ヴィンテージ・ベース・ボール (英 えい :Vintage Base Ball)は、主 おも にアメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく において、全国 ぜんこく 的 てき に同一 どういつ の野球 やきゅう ルールで試合 しあい が行 おこな われるようになった19世紀 せいき 後半 こうはん (1860年代 ねんだい 、または1880年代 ねんだい )のルール・服装 ふくそう ・用具 ようぐ などを使 つか って行 おこな われる、復古 ふっこ 的 てき ・懐古 かいこ 的 てき な野球 やきゅう 。試合 しあい は主 おも に1850年代 ねんだい 、1860年代 ねんだい 、1880年代 ねんだい のルールやユニフォームが適用 てきよう される。単 たん に得点 とくてん を競 きそ うだけでなく、南北戦争 なんぼくせんそう を再現 さいげん してみせるように、当時 とうじ の野球 やきゅう を再現 さいげん する。選手 せんしゅ は当時 とうじ を思 おも い起 お こさせるユニフォームを着用 ちゃくよう し、多 おお くのチームが19世紀 せいき 後期 こうき のユニフォームのレプリカを着用 ちゃくよう している。様式 ようしき や審判 しんぱん の判定 はんてい は19世紀 せいき のものを使用 しよう している。
ヴィンテージ・ベース・ボール選手 せんしゅ
1880年代 ねんだい より以前 いぜん から使 つか われていたように、「ベースボール(baseball)」ではなく通常 つうじょう は「ベース・ボール(base ball)」と記載 きさい される。
アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく でプロ野球 やきゅう 組織 そしき が設立 せつりつ ・活動 かつどう をはじめて100年 ねん が経 た った1970年代 ねんだい 後半 こうはん から、野球 やきゅう の始 はじ まった当時 とうじ のルールと服装 ふくそう を再現 さいげん した野球 やきゅう ゲームを行 おこな う動 うご きが始 はじ まり、1980年代 ねんだい に入 はい りこの懐古 かいこ 的 てき な野球 やきゅう を楽 たの しむクラブの活動 かつどう が徐々 じょじょ に活発 かっぱつ になっていった。ヴィンテージ・ベースボールとしての最初 さいしょ の試合 しあい は、1980年 ねん にニューヨークのオールド・ベスページという場所 ばしょ で、野球 やきゅう 史 し 愛好 あいこう 家 か らの手 て によって1860年 ねん 当時 とうじ のルールで試合 しあい が行 おこな われたのが最初 さいしょ であるとされる。
その後 ご 1995年 ねん に「ヴィンテージ・ベース・ボール協会 きょうかい 」(Vintage Base Ball Association)が設立 せつりつ され、加盟 かめい クラブ間 あいだ での交流 こうりゅう 試合 しあい を手助 てだす けをするようになった。この組織 そしき では1860年代 ねんだい のルールをもとにゲームが行 おこな われている。
また元 もと ニューヨーク・ヤンキース 等 とう で投手 とうしゅ として活躍 かつやく したジム・バウトン (Jim Bouton)を理事 りじ 長 ちょう とする「ヴィンテージ・ベース・ボール連盟 れんめい 」(Vintage Base Ball Federation)は1880年代 ねんだい のルールをもとに、住民 じゅうみん 参加 さんか の町 まち おこしも兼 か ねて各地 かくち でゲームを行 おこな っている。2004年 ねん 7月 がつ 3日 にち にマサチューセッツ州 しゅう のピッツフィールド で開 ひら かれたヴィンテージベースボールのイベントでは、6000人 にん もの観客 かんきゃく が詰 つ め掛 か けた。
