本棚 ほんだな (ほんだな)とは、冊子 さっし 本 ほん を収納 しゅうのう する事 こと を目的 もくてき とした棚 たな のこと[ 1] 。
図書館 としょかん の本棚 ほんだな 。
スチール 製 せい の本棚 ほんだな が整然 せいぜん と並 なら んだ 図書館 としょかん の一室 いっしつ 。地震 じしん 時 じ の転倒 てんとう 防止 ぼうし 策 さく として本棚 ほんだな 同士 どうし が上部 じょうぶ で連結 れんけつ されている。
曲面 きょくめん 的 てき な壁 かべ に合 あ わせて特注 とくちゅう し、職人 しょくにん がひとつひとつ手作 てづく りした豪華 ごうか な本棚 ほんだな (フランス、パリ 、エリゼ宮 えりぜきゅう 殿 どの )
物理 ぶつり 的 てき な形態 けいたい の違 ちが いなどにより本箱 ほんばこ (ほんばこ)、書架 しょか (しょか)、書棚 しょだな (しょだな)、本立 ほんたて (ほんたて)などとも言 い うが、厳密 げんみつ な区別 くべつ はあまり無 な い[ 2] 。本 ほん が現代 げんだい の形態 けいたい になって以降 いこう 、本棚 ほんだな とは通常 つうじょう 本 ほん を下 した から支 ささ えるような構造 こうぞう になっており、本棚 ほんだな 自体 じたい の終端 しゅうたん を除 のぞ いて横 よこ から支 ささ える機能 きのう は備 そな わっていないものが多 おお い[ 3] 。このため、本棚 ほんだな に倒 たお れないよう本 ほん を収納 しゅうのう する場合 ばあい は、倒 たお れる隙間 すきま が無 な くなるまで本 ほん を並 なら べるか本 ほん が倒 たお れないよう個別 こべつ に横 よこ から支 ささ える機能 きのう を導入 どうにゅう する必要 ひつよう がある[ 4] 。倒 たお れようとする本 ほん を底面 ていめん の摩擦 まさつ 力 りょく によって横 よこ から押 お して支 ささ える機能 きのう に主眼 しゅがん を置 お いた器具 きぐ は一般 いっぱん 的 てき にブックエンド と称 しょう し、1870年代 ねんだい に特許 とっきょ が下 お りて以降 いこう 、ブックエンドは一 いち 枚 まい のスチール板 ばん を型 かた 抜 ぬ きして作 つく られたものが広 ひろ く一般 いっぱん に普及 ふきゅう している[ 4] [ 5] 。机上 きじょう や別 べつ 目的 もくてき の棚上 たなあげ 両 りょう 端 はし にブックエンドを設置 せっち した状態 じょうたい もまた、簡易 かんい な本棚 ほんだな の一種 いっしゅ と言 い える[ 6] 。
一般 いっぱん 的 てき な本棚 ほんだな の構造 こうぞう は「モノコック構造 こうぞう 」と呼 よ ばれ、側板 そくばん ・棚 たな 板 ばん ・裏 うら 板 ばん の三 さん 種類 しゅるい の要素 ようそ から構成 こうせい されている[ 7] 。側板 そくばん は本棚 ほんだな の両 りょう 端 はし を構成 こうせい する2枚 まい の板 いた であり、収納 しゅうのう する本 ほん の重量 じゅうりょう を支 ささ える支柱 しちゅう として機能 きのう する[ 8] 。棚 たな 板 ばん は実際 じっさい に本 ほん が載 の せられる水平 すいへい 部分 ぶぶん の板 いた を指 さ し本棚 ほんだな の「一段 いちだん 」を構成 こうせい するが、本 ほん を載 の せない最上 さいじょう の棚 たな 板 ばん は天 てん 板 ばん と呼 よ ばれ、他 た の棚 たな 板 ばん と区別 くべつ される場合 ばあい もある[ 8] 。棚 たな 板 ばん は固定 こてい されている場合 ばあい と本 ほん の大 おお きさによって可変 かへん する可動 かどう 式 しき の場合 ばあい がある[ 8] 。裏 うら 板 ばん は本棚 ほんだな の裏側 うらがわ に貼 は る薄 うす い板 いた で、横 よこ からの衝撃 しょうげき を吸収 きゅうしゅう する役割 やくわり を持 も つ[ 8] 。