座頭ざがしら

座頭ざがしら（ざとう）は、江戸えど期きにおける盲人もうじんの階級かいきゅうの一ひとつ。またこれより転てんじて按摩あんま、鍼灸しんきゅう、琵琶びわ法師ほうしなどへの呼よびかけとしても用もちいられた。今日きょうのような社会しゃかい保障ほしょう制度せいどが整備せいびされていなかった江戸えど時代じだい、幕府ばくふは障害しょうがい者しゃ保護ほご政策せいさくとして職能しょくのう組合くみあい「座ざ」（一種いっしゅのギルド）を基もとに身体しんたい障害しょうがい者しゃに対たいし排他はいた的てきかつ独占どくせん的てき職種しょくしゅを容認ようにんすることで、障害しょうがい者しゃの経済けいざい的てき自立じりつを図はかろうとした。

座頭ざがしら

歴史れきし的てき職業しょくぎょう

原語げんご表記ひょうき	座頭ざがしら
医学いがく的てき状況じょうきょう	失明しつめい
本国ほんごく	日本にっぽん

由来ゆらい - 当とう道みち座ざ

元々もともとは平曲へいきょくを演奏えんそうする琵琶びわ法師ほうしの称号しょうごうとして呼よばれた「検校けんぎょう（けんぎょう）」、「別当べっとう（べっとう）」、「勾当こうとう（こうとう）」、「座頭ざがしら（ざとう）」に由来ゆらいする。

古来こらい、琵琶びわ法師ほうしには盲目もうもくの人々ひとびとが多おおかったが、『平家ひらか物語ものがたり』を語かたる職業しょくぎょう人じんとして鎌倉かまくら時代ときよ頃ころから「当とう道みち座ざ」と言いわれる団体だんたいを形作かたちづくるようになり、それは権威けんいとしても互助ごじょ組織そしきとしても、彼かれらの座ざ（組合くみあい）として機能きのうした。その中なかで定さだめられていた集団しゅうだん規則きそくによれば、彼かれらは検校けんぎょう、別当べっとう、勾当こうとう、座頭ざがしらの四よっつの位階いかいに、細こまかくは73の段階だんかいに分わけられていたという。これらの官位かんい段階だんかいは、当とう道みち座ざに属ぞくし職分しょくぶんに励はげんで、申請しんせいして認みとめられれば、一定いっていの年月としつきをおいて順次じゅんじ得えることができたが、大変たいへんに年月としつきがかかり、一生いっしょうかかっても検校けんぎょうまで進すすめないほどだった。金銀きんぎんによって早期そうきに官位かんいを取得しゅとくすることもできた。

江戸えど時代じだいに入はいると当とう道みち座ざは盲人もうじん団体だんたいとして幕府ばくふの公認こうにんと保護ほごを受うけるようになった。この頃ころには平曲へいきょくは次第しだいに下火したびになり、それに加くわえ地歌じうた三味線しゃみせん、箏曲そうきょく、胡弓こきゅう等ひとしの演奏えんそう家か、作曲さっきょく家かや、鍼灸しんきゅう、按摩あんまが当とう道みち座ざの主要しゅような職分しょくぶんとなった。結果けっかとしてこのような盲人もうじん保護ほご政策せいさくが、江戸えど時代じだいの音楽おんがくや鍼灸しんきゅう医学いがくの発展はってんの重要じゅうような要素ようそになったと言いえる。また座頭ざがしら相撲すもうなど見みせ物ものに就つく者ものたちもいたり、元禄げんろく頃ころから官位かんい昇格しょうかく費用ひようの取得しゅとくを容易よういにするために高利こうりの金貸かねかしが公認こうにんされたので、悪辣あくらつな金融きんゆう業者ぎょうしゃとなる者ものもいた。

当とう道みちに対たいする保護ほごは、明治めいじ元年がんねん（1868年ねん）に廃止はいしされたという。

参考さんこう文献ぶんけん

• 近世きんせいの座頭ざがしらにみる職業しょくぎょう素描そびょう 原田はらだ信一しんいち 、駒澤こまざわ社会しゃかい学がく研究けんきゅう29、1997

関連かんれん項目こうもく

• 当とう道みち座ざ
• 座頭市ざとういち
• 不知火しらぬひ検校けんぎょう
• 八はち橋きょう検校けんぎょう
• 米山よねやま検校けんぎょう
• ザトウクジラ
• ザトウムシ
• 海うみ座頭ざがしら