[[File:Osaka Motor Show 2019 (60) - Toyota MIRAI CONCEPT.jpg|thumb|right|[[トヨタ・MIRAI]] 2代目[[コンセプトカー]]<br />[[大阪モーターショー|大阪モーターショー2019]]出展車]][[水素燃料]]を用いる燃料電池自動車は、充填した水素と[[酸素]]を[[化学反応]]させて発電し、その電力で電動機を動かし走行する自動車。
2000年代から[[公道]]上での使用が始まった。乗用車で2022年現在日本国内でリース含め市販されている車種は、[[トヨタ・MIRAI]]、[[メルセデス・ベンツ・Gクラス|メルセデス・ベンツ・GLC F-CELL]]、[[ヒュンダイ・ネクソ]]の3車種である。[[商用車]]においては[[トヨタ・FCHV#路線バスタイプ|トヨタ・FCバス]]などバス車両として納入されている。[[ホンダ・クラリティ フューエル セル]]もあったが、2021年8月に製造を中止している<ref>{{Cite web |和書|title=ホンダ、FCV生産中止 販売低調で |url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC15A2F0V10C21A6000000/ |website=日本経済新聞 |date=2021-06-15 |access-date=2022-04-29 |language=ja}}</ref>。
2023 年上半期には 世界のFCVがマイナス 成長となり、デンマークでは 水素ステーションが 閉鎖という 深刻な 状況である<ref>{{Cite web |title= 燃料電池車は 本当に 日本で 浸透するのか? デンマークでは「 水素ステーション」がすでに 閉鎖という、 辛らつ 現実(Merkmal) |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/128b410291c37b597be2fa21783ae8aeae3c41da |website=Yahoo!ニュース |access-date=2023-10-02 |language=ja}}</ref>。 ▼
日本では、購入者に対して1台あたり200 - 300万円の補助金が支給される見通しである<ref>「[https://www.huffingtonpost.jp/2014/08/07/fcv_n_5656914.html 燃料電池車、1台あたり300万円の補助金]」。2014年8月7日、[[ハフィントン・ポスト]]。2014年8月10日閲覧。</ref>。自治体では愛知県が[[補助金]]を支給することを発表している<ref>「[http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N977KT6KLVRH01.html 日本は燃料電池車に手厚い補助金-米中の支援を大きく上回る]」。2014年7月25日、[[ブルームバーグ (企業)|ブルームバーグ]]。2014年8月10日閲覧。</ref>。
[[道路]]を走行できる最初の燃料電池自動車は、[[1966年]]([[昭和]]41年)に[[ゼネラルモーターズ]]によって製造された[[Electrovan]]だった
<ref>{{Cite web |和書|date=2016-10-11 |url=https://media.chevroletarabia.com/media/jp/ja/gm/news.detail.html/content/Pages/news/jp/ja/2016/Oct/1011GMJ.html |title=GMの水素燃料電池開発50周年を迎えて ケネディ大統領の有人月探査計画で培われた燃料電池技術を初めて転用した「Electrovan」 |publisher=ゼネラルモーターズ |accessdate=2020-11-14}}</ref><ref>{{Cite web| title= The First Fuel Cell on Wheels | The Car Tech blog - CNET Reviews|date = 2008-10-21| url = http://reviews.cnet.com/8301-13746_7-10071307-48.html?tag=mncol;txt | accessdate = October 23, 2009}}</ref><ref>{{citation |url=https://www.gmjapan.co.jp/info/fuelcell/03.html |title=GMの燃料電池自動車について }}</ref>。Electrovanは極低温のタンクに充填された[[液体水素]]と[[液体酸素]]を使用して一充填での走行距離が240 kmで最高速度は110 km/hだった。[[固体高分子形燃料電池]]は[[ユニオンカーバイト]]製で定格出力は32 kWで短時間では160 kWの出力で90 kWの三相交流電動機を駆動した。しかし当時は普及にはいたらず、開発は中断した。
[[日本]]においては[[1972年]](昭和47年)、[[産業技術総合研究所|工業技術院]]大阪工業試験所、[[ダイハツ工業]]、[[パナソニック]]の共同により燃料電池自動車の試験が行われた。<ref>[http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/honbun.php3?kid=145&serial=11624&bflg=1]</ref>これは水素を水加[[ヒドラジン]]から得る方式で、電気自動車([[軽トラック]])の荷台に燃料タンクと燃料電池を載せたものだった<ref>{{Cite web |和書|date=2016-02-29 |url=https://www.nanonet.go.jp/magazine/archive/?page=1359.html |title=液体燃料を蓄電媒体とする白金フリー燃料電池自動車 ~“Love Local” 誰からも身近に愛される燃料電池自動車の実現を目指して~ |publisher=NanotechJapan Bulletin |accessdate=2020-11-14}}</ref>。
