ミドルブロッカー

ミドルブロッカー（英えい: Middle Blocker、中なか: 副ふく攻おさむ）は、バレーボールにおいて主おもにクイックスパイクとブロックの中心ちゅうしん的てき役割やくわりを担になう選手せんしゅのことである。別名べつめい: センタープレーヤー。

概要がいよう

コート手前てまえ側がわの青あおのユニフォームのチーム。10番ばんが前衛ぜんえいローテーションのミドルブロッカーと思おもわれる。
（ネット際ぎわのセッターと思おもわれる選手せんしゅや、後方こうほうのオポジットと思おもわれる14番ばん同様どうよう、サーブレシーブに不参加ふさんか）

ミドルブロッカーは前衛ぜんえいに並ならぶ3人にんの選手せんしゅの中央ちゅうおうにポジショニングし、ブロックの中心ちゅうしん的てき役割やくわりを担になう選手せんしゅである。攻撃こうげきの際さいはクイック攻撃こうげき（速攻そっこう）を主おもに行おこなう。近年きんねんのバレーにおける攻撃こうげきの多様たよう化か・高速こうそく化かに伴ともない、ブロックのシステムも日々ひび進歩しんぽしている。それゆえ、ブロックの要ようとなるミドルブロッカーには高度こうどなブロック技術ぎじゅつが求もとめられている。かつてはある程度ていどトスを予測よそくして跳とぶコミットブロックが主流しゅりゅうであったが、現在げんざいはトスの上あがった方向ほうこうを瞬時しゅんじに判断はんだんして対応たいおうするリードブロックの時代じだいを迎むかえており、ジャンプ時じの最高さいこう到達とうたつ点てんが同どうレベルであったとしても、指ゆび高だかが高たかい長身ちょうしんの選手せんしゅの方ほうが、相手あいての速はやい攻撃こうげきに素早すばやく対応たいおうできるため、チームの中なかで比較的ひかくてき身長しんちょうの高たかい選手せんしゅがミドルブロッカーを担当たんとうする例れいが多おおい。

ミドルブロッカーの主要しゅような攻撃こうげきとその"テンポ"

ミドルブロッカーの攻撃こうげきはいわゆるクイックが主体しゅたいである。セッターから0.5～1m程度ていどの距離きょりで攻撃こうげきするAクイック、2～3m程度ていどの距離きょりでのBクイック、ライト側がわ（バックトス）のAクイックに相当そうとうするCクイック、バックトスでのBクイックに相当そうとうするDクイック、などである。これらのスパイクはセッターがトスアップを行おこなうタイミングとほぼ同時どうじにジャンプの踏切ふみきり動作どうさを行おこなうファーストテンポでのスパイクとなるが、トスの供給きょうきゅうよりも踏切ふみきり動作どうさが早はやいクイック攻撃こうげきはマイナステンポに分類ぶんるいされる場合ばあいもある。その他た、片足かたあし踏切ふみきりでスパイクを行おこなうブロード攻撃こうげき（後述こうじゅつ）などがミドルブロッカーの主おもな攻撃こうげきスタイルである。

後衛こうえいでのリベロとの交代こうたいについて

ミドルブロッカーは長身ちょうしんの選手せんしゅが多おおいことに起因きいんして、概がいしてレシーブ（レセプション・ディグ）が不得手ふえてであり、多おおくのチームにおいてサーブレシーブのフォーメーションからミドルブロッカーは外はずされている。それゆえ、後衛こうえいにまわった際さいに守備しゅびの専門せんもん要員よういんであるリベロと交代こうたいすることが多おおい（アウトサイドヒッターがリベロと交代こうたいする例れいが無ないわけではない）。また、後衛こうえいからのバックアタックは主おもにアウトサイドヒッター（オポジット）の選手せんしゅが担当たんとうするという点てんも、バックアタックを行おこなわないミドルブロッカーがリベロの交代こうたい要員よういんとなる理由りゆうの一ひとつである。

サーブレシーブのフォーメーションとミドルブロッカーの関係かんけい

近年きんねんのフォーメーションにおけるサーブレシーブは、3名めいで行おこなう戦術せんじゅつが主流しゅりゅうとなっており、一般いっぱんには2名めいのアウトサイドヒッターにリベロを加くわえた3人にんをサーブレシーブ要員よういんに充あてている。結果けっかとして、ほとんどのチームにおいてミドルブロッカーはサーブレシーブを免除めんじょされており、サーブを行おこなった直後ちょくごの守備しゅびを除のぞいて後衛こうえいではリベロと交代こうたいすることになる。これらの事情じじょうから、サーブレシーブが上手じょうずな攻撃こうげき型がたのスパイカー⇒アウトサイドヒッター（レフト）、サーブレシーブはやや苦手にがてだが、両りょうサイドのオープントスや平行へいこうトスを打うつことに長たけたスパイカー⇒オポジット、背せは高たかいが基本きほん的てきに守備しゅびが不得手ふえてなスパイカー⇒ミドルブロッカー、といった具合ぐあいに分業ぶんぎょう化かが進すすんだ。近年きんねんにおけるバレーボールの分業ぶんぎょう化かが一層いっそう加速かそくしたのは、リベロシステムの採用さいようとサーブレシーブのフォーメーションに依よるところが大おおきいが、結果けっかとして、ブロックやクイックの技量ぎりょうに関かかわらず、レシーブを苦手にがてとする選手せんしゅがミドルブロッカーにまわされる傾向けいこうが強つよまることとなった。このことが、相対そうたい的てきにミドルブロッカーの技術ぎじゅつ低下ていかを招まねいたという意見いけんも聞きかれる。

