北國銀行ほっこくぎんこう背任はいにん事件じけん

北國銀行ほっこくぎんこう背任はいにん事件じけん（ほっこくぎんこうはいにんじけん）は、1993年ねんに石川いしかわ県けんの地方銀行ちほうぎんこう「北國銀行ほっこくぎんこう」の頭取とうどりらが地元じもと企業きぎょうへの融資ゆうしを圧力あつりょくをかけて不正ふせいに肩代かたがわりさせたとして背任はいにんの罪つみの問とわれた事件じけんである。別名べつめい「北國銀行ほっこくぎんこう事件じけん」、「北國きたぐに銀ぎん背任はいにん事件じけん」。

発端ほったん

1993年ねん、北國銀行ほっこくぎんこうが石川いしかわ県けんの機械きかいメーカーに約やく8000万まん円えんの融資ゆうしをしていたが、このメーカーは倒産とうさん。石川いしかわ県けん信用しんよう保証ほしょう協会きょうかいは、担保たんぽ不足ふそくなどを理由りゆうにこの支払しはらいを拒否きょひ。しかし、後のちになって応おうじた。1997年ねん10月に名古屋なごや地検ちけん特捜とくそう部ぶは、これをめぐり当時とうじの北國銀行ほっこくぎんこう頭取とうどりと協会きょうかい役員やくいん3人にんを背任はいにん行為こういをしたとして逮捕たいほした。そして検察けんさつは元もと頭取とうどりが負債ふさいの肩代かたがわりを要請ようせいしたなどとして信用しんよう保証ほしょう協会きょうかいに対たいする背任はいにんの共同きょうどう正犯せいはんとして起訴きそした。

裁判さいばん経過けいか

一いち審しんの金沢かなざわ地方裁判所ちほうさいばんしょは協会きょうかい役員やくいん・元もと頭取とうどりらに執行しっこう猶予ゆうよ付つきの有罪ゆうざい判決はんけつをい渡いわたした。判決はんけつでは「役員やくいんと頭取とうどりが共犯きょうはん関係かんけいになって石川いしかわ県けん信用しんよう保証ほしょう協会きょうかいに圧力あつりょくをかけて不正ふせいに肩代かたがわりさせ、8000万まん円えんもの損害そんがいを出だした」と認定にんていした。この判決はんけつに対たいして協会きょうかい役員やくいん3人にんは有罪ゆうざい判決はんけつを受うけ入いれたが、元もと頭取とうどりのみが控訴こうそした。

二に審しんの名古屋なごや高等こうとう裁判所さいばんしょでは元もと頭取とうどりが協会きょうかい役員やくいんではなく、直接ちょくせつ融資ゆうしにかかわれる存在そんざいではないということで「身分みぶんなき共犯きょうはん」が成なり立たつかどうかが争あらそわれたが、判決はんけつは一いち審しん判決はんけつを支持しじして懲役ちょうえき2年ねん6か月げつ、執行しっこう猶予ゆうよ4年ねんの有罪ゆうざい判決はんけつをい渡いわたした。弁護べんご側がわはこの判決はんけつを不服ふふくとして上告じょうこく。

2004年ねん9月がつ10日とおか、最高裁判所さいこうさいばんしょ第だい二に小しょう法廷ほうていは、事実じじつ誤認ごにんがあるとして二に審しんへの差さし戻もどしとした。判決はんけつで裁判さいばん長ちょうの北川きたがわ弘治こうじは、「当時とうじ県内けんないの自治体じちたいや金融きんゆう機関きかんが負担ふたんをする中なかで北國銀行ほっこくぎんこうだけが拠出きょしゅつ金きんを出ださないということが可能かのうだったのかどうか、協会きょうかい役員やくいんが利害りがい損失そんしつを総合そうごう的てきに判断はんだんする立場たちばにあるので、代位だいい弁済べんさいが背任はいにん行為こういだと判断はんだんできるのか、代位だいい弁済べんさいを拒否きょひするという事務じむ担当たんとう者しゃ間あいだの判断はんだんを覆くつがえすことは不当ふとうではないなどの指摘してきした。また、有罪ゆうざい判決はんけつが確定かくていした役員やくいんについても「背任はいにんに当あたるとは速断そくだんできない」と指摘してきした。

2005年ねん10月28日にち、差さし戻もどし控訴こうそ審しんとなる名古屋なごや高等こうとう裁判所さいばんしょは無罪むざい判決はんけつをい渡いわたした。裁判さいばん長ちょうは「経済けいざい取引とりひき上じょう許ゆるされる行為こうい」とした。一方いっぽう、既すでに有罪ゆうざい判決はんけつが確定かくていしていた協会きょうかい役員やくいんに対たいしては、背任はいにん罪ざいが成なり立たつとした。検察けんさつはこの判決はんけつに対たいして再さい上告じょうこくを断念だんねんして無罪むざい判決はんけつが確定かくていした。

補足ほそく

元もと頭取とうどりにたいしては、無罪むざい判決はんけつが確定かくていしたことを受うけて退職たいしょく金きんの支払しはらいが決定けっていした。

参考さんこう文献ぶんけん

• 朝日新聞あさひしんぶん2004年ねん9月がつ11日にち