泊とまり母子ぼし殺人さつじん事件じけん

泊とまり母子ぼし殺人さつじん事件じけん（とまりぼしさつじんじけん）とは、1962年ねん7月がつ7日にちにアメリカ占領せんりょう下かの沖縄おきなわの那覇なは市しで発生はっせいした尊属そんぞく殺人さつじん・強盗ごうとう殺人さつじん事件じけん。

概要がいよう

1962年ねん7月がつ7日にち正午しょうご、那覇なは市し泊はくの住宅じゅうたくで母はは（48歳さい）と子こ（13歳さい）の刺殺しさつ体たいが発見はっけんされた。同居どうきょしていたはずの被害ひがい者しゃの息子むすこ（23歳さい）が行方ゆくえ知しれずになっていたので、琉球りゅうきゅう警察けいさつは重要じゅうよう参考さんこう人じんとして行方ゆくえを追おっていた。

7月がつ9日にちに彼かれは出頭しゅっとうし、母子ぼし殺害さつがいを自供じきょうしたため直ただちに逮捕たいほされた。

事件じけんの動機どうき

犯人はんにんである息子むすこは、他人たにんの給料きゅうりょうを二に度ども横領おうりょうして使つかい込こむなど、金銭きんせん面めんでだらしないところがあり、それが原因げんいんで前まえの職場しょくばを辞やめていた。今回こんかいも同僚どうりょうの送別そうべつ会かいの会費かいひを使つかい込こみ、まさに進退しんたい窮きわまった状態じょうたいであった。

7月がつ7日にち、この日ひの夜よるに送別そうべつ会かいが開ひらかれることになっていた。午前ごぜん3時じ、犯人はんにんは就寝しゅうしん中ちゅうの母親ははおやの首くびや胸むねを刺さして殺害さつがいし、その腹巻はらまきから12ドルを奪うばった。そのとき、弟おとうとが目めを覚さましたので、口くち封ふうじのために弟おとうとも刺さし殺ころした。

裁判さいばん

犯人はんにんは殺人さつじん・尊属そんぞく殺人さつじん・強盗ごうとう殺人さつじんで起訴きそされ、一いち・二に審しんとも死刑しけい判決はんけつが下くだった。しかし、当時とうじ高等こうとう弁務べんむ官かんに死刑しけいの執行しっこうや恩赦おんしゃの権限けんげんが与あたえられており、琉球りゅうきゅう列島れっとう高等こうとう弁務べんむ官かんは死し一等いっとうを減げんじて彼かれを無期むき懲役ちょうえきに減刑げんけいした。

参考さんこう文献ぶんけん

• 比嘉ひか朝ちょう進すすむ 『戦後せんご50年ねん犯罪はんざい史し』 1995年ねん
• 兼けん島方しまかた信しん 『苦悩くのうする裁判官さいばんかん 米まい軍ぐん統治とうち下かにおける裁判さいばん』 1998年ねん