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中将棋 - Wikipedia

ちゅう将棋しょうぎ

日本にっぽん将棋しょうぎのひとつ

ちゅう将棋しょうぎ(ちゅうしょうぎ)は、日本にっぽん将棋しょうぎるいひとつであり、二人ふたりおこなボードゲーム盤上ばんじょう遊戯ゆうぎ)の一種いっしゅである。

ちゅう将棋しょうぎばんこま

ちゅう将棋しょうぎは14世紀せいきごろ成立せいりつしたとみられ[1]おおくのこまだい将棋しょうぎからいでいる。中世ちゅうせい記録きろくのこされているのは公家くげ上流じょうりゅう僧侶そうりょ日記にっきるいのみであるためかく階層かいそうでの将棋しょうぎあそばれかた全貌ぜんぼうることができないが、15世紀せいき記述きじゅつからは公家くげ社会しゃかいしょう将棋しょうぎ(ルールしょう)とともにちゅう将棋しょうぎ流行りゅうこうしていたことがれる[2]。また、16世紀せいき将棋しょうぎ記録きろくにはちゅう将棋しょうぎについての記述きじゅつ割合わりあいおおく、ちゅう将棋しょうぎたんに「将棋しょうぎ」としょう将棋しょうぎほうを「しょう将棋しょうぎ」と区別くべつしているケースもられる[3]。しかし、戦国せんごく時代じだい以降いこう徐々じょじょちゅう将棋しょうぎ愛好あいこうしゃ漸減ぜんげんしていき、江戸えど時代じだいにはわりにしょう将棋しょうぎ庶民しょみんのあいだで定着ていちゃくされ主流しゅりゅうになっていったとられる[4]

明治維新めいじいしんこうはほそぼそと京阪けいはん地方ちほうつたえていたが、だい世界せかい大戦たいせんによりその伝承でんしょうはたたれようとした。このような危機きき棋士きし岡崎おかざき史明ふみあき大山おおやま康晴やすはる後世こうせいつたえ、今日きょうでもおもにネットじょうであるがつたわっている。大山おおやま康晴やすはるおさなころからちゅう将棋しょうぎしていたことが、みずからのねばりのある棋風きふうつながったとかたっている[5]

基本きほんルール

編集へんしゅう
  • 縦横じゅうおう12マスずつに区切くぎられた将棋しょうぎばんうえおこなう。
  • 自分じぶんから手前てまえよんだん自陣じじん反対はんたい相手あいてからよんだん敵陣てきじんという。
  • 競技きょうぎしゃ双方そうほう交互こうごに、盤上ばんじょうにある自分じぶんこまいちかいずつうごかす(ほん将棋しょうぎとはことなりごまという概念がいねんはない)。
  • こまは、玉将ぎょくしょうたま)または王将おうしょうおう)・金将きんしょうかね)・銀将ぎんしょうぎん)・香車きょうしゃこう)・飛車ひしゃ)・角行かっこうかく)・歩兵ほへい)・横行おうこうよこ)・たてぎょうたて)・龍馬りょうまうま)・龍王りゅうおうりゅう)・獅子しし(獅)・奔王(奔)・はんくるまたん)・めくらとらとら)・麒麟きりん(麒)・鳳凰ほうおうおおとり)・もうひょうひょう)・どうしょうどう)・よいぞうぞう)・仲人なこうどなか)の21種類しゅるいあり、それぞれうごきがまっている。
  • 玉将ぎょくしょうまたは王将おうしょう、奔王、獅子しし以外いがい以下いか方法ほうほうにより「なりこま」になれる。
    • 敵陣てきじん外側そとがわにあるこま敵陣てきじんない移動いどうさせたとき。
    • 敵陣てきじんないにある自軍じぐんこまてきこまったとき。
    • 歩兵ほへい香車きょうしゃなり敵陣てきじん進入しんにゅうした場合ばあいてきこまをとるかあるいは一番いちばんおくだんにたどりいたとき。
  • ほん将棋しょうぎちがい、なり敵陣てきじんないはいったこまは、てきこまるか、一旦いったん敵陣てきじんからてまたはいなおすか、歩兵ほへい香車きょうしゃ場合ばあいいちばんおくだんにたどりいた場合ばあいにしかることはできない。
    • 以上いじょうりルールは日本にっぽんちゅう将棋しょうぎ連盟れんめいのものである。現在げんざいネットじょう出回でまわっているプログラムでは敵陣てきじん段数だんすうが4だんである以外いがいほん将棋しょうぎ同様どうようりルールとなっている場合ばあいがある。
  • るのは移動いどう完全かんぜん終了しゅうりょうしたのちである。
  • 自分じぶんこまうごさきき)に相手あいてこまがあるとき、そのこまることができる。
  • ほん将棋しょうぎとはちがい、こま捕獲ほかくみずからのごまにすることはできない。捕獲ほかくされたこまは、盤上ばんじょうからのぞかれるのみである。

