租税 法
この |
歴史
ドイツ、アメリカ
体系
租税 法 序説 (税法 基礎 理論 、租税 基礎 法 )租税 法 全体 に関 する基本 的 な問題 を扱 う部分 [注釈 1]。租税 実体 法 (租税 債務 法 )納税 義務 者 、課税 物件 、課税 標準 、税率 等 の納税 義務 (租税 債務 )が成立 するための要件 (課税 要件 )を扱 う部分 。所得 税法 、法人 税法 、相続 税法 等 といった個々 の租税 法 が該当 する。租税 手続 法 (租税 行政 法 )納税 義務 の確定 ・履行 、租税 の徴収 の手続 きに関 する内容 を扱 う部分 。国税 通則 法 、国税 徴収 法 が該当 する。租税 訴訟 法 (租税 救済 法 )租税 法 に基 づく更正 や決定 等 の各種 処分 に対 する訴訟 等 に関 する救済 制度 の内容 を扱 う部分 。個々 の租税 法 や国税 通則 法 の関連 規定 等 が該当 する。租税 処罰 法 (租税 制裁 法 )租税 犯 とその処罰 に関 する内容 を扱 う部分 。個々 の租税 法 や国税 通則 法 の関連 規定 等 が該当 する。
また、
租税 法律 関係
性質
租税 権力 関係 説 - オットー・マイヤーを
中心 とするドイツの行政 法学 者 間 の伝統 的 な学説 であり、租税 債務 関係 を国民 が国家 の課税 権 に服従 する関係 、国家 に対 して優越 的 な地位 を与 える関係 とみる考 え方 である[5][6]。
ドイツでは、1926
特色
法定 債務 租税 債務 は法定 債務 であり、私法 上 の債務 とは違 い、当事 者 の合意 によってその内容 が決 まるわけではない[11]。
種々 の特権 租税 の確定 や徴収 は公平 ・確実 ・迅速 に行 う必要 があるため、債権 者 である国家 の側 に、私法 上 の債権 者 にはない種々 の特権 が留保 されている[11]。
基本 原則
法 源
日本
憲法 日本国 憲法 において租税 に関 して重要 な条項 は、租税 法律 主義 を規定 する第 30条 、第 84条 と、租税 公平 主義 を規定 する第 14条 である。なお、憲法 を法 源 としない考 え方 もある[21]。法律 租税 法律 主義 の原則 により、租税 に関 する事項 は法律 で規定 しなければならないため、法律 が租税 法 の法 源 の中心 となる。命令 (政令 ・省令 )租税 法 においても命令 が認 められ、法律 と並 ぶ法 源 となっている[注釈 2]。告示 租税 法 に関 する告示 の一部 には、法律 に定 める課税 要件 の規定 が補充 される場合 があり、そうした告示 も法 源 の一種 とされる。条例 ・規則 地方 公共 団体 が地方 税 の賦課 ・徴収 をするには、地方 税法 の規定 に基 づき、地方 税 の税目 等 を条例 に定 め、その条例 の施行 に関 して必要 な事項 を規則 で定 める必要 があるため、地方 税法 の法 源 となる。条約 国際 間 の二 重 課税 を防止 すること等 を目的 として、諸 外国 との間 に租税 条約 が締結 されており、これも法 源 となる。判例 最高 裁判所 の判例 の積 み重 ねによって判例 法 が形成 されているような場合 には、判例 も租税 法 の法 源 の一種 として認 められている面 もあるが、法律 そのものではないため、租税 法律 主義 の観点 から、その法 源 性 は限定 的 だとされる。
通達 通達 (特 に租税 法 の解釈 に関 する通達 )は、実際 の租税 に関 する業務 や問題 解決 に利用 され、その果 たす機能 は大 きいが、あくまでも行政 組織 内部 で拘束 力 を有 する命令 ・指令 であり、国民 に対 して拘束 力 を持 つ法令 ではないため、租税 法 の法 源 とはならない[注釈 3]。
アメリカ合衆国
また、アメリカの
内国 歳入 法 (Internal Revenue Code)- アメリカの
