為なせば成なる

為なせば成なる（なせばなる）は、古代こだい中国ちゅうごくからのことわざ。

概要がいよう

どんなことでも強つよい意志いしを持もって取とり組くんだならば、成なし遂とげることができるということを意味いみする。

歴史れきし

中国ちゅうごく

書しょ経けい太ふとし甲かぶと下したに、慮おもんばからなければ何なにを獲えることができるのだろうか、為なさなければ何なにを成なすことができるのだろうかというようなことが書かかれており、物事ものごととは思慮しりょを十分じゅうぶんにめぐらし、進すすんで実行じっこうするということが大切たいせつであるということが説とかれている。これは殷いんの宰相さいしょうである伊い尹いんが太ふとし甲かぶとに進言しんげんした言葉ことばであった。

日本にっぽん

武田たけだ信玄しんげん

武田たけだ信玄しんげんによって詠よまれたものの中なかに、為なせば成なる事柄ことがらであり為なさなければ成ならない事柄ことがらを成ならないであろうと捨すてる者ものはむなしいというようなことを意味いみする歌うたがある。この歌うたでは努力どりょくをしないで諦あきらめてしまう人ひとの気持きもちを戒いましめている。

上杉うえすぎ治憲はるのり

上杉うえすぎ治憲はるのりによって読よまれたものの中なかには、何事なにごとも為なせば成なるし為なさなければ成ならないのであり、人間にんげんの駄目だめなところは為なさないことであるというようなことを意味いみする歌うたがある。現代げんだいの日本にっぽんにおいてのことわざである為なせば成なるは、上杉うえすぎ治憲はるのりのこの歌うたが出典しゅってんであると広ひろく知しられている。上杉うえすぎ治憲はるのりは18世紀せいきの米沢よねざわ藩はんの藩主はんしゅであり、破綻はたんした藩はんの財政ざいせいを立たて直なおした人物じんぶつとして知しられる。この詠よまれた歌うたは家臣かしんに対たいして教訓きょうくんとして与あたえられた言葉ことばであり、何事なにごとも努力どりょくすれば実現じつげんするのであり、実現じつげんしていないのは努力どりょくしていないからであるということを伝つたえている。上杉うえすぎ治憲はるのりは長男ちょうなんの上杉うえすぎ顕あらわ孝こうへの藩主はんしゅとしての教育きょういくに情熱じょうねつを注そそぐ。1785年ねんに上杉うえすぎ顕あらわ孝こうは跡継あとつぎとなる。この時ときに上杉うえすぎ治憲はるのりは上杉うえすぎ顕あらわ孝こうの周まわりに仕つかえる家臣かしんに対たいして14か条じょうの壁書へきしょを示しめして、この歌うたを添そえていた。上杉うえすぎ治憲はるのりの住すんでいた餐霞館かんは明治めいじより公園こうえんとなり、1970年ねんに上杉うえすぎ治憲はるのりが初はつ入部にゅうぶして200年ねんを記念きねんして庭園ていえんが整備せいびされ、歌うたが刻きざまれた顕彰けんしょう碑ひが建たてられる。