側板 そくばん や棚 たな 板 ばん は本棚 ほんだな の軽量 けいりょう 化 か を重視 じゅうし し、枠組 わくぐ みに薄 うす い化粧 けしょう 板 ばん を貼 は り付 づ けた太鼓 たいこ 作 づく り(フラッシュ構造 こうぞう )が採用 さいよう される場合 ばあい もある[ 9] 。最 さい 下段 げだん の上 あ げ底 ぞこ 部分 ぶぶん はハカマと呼 よ ばれ、埃 ほこり 対策 たいさく などの実用 じつよう 面 めん から採用 さいよう している本棚 ほんだな も見 み られる[ 10] 。
一般 いっぱん 家庭 かてい 向 む けの小 こ ぶりの本棚 ほんだな
本棚 ほんだな の大 おお きさは様々 さまざま であるが、高 たか さについては日本 にっぽん の一般 いっぱん 家庭 かてい に配置 はいち されるものとしては2m30cm以下 いか となるよう設計 せっけい されることが多 おお い[ 11] 。横 よこ 幅 はば については『清 きよ く正 ただ しい本棚 ほんだな の作 つく り方 かた 』では棚 たな 板 ばん 60cm程度 ていど が理想 りそう としている[ 11] 。図書館 としょかん 学者 がくしゃ のメルヴィル・デューイ は沈 しず み込 こ み指数 しすう を考慮 こうりょ した理想 りそう の長 なが さは40インチ(約 やく 100cm)であるとしている[ 12] 。市販 しはん されている本棚 ほんだな の奥行 おくゆ きは約 やく 30-35cmが一般 いっぱん 的 てき である[ 13] 。
本棚 ほんだな の素材 そざい は合板 ごうはん [ 14] 、ベニヤ [ 15] 、スチール [ 16] 、ステンレス [ 17] など多岐 たき に渡 わた る。その他 た 、例 たと えばルーン・フィヨルド とロザン・ボッシュ が設計 せっけい したデンマーク のイェリング中央 ちゅうおう 図書館 としょかん の本棚 ほんだな ではリノリウム 、MDF 、エポキシ樹脂 じゅし 、テキスタイル 、スポンジ などが素材 そざい として使用 しよう されている[ 18] 。
また、一般 いっぱん 的 てき な本棚 ほんだな の既成 きせい 概念 がいねん を覆 くつがえ すデザインがなされた本棚 ほんだな も多数 たすう 存在 そんざい し、アレックス・ジョンソンは『本棚 ほんだな の本 ほん 』の中 なか で「現代 げんだい の本棚 ほんだな は単 たん に本 ほん を収納 しゅうのう するための家具 かぐ ではなくなっており、モダン・アート であり、エンジニアリングの実験 じっけん であり、350年 ねん 前 まえ にサミュエル・ピープス が所持 しょじ していた本棚 ほんだな のように、ステータス・シンボルとして返 かえ り咲 ざ いた」と述 の べている[ 19] 。
6世紀 せいき ごろの写本 しゃほん 『コデックス・アミアティヌス』に描 えが かれたアルマリウム
ローマ時代 じだい は文書 ぶんしょ は主 おも にパピルス 製 せい の巻物 まきもの に記 しる され、巻子本 かんすぼん の形 かたち に丸 まる められて保管 ほかん されていた[ 20] 。高価 こうか な巻子本 かんすぼん は個別 こべつ に収納 しゅうのう するための筒 つつ が付属 ふぞく していたが、通常 つうじょう はカプサと呼 よ ばれる箱 はこ にまとめて保管 ほかん された[ 21] 。書店 しょてん や図書館 としょかん などでは壁 かべ に棚 たな が設置 せっち され、その上 うえ に積 つ み並 なら べる状態 じょうたい で保管 ほかん するのが一般 いっぱん 的 てき だった[ 22] 。紀元 きげん 数 すう 世紀 せいき ごろには木片 もくへん を閉 と じた手写 しゅしゃ 本 ほん (コデックス )が登場 とうじょう して、巻子本 かんすぼん に取 と って代 か わるようになったため、それに合 あ わせて収納 しゅうのう 方法 ほうほう にも変化 へんか が見 み られるようになった[ 23] 。