こまうご

編集へんしゅう
  • ●はその位置いちうごける。
  • \│/─はその線上せんじょうこまたらないかぎりどこまでもうごける。
  • □、■は下記かき参照さんしょう
  • ★はその場所ばしょまでえて移動いどうできる。
もとこま うご なりこま うご
玉将ぎょくしょう(ぎょくしょう)
王将おうしょう(おうしょう)
たま
ぜん方向ほうこうに1マスうごける。 - - -
金将きんしょう(きんしょう)
きむ
縦横じゅうおうななまえに1マスうごける。 飛車ひしゃ(ひしゃ)(とくきむ飛車ひしゃ(きんびしゃ)ともいう)
飛車ひしゃ参照さんしょう
銀将ぎんしょう(ぎんしょう)
ぎん
まえななめに1マスうごける。 たてゆき(しゅぎょう)
たて
たてゆき参照さんしょう
どうはた(どうしょう)
どう
たてななまえに1マスうごける。 横行おうこう(おうぎょう)
よこ
横行おうこう参照さんしょう
もうひょう(もうひょう)
ひょう
たてななめに1マスうごける。 角行かっこう(かくぎょう)(とく小角おがく(ちょろかく)ともいう)
かく
角行かっこう参照さんしょう
香車きょうしゃ(きょうしゃ)
こう
前方ぜんぽうなにマスでもうごける。えてはけない。 白駒しろこま(はくく、はっく)
こま
たてななまえなにマスでもうごける。えてはけない。
はんくるま(へんしゃ)
はん
たてなにマスでもうごける。えてはけない。 くじらさんしょううお(けいげい)
くじら
たてななうしろになにマスでもうごける。えてはけない。
めくらとら(もうこ)
とら
まえ以外いがい方向ほうこうに1マスうごける。 鹿しか(ひろく)
鹿しか
たてにどこまでもうごけ、それ以外いがい方向ほうこうに1マスうごける。
麒麟きりん(きりん)
ななめに1マスうごけ、縦横じゅうおうに2目先めさきえて移動いどうできる。 獅子しし(しし)
獅子しし参照さんしょう
鳳凰ほうおう(ほうおう)
おおとり
縦横じゅうおうに1マスうごけ、ななめに2マスさきえて移動いどうできる。 奔王(ほんおう、ほんのう)
奔王を参照さんしょう
歩兵ほへい(ふひょう)
まえに1マスうごける。 きん(ときん)
金将きんしょう参照さんしょう
仲人なこうど(ちゅうにん)
なか
たてに1マスうごける。 よいぞう(すいぞう)
ぞう
よいぞう参照さんしょう
角行かっこう(かくぎょう)
かく
ななめになにマスでもうごける。えてはけない。 龍馬りょうま(りゅうま、りゅうめ)
うま
龍馬りょうま参照さんしょう
飛車ひしゃ(ひしゃ)
縦横じゅうおうなにマスでもうごける。えてはけない。 龍王りゅうおう(りゅうおう)
りゅう
龍王りゅうおう参照さんしょう
よいぞう(すいぞう)
ぞう
後方こうほう以外いがい方向ほうこうに1マスうごける。 太子たいし(たいし)
ふとし
玉将ぎょくしょうおなじ。※1
横行おうこう(おうぎょう)
よこ
よこなにマスでもうごけ、たてには1マスうごける。えてはけない。 奔猪(ほんちょ)
いのしし
よこななめになにマスでもうごける。えてはけない。
たてゆき(しゅぎょう)
たて
たてなにマスでもうごけ、よこには1マスうごける。えてはけない。 うし(ひぎゅう)
うし
たてななめになにマスでもうごける。えてはけない。
龍馬りょうま(りゅうま、りゅうめ)
うま
ななめになにマスでもうごけ、それ以外いがい方向ほうこうには1マスうごける。えてはけない。 すみたか(かくおう)
たか
よこ後方こうほうななめになにマスでもうごける。このときえてはけない。■に1マスすすんだのちもといたマスにもどおくの□に選択せんたくできる。また、■をえて□にくこともできる。※2
龍王りゅうおう(りゅうおう)
りゅう
縦横じゅうおうなにマスでもうごけ、それ以外いがい方向ほうこうには1マスうごける。えてはけない。 わし(ひじゅう)
わし
縦横じゅうおうななうしなんマスまでもうごける。このときえてはけない。どちらかの■に1マスすすんだのちもといたマスにもどおくの□に選択せんたくできる。また、■をえて□にくこともできる。※2
奔王(ほんおう、ほんのう)
縦横じゅうおうななめになにマスでもうごける。えてはけない。 - - -
獅子しし(しし)
玉将ぎょくしょううごきを1に2かいおこなう。■に1マスすすんだのちもといたマスにもど隣接りんせつする□または■に選択せんたくできる。また、■をえて□にくこともできる。※2,3 - - -

