(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ロンベルグ試験 - Wikipedia

ロンベルグ試験しけん(ロンベルグしけん、えい: Romberg's test)は、脊髄せきずいこうさく障害しょうがい有無うむ評価ひょうかするための神経しんけいがくてき試験しけん[1]位置いちさとし(さらに振動しんどうさとしふくめた固有こゆうさとし)の基本きほんてき検査けんさである。

ロンベルグ試験しけん被験者ひけんしゃからだれがられること(これをロンベルグ徴候ちょうこう陽性ようせいであるという、後述こうじゅつ)は、失調しっちょう症状しょうじょう感覚かんかくせいであること、すなわち位置いちさとし消失しょうしつによることを示唆しさする。


試験しけん要領ようりょう

編集へんしゅう

被験者ひけんしゃあしをそろえ、じて直立ちょくりつするようにう。実施じっししゃ被験者ひけんしゃちかくにち、被験者ひけんしゃたおれて怪我けがをしないように注意ちゅういする。被験者ひけんしゃうごきを周囲しゅうい垂直すいちょくもの部屋へやはしらやドア、まどなど)と比較ひかくして観察かんさつする。からだれがあれば、陽性ようせい記載きさいする(ときとして不規則ふきそくれたり、転倒てんとうしたりすることもあるので注意ちゅういする)。基本きほんてき特徴とくちょうは、被験者ひけんしゃ開眼かいがんしているときよりも不安定ふあんていになるということである。

試験しけん基本きほんてき要領ようりょうつぎとおり。

  1. 被験者ひけんしゃからだ側面そくめんえ、開眼かいがんしてあしをそろえてつ。
  2. 被験者ひけんしゃじ、そのまま実施じっししゃいち分間ふんかん観察かんさつする。

この試験しけんでは、閉眼によって被験者ひけんしゃたおれることがあるため、たおれたさいにはめられるように、実施じっししゃ被験者ひけんしゃのすぐちかくにっておくことがのぞましい。

ロンベルグ徴候ちょうこう陽性ようせいであるとは、つぎの2てんをどちらもたすことをいう。

  1. 被験者ひけんしゃ開眼かいがんしていればてる。
  2. 被験者ひけんしゃが閉眼すると、からだたおれそうになる。


現在げんざいじつ臨床りんしょうでは「陽性ようせい」「陰性いんせい」という言葉ことばもちいないで、

  1. 被験者ひけんしゃ開眼かいがんしていればてた, orたてなかった。
  2. 被験者ひけんしゃが閉眼すると、からだたおれそうになる, or安定あんていしている。

ときちんと項目こうもくにわけて明記めいきするのがのぞましい。

じっと直立ちょくりつした姿勢しせいたもっていられるのは、感覚かんかく神経しんけいみち感覚かんかく運動うんどう統合とうごう中枢ちゅうすう運動うんどう神経しんけいみちがいずれも正常せいじょうである場合ばあいかぎる。

このさい必要ひつよう感覚かんかく入力にゅうりょく

  1. 関節かんせつ位置いちさとし固有こゆうさとし)、これは脊髄せきずいさくつたわる
  2. 視覚しかく

である。

重要じゅうようなことだが、のう固有こゆうさとし視覚しかくのどちらかが正常せいじょうならば、平衡へいこうたもつために充分じゅうぶん入力にゅうりょくられる。一方いっぽう感覚かんかくけい運動うんどうけい統合とうごう小脳しょうのうおこなわれる。また運動うんどう神経しんけい皮質ひしつ脊髄せきずいきりからだ)である。

ロンベルグ試験しけんだいいち段階だんかい開眼かいがんしてった状態じょうたい)は、上記じょうきふたつの感覚かんかく神経しんけいのうちすくなくともひとつ、そして感覚かんかく運動うんどう統合とうごう中枢ちゅうすうおよび運動うんどう神経しんけい正常せいじょうであることをしめしている。

だい段階だんかいでは閉眼によって視覚しかくからの入力にゅうりょく消去しょうきょする。このとき固有こゆうさとし伝導でんどう正常せいじょうなら姿勢しせい維持いじできる。しかし、固有こゆうさとし障害しょうがいされていると、ふたつの感覚かんかく入力にゅうりょくがなくなることになるので、被験者ひけんしゃはすぐにたおれてしまうのである。

ロンベルグ徴候ちょうこう意義いぎ

編集へんしゅう

ロンベルグ試験しけん陽性ようせいとなるのは、つぎのような感覚かんかくせい運動うんどう失調しっちょう原因げんいん存在そんざいする場合ばあいである。

ロンベルグ試験しけん小脳しょうのう機能きのう

編集へんしゅう

小脳しょうのうせい運動うんどう失調しっちょう小脳しょうのう失調しっちょう)のある患者かんじゃは,開眼かいがんした状態じょうたいでも平衡へいこうたもつことができる場合ばあい不可能ふかのうである場合ばあいがある。開眼かいがんした状態じょうたいでも平衡へいこうたもつことが不可能ふかのうである場合ばあいは、単純たんじゅんにロンベルグ徴候ちょうこう陽性ようせい記載きさいするべきではない。詳細しょうさい記載きさいすべきである。

ロンベルグ試験しけんは、ドイツの神経しんけい内科ないかモーリッツ・ハインリッヒ・ロンベルグ(1795ねん - 1873ねん)にちなんでいる。かれは、パリー・ロンベルグ症候群しょうこうぐんにもかんせられている。

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ Khasnis A, Gokula R (2003). “Romberg's test”. Journal of postgraduate medicine 49 (2): 169-72. PMID 12867698.  Free Full Text.

参考さんこう文献ぶんけん

編集へんしゅう
  • 田崎たさきちょ『ベッドサイドの神経しんけいかた』改訂かいてい16はん南山みなみやまどう、2004ねん、pp62-63、ISBN 9784525247164