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ポリプ - Wikipedia

ポリプえい: polyp[1])というのは、とげ動物どうぶつからだ構造こうぞうのひとつであり、イソギンチャクのように固着こちゃくして触手しょくしゅひろげるものをう。

一般いっぱんてきはちクラゲ生活せいかつたまき。1‐3.プラヌラ浮浪ふろう幼虫ようちゅう)として生育せいいくさが期間きかん
4-8.ポリプ世代せだい
9-11.ポリプ世代せだいよこぶんからだ形成けいせい
12以降いこうはメデューサ世代せだい(クラゲ世代せだい

概説がいせつ

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とげ動物どうぶつ特徴とくちょう放射ほうしゃ相称そうしょうで、出口でぐちのないふくろじょう消化しょうかかんつことである。そのからだ具体ぐたいてきかたちにはおおきくふたつのかたちがある。ひとつはここに説明せつめいするポリプ (polyp) であり、もうひとつはクラゲである。とげ動物どうぶつぞくする動物どうぶつ個体こたいだい部分ぶぶんはこのどちらかにるいするからだつが、とくにポリプの状態じょうたいはほとんどのぐんられる。ポリプの時期じきたないものは、かたクラゲるい若干じゃっかんはちむしるいられる。生活せいかつたまきなか両方りょうほうつものの場合ばあい、ポリプの時期じき無性むしょう生殖せいしょくを、クラゲの時期じき有性ゆうせい生殖せいしょくをする、世代せだい交代こうたいられる。なお、このふたつのかたなかあいだがたとしてアクチヌラがある。

形態けいたい

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ポリプというのは、基質きしつじょう定着ていちゃくする、固着こちゃくせい生活せいかつてきしたかたちである。からだはほぼ円筒えんとうがたであるが、細長ほそながいもの、たいらなもの、むしろ円錐えんすいがたちかいものなど、そのかたちはさまざまである。円筒えんとう両側りょうがわたいらなめんがあり、片方かたがた中央ちゅうおうくちひらく。くちふくはしはほぼ円形えんけいめんをなすことがおおく、これをくちばん(こうばん)という。くちばん周囲しゅういには多数たすう触手しょくしゅ配置はいちする。くち周囲しゅういくち触手しょくしゅつものもある。はんくちがわ基質きしつへの付着ふちゃく部分ぶぶんである。イソギンチャクるいではこれが筋肉きんにくんだあしばんわれる構造こうぞうとなっており、接着せっちゃくはたらきをつと同時どうじに、ゆっくりながらも移動いどう可能かのうとなっている。骨格こっかく固定こていされていたり、のようにいていたりと、まった移動いどうできない構造こうぞうになっているものもおおい。

くちからちゅう消化しょうかかんである。ヒドロむしるいでは、単純たんじゅんふくろになっているが、それ以外いがいるいでは、腔のかべあいだたかしともたて方向ほうこうかべつくり、これが腔を仕切しきる。これを隔壁かくへきう。隔壁かくへきかず分類ぶんるいぐんによってことなる。はなむしるいでは8や6の倍数ばいすうなどおおくの隔壁かくへきつものがおおく、はちむしるいでは4である。

また、からさやつものもある。とくはなむしるいでは内部ないぶ石灰せっかいしつ共同きょうどう骨格こっかく発達はったつさせるいしサンゴるいや、骨質こっしつ骨格こっかく宝石ほうせきサンゴなど、さまざまな骨格こっかくつものがられる。ヒドロむしるいでは内部ないぶ骨格こっかくつものはないが、外側そとがわ表面ひょうめんからつくるものはおおい。

生活せいかつ

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ポリプは固着こちゃく生活せいかつてきした姿すがたである。ぐんたいヒドラやみやつこ礁サンゴのように完全かんぜん固着こちゃくしたものもあるが、多少たしょう移動いどう可能かのうなものもある。イソギンチャクはあしばんによってゆっくりと移動いどうすることが可能かのうである。に、淡水たんすいさんヒドラときとしてくちをも使つかってゆっくりではあるがヒルのように移動いどうする。また、オヨギイソギンチャクのように水中すいちゅうかび、触手しょくしゅるって遊泳ゆうえいするものもある。

うごくものに固着こちゃくする、というのもある。イソギンチャクるいにはカニヤドカリ共生きょうせい関係かんけいにあるものがいくつもられる。イソギンチャクは移動いどう能力のうりょくにいれ、ヤドカリはイソギンチャクのどく防御ぼうぎょ使つかえる。同様どうようれいはヒドロむしるいにもある。

固着こちゃくしないものもある。ハナギンチャクるいあしばんがなく、後端こうたんたんせばまってわる。このるい砂地すなじあなって、粘液ねんえきかためたあななかはいっており、そのなかから先端せんたんして触手しょくしゅひろげ、刺激しげきけると素早すばやあなにもぐりこむ。

また、浮遊ふゆうせいになったポリプのれいもある。ギンカクラゲなどはクラゲとしてあつかわれてきたが、現在げんざいではきをって浮遊ふゆうするようになったポリプのぐんたいであるとかんがえられている。また、かんクラゲぐんたいであるが、構成こうせいするちゅうのうち栄養えいようちゅう生殖せいしょくちゅうはポリプがたである。

