。
本作だけでも十分楽しめる要素満載です。ですが本作をより味わうため、クール教信者にハマったかたは、『旦那が何を言っているかわからない件』と『ピーチボーイリバーサイド』を読んでから本作を読むことをオススメします。
関西弁女子と採点系女子の友情?百合?な学園生活!『ふるまぷら』
『電撃コミックスNEXT』から出版された、全2巻の作品です。 関西弁を使う京は、入学式で一言も喋らずプラカードで対話する女子・真と出会います。0~10までのプラカードをどこかしらに隠し持っている真。一見変わった子ですが、褒められたり仲間内に入れてもらえたりすると嬉しがる普通の女の子です。喜び方はプレカードで10点を表示するという奇妙な点はありますが……。
真に興味を持ち始めた京は友達になろうと呼びかけます。すると真は10点のプラカードを示してくれました。友達からはじまり、物語が進むにつれて友達以上の感情を抱きはじめ……。
- 著者
- クール教信者
- 出版日
- 2016-02-26
積極的な性格をしている京と、ムスッとした顔をしながらプラカードで反応をしめすだけの真の対比が面白く、その様子は大変可愛らしいです。京がいったことに対して数字を提示し、だんだんと京がその意図を汲めるようになる過程も見どころです。
真はこれまで上手く人付き合いができず、それによって喋らなくなってしまった子です。しかし、顔を火照らせたり涙目になったり、京の言葉に心を突き動かされている様子が分かる振る舞いをします。そんな真の素直な様子と絵柄には、思わずその場にいたら抱きしめたくなるような愛らしさが見えるんです。物語が進むにつれて、互いに相手への気持ちが強くなります。百合展開になるのか、それとも……。2巻完結なので気軽に目の保養ができる作品です。
高飛車お嬢様が惚れたのは変人男子?『おじょじょじょ』
web漫画サイトの『ライフ』で連載されている作品であり、既刊3巻(2017年7月時点)の作品です。 令嬢ゆえの高飛車な性格からなかなか友達ができない地獄巡春は、転校した先で出会った変なクラスメイト・川柳徒然に何かと構うようになります。
身長170cmあってスタイルのよい春と、身長140cmしかない無口な徒然。不釣り合いに思われながらも、春からの不器用な告白の末に2人は付き合うことになります。
これまでの高飛車な性格が丸くなったことで春には新しい友達ができたり、春にプロポーズして断られた英国貴族が転入してきたり、徒然の出生には恐るべき秘密があったり……。2人の行く恋路はどうやら普通の道ではなさそうです。
- 著者
- クール教信者
- 出版日
- 2013-09-06
付き合う前までのストーリーの見どころは、なんといっても春の挙動不審さです。徒然は常にぼーっとしていたり雲を眺めていたりする変人なので、接点を作るにも一苦労します。
消しゴムをかしてあげるときも高圧的、しかし徒然は特に目立った反応はしません。お弁当を忘れた徒然に、令嬢である春が庶民にお似合いと言わんばかりに菓子パンを与えるも、周囲にはわざわざ購買からパンを買ってきていたことがばれていたり……よい意味で滑稽なシーンが盛りだくさんです。
好きな人と接する際にぎこちなくなってしまった経験は多くの人があるでしょう。春の様子を見て共感するのも良し、さすがにここまでの苦行は強いられなかったと自身の思い出を振り返るのも良し、いろんな見方で楽しめます。
付き合うようになってからの春の変化、徒然の今まで見えなかった人間らしさなど、物語が進むにつれてさらに魅力が増えていきます。クール教信者らしい、キャラクターのいじらしさとコメディが十二分に楽しめる、比較的新しい作品です。