1980年代末頃からカナダのベンチャー企業である Ballard Power Systems 社 (Ballard 社)による自動車用 PEFC の研究が注目を浴びるようになり、Benz 社が Ballard 社に資本参加した頃から,FCV が注目を集めるようになった。FCV を市販したのはこれが世界で初めてとなる。
2013年1月には、ルノー・日産アライアンスとダイムラーの提携に[[フォード・モーター|フォード]]が加入して拡大した<ref>「[http://business.nikkeibp.co.jp/article/emf/20130130/243052/ 日産自動車、ドイツダイムラー、米フォードと燃料電池システムの共同開発で合意]」。2013年1月30日、[[日経BP]]。2014年8月10日閲覧。</ref>。しかしこれは2018年にルノー・日産が燃料電池車の開発凍結により離脱し、フォードもダイムラーとの提携を解消したことで瓦解した<ref>[https://rev-m.com/%E9%80%B1%E9%96%93%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%95%E3%80%8C%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%89%E3%81%A8vw%E3%81%8C%E5%95%86%E7%94%A8%E8%BB%8A%E9%96%8B%E7%99%BA%E3%81%A7%E6%8F%90%E6%90%BA/ <2018.6.21配信> 週間ブリーフ「フォードとVWが商用車開発で提携、日産が燃料電池車の商用化を凍結 ほか」]</ref><ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31769240U8A610C1TJ2000/ フォード、ダイムラーとの燃料電池合弁を解消へ]</ref>。
また同時期の2013年1月には、トヨタと[[BMW]]が提携<ref>「[http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD240JN_U3A120C1TJ2000/ トヨタ、BMWと燃料電池車を共同開発 次世代電池も]」。2013年1月25日、[[日本経済新聞社]]。2014年8月10日閲覧。</ref>。同年7月にはホンダと[[ゼネラルモーターズ|ゼネラルモーターズ(GM)]]が提携<ref>「[httphttps://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE96101020130702/ ホンダ・米GM、燃料電池車を2020年めどに共同開発へ]」。2013年7月3日、[[ロイター]]。2014年8月10日閲覧。</ref>。
2018年に[[アウディ]]が燃料電池開発での[[現代自動車]]との提携を発表<ref>[https://jp.reuters.com/article/hyundai-audi-idJPKBN1JG0TX 現代自とアウディ、燃料電池車の技術開発で提携]</ref>。
2022年自動車部品メーカー大手の[[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]は米国にて大型トラック向け燃料電池スタックの生産を開始<ref>[https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/09/1006f570fd36cee6.html ボッシュ、米国で大型トラック向け燃料電池スタック生産(米国、ドイツ)]</ref>。
▲2023 年上半期には 世界のFCVがマイナス 成長となり、 トヨタにより試験導入されたデンマークでは 水素ステーションが 閉鎖という 深刻な 状況になった<ref>{{Cite web|和書|title=燃料電池車は本当に日本で あ浸透する のか? デンマークでは「水素ステーション」がすでに閉鎖という、辛らつ現実{{!}}au Webポータル |url=https://article.auone.jp/detail/1/3/6/211_6_r_20231003_1696279292471466?page=2 |website=au Webポータル{{!}}最新のニュースをお届け! |date=2023-10-03 |access-date=2023-10-02 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |和書|title= 燃料電池車は 本当に 日本で 浸透するのか? デンマークでは「 水素ステーション」がすでに 閉鎖という、 辛らつ 現実(Merkmal) |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/128b410291c37b597be2fa21783ae8aeae3c41da |website=Yahoo!ニュース |access-date=2023-10-02 |language=ja}}</ref>。
