(Translated by https://www.hiragana.jp/)
エリザベス・キューブラー=ロス - Wikipedia

エリザベス・キューブラー=ロス

アメリカの精神せいしん (1926-2004)。『瞬間しゅんかん』の著者ちょしゃ

エリザベス・キューブラー=ロスどく:Elisabeth Kübler-Ross、1926ねん7がつ8にち - 2004ねん8がつ24にち)は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく精神せいしんぬことについてかんするしょ瞬間しゅんかん』(1969ねん)の著者ちょしゃとしてられる。

エリザベス・キューブラー=ロス
生誕せいたん (1926-07-08) 1926ねん7がつ8にち
スイスチューリッヒ
死没しぼつ 2004ねん8がつ24にち(2004-08-24)(78さいぼつ
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくアリゾナしゅうスコッツデール
研究けんきゅう分野ぶんや 精神せいしん医学いがく
研究けんきゅう機関きかん シカゴ大学だいがく
おも業績ぎょうせき キューブラー=ロスモデル
影響えいきょう
あたえた人物じんぶつ
キャロライン・ミス、バーン・バーネット、ブルース・グレイソン、ソギャル・リンポチェ
おも受賞じゅしょうれき アメリカ国家こっか女性じょせい殿堂でんどう(National Women's Hall of Fame)
配偶はいぐうしゃ マニー・ロス (1958–1979)
子供こども ケン・ロス
バーバラ・ロス
プロジェクト:人物じんぶつでん
テンプレートを表示ひょうじ
博士はかせ。エリザベス・キューブラー=ロスの肖像しょうぞう、1987ねん

著書ちょしょにおいて、彼女かのじょはじめて今日きょうでは「受容じゅようのプロセス」とばれている「キューブラー=ロスモデル」を提唱ていしょうしている。まさに間際まぎわにある患者かんじゃとのかかわりや悲哀ひあい(Grief)の考察こうさつ悲哀ひあい仕事しごと(Grief work)についての先駆せんくてき業績ぎょうせきられる。

経歴けいれき

編集へんしゅう

キューブラー=ロスは、スイスチューリッヒに、姉妹しまい長女ちょうじょとしてまれる。父親ちちおや医学部いがくぶ進学しんがく反対はんたいで、みずか学費がくひ捻出ねんしゅつするため、当初とうしょ専門せんもん学校がっこうて、検査けんさ技師ぎしをしていた。その1957ねん、31さいときチューリッヒ大学だいがく医学部いがくぶ卒業そつぎょうしている。彼女かのじょ医学部いがくぶでの学生がくせい時代じだいったアメリカじん留学生りゅうがくせいマニー・ロスととも学業がくぎょうをさらにつづけ、またはたらこうさがすべく、1958ねんアメリカにわたった。

彼女かのじょ医療いりょう活動かつどうはじめようとしたとき病院びょういんひんしている患者かんじゃあつか態度たいど愕然がくぜんとさせられる。そこで、病気びょうき患者かんじゃをどうあつかうべきなのかという一連いちれん講義こうぎはじめた。これが、1961ねんぬことについての講義こうぎにつながっていく。1963ねんには、コロラド大学だいがく精神せいしん単位たんい取得しゅとくしている。1965ねんからシカゴ大学だいがく医学部いがくぶうつり、臨床りんしょうてき研究けんきゅう発展はってんさせた。彼女かのじょをテーマにして20さつものほんき、世界せかい各地かくちすうおおくの講演こうえんなどをおこなった。1974ねんから1996ねんあいだにそれら業績ぎょうせきたいして、複数ふくすう大学だいがく単科大学たんかだいがくから20の名誉めいよ博士はかせごう授与じゅよされている。

また、私財しざいとうじてかう患者かんじゃのための施設しせつ(センター Center)を開設かいせつ精力せいりょくてき活動かつどうおこなった。現在げんざい、この活動かつどうホスピス運動うんどう嚆矢こうしのひとつとかんがえられている。彼女かのじょがホスピス運動うんどう創始そうししたわけではないが、それを推進すいしんした人々ひとびとは、まさに彼女かのじょによってこの運動うんどうがいのちをあたえられたのだと異口同音いくどうおんかたっている。

晩年ばんねんにはエイズ患者かんじゃへのかかわりをふかめ、エイズ患者かんじゃのためのあらたなセンターの開設かいせつ計画けいかくしたが、そのために近隣きんりん住民じゅうみんとの深刻しんこく軋轢あつれきみ、最終さいしゅうてき拠点きょてんセンターの閉鎖へいさ移転いてん余儀よぎなくされた。拠点きょてんセンターは原因げんいん不明ふめい火事かじにより全焼ぜんしょうしたが、彼女かのじょはこの事件じけん対立たいりつする住民じゅうみんによる放火ほうかであると認識にんしきしていた。

1995ねんのう梗塞こうそく見舞みまわれひだり半身はんしん麻痺まひになった。その苦悩くのう2002ねん、アリゾナ・リパブリックのインタビューでかたっている。2004ねんアリゾナしゅうのスコットデールの自宅じたくくなった。

