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深 ふか 非 ひ 弾性 だんせい 散乱 さんらん 」は
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en:Deep inelastic scattering )
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(2016年 ねん 11月 )
深 ふか 非 ひ 弾性 だんせい 散乱 さんらん (しんひだんせいさんらん 英 えい : Deep inelastic scattering )はハドロン (特 とく に陽子 ようし や中性子 ちゅうせいし などのバリオン )の内部 ないぶ を電子 でんし やミュー粒子 りゅうし 、ニュートリノ により調査 ちょうさ するために用 もち いられる過程 かてい である。その当時 とうじ は純粋 じゅんすい に数学 すうがく 的 てき な現象 げんしょう であると考 かんが える者 もの も多 おお かった、クォーク が実在 じつざい することの最初 さいしょ の決定的 けっていてき 証拠 しょうこ をもたらした。最初 さいしょ の試 こころ みは1960年代 ねんだい から1970年代 ねんだい にかけてであり、ラザフォード散乱 さんらん を非常 ひじょう に高 たか いエネルギーに拡張 かくちょう した過程 かてい と考 かんが えることができ、そのため核 かく 子 こ の構成 こうせい 要素 ようそ をより細 こま かい分解能 ぶんかいのう で調 しら べることができる。深部 しんぶ 非 ひ 弾性 だんせい 散乱 さんらん とも[ 1] 。
ハドロンによるレプトンの深 ふか 非 ひ 弾性 だんせい 散乱 さんらん を最低 さいてい 次 じ まで摂動 せつどう 展開 てんかい したダイアグラム
用語 ようご の各 かく 部分 ぶぶん を説明 せつめい する。「散乱 さんらん 」はレプトン (電子 でんし 、ミューオン、ほか)が偏向 へんこう されることを意味 いみ する。偏向 へんこう される角度 かくど を観測 かんそく することによりこの過程 かてい の性質 せいしつ を調 しら べることができる。「非 ひ 弾性 だんせい 」とは標的 ひょうてき が入射 にゅうしゃ 粒子 りゅうし の運動 うんどう 量 りょう の一部 いちぶ を吸収 きゅうしゅう することを意味 いみ する。実際 じっさい 、レプトンのエネルギーが非常 ひじょう に高 たか い場合 ばあい 、標的 ひょうてき は「破砕 はさい 」されて多数 たすう の新 しん 粒子 りゅうし を放出 ほうしゅつ する。これらの粒子 りゅうし はハドロンであり、極度 きょくど に単純 たんじゅん 化 か するとこの過程 かてい は標的 ひょうてき を構成 こうせい していたクォークが「叩 はた き出 で 」され、クォークの閉 と じ込 こ め のために観測 かんそく 不可能 ふかのう なクォークのかわりにハドロンが生成 せいせい されるハドロン化 か (英語 えいご 版 ばん ) が起 お こると解釈 かいしゃく することができる。「深 ふかし 」とはレプトンが標的 ひょうてき ハドロンのサイズよりも短 みじか い波長 はちょう をもつほどに高 たか いエネルギーを持 も ち、そのため標的 ひょうてき の「深 ふかし 」部 ぶ を調 しら べることができるという意味 いみ である。また、摂動 せつどう 近似 きんじ (英語 えいご 版 ばん ) によれば、レプトンから発 はっ した高 こう エネルギー光子 こうし が標的 ひょうてき ハドロンに吸収 きゅうしゅう され、構成 こうせい クォークの一 ひと つにエネルギーが移送 いそう されるという、図 ず のダイアグラムに示 しめ すような過程 かてい として理解 りかい することもできる。
物理 ぶつり 学 がく の標準 ひょうじゅん 模型 もけい 、特 とく にマレー・ゲルマン の1960年代 ねんだい の業績 ぎょうせき はそれまでは別々 べつべつ の概念 がいねん だった素粒子 そりゅうし 物理 ぶつり 学 がく 上 うえ の概念 がいねん の殆 ほとん どを、比較的 ひかくてき 単純 たんじゅん な形式 けいしき で統合 とうごう することに成功 せいこう した。本質 ほんしつ 的 てき には、三 さん 種類 しゅるい の素粒子 そりゅうし が存在 そんざい する。
レプトン は低 てい 質量 しつりょう 粒子 りゅうし で、電子 でんし 、ニュートリノ、それらの反 はん 粒子 りゅうし などを含 ふく む。整数 せいすう 電荷 でんか を持 も つ。