ヴィンテージ・ベース・ボール連盟 れんめい 等 とう の資料 しりょう によると、クラブは現在 げんざい アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく 全土 ぜんど とカナダ (オンタリオ州 しゅう )などに数 すう 百 ひゃく あると言 い われ、中 なか にはかつて19世紀 せいき にメジャーリーグベースボール に加盟 かめい していたチームと同 おな じフランチャイズで、同名 どうめい を名乗 なの って活動 かつどう しているクラブも見 み られる(例 れい :ニューヨーク・ミューチュアルズ、プロビデンス・グレイズ、ハートフォード・ダークブルース等 とう )。
なお『ヴィンテージベースボール』の綴 つづ りは、19世紀 せいき 当時 とうじ のそれにならって、"Base"と"Ball"を別々 べつべつ の単語 たんご で書 か くのが正 ただ しい記述 きじゅつ だそうである。
また、日本 にっぽん においても、松山 まつやま 市 し など各地 かくち で「古式 こしき 野球 やきゅう 」が行 おこな われている。
ルールは当時 とうじ と全 まった く同 おな じという訳 わけ ではなく、現代 げんだい の試合 しあい とヴィンテージ・ベース・ボールの間 あいだ にはいくつかの違 ちが いがある。1880年代 ねんだい と同様 どうよう 、バッターまたは「ストライカー」(打者 だしゃ )を考慮 こうりょ して下手 へた 投 な げで投 な げられる。フェンスのない野原 のはら で行 おこ なわれることが多 おお く、樹木 じゅもく や建造 けんぞう 物 ぶつ など障害 しょうがい 物 ぶつ が試合 しあい に影響 えいきょう することがある。主 おも なルールとしては、ワン・バウンドが許 ゆる されていることである。グローブがなく、ボールをキャッチするのが困難 こんなん であるため下手 へた 投 な げをするが、下手 へた 投 な げおよびその他 た のルールは英国 えいこく 式 しき 野球 やきゅう と似 に ている。
当時 とうじ の詳細 しょうさい な資料 しりょう が少 すく ないため、研究 けんきゅう 者 しゃ 、ヴィンテージ・「ボーリスト」(選手 せんしゅ )、現代 げんだい の野球 やきゅう 選手 せんしゅ がどのように試合 しあい が行 おこ なわれていたのかを検証 けんしょう した。しかしどれくらいの頻度 ひんど で盗塁 とうるい していたか、滑 すべ り込 こ みはいつ広 ひろ まったか、打者 だしゃ がどのようにバットを握 にぎ り振 ふ ったか、審判 しんぱん の権限 けんげん はどこまでか、選手 せんしゅ がフィールド内 ない でどのようにふるまっていたのか、現在 げんざい も議論 ぎろん は続 つづ いている。
唯一 ゆいいつ 確 たし かなのはスポーツマンシップ に則 のっと って試合 しあい が行 おこ なわれたことである。たとえ相手 あいて チームであっても良 よ いプレーをした場合 ばあい は賞賛 しょうさん し、ベースを踏 ふ む際 さい は審判 しんぱん に合図 あいず をし、いかなる対戦 たいせん 結果 けっか でも相手 あいて チーム(または審判 しんぱん 、「クランク」(ファン)など)への敬意 けいい を払 はら うなど、現代 げんだい のヴィンテージ・ボーリスト(選手 せんしゅ )もこれを守 まも っている。
礼儀 れいぎ やスポーツマンシップを遵守 じゅんしゅ することは、「紳士 しんし のスポーツ」と考 かんが えられていた初期 しょき の野球 やきゅう を継承 けいしょう することである。1870年代 ねんだい 、プロ野球 やきゅう に移行 いこう していき、金銭 きんせん (これに関連 かんれん して「勝利 しょうり 」)がモチベーションとなっていき、19世紀 せいき の試合 しあい は勝 か つためのラフプレーや騙 だま しを行 おこな い、1人 ひとり しかいない審判 しんぱん にごまかすようになってしまった。
ヴィンテージ・ベース・ボール協会 きょうかい はヴィンテージ・ボール・クラブの国際 こくさい 組織 そしき であり、会議 かいぎ 、出版 しゅっぱん 、告知 こくち 、メーリングリスト、教育 きょういく 、またアメリカやカナダ のリーグ、クラブ、トーナメント間 あいだ の連携 れんけい 、関連 かんれん 活動 かつどう を行 おこ なっている。
エース、トーリー(Ace or Tally) – 走 はし ること、ホームベースを踏 ふ むこと
