履物はきもの

履物はきもの（はきもの）は、足あしに着用ちゃくようされるものの総称そうしょう。靴くつ、ブーツ、下駄げたなど。履物はきものの下したに靴下くつしたやストッキングを着用ちゃくようすることもある。

歴史れきし

服飾ふくしょくの歴史れきしは旧石器時代きゅうせっきじだいには始はじまるが、履物はきものの歴史れきしはさらに遅おそく古代こだいエジプトの古こ王国おうこくにみられるパピルス製せいのサンダルが最古さいこのものとされる^[1]。ただし、古代こだいには履物はきものは王侯おうこう貴族きぞくや僧侶そうりょ、戦士せんしなどにしか着用ちゃくようが許ゆるされておらず、さらに多おおくの場合ばあいには儀式ぎしき用ようで威儀いぎを示しめす目的もくてきで履はかれたにすぎない^[1]。

一方いっぽうで下駄げたは田た下駄げたを起源きげんとするともいわれているほか、雪ゆき中ちゅう歩行ほこうのためのかんじき、海苔のりの採集さいしゅうや梨なしの収穫しゅうかくに用もちいる丈たけのある海苔のり下駄げたや梨なし下駄げたのように道具どうぐに由来ゆらいする履物はきものもある^[1]。

当初とうしょ、履物はきものには身近みぢかな素材そざいが使用しようされ、狩猟しゅりょうが日常にちじょう的てきに行おこなわれていたヨーロッパでは動物どうぶつの皮かわを利用りようした^[2]。アイヌ文化ぶんかでは鮭さけの皮かわから履物はきものが製作せいさくされた^[2]。

履物はきものには足あしの保護ほごや足あしの機能きのうの補助ほじょの目的もくてきがある^[2]。現代げんだいでは履物はきものは服飾ふくしょくの一環いっかんにもなっているが、被服ひふくは比較的ひかくてき多様たようなデザインが可能かのうなのに対たいし、履物はきものは体重たいじゅうを載のせて歩あるけるものでなければならず、足あしと適合てきごうしている必要ひつようがある^[1]。歴史れきし上じょうでは歩あるく目的もくてきから逸脱いつだつした履物はきものが出現しゅつげんしたこともあり、ルネッサンス時代じだいのヨーロッパでは爪先つまさきが30cmも出でている靴くつが流行りゅうこうしたこともあったが姿すがたを消けした^[1]。

大量たいりょう生産せいさんの履物はきものが出回でまわるようになるまで、靴くつの製作せいさくには足あしを採寸さいすんして作成さくせいした木型きがたが用もちいられたが、現代げんだいでは高級こうきゅう靴くつ以外いがいでは木型きがたの作成さくせいは稀まれになった^[2]。

構造こうぞうと分類ぶんるい

開放かいほう性せい履物はきものと閉塞へいそく性せい履物はきもの

履物はきものはサンダルや下駄げたなどのように足あしの甲かぶとを開放かいほうしている開放かいほう性せい履物はきものと、靴くつのように足あしの甲かぶとを開放かいほうしない閉塞へいそく性せい履物はきものに大別たいべつされる^[1]。

民俗みんぞく学がく上じょうの分類ぶんるい

民俗みんぞく学がく上じょうの履物はきものの分類ぶんるいにはいくつか見解けんかいがある^[3]。

後藤ごとう重しげる巳みによる分類ぶんるい^[3]
	細分さいぶん類るい
鼻緒はなお履物はきもの類るい	下駄げた類るい、草履ぞうり類るい、草鞋わらじ類るい
被ひ甲かぶと履物はきもの類るい	藁沓わらぐつ類るい、皮かわ沓くつ類るい、足袋たび類るい
補助ほじょ履物はきもの類るい	爪掛つまがけ類るい、踵かかと当とう類るい、打掛うちかけ類るい、甲掛こうかけ類るい、草鞋わらじ掛かけ類るい
特殊とくしゅ履物はきもの類るい	足あし桶おけ類るい、海苔のり下駄げた類るい、田た下駄げた類るい、かんじき類るい、輪りんかんじき類るい、踏俵類るい、いたぞり類るい

靴くつの分類ぶんるい

「靴くつ」を参照さんしょう

文化ぶんか

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは屋内おくないでも履物はきものを履はいたままでいることが多おおいのに対たいし、日本にっぽん・韓国かんこくでは脱ぬぐことが通常つうじょうである。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

注釈ちゅうしゃく

出典しゅってん

^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f 近藤こんどう四郎しろう「4.足あしと靴くつの科学かがく」『繊維せんい製品せいひん消費しょうひ科か学会がっかい誌し』第だい36巻かん第だい10号ごう、日本にっぽん繊維せんい製品せいひん消費しょうひ科か学会がっかい、1995年ねん、616-622頁ぺーじ、doi:10.11419/senshoshi1960.36.616。
^ ^a ^b ^c ^d 田中たなか尚しょう喜き. “足あしと靴くつの適合てきごう性せいについて－障害しょうがい予防よぼう・治療ちりょうの立場たちばから－” (PDF). 東京とうきょう都と皮革ひかく技術ぎじゅつセンター. 2023年ねん10月がつ16日にち閲覧えつらん。
^ ^a ^b 後藤ごとう重しげる巳み「民俗みんぞく資料しりょうの製作せいさく実習じっしゅうをめぐって」『博物館はくぶつかん研究けんきゅう報告ほうこく』第だい6巻かん、別府大学べっぷだいがく博物館はくぶつかん学がく講座こうざ、1982年ねん2月がつ、1-4頁ぺーじ、CRID 1050282812821544576、NAID 120002147825。