2024年2月、[[シェル (企業)|シェル]]が運営する[[カリフォルニア州]]の水素ステーションの閉鎖が決定された<ref>[https://www.webull.co.jp/news-detail/10225537622746113 シェルのカリフォルニアでの水素出口は、州のグリーンモビリティへの取り組みに大きな打撃を与えます] ウィブル証券株式会社</ref><ref>[https://www.forbes.com/sites/gauravsharma/2024/02/11/californias-hydrogen-drive-dealt-a-hammer-blow-by-shells-exit/?sh=2e8f46427fbc California’s Hydrogen Economy Dealt A Hammer Blow By Shell’s Exit]</ref>。
=== モータースポーツ ===
==== 短所 ====
;充填の煩わしさ
:[[二次電池式電気自動車]]は(設備こそ必要であるものの)自宅のガレージに専用の充電設備を設ければで充電できるが、燃料電池自動車は[[エコ・ステーション|水素ステーション]]まで充填しに行かなければならない。
;充填設備のコストの高さ
:水素ステーションは安全性を確保する上で立地やタンクの設置方法、安全装置など多数の制約があり、建設費用は現状でガソリンスタンドの約4倍のコストがかかる<ref>{{Cite web |和書|title=水素ステーション建設費4億円 普及阻むコストの巨壁 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC027KX0S1A600C2000000/ |website=日本経済新聞 |date=2021-06-10 |access-date=2022-04-29 |language=ja}}</ref>。水素充填設備には大型のタンクにあらかじめ予圧予冷が必要なため、1基で1時間あたりに充填できる車両は2台から6台までである<ref>[https://diamond.jp/articles/amp/164205?page=3 燃料電池車はEVに「もう勝ち目がない」は本当か] Diamond online 2018年3月22日</ref>。
;水素生産時の環境負荷の高さ
:現状の水素は主に[[化石燃料]]から製造している。燃料電池車は走行時こそCO<sub>2</sub>やNO<sub>x</sub>を出さないが、水素は自然界には存在しないため、[[再生可能エネルギー]]によって生産された場合以外は水素の製造工程において汚染物質を発生する<ref>[http://www.fueleconomy.gov/feg/fuelcell.shtml "Fuel Cell Vehicles",] ''Fuel Economy'', Retrieved on: 2008-11-03.</ref>。また、現状純度99.97%以上の水素が必要とされており、副生水素はほぼ利用できない<ref name="weekly-economist.mainichi.jp">{{Cite web |和書|title=ガソリン車ゼロ時代:EVの“先” 「水素社会」目指すトヨタ 燃料電池車を突破口に=永井隆 |url=https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210202/se1/00m/020/060000c |website=週刊エコノミスト Online |access-date=2022-07-15 |language=ja}}</ref>。
;メンテナンスコストの高さ
:システムが複雑なため車上有効スペースの減少と重量の増加、さらには[[水素脆化]]の対策として[[メンテナンス]]が多く[[消耗品]]も多い。また、[[白金]][[触媒]]の劣化や[[電解質]]を通すための[[イオン交換樹脂]]の劣化による性能低下があり、信頼性・耐久性に問題があるとされる。その寿命も比較的短く、商用車に搭載する場合は特殊な対策が必要となる。例えば、バスでは大型の[[電池|バッテリー]]を搭載し燃料電池の出力一定化を図り寿命を延ばしている。
;エネルギー効率の悪さ
:水の電気分解による水素製造へと投入するエネルギーに対する、製造された水素が貯蔵や輸送を経て[[動力]]となり最終的に車のタイヤへと伝わる駆動エネルギーの比は、[[2003年]]の資料によれば、圧縮水素を使用する場合は22%、液体水素の場合は17%にとどまる<ref>{{Cite web| title= Efficiency of Hydrogen PEFC, Diesel-SOFC-Hybrid and Battery Electric Vehicles |date= 2003-07-15 |url= http://www.evworld.com/library/fcev_vs_hev.pdf |format=PDF| accessdate = January 7, 2009}}</ref>。
:これに対し、[[2013年]]の[[国立環境研究所]]の評価によれば、従来のガソリン車の効率は13%、ガソリンハイブリッド車の効率は22%程度<ref>{{Cite web|和書| title = 電気自動車の開発と自動車の環境効率評価| url = https://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/11/10-11.html |publisher = [[国立環境研究所]] |accessdate=2013-12-04}}</ref>だが、現代のガソリンのEPRは平均して300%程度であるから、ガソリン製造に投入するエネルギーに対する駆動エネルギーのおおよその比はガソリン車で40%、ガソリンハイブリッド車で66%となる。