連邦 税 (日本 の国税 に相当 )については、日本 の所得 税法 、法人 税法 、消費 税法 等 のように独立 した法律 となっておらず、内国 歳入 法 に一本 化 されている[28]。 規則 (Regulations)アメリカ合衆国 財務省 (Department of Treasury)が発行 する内国 歳入 法 に対 する解釈 等 を示 したものであり、最高裁判所 により違法 判決 が出 されない限 りは法的 拘束 力 を有 する。日本 の命令 や通達 に近 いものである。個別 通達 (Revenue Rulings)アメリカ合衆国 内国 歳入 庁 (Internal Revenue Service)が発行 する規則 の具体 的 処理 方法 等 を示 したものである。判例 (Court decisions)英国 法 を継承 しているため、判例 も強 い影響 力 を有 する。条約 (Tax treaty)- アメリカでは、
日本 と同様 に諸 外国 との間 に租税 条約 を締結 しているが、日本 と違 い、国内 法 と国際 間 条約 が同 順位 となり、後 法 優先 となる。また、州 によっては、租税 条約 に反 する規定 を有 している場合 がある。
適用 範囲
地域 的 限界 (地域 的 適用 範囲 )租税 法 は、租税 法 を制定 した国 または地方 公共 団体 の権限 が及 ぶ全 地域 に対 して効力 を有 する。人的 限界 (人的 適用 範囲 )租税 法 は、租税 法 の効力 の及 ぶ地域 内 のすべての者 に対 して効力 を有 する。時間 的 限界 (時間 的 適用 範囲 )租税 法 は、施行 によって効力 を有 する。
法 解釈
1976
概念
借用 概念
固有 概念
租税 法学
隣接 科学
憲法 学 租税 に関 する立法 及 び執行 は全 て日本国 憲法 の下 にあるため、租税 法 上 の諸 問題 については憲法 の諸 規定 を研究 する必要 がある[55][56]。行政 法学 租税 法学 は行政 法学 から独立 したものであり、租税 手続 きは行政 手続 きの一種 であるから、特 に租税 手続 法 の研究 は行政 法学 と密接 な関係 がある[55][57]。私法 学 ・民事 法学 租税 は民法 や会社 法 などに規定 された私人 の経済 活動 が対象 となるため、私法 とは極 めて深 い関係 を持 つ[57][58]。租税 政策 学 租税 政策 学 とは、財政 学 と租税 法学 の中間 に位置 し、租税 の分野 における立法 学 である[59]。財政 学 財政 学 における租税 論 は、経済 学 の観点 から租税 制度 の経済 学 的 側面 を研究 するものであり、租税 制度 や租税 の立法 過程 に対 して重要 な影響 を与 える[58][60][61]。会計 学 会計 学 のうち企業 の財政 状態 や利益 を測定 する計算 原理 や計算 制度 を研究 するもののうち、企業 の利益 となる課税 所得 の算定 に関 する部分 を租税 会計 論 という[58][62][63]。
国際 租税 法
また、
試験 科目
国家 公務員
脚注
注釈
- ^
個別 の租税 法 の内容 は他 の独立 した記事 で説明 することになるので、当 記事 で取 り扱 う内容 は主 にこの部分 に関 するものが中心 となる。 - ^
一般 に政令 は「施行 令 」、省令 は「施行 規則 」と呼 ばれる。ただし、1964年 (昭和 39年 )以前 は政令 を「施行 規則 」、省令 を「施行 細則 」と呼 んでいた[22]。 - ^ ただし、
通達 に基 づいて課税 処分 が行 われた場合 であっても、その通達 の内容 が法律 の正 しい解釈 と合致 している場合 には、法律 に基 づいて行 われた課税 処分 とされる[25]。 - ^
旧 ドイツ租税 調整 法 は、1977年 の「租税 基本 法 (Abgabenordnung)」の改正 に際 して吸収 統一 され、この規定 は承継 されなかった[41]。
出典
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