エリザベスの死後しご、モハメド・アリは著書ちょしょ『Tea With Elisabeth』のなかでエリザベスの人生じんせいについてつぎのように回想かいそうしている。「エリザベスは、自己じこ実現じつげん人生じんせい意味いみ理解りかいするじょう重要じゅうよう要素ようそであるとおしえてくれました。にゆく過程かていについておおくのことをおしえてくれたこの女性じょせいが、まさに人生じんせいのキャンペーンであったことは偶然ぐうぜんではありません[1]。」

2005ねん彼女かのじょ息子むすこケン・ロスはアリゾナしゅうスコッツデールにエリザベス・キューブラー・ロス財団ざいだん設立せつりつしました[2]。2024ねん現在げんざい、エリザベス・キューブラー・ロス財団ざいだん日本にっぽんでも活動かつどうしています。商標しょうひょう「エリザベス・キューブラー・ロス」、およびキューブラー・ロスに関連かんれんするすべての著作ちょさくけんとその商標しょうひょうは、エリザベス・キューブラー・ロス・ファミリー有限ゆうげん責任せきにん事業じぎょう組合くみあいつうじて彼女かのじょ子供こどもたちによって管理かんりされています。[3]

死後しご世界せかい存在そんざいについて

編集へんしゅう

彼女かのじょへの過程かていのみならず、死後しご世界せかい関心かんしんけるようになった。幽体ゆうたい離脱りだつ体験たいけんし、霊的れいてき存在そんざいとの交流こうりゅうなどを著書ちょしょ講演こうえんかたった。

一連いちれん事柄ことがらに、関心かんしんつきっかけとなったのは、自分じぶん担当たんとうしていた患者かんじゃ直面ちょくめんするときに、幽体ゆうたい離脱りだつ経験けいけんしており、離脱りだつちゅう描写びょうしゃがあまりに正確せいかくだったことから、たましい存在そんざいみとめるにいたったという[4]

受容じゅようのプロセス

編集へんしゅう

エリザベス・キューブラー=ロスが『瞬間しゅんかん』のなか発表はっぴょうしたもの。以下いかのようにまとめられている。すべての患者かんじゃがこのような経過けいかをたどるわけではないともいている。

  • 否認ひにん隔離かくり
    自分じぶんぬということはうそではないのかとうたが段階だんかいである。
  • いか
    なぜ自分じぶんななければならないのかといういかりを周囲しゅういける段階だんかいである。
  • 取引とりひき
    なんとかなずにすむように取引とりひきをしようとこころみる段階だんかいである。なにかにすがろうという心理しんり状態じょうたいである。
  • そもそもうつ
    なにもできなくなる段階だんかいである。
  • 受容じゅよう
    最終さいしゅうてき自分じぶんくことをれる段階だんかいである。