Shailorはこうした本 ほん の形態 けいたい 変化 へんか は4世紀 せいき ごろであったと述 の べているが[ 24] 、巻子本 かんすぼん からコデックス本 ほん へ、形態 けいたい が変遷 へんせん する過渡 かと 期 き にあたっては両方 りょうほう が併用 へいよう されたため、本 ほん の収納 しゅうのう にはアルマリウム (戸棚 とだな [ 注釈 ちゅうしゃく 1] )が広 ひろ く使用 しよう された[ 26] 。この時代 じだい の本 ほん は全 すべ て手作 てづく りであり、貴重 きちょう 品 ひん として取 と り扱 あつか われたため、アルマリウムには鍵 かぎ や留 と め金 がね のついたものが多 おお く用 もち いられた[ 27] 。持 も ち運 はこ びが必要 ひつよう な場合 ばあい にはチェスト (収納箱 しゅうのうばこ )が利用 りよう された[ 28] 。イングランド西部 せいぶ のヘレフォード大 だい 聖堂 せいどう には1360年 ねん ごろに製作 せいさく されたと見 み られるブックチェストが現存 げんそん しているが、蓋 ぶた 部分 ぶぶん には形状 けいじょう の異 こと なる三 さん 種類 しゅるい の鍵 かぎ が取 と り付 つ けられており、本 ほん の保管 ほかん に厳重 げんじゅう な管理 かんり がなされていた事 こと がうかがえる[ 29] 。装丁 そうてい が原因 げんいん でこの時代 じだい の本 ほん は重 かさ ねて保管 ほかん することに不向 ふむ きで、留 とめ 具 ぐ や突起 とっき が棚 たな の中 なか で周囲 しゅうい の本 ほん を傷付 きずつ ける事 こと が問題 もんだい 視 し されていた[ 30] 。
書見 しょけん 台下 だいか に設置 せっち された鉄棒 てつぼう にチェーンでつながれた本 ほん (チェゼーナの図書館 としょかん )[ 31] 。
図書館 としょかん や修道院 しゅうどういん など、多数 たすう の本 ほん を持 も っていた施設 しせつ ・機関 きかん では、貴重 きちょう 品 ひん である本 ほん を盗難 とうなん から防止 ぼうし するための仕組 しく みと、一 いち 箇所 かしょ に重 かさ ねて保管 ほかん することによる本 ほん の擦傷 すりきず 劣化 れっか を防止 ぼうし するための仕組 しく みを考 かんが える必要 ひつよう があり、その次善 じぜん 策 さく として本 ほん を書見 しょけん 台 だい にチェーンでつなぐ習慣 しゅうかん が広 ひろ まった[ 32] 。こうした習慣 しゅうかん は多 おお くの図書館 としょかん や修道院 しゅうどういん で17世紀 せいき 末 まつ ごろまで継続 けいぞく していた[ 33] 。しかしながら蔵書 ぞうしょ が増 ふ えるに従 したが って、本 ほん と書見 しょけん 台 だい を設置 せっち するための場所 ばしょ の確保 かくほ が大 おお きな問題 もんだい となり[ 34] 、スペースあたりの収納 しゅうのう 力 りょく 増大 ぞうだい と書見 しょけん 台 だい 上 じょう で調 しら べものを行 おこな うための作業 さぎょう 場所 ばしょ 確保 かくほ を目的 もくてき として書見 しょけん 台 だい の上下 じょうげ に棚 たな が取 と り付 つ けられるようになった[ 35] 。この変化 へんか についてヘンリー・ペトロスキー は現代 げんだい の本棚 ほんだな につながる進化 しんか の第 だい 一 いち 段階 だんかい であると述 の べている[ 36] 。しかし、読書 どくしょ や作業 さぎょう の度 たび に本 ほん を上下 じょうげ の棚 たな へ動 うご かすことによって鎖 くさり がねじれ、絡 から まるという新 あら たな問題 もんだい が発生 はっせい するようになった[ 37] 。