球体きゅうたい関節かんせつ人形にんぎょう

球体きゅうたい関節かんせつ人形にんぎょう（きゅうたいかんせつにんぎょう）とは、関節かんせつ部ぶが球体きゅうたいによって形成けいせいされている人形にんぎょうの総称そうしょう。その特徴とくちょうから、自在じざいなポーズを取とらせることが可能かのうである。関節かんせつ部ぶが球体きゅうたいによって形成けいせいされている人体じんたい以外いがいの塑像そぞう作品さくひんを含ふくむ。

球体きゅうたい関節かんせつは、デッサン人形にんぎょうやマネキンなどの実用じつよう的てきな用途ようとの人形にんぎょうのほか、市販しはんされている玩具おもちゃ・模型もけいメーカー製せいの人形にんぎょうにも取とり入いれられているが、人形にんぎょう作家さっかによって制作せいさくされた、鑑賞かんしょう価値かちを認みとめられた作品さくひんを「球体きゅうたい関節かんせつ作品さくひん」「創作そうさく球体きゅうたい関節かんせつ人形にんぎょう」と呼よぶ場合ばあいがある。

歴史れきし

関節かんせつ部ぶに球体きゅうたいを備そなえた人形にんぎょうの起源きげんは不明ふめいだが、アルブレヒト・デューラー（ドイツ語ご: Albrecht Dürer, 1471年ねん 5月21日にち - 1528年ねん 4月がつ6日にち）が制作せいさくしたとされるデッサン用ようの人形にんぎょうには球体きゅうたい関節かんせつが備そなえられている^[1]。ドイツやフランスでは19世紀せいき後半こうはんからビスク製せいの頭部とうぶを持もつ玩具おもちゃ人形にんぎょうに球体きゅうたい関節かんせつが使用しようされるようになり、20世紀せいき以降いこうは様々さまざまな素材そざいの人形にんぎょうに応用おうようされるようになった。

日本にっぽんでも戦前せんぜん、平田ひらた郷ごう陽ようによって制作せいさくされた市松いちまつ人形にんぎょうに、球体きゅうたい関節かんせつ構造こうぞうを備そなえた自由じゆう人形にんぎょうと呼よばれるものがある。美術びじゅつ作品さくひんとしては、ハンス・ベルメールが制作せいさくした腹部ふくぶに球体きゅうたい関節かんせつを組くみ込こんだ人形にんぎょう作品さくひんを1949年ねん、「人形にんぎょうの遊あそび Les jeux de la pupée」で発表はっぴょうし、1965年ねん、澁澤しぶさわ龍彦たつひこが雑誌ざっし「新しん婦人ふじん」にベルメールの作品さくひんを紹介しょうかいしたことによって、土井どい典のりや四谷よつやシモンが球体きゅうたい関節かんせつ人形にんぎょうを本格ほんかく的てきに制作せいさくすることになり、鑑賞かんしょうの対象たいしょうとされるようになった^[2]。

ポリウレタンレジンで作つくってゴムひもで組くみ立たてる商業しょうぎょう化かされ大衆たいしゅう化かした現代げんだい球体きゅうたい関節かんせつ人形にんぎょうは、日本にっぽんのボークスでスーパードルフィーというブランド名めいで1999年ねんに初はじめて開発かいはつされた^[3]。その後ご、韓国かんこくや中国ちゅうごくをはじめ、世界せかい各地かくちに数すう多おおくの現代げんだい球体きゅうたい関節かんせつ人形にんぎょうメーカーや個人こじん作家さっかが生うまれた。彼かれらもボークスのようにポリウレタンレジンを使つかって作つくり、ゴムひもで組くみ立たてる方式ほうしきで球体きゅうたい関節かんせつ人形にんぎょうを作つくっている。

現在げんざいでは、ボークスだけでなく無数むすうに多おおくの球体きゅうたい関節かんせつ人形にんぎょうメーカーや個人こじん作家さっかが韓国かんこく、日本にっぽん、中国ちゅうごくをはじめとする様々さまざまな国くにに存在そんざいする。

構造こうぞう

ビスクドールのような球体きゅうたい関節かんせつ人形にんぎょう（ハリー・ウィッター・フリーズ1914年ねん撮影さつえい）

球体きゅうたい関節かんせつ人形にんぎょうでは関節かんせつ部ぶが球体きゅうたいとなっており、木製もくせい・樹脂じゅし等とうでできたヒンジを組くみ合あわせたものや、ゴム紐ひもの力ちからで受うけと呼よばれる部分ぶぶんに接続せつぞくしているもの等とうがある^[4]。手てを通とおるゴム紐ひもは両りょう肩かたを介かいして両手りょうてに接続せつぞくしている^[4]。足あしを通とおるゴム紐ひもは頭部とうぶを介かいして両足りょうあしに接続せつぞくしている^[4]。

腕うでのパーツ
ドールアイ
髪かみの毛けのパーツ

その素材そざいは様々さまざまで、メーカー製せいのものは主おもにウレタン樹脂じゅしが用ようされるが、PVC（ポリ塩化えんかビニル）やプラスチックが用ようされる場合ばあいもある。作家さっかによるハンドメイド作品さくひんは、石粉いしこ粘土ねんど、磁器じきに用もちいられるポーセリンスリップ（磁土じど）、樹脂じゅし粘土ねんど等とうで造つくられることが多おおい。また骨董こっとう西洋せいよう人形にんぎょう（ビスク・ドール）の技法ぎほうを援用えんようして、眼球がんきゅうにガラス、アクリル樹脂じゅしなどのドールアイを用もちい、人ひと毛げ・羊毛ようもう・化学かがく繊維せんいを用もちいたウィッグ等とうで髪かみを表現ひょうげんする。