主要しゅよう著作ちょさく

編集へんしゅう
  • On Death and Dying, (Simon & Schuster/Touchstone),1969
    (『瞬間しゅんかん にゆく人々ひとびととの対話たいわ川口かわぐち正吉まさきちわけ 読売新聞社よみうりしんぶんしゃ 1971ねん
    (『瞬間しゅんかん とその過程かていについて』鈴木すずきあきらわけ 読売新聞社よみうりしんぶんしゃ 1998ねん中公ちゅうこう文庫ぶんこ 2001ねん改版かいはん2020ねん
  • Questions and Answers on Death and Dying, (Simon & Schuster/Touchstone), 1972
    (『瞬間しゅんかん対話たいわ川口かわぐち正吉まさきちやく 読売新聞社よみうりしんぶんしゃ 1975ねん
    (『「瞬間しゅんかん」をめぐる質疑しつぎ応答おうとう鈴木すずきあきらやく中公ちゅうこう文庫ぶんこ、2005ねん
  • Death: The Final Stage of Growth, (Simon & Schuster/Touchstone),1974
    (『つづけ 瞬間しゅんかん川口かわぐち正吉まさきちやく 読売新聞社よみうりしんぶんしゃ 1977ねん
    (『つづけ 瞬間しゅんかん 、それは成長せいちょう最終さいしゅう段階だんかい鈴木すずきあきらやく 読売新聞社よみうりしんぶんしゃ 1999ねん中公ちゅうこう文庫ぶんこ 2001ねん
  • To Live Until We Say Goodbye, (Simon & Schuster/Touchstone), 1978
    (『生命せいめいあるかぎり』霜山しもやまいさおなんじ沼野ぬまの元義もとよしわけ 産業さんぎょう図書としょ 1982ねん新装しんそうばん1997ねん
  • The Doughy Letter -A Letter to a Dying Child, (Celestial Arts/Ten Speed Press) ,1979 Quest
    (『ダギーへの手紙てがみアグネス・チャンわけ 佼成出版社こうせいしゅっぱんしゃ 1998ねん
  • Working It Through, (Simon & Schuster/Touchstone),1981
    (『生命せいめいくして』霜山しもやまいさおなんじ沼野ぬまの元義もとよしやく 産業さんぎょう図書としょ 1984ねん
  • Living With Death and Dying, (Simon & Schuster/Touchstone),1981
    (『瞬間しゅんかん子供こどもたち』川口かわぐち正吉まさきちやく 読売新聞社よみうりしんぶんしゃ 1982ねん
  • Remember The Secret, (Celestial Arts/Ten Speed Press),1981
    (『天使てんしのおともだち』伊藤いとうちぐさわけ 日本教文社にっぽんきょうぶんしゃ 1995ねん
  • On Children and Death, (Simon & Schuster),1983
    (『しん 瞬間しゅんかん秋山あきやまつよし早川はやかわ東作とうさくわけ 読売新聞よみうりしんぶんしゃ 1985ねん
    (『どもとについて』鈴木すずきあきらやく中公ちゅうこう文庫ぶんこ 2007ねん
  • AIDS: The Ultimate Challenge, (Simon & Schuster), 1988
    (『エイズ 瞬間しゅんかん読売新聞社よみうりしんぶんしゃ科学かがくやく 読売新聞社よみうりしんぶんしゃ 1991ねん
  • On Life After Death, (Celestial Arts), 1991
    (『死後しご真実しんじつ伊藤いとうちぐさやく 日本教文社にっぽんきょうぶんしゃ 1995ねん
  • Death is of Vital Importance, (Out of Print- Now "The Tunnel and the Light") 1995 Unfolding
    (『「瞬間しゅんかん」と臨死りんし体験たいけん鈴木すずきあきらわけ 読売新聞社よみうりしんぶんしゃ 1997ねん/『「瞬間しゅんかん」と死後しごせい中公ちゅうこう文庫ぶんこ 2001ねん改版かいはん2020ねん
  • The Wings of Love, (Germany only - Silberschnur), 1996
  • Making the Most of the Inbetween, (Various Foreign), 1996
  • Aids and Love, The Conference in Barcelona, (Spain), 1996
  • Longing to Go Back Home, (Germany only - Silberschnur), 1997
  • The Wheel of Life, (Simon & Schuster/Scribner), 1997
    (『人生じんせいまわのように』上野うえの圭一けいいちわけ 角川書店かどかわしょてん 1998ねん角川かどかわ文庫ぶんこ 2003ねん
  • Why Are We Here, (Germany only - Silberschnur), 1999
  • The Tunnel and the Light, (Avalon), 1999
  • Life Lessons, (Scribner), 2001
    (『ライフ・レッスン』デーヴィッド・ケスラーとの共著きょうちょ上野うえの圭一けいいちやく 角川書店かどかわしょてん 2001ねん角川かどかわ文庫ぶんこ、2005ねん
  • On Grief and Grieving, (Scribner), 2005
    (『永遠えいえんわかれ』デーヴィッド・ケスラーとの共著きょうちょ上野うえの圭一けいいちやく 日本教文社にっぽんきょうぶんしゃ 2007ねん
  • Real Taste of Life: A photographic Journal 写真しゃしんおも

参考さんこう資料しりょう

編集へんしゅう
  • Biography of EKR, (Written with Derek Gill), Harper & Row, 1980
    • デレク・ギル『「瞬間しゅんかん」の誕生たんじょう キューブラー・ロスの50ねん』 貴島きじま操子みさこわけ (読売新聞社よみうりしんぶんしゃ 1985ねん
  • BSドキュメンタリー「最期さいごのレッスン〜キューブラー・ロス、かくせり〜」NHK 2006ねん4がつ放送ほうそう
  • ETV特集とくしゅう最後さいごのレッスン キューブラー・ロス のまぎわの真実しんじつ

回想かいそう

編集へんしゅう
  • 『エリザベス・キューブラー・ロスのおも』 松永まつなが太郎たろうやく麻布あざぶしょうとらどう、2007ねん
    • ファーン・スチュアート・ウェルチ/ローズ・ウィンタース/ケネス・ロスへん、50めいにおよぶ知人ちじんたちの回想かいそう
    • 日本語にほんごばんどうえん凉子りょうこ(エリザベス・キューブラー・ロス・センター日本にっぽん支部しぶ代表だいひょう)によるオリジナル編集へんしゅう

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ (英語えいご) Tea with Elisabeth. https://centering.org/tea-with-elizabeth/ 
  2. ^ Home” (英語えいご). EKR Foundation. 2024ねん7がつ25にち閲覧えつらん
  3. ^ ELISABETH KUBLER-ROSS Trademark of Elisabeth Kubler-Ross Limited Family Partnership - Serial Number 78149397 - Furm”. furm.com. 2024ねん7がつ25にち閲覧えつらん
  4. ^ NHKスペシャル 立花たちばなたかしリポート 臨死りんし体験たいけんじんとき なにるのか~』の最終さいしゅうでのインタビュー。1991ねん3がつ17にち放送ほうそう

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう

外部がいぶリンク

編集へんしゅう