ヴァナゾル

ヴァナゾル
ヴァナゾル; Վանաձոր
	ヴァナゾルにあるロリ地方ちほうの行政府ぎょうせいふ
	ヴァナゾル
	北緯ほくい40度ど48分ふん46秒びょう東経とうけい44度ど29分ふん18秒びょう / 北緯ほくい40.81278度ど東経とうけい44.48833度ど
国くに	アルメニア
地方ちほう	ロリ地方ちほう
政府せいふ
• 市長しちょう	サムヴェル・ダルビニャン
面積めんせき
• 合計ごうけい	25 km2
標高ひょうこう	1,424.6 m
人口じんこう（2009年ねん）
• 合計ごうけい	104,800人にん
• 密度みつど	4,192人にん/km2
等ひとし時とき帯おび	UTC+4 (アルメニア時間じかん)
市外しがい局番きょくばん	322
ウェブサイト	vanadzor.am
	人口じんこうの情報じょうほう源げん

ヴァナゾル（アルメニア語ご: Վանաձոր、英えい: Vanadzor）は、アルメニアの北部ほくぶにある都市とし。人口じんこうは2001年ねんの時点じてんで10万まん7394人にんで、同国どうこく第だい三さんの規模きぼを誇ほこる。ロリ地方ちほうの中心ちゅうしん都市としでもある。夏なつは別荘べっそう地ちとしてにぎわう。

名称めいしょう

日本語にほんごではヴァナゾール、バナゾルなどとも表記ひょうきされるほか、以前いぜんはカラクリス（Karaklis）、カラキリス（Karakilis）、カラクス（Karakhs）、キロヴァカン（Kirovakan）、ガラクイリサ（Gharak’ilisa）、カラキリサ（Karakilisa）、メツ・カラキリサ（Mets Karakilisa）、コロヴァカン（Korovakan）、キロワカン（Kirowakan）などの呼称こしょうもあった。帝政ていせいロシア期きはカラキリサ、ソビエト時代じだいはキロヴァカンの呼よび名なが主流しゅりゅうだった。

歴史れきし

カラキリサの黒くろい教会きょうかい

町まちの歴史れきしは未いまだ大だい部分ぶぶんが謎なぞに包つつまれている。墓はかなど青銅器せいどうき時代じだいの遺物いぶつが発掘はっくつされ地元じもとの博物館はくぶつかんに収蔵しゅうぞうされていることから、そこまでさかのぼるのではないかとの説せつもある。しかし、アルタクシアス王朝おうちょうによるアルメニア支配しはいが終おわる紀元きげん1世紀せいきごろにはアルメニア王国おうこくで13番目ばんめの地方ちほうのグガルク地方ちほうに組くみ込こまれていた。13世紀せいき初頭しょとうには丘おかの近ちかくに黒くろい石造いしづくりの教会きょうかいが建たてられたことからカラキリサの名なを授さずかった。1801年ねんにはグルジアと同おなじくロシア帝国ていこく領りょうになり、ペルシャと対峙たいじするロシア防衛ぼうえい軍ぐんの前線ぜんせんになった。ロシア・ペルシャ戦争せんそう中なかの1826年ねんにはハッサン・カーンによって破壊はかいされつくされた。1849年ねんにはロシア帝国ていこくによってエレバン県けんに組くみ込こまれた。1899年ねんにトビリシへの鉄道てつどうが開通かいつうすると、交通こうつうの要衝ようしょうとしてその恩恵おんけいに授さずかった。第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん中なかの1918年ねん5月がつには近郊きんこうでカラキリサの戦たたかい（ロシア語ご版ばん）が起おこり、アルメニア側がわのトヴマス・ナザルベキアン（英語えいご版ばん）将軍しょうぐんが劣勢れっせいに立たたされていたところへガレギン・ニデ率ひきいる一いち隊たいがかけつけトルコ陸軍りくぐんの侵略しんりゃくを阻止そしした。アルメニア第だい一いち共和きょうわ国こく建国けんこくのきっかけとなったサルダラパートの戦たたかい（英語えいご版ばん）の数日すうじつ後ごであった^[2]。ヴァナゾル市街しがいから西にしへ2キロメートルほどの地点ちてんにある小ちいさな聖堂せいどうには、戦たたかいの記念きねん碑ひを建たてる計画けいかくがあがった。

