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子別れ - Wikipedia

子別こわか

古典こてん落語らくご演目えんもくひと

子別こわか(こわかれ)は古典こてん落語らくご演目えんもくひとつ。やなぎ初代しょだい春風しゅんぷうていやなぎえだ創作そうさく落語らくご[1]3代目だいめうららちん柳橋やなぎばし4代目だいめ柳家やなぎやさんみがかれた人情噺にんじょうばなしだいネタである。3代目だいめうららちん柳橋やなぎばし作者さくしゃとするせつもある[1]

べつだいは「は鎹」「強飯こわいい女郎買じょろかい」「子宝こだから」「逢もどり」ひとし多数たすうおも演者えんじゃには、5代目だいめ古今ここんていこころざしなま6代目だいめさんゆうていえんせい5代目だいめ柳家やなぎやさんなどがいる。上方かみがたでは2代目だいめかつらざこばえんじている。

夫婦ふうふわかれまでをうえ花魁おいらんいえれるまでをなか夫婦ふうふもとさやおさまるまでをしたとしたさん構成こうせいであり[1]通常つうじょうなか後半こうはん部分ぶぶんしたわせてえんじることがおおい。うえは「強飯こわいい女郎買じょろかい」、したは「は鎹」のばれることがある[1]

山谷さんや隠居いんきょちょういですっかりいい心持こころもちになり、「このまま吉原よしわらんで精進落しょうじんおちとしだ」と怪気炎かいきえんげるくまさん。

途中とちゅうった紙屑かみくずちょうさんを、「今日きょうはオレがおごるから」と無理むりやりさそい、葬式そうしきされた強飯こわいいしめがフンドシにんだと大騒おおさわぎのさんにちつづける。

別名べつめいを『強飯こわいい女郎買じょろかい』というこのパートは、5代目だいめこころざしなまいちせき落語らくごとしてげたこと有名ゆうめいはなしである。

この部分ぶぶんのハイライトは、紙屑かみくず吉原よしわらさそ場面ばめんでのいで、くまさんが「おれかねがある!」と威張いばるので、紙屑かみくず質問しつもんしてみると『いちえん』を皮切かわきりにどんどん値下ねさがりしていき、結局けっきょくところは『さんぜに』になる。

なか後半こうはん部分ぶぶん

編集へんしゅう

神田かんだたて大工だいくまちくまろううでのいい大工だいくだがさけきなのがたまきず。ある泥酔でいすいしてかえってくるとつまのおひかりかって女郎じょろう惚気のろけばなしまではじめてしまい、夫婦ふうふげんかのすえにおひかり一人ひとり息子むすこかめれていえてしまう。

くまはおひかり離縁りえんして女郎じょろう身請みうけし、一緒いっしょらしはじめるが、彼女かのじょ一切いっさい家事かじをせず、あさからさけんではてばかり。結局けっきょく他所よそおとこつくってていってしまう。

くまさけって身請みうけしたおんなともわかれてしんえ、懸命けんめいになってはたらいたおかげでなんとかなおす。

妻子さいしわかれてからさんねんのある出入でいさき番頭ばんがしら一緒いっしょ先代せんだい旦那だんな隠居いんきょ部屋へや使つか木口きぐち木材もくざいがあるが番頭ばんがしら木材もくざいくわしくないため大工だいく仕事しごとがら木口きぐち木材もくざい見極みきわめられるくまを「木口きぐちいのが るらしいからくまさん、一緒いっしょ木場きばってもらえるかい?わたしでは木口きぐちからないから」とさそい、承知しょうちをしたため木場きばへとかう途中とちゅうで、友達ともだちあそんでいるかめ出会であう。番頭ばんがしらさんねん親子おやこ再会さいかいだからと「ってたららどうか?」とうながし、「ぐにもどりますから」と番頭ばんがしらい、かめこえけていえってからのはなしくと、あれ以来いらいひかり炭屋すみやかい間借まがりし、仕立したての仕事しごとをしながらかめそだてているという。面目めんぼくないおもいでいっぱいになったくまかめじゅうぜに小遣こづかいをわたしたうえで、明日あしたうなぎ御馳走ごちそうしよう、自分じぶんったことはおひかりにははなすなとげてそのる。