:また、膨大なエネルギーを使用して冷却・圧縮と運搬を行うため、「[[Well-to-Wheel]](油田から車輪)」効率([[一次エネルギー]]の採掘から車両走行までの効率)では、燃料電池自動車は[[電気自動車]]に比べて大幅に劣る。[[2009年]]の資料によれば、[[再生可能エネルギー]]による電力であれば、これを用いた電気分解により水素を生成し圧縮して燃料電池自動車に充填するよりも、そのまま電気自動車へと[[充電]]するほうがWell-to-Wheell効率において3倍ほど勝る<ref>{{Cite web| title = Ulf Bossel On Hydrogen|date = 2006-12-11 | url = http://www.physorg.com/news85074285.html| accessdate = June 2, 2009}}</ref>。[[テスラ (会社)|テスラ]]の[[イーロン・マスク]][[最高経営責任者|CEO]]は、2015年に「[[エコ・ステーション#水素ステーション|水素ステーション]]に水素を移し変える際に使う電気で、我が社の電気自動車が100km以上走る」と語った<ref>[http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42579 JBPRESS 2015.01.07]</ref>。
燃料電池自動車の普及促進のため、購入の際の補助金や[[エコ・ステーション#水素ステーション|水素ステーション]]などのインフラ整備などの普及促進策が採られている。2012年には、[[トヨタ]]や[[ダイムラー (自動車メーカー)|ダイムラー]]、[[ゼネラルモーターズ|GM]]など世界の大手自動車企業11社が水素供給システムの規格を統一することで合意した<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXDASDD010LJ_R00C12A2TJ1000/ 日本経済新聞 燃料電池車、水素供給システムの規格統一 世界大手11社、普及へ初期段階から協力]</ref>。
水素ステーションに対しても、[[2013年]]度より水素供給設備整備事業費補助金を[[経済産業省]]から事業者に支給することにより設置数の増加を図っている<ref>「[https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1404/09/news034.html 水素供給の形が見えてきた、3社の設備の違いとは]」。2014年4月9日、[[ITmedia]]。2014年8月10日閲覧。</ref>。2013年夏時点での日本国内における水素ステーションの数は17ヶ所であったが、[[2015年|2016年]]3月38基、[[2022年]]5月現在、日本国内の水素ステーションは161カ所となっている<ref>{{Cite web |和書|title=水素ステーション普及状況_水素ステーションの補助金交付を行う次世代自動車振興センター |url=http://www.cev-pc.or.jp/suiso_station/index.html |website=www.cev-pc.or.jp |access-date=2022-05-05}}</ref>。日本政府は2025年度には約320基にすることを目標にしている<ref>{{Cite web |和書|title=トヨタ MIRAI {{!}} 法人および個人事業主のお客様 {{!}} トヨタ自動車WEBサイト |url=https://toyota.jp/mirai/forexecutive/?padid=from_mirai_grade_topics_forexecutive |website=toyota.jp |access-date=2022-05-05}}</ref>。
[[2015年]]2月、トヨタ、ホンダ、日産自動車の3社が水素ステーションの整備促進に向け、共同支援に乗り出すことで合意したと発表している<ref name="ITmedia20150203">{{cite news|title = 自動車3社が水素に支援、ステーション普及を助ける|url = https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1502/13/news048.html|publisher = [[ITmedia]]|date = 2015年2月3日 | accessdate = 2016年4月10日}}</ref>。また同月、トヨタは水素社会の実現に向けて約5700件の燃料電池車に関する特許を無料で公開した<ref>[http://president.jp/articles/-/14608 トヨタが燃料電池車の特許を無償開放した本当の理由]</ref>。
==== ダイレクトメタノール燃料電池車 ====
{{main|ダイレクトメタノール燃料電池車}}メタノール燃料を用いて[[直接メタノール燃料電池|ダイレクトメタノール燃料電池]]で[[発電]]して[[電動機]]で走行する車<ref name="DMFC">{{Cite web|和書|title=日本自動車研究所(JARI)平成18年度燃料電池自動車に関する調査報告書 p. 235|url=http://www.jari.or.jp/Portals/0/jhfc/data/report/2006/pdf/fcv_report_01.pdf|format=PDF|publisher=JARI|accessdate=2018-9-9}}</ref>。
=== 金属燃料電池(金属空気電池)自動車 ===
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