書籍 しょせき 管理 かんり の歴史 れきし について調査 ちょうさ 研究 けんきゅう を行 おこな っていたジョン・ウィリス・クラーク は、17世紀 せいき ごろからこうした問題 もんだい を解決 かいけつ するために、ストール・システムと呼 よ ばれる二 ふた つの書見 しょけん 台 だい を向 む き合 あ わせ、その間 あいだ に書棚 しょだな を配置 はいち するという設計 せっけい をした調度 ちょうど 品 ひん が登場 とうじょう したと述 の べている[ 38] 。キャノン・ストリータ はクラークの説 せつ に異論 いろん を唱 とな え、ストール・システムは書見 しょけん 台 だい とアルマリウムの組 く み合 あ わせに過 す ぎず、16世紀 せいき には既 すで に見 み られた形態 けいたい であったと述 の べている[ 39] 。登場 とうじょう 当初 とうしょ は棚 たな へ平 ひら 積 づ みされていたが、本 ほん の増加 ぞうか に伴 ともな い運用 うんよう が困難 こんなん になると置 お き方 かた が縦 たて 置 お きへと変化 へんか するようになった[ 40] 。両 りょう 端 はし に垂直 すいちょく の仕切 しき り、上下 じょうげ に水平 すいへい 棚 だな を持 も ったストール・システムの登場 とうじょう 、本 ほん の縦 たて 置 お きが一般 いっぱん 化 か するに従 したが い、収納 しゅうのう 方式 ほうしき が現代 げんだい の本棚 ほんだな に近 ちか しい形態 けいたい へと進歩 しんぽ した[ 39] 。なお、この頃 ころ の本 ほん には全 すべ て鎖 くさり が付 つ いていたため、これによって本 ほん を傷付 きずつ けないよう背 せ を奥 おく にして収納 しゅうのう しており、鎖 くさり をつけない個人 こじん 蔵書 ぞうしょ においても一般 いっぱん 化 か したと見 み られている[ 41] 。こうした本 ほん を縦 たて 置 お きに並 なら べる方式 ほうしき が一般 いっぱん 化 か するに伴 ともな い、それを収納 しゅうのう する棚 たな はブック・プレスと呼 よ ばれるようになった[ 42] 。書見 しょけん 台 だい の下 した のスペースに棚 たな が取 と り付 つ けられることもあったが、当初 とうしょ は足 あし 置 お き程度 ていど の利用 りよう しかなされていなかった[ 42] 。しかし、印 しるし 刷本 すりほん の普及 ふきゅう と蔵書 ぞうしょ 数 すう の増加 ぞうか に伴 ともな い、図書館 としょかん はこのデッドスペースに利用 りよう の少 すく ない本 ほん を詰 つ めたチェストを保管 ほかん しはじめ、やがてチェストから出 だ して鎖 くさり のついていない本 ほん を並 なら べるようになると、机下 きか のスペースも書見 しょけん 台 だい 上 じょう の棚 たな と代 か わらない役割 やくわり を果 は たすようになった[ 42] 。1620年 ねん 台 だい にケンブリッジ大学 けんぶりっじだいがく のセント・ジョンズ・カレッジが建設 けんせつ されたときに、窓際 まどぎわ に書見 しょけん 台 だい を持 も たない低 ひく めのブック・プレスが設置 せっち された[ 43] 。同時 どうじ に移動 いどう が可能 かのう な台座 だいざ が整備 せいび され、その上 うえ に立 た って高 たか いところの本 ほん を探 さが したり、腰掛 こしか けて本 ほん を読 よ むことが可能 かのう になっていた[ 44] 。台座 だいざ の登場 とうじょう により、人 ひと の手 て の届 とど かない高所 こうしょ も本 ほん を収納 しゅうのう するためのスペースとして有効 ゆうこう 活用 かつよう されるようになった[ 44] 。印刷 いんさつ 技術 ぎじゅつ の発達 はったつ により、本 ほん の入手 にゅうしゅ が容易 ようい になったことで相対 そうたい 的 てき に本 ほん の価値 かち は下 さ がり、鎖 くさり でつなぎ止 と める意義 いぎ も薄 うす れていった[ 45] 。これに伴 ともな い、机 つくえ と書棚 しょだな を組 く み合 あ わせておく必要 ひつよう もなくなってきたことから本棚 ほんだな は次第 しだい に現代 げんだい の形 かたち へと変化 へんか していった[ 45] 。