太子たいしあつか

編集へんしゅう

(※1よいぞう太子たいしると、玉将ぎょくしょう王将おうしょう)とおなはたらきをつ。 たとえ玉将ぎょくしょう王将おうしょう)がられても、太子たいし存在そんざいする場合ばあい太子たいしられる(められる)まで対局たいきょく続行ぞっこうされる。

こまうごかしかた

編集へんしゅう

(※2

  • ■または□へく。
    • ■にてきこまこまがあったとしても、隣接りんせつする□にける。つまり□のマスに玉将ぎょくしょう王将おうしょう)がいた場合ばあい王手おうてになる。
  • ■にてきこまがある場合ばあい、それをりながら隣接りんせつする□(獅子しし隣接りんせつする■も)にける。もしくは、そのままもといたマスにもどることができる(これを居食いぐという)。1に2かいうごくことになるが、まとめて1かぞえる。
  • ■にてきこまがない場合ばあいでも、そこへなにもなくもどってくることができる。これをじっとという。結果けっかてきばんをパスをしたことになる。

獅子しし特別とくべつルール

編集へんしゅう

(※3獅子ししちゅう将棋しょうぎにおいて非常ひじょう強力きょうりょく重要じゅうようこまなので、安易あんい相討あいうちしてきょうぐことをふせぐため、いにかんして特殊とくしゅなルールがもうけられている。これらのルールは麒麟きりんってできた獅子ししにも同様どうよう適用てきようされる。

さき獅子じし
編集へんしゅう

相手あいて獅子ししられたとき、その直後ちょくごでは(たとえ相手あいて獅子ししいている自分じぶんこまがあっても)相手あいて獅子ししることが出来できない。これをさき獅子じし(せんじし)という。一手いっておいてからることはよい。ただし獅子しし獅子ししった場合ばあい例外れいがいとしてさき獅子じしにはならない(後述こうじゅつ)。

  • れい先手せんてこまくろ後手ごてこまあかあらわす)
かく

先手せんて角行かっこう後手ごて獅子ししると、後手ごて直後ちょくご先手せんて獅子しし飛車ひしゃることが出来できないので、先手せんて獅子ししげることができる。もし先手せんて獅子ししげずにせば、後手ごてはそのつぎ獅子ししってもよい。