ワンポイントブロッカー

ワンポイントブロッカーとは、前衛ぜんえいのブロック力りょくの強化きょうかのために一時いちじ的てきにコート内ないに入はいりプレーする選手せんしゅのことである。サーブ権けんを取得しゅとくして、背せの低ひくい選手せんしゅが前衛ぜんえいにまわってきたタイミングで、その選手せんしゅ（セッターの選手せんしゅが多おおい）と交替こうたいして相手あいてからの攻撃こうげきに文字通もじどおりワンポイント的てきに対応たいおうする。一般いっぱんにはブロックの能力のうりょくが高たかいミドルブロッカーの選手せんしゅがワンポイントブロッカーとして起用きようされる例れいが多おおい。得点とくてんが続つづいてサーブ権けんを維持いじしている場合ばあいは続つづけてプレーを行おこなうが、たいていの場合ばあい、サーブ権けんが相手あいてに移動いどうした時点じてんで再ふたたびベンチに戻もどる。

ブロード攻撃こうげき

ミドルブロッカーが左右さゆうに移動いどうしながら片足かたあし踏切ふみきりでスパイクを放はなつ攻撃こうげきスタイルを指さす。右みぎ利ききの選手せんしゅはライト側がわに移動いどうしながらスパイクを打うつ例れいが多おおい。大林おおばやし素子もとこは左利ひだりききのオポジットであるが、このブロード攻撃こうげきを得意とくいとしていた。ワンレッグ攻撃こうげきと呼よぶ場合ばあいもある。クイック攻撃こうげきと並ならんで主おもに女子じょしのミドルブロッカーの代表だいひょう的てきなスパイク戦術せんじゅつである。

一人ひとり時間じかん差さ

一人ひとり時間じかん差さとは、1972年ねんのミュンヘンオリンピック代表だいひょうチームのセンタープレーヤーであった森田もりた淳あつし悟さとるがあみだしたスパイク戦術せんじゅつであり、クイックを打うつと見みせかけてタイミングを僅わずかに遅おくらせてセミクイックのトスを打うつことによって相手あいてブロックを交かわすテクニックである。日本にっぽんのお家芸いえげいともいえる技術ぎじゅつであり、かつては日本にっぽんのほとんどのミドルブロッカーがこの戦術せんじゅつを得意とくいとしていたが、トスに併あわせてジャンプするリードブロックが主体しゅたいとなった近年きんねんのバレーではほとんど見みられなくなっている。

MB1

MB1（エムビーワン）は、クイック攻撃こうげきを担当たんとうするミドルブロッカーを1人ひとりに減へらし、その対たい角かくにアウトサイドヒッターを配置はいちする戦術せんじゅつで、全日本ぜんにほん女子じょし（眞鍋まなべ政義まさよし監督かんとく）が2013年ねん11月のグラチャンバレーで初はじめて採用さいようしたスタイルである。ちなみに前衛ぜんえいのセンターでブロックを飛とぶ選手せんしゅが一人ひとりになるわけではなく、クイック（速攻そっこう）を担当たんとうする選手せんしゅが二に名めいから一人ひとりに減へるフォーメーションである。監督かんとくの真鍋まなべが考案こうあんした新あたらしい戦術せんじゅつと見みることもできるが、実際じっさいのところはミドルブロッカーのクイック攻撃こうげきやブロード攻撃こうげきが思おもうように機能きのうしない状況じょうきょうで不本意ふほんいながら選択せんたくされたフォーメーションである。 ちなみに1980年代ねんだい後半こうはん、新日鉄しんにってつはエースの田中たなか幹みき保ほをミドルブロッカー小田おだ勝美かつみの対たい角かくに入いれる形かたちのフォーメーションを組くんだ。田中たなかは時折ときおり速攻そっこうに入はいる例れいがあったものの、基本きほん的てきにはアウトサイドヒッターであり、実質じっしつ的てきなセンタープレーヤーは小田おだ一人ひとりであった。ある意味いみでこの新日鉄しんにってつのフォーメーションが、MB1のはしりであったといえる。

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