アゴスティーノ・ラメッリ が考案 こうあん した水車 みずぐるま 式 しき の回転 かいてん 式 しき 書見 しょけん 台 だい 。ラメリは自著 じちょ で場所 ばしょ を移動 いどう せず、何 なん 冊 さつ もの本 ほん を読 よ むことができると自賛 じさん した[ 46] 。
一方 いっぽう 、個人 こじん の家 いえ や書斎 しょさい にて本 ほん を収納 しゅうのう する場合 ばあい は、使用 しよう 頻度 ひんど の低 ひく い本 ほん や高価 こうか な本 ほん はチェストへ、高 たか いものは机上 きじょう などにむき出 だ しにするか、壁 かべ に腕木 うでき などで作成 さくせい した簡易 かんい の棚 たな へ置 お かれることが多 おお かった[ 47] 。17世紀 せいき 以前 いぜん に私的 してき 蔵書 ぞうしょ が数 すう 十 じゅう 冊 さつ を越 こ えることはまれであり、一般 いっぱん 的 てき にはチェストや小棚 こたな への平 たいら 置 お きで事 こと が足 た りていたと考 かんが えられている[ 48] 。ドイツ、オランダ、スペイン、イギリスなどでは図書館 としょかん などでの慣習 かんしゅう にならい、前 ぜん 小口 こぐち を外 そと に向 む けて並 なら べることが一般 いっぱん 的 てき で、蔵書 ぞうしょ が増 ふ えるに従 したが って本 ほん の識別 しきべつ のために題名 だいめい や分類 ぶんるい を表 あらわ す記号 きごう や図絵 ずえ などが装飾 そうしょく されることがあった[ 49] 。対 たい してフランスやイタリアでは16世紀 せいき 末 まつ ごろより本 ほん の背 せ を外 そと に向 む けて本棚 ほんだな に収納 しゅうのう し、背 せ 部分 ぶぶん に著者 ちょしゃ 名 めい や題名 だいめい などを書 か き加 くわ えて識別 しきべつ する行動 こうどう が見 み られるようになった[ 50] 。この頃 ころ には、本 ほん の配列 はいれつ にもこだわりを見 み せる蔵書 ぞうしょ 家 か が現 あらわ れるようになる[ 51] 。17世紀 せいき のイギリスで最大 さいだい 級 きゅう の蔵書 ぞうしょ を所有 しょゆう していた作家 さっか サミュエル・ピープスは、本 ほん のサイズによって収納 しゅうのう する位置 いち を整理 せいり するよう本 ほん を並 なら べた[ 52] 。
日本 にっぽん において個人 こじん 宅 たく に設置 せっち される本棚 ほんだな は室町 むろまち 時代 じだい 末期 まっき には既 すで に存在 そんざい していたと考 かんが えられている[ 53] 。しかし生活 せいかつ 史 し 研究 けんきゅう 家 か の小泉 こいずみ 和子 かずこ はこうした棚 たな は一種 いっしゅ の飾 かざ りであって、実際 じっさい に書物 しょもつ を収納 しゅうのう することを目的 もくてき として活用 かつよう されたのは箱 はこ や櫃 ひつ が主流 しゅりゅう であったと述 の べている[ 54] 。現代 げんだい の一般 いっぱん 家庭 かてい に見 み る本棚 ほんだな が普及 ふきゅう したのは大正 たいしょう 時代 じだい 後半 こうはん に入 はい ってからで、関東大震災 かんとうだいしんさい を契機 けいき に広 ひろ がったと推察 すいさつ されている[ 53] 。このころの本棚 ほんだな は読了 どくりょう した書籍 しょせき を分類 ぶんるい して収 おさ める為 ため に使用 しよう されたが、昭和 しょうわ 初期 しょき に入 はい ると円本 えんもと をはじめとした棚 たな に並 なら べることを前提 ぜんてい とした書籍 しょせき が登場 とうじょう するようになり、本棚 ほんだな の目的 もくてき と用途 ようと に変化 へんか が見 み られるようになった[ 55] 。