獅子しし同士どうし
編集へんしゅう
  1. 隣接りんせつする獅子しし自由じゆうれる)自分じぶん獅子ししからて、隣接りんせつした周囲しゅういはちマス(うごきの説明せつめいで■のところ)にいる相手あいて獅子しし無条件むじょうけんることが出来できる。以下いかのルールは「はなれた」しょうごきの説明せつめいで□のところ)にいる相手あいて獅子しし自分じぶん獅子ししときのものである。
  2. あしのある獅子しし獅子ししれない)あるこま味方みかたほかこまつなぎこまという)がいているとき、いいかえればそのこま相手あいてったときにそのったこまをすぐにかえせるような状態じょうたいのことを、こまあしいているとう。あしいている相手あいて獅子しし自分じぶん獅子ししることは出来できない。獅子しし以外いがいこまあしのある獅子ししることは(さき獅子じし場合ばあいのぞいて)自由じゆうである。また、つなぎこま獅子ししかえ場合ばあいつぎ玉将ぎょくしょう太子たいし)がられてしまい、獅子ししかえすことが事実じじつじょうできない場合ばあいも、味方みかたこまいている獅子ししにはあしがあるとみなす。
  3. 獅子ししかげのあし獅子しし直接ちょくせつあしがない場合ばあいでも、相手あいて獅子ししをまたげば自分じぶん獅子ししあしがあるとき正確せいかくえば自分じぶん獅子しし相手あいて獅子ししたてよこななめにぐにならんでいて、相手あいて獅子ししがわ延長線えんちょうせんじょうにそのせん沿ってはしれる自分じぶんこまがあれば、同様どうようあしがあるとみなす。これを獅子ししかげのあしまたはかげあしうらあしがあるとう。
  4. い)ただし、自分じぶん獅子しし相手あいて獅子ししとのあいだ歩兵ほへい仲人なこうど以外いがいこまがあれば、獅子ししあしがあってもそのこま同時どうじにならることが出来できる。これを(つけぐい)またはくえ(くいそえ)とう。このとき相手あいてはすぐにつなぎこま獅子ししかえすことができる(さき獅子じし適用てきようされない)。これを獅子ししという。
  • 隣接りんせつする獅子ししれい
きむ

先手せんて獅子ししあし関係かんけいなく後手ごて獅子ししれる。

  • あしがある獅子ししれい
かく こう
ぎん

先手せんて獅子ししには銀将ぎんしょう後手ごて獅子ししには香車きょうしゃいているので、おたがいに獅子しし獅子ししることは出来できない。先手せんて角行かっこう後手ごて獅子ししることはよい。

  • 獅子ししかげのあしれい
かく

後手ごて獅子ししには角行かっこうによって獅子ししかげのあしいているので、先手せんて後手ごて獅子ししることが出来できない。ぎゃく先手せんて獅子しし角行かっこうてられているので、げなければられてしまう。

  • いのれい
きむ なか
ぎん

後手ごてふたつの獅子ししにはともにあしがあるが、先手せんて後手ごて右側みぎがわ獅子しし銀将ぎんしょうりながらいできる。このとき後手ごて直後ちょくご飛車ひしゃ先手せんて獅子ししつことができる。銀将ぎんしょうえて右側みぎがわ獅子ししだけをることは出来できない。また、仲人なこうどいに使つかえないので左側ひだりがわ後手ごて獅子ししることが出来できない。なお、後手ごて仲人なこうど金将きんしょう同時どうじることはいではないので自由じゆうにできる。