生活せいかつたまきとの関連かんれん

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とげ動物どうぶつはその生活せいかつたまきにポリプだけをつものとポリプとクラゲをつものがある。一部いちぶにクラゲがただけのものもある。ポリプだけをつものではポリプに生殖せいしょくせん発達はったつさせるが、クラゲがた場合ばあいかならずクラゲがた生殖せいしょくせん発達はったつする。いずれの場合ばあいにも、ポリプは無性むしょう生殖せいしょくおこなうれいおおい。無性むしょう生殖せいしょくにはたて分裂ぶんれつよこ分裂ぶんれつ出芽しゅつがなど、多様たようかたち分類ぶんるいぐんによってられる。増殖ぞうしょくした個体こたいがそのままつながってぐんたい形成けいせいするれいおおられる。

なお、ポリプからクラゲが形成けいせいされるのも無性むしょう生殖せいしょく形式けいしきおこなわれる。ヒドロむしるいでは出芽しゅつがはちむしるいでは分裂ぶんれつによる。ただしはこクラゲるいでは幼生ようせい全体ぜんたい変形へんけいしてクラゲとなる。

分類ぶんるいぐんとの関連かんれん

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はなちゅうつなのものは、すべてポリプのみである。生殖せいしょくはポリプにしょうじ、たまごから発生はっせいしたプラヌラは、基質きしつ定着ていちゃくするとポリプに発達はったつする。おおくはぐんからだせいであるが、単体たんたいのものもおおく、単体たんたい大型おおがたになるものも数々かずかずある。

はちちゅうつなはクラゲがた成体せいたいで、ポリプは幼生ようせいのみである。普通ふつう単体たんたいで、無性むしょう生殖せいしょくえるものがおおい。

ヒドロむしるいはクラゲがた、ポリプがたともにられ、同種どうしゅないでこの双方そうほうがよく発達はったつするもの、どちらかがよりおおきく発達はったつするもの、どちらかがほとんどられないものまである。ポリプはぐんからだせいのものがおおいが、単体たんたいのものもある。単体たんたい大型おおがたになるものもあるが、ごくすくない。形態けいたいには変化へんかおおく、ぐんからだせいのものでは個体こたいかたちにさまざまな分化ぶんかられる。なお、ヒドロむしるいのポリプをとくヒドロはなということがある。

ヒドロむしるいぐんからだせいポリプではちゅう形態けいたい分化ぶんかられる場合ばあいがある。触手しょくしゅ退化たいかしてくちだけになった栄養えいようちゅうやクラゲを生殖せいしょくちゅうなどがある

系統けいとう問題もんだい

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ポリプはほとんどすべてのとげ動物どうぶつられるもので、このるい基本きほんてき体制たいせいであるとなせる。その細部さいぶ構造こうぞうぐんによってことなる。構造こうぞうてきにははなむしるいもっと複雑ふくざつで、ヒドロむしるいもっと単純たんじゅんである。ヒドロむしるいのポリプが内部ないぶ単純たんじゅんしかたないのにたいして、はなむしるいでは隔壁かくへきなどの構造こうぞう発達はったつする。一見いっけん放射ほうしゃ相称そうしょうえるが、細部さいぶると、じつ左右さゆう対称たいしょうであることもかる。

ところが、とげ胞の多様たようせいとうると。むしろヒドロむしるいほう高度こうどであることがかる。はなむしるいではそのたねすうすくなく、ヒドロむしるいでははるかにたねすうおおい。

このようなねじれてき現象げんしょうられるため、このるい系統けいとうについてはふるくから議論ぎろんがあった。古典こてんてき動物どうぶつ系統けいとう分類ぶんるい主流しゅりゅうであるヘッケルは、細胞さいぼう動物どうぶつ起源きげん中空ちゅうくうむち毛虫けむしぐんたいもとめ、そこに腔がしょうじることで放射ほうしゃ相称そうしょう体勢たいせいしょうじ、そこから左右さゆう相称そうしょう動物どうぶつまれたとかんがえる。これを現生げんなま動物どうぶつてはめると、まずとげ動物どうぶつまれ、そこからひらたがた動物どうぶつ進化しんかしてきたとかんがえる。その場合ばあいとげ動物どうぶつなかでは構造こうぞう単純たんじゅんなヒドロむしるい原始げんしてきで、構造こうぞう複雑ふくざつはなむしるい進化しんかしたものとかんがえ、とくはなむしるい内部ないぶ構造こうぞう左右さゆう相称そうしょうせいられることは、左右さゆう相称そうしょう動物どうぶつへの進化しんか過程かていしめすものとかんがえる。

これにこととなえたのがハッジである。かれとげ動物どうぶつせんもんであり、その立場たちばからると、ヒドロむしるいたしかに構造こうぞう単純たんじゅんであるが、とげ胞の多様たようせいられるように、細胞さいぼうレベルではむしろ高度こうど分化ぶんかしたものとおもえる。ぎゃくに、はなむしるい場合ばあい構造こうぞう複雑ふくざつであるが細胞さいぼうレベルではむしろ単純たんじゅんであり、このようなことから、かれはとげ動物どうぶつ左右さゆう対称たいしょう匍匐ほふくせい細胞さいぼう動物どうぶつが、固着こちゃくせい適応てきおうして放射ほうしゃ相称そうしょうせい獲得かくとくし、構造こうぞう単純たんじゅんになる方向ほうこう進化しんかしたものとかんがえた。このかんがえにてば、はなむしるい内部ないぶ左右さゆう相称そうしょうせいられることは、むしろ左右さゆう相称そうしょうせい祖先そせん形質けいしつのこっているものとかんがえられる。かれはこの立場たちばから、細胞さいぼう動物どうぶつ進化しんかたいするあたらしいせつてた。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 「polyp」の意味いみ”. プログレッシブ英和えいわちゅう辞典じてん だい5はん. 2020ねん6がつ6にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2020ねん6がつ6にち閲覧えつらん