塩原 しおばら 亜紀 あき は2002年 ねん に発表 はっぴょう した論文 ろんぶん の中 なか でこうした変化 へんか について接客 せっきゃく スペースを兼 か ねた公的 こうてき 空間 くうかん に設置 せっち されることの多 おお かった書斎 しょさい は、他人 たにん に自己 じこ の知識 ちしき 教養 きょうよう を見 み せる場 ば となり、「円本 えんぽん 」の登場 とうじょう はそうしたニーズに合致 がっち したのだと述 の べている[ 56] 。
中国 ちゅうごく 最古 さいこ の書庫 しょこ 天 てん 一 いち 閣 かく の本棚 ほんだな 。平 ひら 積 づ みされラベルによりタイトルがわかるようになっている。
グランサムの聖 せい ウルフラム教会 きょうかい (英語 えいご 版 ばん ) の書庫 しょこ 。背 せ 表紙 ひょうし は本 ほん の裏側 うらがわ とみなされ、タイトルが付 つ けられてなかったため、小口 こぐち にタイトルを付 つ けて、小口 こぐち 側 がわ が見 み えるように並 なら べられた。
小口 こぐち に描 えが かれた絵 え (小 しょう 口絵 くちえ (英語 えいご 版 ばん ) )[ 57]
本棚 ほんだな に冊子 さっし 本 ほん を置 お くときは、多 おお くの場合 ばあい 、縦 たて 向 む きに本 ほん を置 お き、背 せ 表紙 ひょうし を手前 てまえ 側 がわ に向 む ける。そうすることで、背 せ 表紙 ひょうし に書 か かれている書名 しょめい や書籍 しょせき 番号 ばんごう が一目瞭然 いちもくりょうぜん で、望 のぞ みの書籍 しょせき に辿 たど りつくための平均 へいきん 時間 じかん が短 みじか くなり、見 み つかった時 とき も、1冊 さつ だけ単独 たんどく で、簡単 かんたん に取 と り出 だ せる。背 せ 表紙 ひょうし が見 み えない状態 じょうたい で置 お いてしまったり、平 たい らに置 お いてしまったりすると、個々 ここ の書名 しょめい が判 わか らず、結局 けっきょく は書籍 しょせき (の山 やま )をわざわざ取 と り出 だ しては確認 かくにん するという作業 さぎょう を繰 く り返 かえ さないと見 み つけられず、相当 そうとう な重労働 じゅうろうどう になり、検索 けんさく 時間 じかん も長 なが くなる。 ただし、糸 いと で縫 ぬ うように綴 と じた古 ふる い和書 わしょ などは構造 こうぞう が柔 やわ らかくて立 た たず、背 せ 表紙 ひょうし に書名 しょめい は書 か かれていないので、平 たい らに置 お くほうが向 む いている。和書 わしょ の場合 ばあい 、かわりに、棚 たな にしっかりと分類 ぶんるい 項目 こうもく を書 か く(ラベルなどを貼 は る)などして検索 けんさく しやすくする。江戸 えど 時代 じだい の行政 ぎょうせい 機関 きかん などでも、書籍 しょせき や帳簿 ちょうぼ 類 るい などを書棚 しょだな に平 たい らに積 つ んでいた。
洋書 ようしょ では、留 と め金 がね や装飾 そうしょく が多 おお い初期 しょき の本 ほん が作 つく られていた頃 ころ は、並 なら べたり、重 かさ ねたりすると傷 きず がつくため、一 いち 冊 さつ ごとに平 ひらめ 置 お きにされた[ 58] [ 59] 。16世紀 せいき まで、本 ほん は平 たいら 置 お きされるのが普通 ふつう で、本 ほん を取 と り出 だ したりするときに床 ゆか と接触 せっしょく して擦 ず れないよう表紙 ひょうし の4隅 すみ や中央 ちゅうおう に飾 かざ り鋲 びょう が取 と り付 つ けられたり、小口 こぐち 側 がわ に装飾 そうしょく やタイトルが付 つ けられ、背 せ 表紙 ひょうし の上下 じょうげ 端 はし を保護 ほご する花 はな 布 ぬの (headband) を付 つ けるなどの工夫 くふう が行 おこな われた[ 60] 。