かくこま移動いどう能力のうりょくおよりの特徴とくちょう

編集へんしゅう
  • 歩兵ほへい香車きょうしゃるまではまえにしかすすめず、かりなりのまま敵陣てきじん1だんすすんだ場合ばあいしょのないこまとなるが、ほん将棋しょうぎことなり両者りょうしゃともルールじょうみとめられている。
    • ただし両者りょうしゃともりによってもとこま完全かんぜん上位じょうい互換ごかんになるこまであり、とく香車きょうしゃなりとする意味いみ皆無かいむであるため、実戦じっせんてきには敵陣てきじん突入とつにゅうしてそくっているはずである。
  • 香車きょうしゃはんくるまらないかぎはし以外いがいれつうごけず、仲人なこうどらないかぎ初期しょき配置はいち以外いがいれつうごけない。
  • 生駒いこま角行かっこう麒麟きりんらないかぎなんかけても筋違すじちがいの場所ばしょ到達とうたつできない。2まい角行かっこうはそれぞれ別々べつべつすじにあり、麒麟きりん初期しょき配置はいち右側みぎがわにある角行かっこうおなすじとなる。
  • 獅子ししわしすみたか移動いどうできる。詳細しょうさいは※2参照さんしょう
  • りによる性能せいのう変化へんかかんする特徴とくちょうつぎとおりである:
    • りによってきがもとこま完全かんぜん上位じょうい互換ごかんになるもの:よいぞう(→太子たいし)、香車きょうしゃ(→白駒しろこま)、麒麟きりん(→獅子しし)、めくらとら(→鹿しか)、角行かっこう(→龍馬りょうま)、はんくるま(→くじらさんしょううお)、龍王りゅうおう(→わし)、龍馬りょうま(→すみたか)、飛車ひしゃ(→龍王りゅうおう)、歩兵ほへい(→金将きんしょう(ときん))
      • このうち歩兵ほへい麒麟きりんについては、前者ぜんしゃ獅子ししいに使つかえないルール、後者こうしゃさき獅子じしのルールとの関連かんれんで、ごくまれなり戦略せんりゃくじょう有効ゆうこうになるケースもある。
    • りによってきがもとこま完全かんぜん上位じょうい互換ごかんにならず、きの変化へんかにおいてデメリットをともなうもの:金将きんしょう(→飛車ひしゃ)、銀将ぎんしょう(→たてゆき)、どうはた(→横行おうこう)、もうひょう(→角行かっこう)、鳳凰ほうおう(→奔王)、たてゆき(→うし)、横行おうこう(→奔猪)、仲人なこうど(→よいぞう
      • これをうしなきのかず分類ぶんるいするとつぎとおりとなる:
        • 1マスのきをうしなうもの:仲人なこうど(→よいぞう
        • 2マスのきをうしなうもの:金将きんしょう(→飛車ひしゃ)、どうはた(→横行おうこう)、もうひょう(→角行かっこう)、たてゆき(→うし)、横行おうこう(→奔猪)
        • 4マスのきをうしなうもの:銀将ぎんしょう(→たてゆき)、鳳凰ほうおう(→奔王、なな四方しほう2マスへはしで移動いどうできなくなる)
      • これらのこまでは、るからないかについて慎重しんちょう検討けんとうようすることもある。
      • ほん将棋しょうぎ同様どうようりルールの場合ばあいは、なりすすんだしょうこま敵陣てきじんからいて場合ばあいほん将棋しょうぎの4だんでのぎんりと同様どうようれい)、金将きんしょう銀将ぎんしょうどうしょうもうひょう仲人なこうどについて5だんでのりがありうる(ルールじょうよいぞうめくらとら同様どうようだが、もとこま完全かんぜん上位じょうい互換ごかんこまるため、実戦じっせんてきには敵陣てきじん突入とつにゅうしてそくっているはずであり、実戦じっせんではまずこりえない)。またそのりルールでは鳳凰ほうおうについては5だんのみならず6だんでのりがありうる(ルールじょうりによってもとこま完全かんぜん上位じょうい互換ごかんになるこまふくめれば、麒麟きりん同様どうよう)。
      • このうちもうひょうについては、角行かっこう(ちょろかく)にるとなんかけても筋違すじちがいの場所ばしょ到達とうたつできなくなってしまうという独特どくとくのデメリットがある。
    • ちゅう将棋しょうぎでは、きの変化へんかにおいてデメリットをともなりであっても、しょうこまはしこまになるなど、こまうごきが総体そうたいてき強力きょうりょくになる傾向けいこうがある。

ゲームのすすかた

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棋力きりょくおな程度ていど場合ばあい手合てあいわり平手ひらてとする。平手ひらてせん場合ばあい開始かいしにはこまをつぎのようにならべる。

 

うえのように、盤面ばんめんとして表示ひょうじする場合ばあいしたがわ先手せんて上側うわがわ後手ごてとなる。先手せんてからて、ちゅう将棋しょうぎばんみぎじょうのマスを基点きてんとし、よこ方向ほうこうに1・2・3・…・12、またはうしとら・…・いぬたて方向ほうこういちさん・…・じゅうとマスの位置いちひょうする座標ざひょうめられている。棋譜きふはこの数字すうじもちいて表現ひょうげんする。