しかし帰宅きたくしたかめはもらったじゅうぜにをおひかりつかり、子供こどもじゅうせんってることはまずないのでぬすんでたんではないかときびしく詰問きつもんされた。しかしくまに「おちちっちゃんとったことうなよ。おっかさんにじゅうぜにはどうしたのかかれてもおちちっちゃんにもらったとわずにらないおじさんにもらったってえよ」とわれたため、「ぬすんでたんじゃない。らないおじさんにもらったんだ」とう。らないおじさんにもらったとしかわない かめたいしておひかりは「だれもらったのかいなさい」とうも、ちちとの約束やくそくで「おちちっちゃんにもらった」とえずにいたら「だれもらったのかえないんならぬすんでたんだろう?」とわれるも「ぬすんでない。もらったんだ」の一点張いってんばりでらちかない。しかしおれいをしなければとおもうおひかり観念かんねんせず、だれもらったのかつづけるが、だれからかわずにいるため、「だれからもらったかえないんならやっぱりぬすんでたじゃないかい?」とけられたためきながらも「ちがう。もらったんだ」とうったえる。すると、いくらおてもだれもらったのかわないかめしびれをらしたおひかりに「だれもらったのかわないとトンカチでぶつよ」とおどされてとうとう父親ちちおやったこと、小遣こづかいは父親ちちおやからもらったものだと白状はくじょうしてしまう。くまおんなわかれ、さけもやめて真面目まじめはたらいているらしいことをかめからいたおひかりはうれしさをかくしきれないが、やはりまだよりをもどすのははばかられる。

翌日よくじつひかりかめせておくしてやるが、自分じぶんもいてもってもいられず、そっとからうなぎみせをうかがっていると、店主てんしゅにみつかり、店内てんないれられてさんねんぶりにくま再会さいかいする。「偶然ぐうぜんとおかった」と偶然ぐうぜんよそおったおひかりかめ小遣こづかいくれたことうなぎをご馳走ちそうしてくれたれいうもののさんねんりの再会さいかいであるため何処どこ他人行儀たにんぎょうぎではなかなか気持きもちをけられなかったふたりだが、かめのことばをきっかけによりをもどそうとめる。

は鎹といますからね」としみじみする夫婦ふうふに、よこからかめが「は鎹か。道理どうりでおいらのことトンカチでぶつってったんだ」

バリエーション・『おんな子別こわかれ』

編集へんしゅう

明治めいじ初期しょき三遊亭圓朝さんゆうていえんちょうが、やなぎえだ原作げんさく脚色きゃくしょくし、あべこべに母親ははおやって、父親ちちおや子供こどもらすという「おんな子別こわかれ」としてえんじた[1]。この変更へんこうは、「おとこ父親ちちおやにつく」という、夫婦ふうふわかれのときの慣習かんしゅうもとづいた改変かいへんであるが、現在げんざいはほとんどえんじられていない。

なお、このバージョンは2代目だいめさんゆうていえん上方かみがた移植いしょくしたことで、上方かみがたでも幅広はばひろえんじられるようになった。6代目だいめわらいぶくていまつづる口演こうえんのこされている。

登場とうじょう人物じんぶつ亀吉かめきち由来ゆらい諸説しょせつあるが、初代しょだいやなぎえだ幼名ようみょう亀吉かめきちからとった、3代目だいめ柳橋やなぎはし長男ちょうなん4代目だいめ柳橋やなぎばし本名ほんみょう採用さいようした、などとわれている。

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ a b c d e 興津おきつかなめ古典こてん落語らくご講談社こうだんしゃ、2002ねん12月、399ぺーじ