ゲージボソン は力 ちから の交換 こうかん を媒介 ばいかい する粒子 りゅうし である。質量 しつりょう が無 な く観測 かんそく が容易 ようい な光子 こうし (電磁 でんじ 力 りょく を媒介 ばいかい する)や、観測 かんそく しづらい(が質量 しつりょう は無 な い)グルーオン (強 つよ い力 ちから を媒介 ばいかい する)などを含 ふく む。
クォーク は分数 ぶんすう 電荷 でんか を持 も ち、質量 しつりょう を持 も つ粒子 りゅうし である。ハドロンの構成 こうせい 要素 ようそ である。強 つよ い力 ちから を受 う ける唯一 ゆいいつ の粒子 りゅうし である。
レプトンは1897年 ねん 、電流 でんりゅう が電子 でんし の流 なが れであることを示 しめ したJ. J. トムソン により検出 けんしゅつ された。ゲージボソンは、光子 こうし は日常 にちじょう 的 てき に検出 けんしゅつ されており、1980年代 ねんだい 初頭 しょとう に電 でん 弱 じゃく 力 りょく を媒介 ばいかい する W+ , W− , Z0 は分類 ぶんるい 上 じょう のみ観測 かんそく され、グルーオンはハンブルク のDESY によりほぼ同時 どうじ に検出 けんしゅつ された。しかし、クォークはいまだに捉 とら えられていない。
20世紀 せいき 初頭 しょとう に行 おこな われたラザフォード の画期的 かっきてき な実験 じっけん と同様 どうよう のアイデアでクォークの検出 けんしゅつ を試 こころ みることができる。ラザフォードはアルファ粒子 りゅうし を金 きむ 原子 げんし に照射 しょうしゃ することによって原子 げんし が小 ちい さく質量 しつりょう のほとんどを持 も ち、電荷 でんか を帯 お びた核 かく をもつことを証明 しょうめい した。ほとんどのアルファ粒子 りゅうし はほとんどもしくは全 まった く偏向 へんこう されずに通過 つうか するが、一部 いちぶ が大 おお きな偏向 へんこう 角 かく を示 しめ したり、跳 は ね返 かえ されたりしたのである。このことは原子 げんし が内部 ないぶ 構造 こうぞう を持 も ち、ほとんどが何 なに もない空間 くうかん であることを示唆 しさ した。
バリオンの内部 ないぶ を調査 ちょうさ するためには、小 ちい さく、貫通 かんつう 力 りょく が強 つよ く、そして簡単 かんたん に生成 せいせい できる粒子 りゅうし を使 つか う必要 ひつよう がある。電子 でんし は、大量 たいりょう に存在 そんざい し、電荷 でんか を持 も つため簡単 かんたん に加速 かそく できるのでこの用途 ようと に理想 りそう 的 てき である。1968年 ねん 、スタンフォード線形 せんけい 加速器 かそくき センター (SLAC) において、電子 でんし を原子核 げんしかく 中 ちゅう の陽子 ようし と中性子 ちゅうせいし に照射 しょうしゃ する実験 じっけん が行 おこな われた[ 2] [ 3] 。その後 ご ミューオン とニュートリノ を使 つか った実験 じっけん も行 おこな われたが、同 おな じ原理 げんり で取 と り扱 あつか える。
この衝突 しょうとつ により運動 うんどう 量 りょう の一部 いちぶ が吸収 きゅうしゅう されるため、この過程 かてい は非 ひ 弾性 だんせい 散乱 さんらん である。これはラザフォード散乱 さんらん がエネルギー損失 そんしつ を伴 ともな わない弾性 だんせい 散乱 さんらん であるのと対照 たいしょう 的 てき である。原子核 げんしかく から出 で てきた電子 でんし の軌跡 きせき と速度 そくど を観測 かんそく する。
この結果 けっか を解析 かいせき することにより、以下 いか のような結論 けつろん が得 え られた。
ハドロンには内部 ないぶ 構造 こうぞう がある。
バリオン内部 ないぶ には三 みっ つの偏向 へんこう 点 てん がある(つまりバリオンは三 みっ つのクォークで構成 こうせい される)。
中間子 ちゅうかんし 内部 ないぶ には、二 ふた つの偏向 へんこう 点 てん がある(つまり中間子 ちゅうかんし はクォークと反 はん クォークで構成 こうせい される)。
クォークは電子 でんし と同様 どうよう に点 てん 電荷 でんか であるかに見 み え、標準 ひょうじゅん 模型 もけい の示唆 しさ するところの分数 ぶんすう 電荷 でんか を持 も つ。
この実験 じっけん はクォークが物理 ぶつり 的 てき に実在 じつざい することを示 しめ しただけではなく、標準 ひょうじゅん 模型 もけい が正 ただ しいことを示唆 しさ し、素粒子 そりゅうし 物理 ぶつり 学者 がくしゃ に研究 けんきゅう の方向 ほうこう 性 せい を指 さ ししたという意味 いみ で重要 じゅうよう である。