勝敗しょうはいかた

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  • 玉将ぎょくしょうまたは王将おうしょうめて王手おうて回避かいひができない状態じょうたい)になり相手あいて投了とうりょうした場合ばあいちとなる。
  • 自軍じぐんこまてきぐん王将おうしょうまたは玉将ぎょくしょうった場合ばあいとし)、ちとなる。
    • ほん将棋しょうぎとはちがい、玉将ぎょくしょうまたは王将おうしょうっても反則はんそくあつかいにはならない。このとき、それをこまて、「失礼しつれいしました」と一言いちげんいうとよいが、べつにいわなくてもよい。
  • りょうぐんこま消耗しょうもうしあいこまれになった場合ばあい王将おうしょう玉将ぎょくしょう2まい成金なりきん1まいだけがあったときは成金なりきんのあるそくちとなる。つまり、王将おうしょう玉将ぎょくしょう以外いがいこまっていたほうちとなる。
    • こまれになっても相手あいてめられない場合ばあい合意ごういによってけとなる(もち将棋しょうぎ)。たとえば、王将おうしょう玉将ぎょくしょうだけになった場合ばあい合意ごういによってけとなる。
  • 上記じょうき1べたとおり太子たいしがいる場合ばあい太子たいし王将おうしょう玉将ぎょくしょう両方りょうほうをとらないとちにならない。太子たいし王将おうしょう玉将ぎょくしょう両方りょうほうめても、味方みかた太子たいし王将おうしょう玉将ぎょくしょうすべさきられる状況じょうきょうならばけとなる。
  • 王手おうてはかかっていないが反則はんそくにならずにつぎうごかせるこま一切いっさい状態じょうたいになることがあるが(チェスでいうステイルメイト)、そうなった場合ばあいけとなる[1]

反則はんそく

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  • どういち局面きょくめんが4かいきた場合ばあい千日手せんにちて)、4かい局面きょくめんとなるもどべつにすること。
  • 連続れんぞくして王手おうてをし千日手せんにちて場合ばあい王手おうて仕掛しかけたほうべつにすること。
  • いちかいげたこまはかならずうごかさなくてはならない。
    • ただし、すべてのきに味方みかたこまがいるなどしてうごかせないこま場合ばあい無効むこうとなる。

ほん将棋しょうぎとのおおきな相違そうい

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  • 相手あいてからったこまを、ごまとしてさい利用りようすることはできない。
  • 王将おうしょう玉将ぎょくしょうってもかまわない。
  • 太子たいしがいる場合ばあい太子たいし王将おうしょう玉将ぎょくしょう両方りょうほうをとら(め)ないとちにならない。太子たいし王将おうしょう玉将ぎょくしょう両方りょうほうめても、味方みかた太子たいし王将おうしょう玉将ぎょくしょうすべさきられる状況じょうきょうならばけとなる。
  • うしろにがることのできない香車きょうしゃ歩兵ほへい敵陣てきじん1だんなりすすんだ場合ばあいでも、ルールじょうなり選択せんたくできる[2]
    • ただし、そうなった場合ばあいは、その香車きょうしゃ歩兵ほへいこまかずのこま)としてあつかう。
    • ほん将棋しょうぎでは、香車きょうしゃ歩兵ほへい敵陣てきじん1だんすすんだ場合ばあいは、しょのないこまとして反則はんそくとなるため、かなららなければならない(厳密げんみつには、着手ちゃくしゅしたこまからなり状態じょうたいはなした時点じてん反則はんそく成立せいりつする)。