アルメニアの作家さっか、ハチャトゥル・アボヴィアン（英語えいご版ばん）によると1920年代ねんだい、カラキリサには600人にん以上いじょうが住すんでいて、その大だい部分ぶぶんが首都しゅとエレバンからの移民いみんであった。これはアルメニア県けんの制定せいてい後ご、ヴァナゾルにはカルス、アルダハン、エルズルム、ドウベヤジットなどから何なん百ひゃく人にんもの移民いみんが殺到さっとうしていたためである。

地理ちり

郊外こうがいの風景ふうけい

ロリ地方ちほうの中心ちゅうしん都市としで、首都しゅとエレバンから北きたに128km、ギュムリから東ひがしに64kmのところに位置いちする。標高ひょうこうは1425mで、パンバク川がわにタンツト川がわとヴァナゾル川がわが合流ごうりゅうする付近ふきんの谷間たにまに築きずかれている。国内こくないで三さん番目ばんめに大おおきな都市としで、市街地しがいちは標高ひょうこう2500m級きゅうの山々やまやまが連つらなるバズム山地さんち、パンバク山地さんちに取とり囲かこまれている。街まちの南側みなみがわと東側ひがしがわは密林みつりんに覆おおわれているが、北側きたがわと西側にしがわは乾かわいた土地とちが広ひろがる。

気候きこうは夏なつ涼すずしく冬ふゆは暖あたたかい。冬ふゆの平均へいきん気温きおんは-4.2℃だが、夏なつには20℃を超こすこともある。

1988年ねんのアルメニア地震じしんでは付近ふきんの都市とし同様どうよう大おおきな被害ひがいをこうむり、ヴァナゾルだけでも564人にんが亡なくなった。しかし、ビル、大通おおどおり、中央ちゅうおう公園こうえんなどは被害ひがいを免まぬかれた。

産業さんぎょう

化学かがく工場こうじょう

基幹きかん産業さんぎょうは化学かがくで、1929年ねんに最初さいしょの化学かがく工場こうじょうが置おかれて以来いらいこの地ちに根ねを下くだしている。主おもな化学かがく工場こうじょうとしてプロメティ＝キンプロム、ヴァナゾル化学かがく工場こうじょう、ヴァナゾル・キンプロム、ヴァナゾル化学かがく繊維せんい工場こうじょうなどが挙あげられる。また、火力かりょく発電はつでん所しょも置おかれている。

1999年ねんにロシアの大手おおて化学かがく企業きぎょうがアルメニアの化学かがく市場いちばを通つうじてヴァナゾルに工場こうじょうを建設けんせつした。その後ご、国内こくない経済けいざい崩壊ほうかいによる1990年代ねんだいの「失うしなわれた10年ねん」を乗のり越こえ、2001年ねんに市内しないの化学かがく工場こうじょうと火力かりょく発電はつでん所しょは年間ねんかん生産せいさん記録きろくを更新こうしんした。

教育きょういく

ヴァナゾル国立こくりつ教育きょういく研究所けんきゅうじょとムヒタル・ゴシュアルメニア＝ロシア国際大学こくさいだいがく、さらにエレバン国立こくりつ大学だいがくの分校ぶんこうの三みっつの主要しゅような高等こうとう教育きょういく機関きかんが置おかれている。さらに2009年ねん時点じてんで中間ちゅうかん技術ぎじゅつ大学だいがくが6校こう、公立こうりつ学校がっこうが32校こう、保育ほいく所しょが20校こうある。また文化ぶんかの中心ちゅうしん地ちでもあり、市立しりつ美術館びじゅつかんやホヴァネス・アベリャンにちなみ名付なづけられた劇場げきじょうなどがある。

宗教しゅうきょう

ロリ地方ちほうとタヴシュ地方ちほうを管轄かんかつするアルメニア使徒しと教会きょうかいのグガルク教区きょうくはこの地ちを拠点きょてんにしている。2002年ねん5月がつ、この地ちで新あたらしい大だい聖堂せいどうの着工ちゃっこう式しきが行おこなわれ、2003年ねんの遅おそくには使徒しと教会きょうかいの首座しゅざ（カトリコス）のガレギン2世せいが見舞みまいに訪おとずれた。教会きょうかいは2005年ねんに完成かんせいし、ナレクの聖せいグレゴリーにちなみ名付なづけられた。