春はるのとなり

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夫おっとの仇かたきを討うつため信州しんしゅうを出奔しゅっぽんし江戸えどの深川ふかがわにやって来きた菜緒なおと舅しゅうとで医者いしゃの文ぶん二に郎ろう。目めの不自由ふじゆうな文ぶん二に郎ろうが営いとなむ薬屋くすりやを手伝てつだいながら、夫おっとが死しんだ真相しんそうを探さぐっていく。５話わ収録しゅうろくの連作れんさく短編たんぺん。時代じだい小説しょうせつをほとんど読よまないが、江戸えどの市井しせいで暮くらす人達ひとたちの物語ものがたりが目めに浮うかぶような描写びょうしゃでとてもわかり易やすく面白おもしろかった。歴史れきし上じょうの人物じんぶつも登場とうじょうし、重要じゅうような役やくどころとなっていたのもエンタメ感かんを覚おぼえる。著者ちょしゃはデビュー作さくの『貸本かしほん屋やおせん』が良よいらしい。今度こんどはそちらを読よんでみようかな。

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堀川ほりかわ町まちにある「丸まる散ち丹に膏あぶら生薬きぐすり」
薬屋くすりやなのだが
腕うでのいい医者いしゃがいると聞きいた患者かんじゃが押おし寄よせる。
売うれ弘ひろ所しょ(うりひろめどころ)は
義父ぎふと、息子むすこの嫁よめとで営いとなむ。
なぜ2人ふたりなのか。
江戸えどへ出でてきた理由りゆうは？
薬くすりを必要ひつようとする市井しせいの人ひとたちを巻まき込こみながら
話はなしは進すすんでいく。

藩はんのゴタゴタもしつこく無ない程度ていどに収おさめられ
2人ふたりの胸むねの内うちなど展開てんかいが早はやく
飽あきることなく読よみ進すすめることができた。

時代じだい小説しょうせつが好すきで読よみ続つづけている。
インタビューで高瀬たかせ乃一さんは
「修行しゅぎょうだと思おもって、いただいた依頼いらいはすべて受うけています」と話はなす。
この先さきも楽たのしみに待まちたい。

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無念むねんの夫おっとの死しを晴はらすため奔走ほんそうする菜緒なおと義父ぎふ。二人ふたりの関係かんけい性せいもほのぼのと書かかれていました。

途中とちゅうから菜緒なおの心しんの変化へんかにハラハラ？？でしたが
何なにとか春はるが来きそうな気配けはいとなり良よかったです。

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殺ころされたが自害じがいしたとされた宗そう十郎じゅうろうの敵てきをとるために江戸えどへ出でた父ちちと妻つま。貧乏びんぼうな薬くすり屋やを営いとなみながら事件じけんの裏うらの陰謀いんぼうを探さぐる。

いや〜素晴すばらしく面白おもしろかった。様々さまざまな病気びょうきと対処たいしょ法ほう、義理ぎりと人情にんじょう。メインの謎なぞ以外いがいのサブの謎なぞ解ときも巧たくみい。江戸えど時代じだいを舞台ぶたいにする小説しょうせつのニュースタンダードだ！

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現代げんだい物ぶつを幾いく冊さつか読よむと時代物じだいものに触ふれたくなる。初はつ読よみだった『貸本かしほん屋やおせん』が好こう印象いんしょうだった高瀬たかせ乃一さん、障子しょうじ貼ばりをしている嫋たおやかな女性じょせいを描えがいてある表紙ひょうし画ががちょっと引ひっかかるのだが、まあいいやと読よみ始はじめる。恥はずかしいことに本ほん作さくを読よんで高瀬たかせさんが女性じょせい作家さっかさんだったと知しるぐらいだから、どうしようもない( ´ωおめが` ):。
主人公しゅじんこうの奈緒なおは義父ぎふの文ぶん二に郎ろうと信州しんしゅうから江戸えどに移うつり住すんでいる。医者いしゃである文ぶん二に郎ろうの腕うでを生いかしひっそりと薬くすり屋やを営いとなみ、目めが不自由ふじゆうな文ぶん次じ郎ろうを奈緒なおも手伝てつだっている。貧まずしく医者いしゃ代だいの払はらえない病人びょうにんやけが人にんが次々つぎつぎと駆かけ込こみ、皆みなから慕したわれている。
1話わ（雪割草ゆきわりそう）の終盤しゅうばん、芸子げいこの捨すて丸まるが”惚ほれ薬やく”を作つくってほしいと店みせを訪おとずれた。相手あいては有名ゆうめいな本草学ほんぞうがく者しゃ・平賀ひらが源内げんないだという。大物おおもの登場とうじょうに色いろめき立たつ。源みなもと内ないが自身じしんのことを「自分じぶんは器用きようすぎるのが欠点けってんだ。何なにか凄すごいことを見みつけ出だすのは不器用ぶきような人ひとだ」と断言だんげんするシーンがある。なるほど奇才きさいとはそういうものかと、不覚ふかくにも同意どういしてしまいそうな自分じぶんに失笑しっしょうした。 源みなもと内ないは生涯しょうがい、結婚けっこんはせず歌舞伎かぶき役者やくしゃなど美形びけいの青年せいねんを愛あいしたと伝つたえられていて、歌舞伎かぶきの女形おんながた・二に代目だいめ瀬川せかわ菊之丞きくのじょうとの仲なかが有名ゆうめいだったそう。また、その文才ぶんさいを発揮はっきして男色なんしょくについて解説かいせつした『江戸えど男色なんしょく細見ほそみ菊きくの園えん』『男色なんしょく評判ひょうばん記き男色なんしょく品ひん定じょう』といった作品さくひんも書かいているのを、後ごから知しってなるほどと納得なっとく。
文ぶん次じ郎ろうと奈緒なおは義理ぎりの関係かんけいだから、早はやくからわけありの推察すいさつはでき、サスペンス要素ようそが重かさなる。
鍵かぎとなるのは薩摩さつま藩はんが課かせられた宝たから暦れき治水ちすい事業じぎょう。普請ふしんにかかる膨大ぼうだいな経費けいひと人手ひとでは外様とざまである薩摩さつま藩はんに命めいじられていた。何なんとも40万まん両りょうというから莫大ばくだいな金額きんがくを負担ふたんさせられていた（現在げんざいでは12億おく円えんから16億おく円えん）。徳川とくがわ幕府ばくふのしたたかさを見みせつけられた思おもいだ。源内げんない先生せんせいも関かかわって来くる芒すすき硝発見はっけんと重かさなり真相しんそうが明あかされる。芒すすき硝は水酸化すいさんかナトリウムで、漢方薬かんぽうやくに使つかわれ金きんにも勝まさる希少きしょうな鉱物こうぶつだった。
いつも時代じだい小説しょうせつで取とり上あげられる史実しじつに興味きょうみをそそられる。学校がっこうに提出ていしゅつする感想かんそう文ぶんだったら本題ほんだいから外はずれていると怒おこられるかもしれない。

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夫おっとの死しの真相しんそうを探さぐり復讐ふくしゅうの為ために義父ぎふと江戸えどで暮くらす親子おやこ。長屋ながやで市井しせいの人ひとへ薬師くすしとして溶とけ込こみながら、真相しんそうを探さぐる時代じだい小説しょうせつ