ローカルルール

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  • さき獅子じし適用てきようされるのを「あとにられるがわ獅子ししあしがあるとき」に限定げんていする。このルールでは、自分じぶん獅子ししられた直後ちょくごであっても、相手あいて獅子ししあしがない場合ばあいならば、その獅子しし自由じゆうることができる。
  • 199連続れんぞくして両者りょうしゃともこまらず、またこまることがなかった場合ばあいけとなる。
  • りにかんして、ほん将棋しょうぎおなじルールを使用しようする。
  • 片方かたがたのプレイヤーに王将おうしょうだけ(太子たいしだけ)がのこり、もう片方かたがたのプレイヤーに相手あいてめる手段しゅだんがない場合ばあいけになる。一般いっぱんに、以下いかわせではめることができない。
    • 王将おうしょう太子たいし)1まいだけ
    • 王将おうしょう太子たいし)1まい+ちょろかく1まい
    • 王将おうしょう太子たいし)1まいおなすじのちょろかく2まい
    • 以下いかのケースにおいては、理論りろんじょうますことが可能かのうであるが、そのためには王将おうしょう太子たいし)がみずか死地しちにおもむく悪手あくしゅさなければならない。
      • 王将おうしょう太子たいし)1まい歩兵ほへい1まい
      • 王将おうしょう太子たいし)1まい+ときん1まい
      • 王将おうしょう太子たいし)1まいもうひょう1まい

ハンディキャップ(こまち)

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ちゅう将棋しょうぎでのハンディキャップのかたには、つぎの3とおりがられている。92まいこま配置はいちしたのち、特別とくべつ手順てじゅんむ。

  • 3まい獅子ししもっとおおきなハンディ。上手じょうず麒麟きりん下手へた鳳凰ほうおうえる。さらに麒麟きりん2まいをそれぞれ裏返うらがえす。下手へた獅子しし3まい上手じょうず鳳凰ほうおう2まいった状態じょうたいはじまることになる。
  • 2まい獅子しし下手へた麒麟きりん裏返うらがえす。下手へた獅子しし2まいった状態じょうたいはじまることになる。
  • 2まいおう下手へたよいぞう裏返うらがえす。下手へた玉将ぎょくしょう太子たいし両方りょうほうった状態じょうたいはじまることになる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 増川ますかわ宏一こういち将棋しょうぎ歴史れきし』(2013)p.49-57によればだい将棋しょうぎについての最古さいこ記述きじゅつは13世紀せいきまつの『普通ふつう唱導しょうどうしゅう』、ちゅう将棋しょうぎについてのふる記録きろくは14世紀せいき中頃なかごろの『ことせい庭訓ていきん往来おうらい』である。
  2. ^ 増川ますかわ宏一こういち将棋しょうぎ歴史れきし』(2013)p.57-60。中原なかはらやすしとみ日記にっきかんとみ』や『からすさぎ合戦かっせん物語ものがたり』が引用いんようされている。
  3. ^ 増川ますかわ宏一こういち将棋しょうぎII』p.102-104。『げんつぎきょう』や『実隆さねたかおおやけ』などがげられている。
  4. ^ 増川ますかわ宏一こういち将棋しょうぎ歴史れきし』(2013)p.68
  5. ^ 将棋しょうぎ世界せかい 昭和しょうわ45ねん7がつごう

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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ちゅう将棋しょうぎこま自陣じじん初期しょき配置はいち括弧かっこないなりこま
      仲人なこうど
よいぞう
        仲人なこうど
よいぞう
     
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
歩兵ほへい
金将きんしょう
横行おうこう
奔猪
たてぎょう
うし
飛車ひしゃ
龍王りゅうおう
龍馬りょうま
すみたか
龍王りゅうおう
わし
獅子しし 奔王 龍王りゅうおう
わし
龍馬りょうま
かくたか
飛車ひしゃ
龍王りゅうおう
たてぎょう
うし
横行おうこう
(奔猪)
はんくるま
くじらさんしょううお
  角行かっこう
龍馬りょうま
  めくらとら
鹿しか
麒麟きりん
獅子しし
鳳凰ほうおう
(奔王)
めくらとら
鹿しか
  角行かっこう
龍馬りょうま
  はんくるま
くじらさんしょううお
香車きょうしゃ
白駒しろこま
もうひょう
角行かっこう
どうしょう
横行おうこう
銀将ぎんしょう
たてゆき
金将きんしょう
飛車ひしゃ
玉将ぎょくしょう よいぞう
太子たいし
金将きんしょう
飛車ひしゃ
銀将ぎんしょう
たてゆき
どうしょう
横行おうこう
もうひょう
角行かっこう
香車きょうしゃ
白駒しろこま