一般 いっぱん の家庭 かてい ではあまり利用 りよう されない本棚 ほんだな の種類 しゅるい としては以下 いか のようなものがある[ 61] 。通常 つうじょう は図書館 としょかん の書庫 しょこ のように、限 かぎ られたスペースに大量 たいりょう の本 ほん を収 おさ める必要 ひつよう がある際 さい に使用 しよう される[ 61] 。
移動 いどう 書架 しょか を採用 さいよう した図書館 としょかん の書庫 しょこ
本棚 ほんだな 下部 かぶ や上部 じょうぶ に取 と り付 つ けたローラーやレールで、本棚 ほんだな や開口 かいこう 部 ぶ を移動 いどう させることで収納 しゅうのう することに特 とく 化 か した本棚 ほんだな を移動 いどう 書架 しょか 、可動 かどう 書架 しょか などと呼 よ ぶ[ 62] 。ウィリアム・グラッドストン は適切 てきせつ な方法 ほうほう で建設 けんせつ された部屋 へや であればその体積 たいせき の五 ご 分 ぶん の三 さん を本 ほん で埋 う め尽 つ くすことが出来 でき ると自著 じちょ で発表 はっぴょう している[ 63] 。こうした方式 ほうしき は1930年 ねん ごろにトロント中央 ちゅうおう 貸出 かしだし 図書館 としょかん の書庫 しょこ で採用 さいよう された[ 64] 。しかし、必要 ひつよう な本棚 ほんだな が飛 と び出 だ す方式 ほうしき は、本 ほん が飛 と び出 だ して別 べつ の棚 たな に引 ひ っかかるという問題 もんだい を孕 はら んでいたため、人間 にんげん が通 とお る通路 つうろ を可変 かへん させる現代 げんだい の方式 ほうしき が広 ひろ く普及 ふきゅう した[ 65] 。現代 げんだい では誤 あやま って本棚 ほんだな に押 お しつぶされたりしないよう、これらに精巧 せいこう な安全 あんぜん 装置 そうち を取 と り付 つ けたものが本 ほん を多数 たすう 収納 しゅうのう する必要 ひつよう がある施設 しせつ などでは利用 りよう されている[ 66] 。
大 だい 規模 きぼ な図書館 としょかん 等 とう で人員 じんいん の省力 しょうりょく 化 か や防災 ぼうさい 管理 かんり のために運搬 うんぱん ロボットが専用 せんよう の書庫 しょこ から図書 としょ の入 はい ったコンテナを窓口 まどぐち まで運 はこ ぶものがある[ 67] 。通常 つうじょう 人間 にんげん がその書庫 しょこ に入室 にゅうしつ することは設備 せつび 保守 ほしゅ の時 とき 以外 いがい はない[ 67] 。
利便 りべん 性 せい の向上 こうじょう という観点 かんてん からは、どの方向 ほうこう からでも本 ほん を取 と ることができるようにした回転 かいてん 式 しき 書架 しょか がある[ 68] 。これヴィクトリア朝 あさ 後期 こうき に開発 かいはつ された書架 しょか で、参考 さんこう 図書 としょ の収納 しゅうのう を主 おも 目的 もくてき に製作 せいさく された[ 68] 。キャスターを取 と り付 つ けて移動 いどう を可能 かのう にした種類 しゅるい もあり、図書館 としょかん や書斎 しょさい の中 なか を移動 いどう させることができる場合 ばあい もある[ 68] 。
^ ラテン語 らてんご armariumはキケロ 、ウィトルウィウス などによって貴重 きちょう 品 ひん や本 ほん 、家財道具 かざいどうぐ などをしまい込 こ む家具 かぐ を指 さ して使用 しよう されていた[ 25] 。
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