アップル、ピル、ホースハイド、オニオン(Apple, pill, horsehide, onion) – ボール
アーティスト(Artist) – 優秀 ゆうしゅう な選手 せんしゅ
ボーラー、ボーリスト(Baller, Ballist) – 選手 せんしゅ
ベーステンダー(Basetender) – 内野 ないや 手 しゅ
ベンチ(Bench) – 監督 かんとく 、コーチ
ブラインド(Blind) – 無得点 むとくてん
ブルーパー、バンジョー・ヒット(Blooper, banjo hit) – ゆるいフライ、テキサスヒット(Texas leaguer)
ブードゥラー(Boodler) – 品 ひん のない振 ふ る舞 ま い
バウンド(Bound) – ゴロを打 う つ
ボーラー、ハーラー、スロウワー、フィーダー(Bowler, hurler, thrower, feeder) – ピッチャー
バグ・ブルーザー(Bug bruiser) – 鋭 するど いゴロ
クラブ、ナイン(Club, Nine) – チーム
クランクまたはスロング(Cranks (or Throng)) – ファン
デイジー・カッター(Daisy Cutter) – 鋭 するど いゴロ
デッドまたはハンド・デッド、ハンド・ダウン(Dead or Hand Dead, Hand down) – アウトまたはバッター・アウト
デュウ・ドロップ(Dew Drop) – スロー・ピッチ
ディッシュ(Dish) – ホーム・プレート
ファウル・ティック(Foul tic) – ファウル・ボール
フォー・ベーサー(Four Baser) – ホームラン
ガーデン(Garden) – 外野 がいや
ジンジャー(Ginger) – 熱烈 ねつれつ なプレー
グラウンド(Ground) – フィールド
ハザー(Huzzah!) - フレー(応援 おうえん の掛 か け声 ごえ )
レッグ・イット(Leg it) – 早 はや い走 はし り
マッチ(Match) – 試合 しあい
ミッドフィールダー(Midfielder) – センター・フィールダー
マックル(Muckle) – パワー・ヒッター
マフまたはダフ(Muff or Duff) – エラー
マフィン(Muffin) – 熱烈 ねつれつ だがスキルの浅 あさ い選手 せんしゅ
ピッチャーズ・ポイント(Pitcher's Point) –ピッチャーのマウンドまたはプレート
プレイヤー・デッド(Player Dead) – アウト
プラック(Pluck) – ファイン・ストライクまたはファイン・プレー
プラギング(またはソーキング)・ザ・ランナー(Plugging (or Soaking) the Runner) – 走者 そうしゃ にボールを投 な げてアウトにする(1845年 ねん 以降 いこう 禁止 きんし )
ロヴァー(Rover) – ショート
スカウツ(Scouts) – 外野 がいや 手 しゅ
ショウ・ア・リトル・ジンジャー(Show a little ginger) – 熱 ねつ 心 こころ またはスマートなプレー
スカイ・ボール、スカイヤー(Sky Ball, Skyer) – フライ
スカイ・スクレイパー(Sky scraper) – 高 たか く飛 と んだフライ
ストリンガー(Stinger) – 強 つよ くヒットしたボール
ステア・ユア・スタンプス(Stir your stumps) – 早 はや く走 はし る
ストライカー(Striker) – ヒッター
ストライカー・トゥ・ザ・ライン(Striker to the line) – バッター・アップ
テイリーキーパー(Talleykeeper) – スコア記録 きろく 係 がかり
スリー・ハンズ・デッド(Three Hands Dead) – 3アウト、攻撃 こうげき 終了 しゅうりょう
ホワイトウォッシュ(Whitewash) – 無得点 むとくてん 試合 しあい
ウィロウ(Willow) – バット
2011年 ねん 、ヘンリーフォード博物館 はくぶつかん グリーンフィールド・ヴィレッジで行 おこ なわれたヴィンテージ・ベース・ボールの試合 しあい 風景 ふうけい .