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腫瘍学 - Wikipedia

腫瘍しゅようがく

医学いがくいち分野ぶんや

腫瘍しゅようがく(しゅようがく、英語えいご: oncology)はがん(がん)や肉腫にくしゅなどの「腫瘍しゅよう」にかんする医学いがく研究けんきゅう分野ぶんやである。

概説がいせつ

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腫瘍しゅようがく英語えいごではオンコロジーという。oncologyのかたりギリシャの"onkos"(かたまり物体ぶったい腫瘍しゅようという意味いみ)のかたりに"study of"を意味いみする接尾せつびの"-ology"をけたものである。

欧米おうべいでは腫瘍しゅようがくせんもんにしている医師いしを"oncologist"とぶ。外科げか手術しゅじゅつおこな腫瘍しゅようを"surgical oncologist"、放射線ほうしゃせん治療ちりょうおこなうものを"radiation oncologist"、抗癌剤こうがんざいによる化学かがく療法りょうほう専門せんもんとするものを"medical oncologist"、心理しんり社会しゃかいがくてき療法りょうほうもち患者かんじゃをサポートするものは"psychosocial oncologist"とぶ。一方いっぽう日本にっぽんにおいては、腫瘍しゅようがくという診療しんりょう存在そんざいするのは数少かずすくなく、かく診療しんりょうがそれぞれおこなっているのが現状げんじょうである。米国べいこくでは腫瘍しゅようといった場合ばあいは、おも悪性あくせい腫瘍しゅよう診断しんだん化学かがく療法りょうほう専門せんもんとし「腫瘍しゅよう内科ないか」というかたり相当そうとうする(前述ぜんじゅつのごとく、外科げかてき治療ちりょう放射線ほうしゃせん治療ちりょうべつ専門せんもんとなる)。

この「腫瘍しゅようがく」のページであつか事柄ことがらつぎしめす:

  • がん診断しんだん
  • 外科げかてき治療ちりょうほうたとえば化学かがく療法りょうほう放射線ほうしゃせん療法りょうほうあるいはその療法りょうほう - 日本にっぽんでは"しゅうがくてき治療ちりょう"(multidisciplinary therapy)というかたりこのんで使用しようされる)
  • 治療ちりょう成功せいこうしたがん患者かんじゃのフォローアップ(術後じゅつご定期ていき健診けんしん
  • 終末しゅうまつ患者かんじゃにおける疼痛とうつう緩和かんわ治療ちりょう
  • がん治療ちりょう倫理りんりじょう問題もんだい
  • がん検診けんしん
    • 集団しゅうだん検診けんしん
    • 患者かんじゃ親族しんぞくへの疫学えきがく調査ちょうさとく乳癌にゅうがん

米国べいこくのoncologistはときとして、理学りがく療法りょうほう精神せいしんカウンセリング、臨床りんしょう遺伝いでんがくなど、患者かんじゃしゅうがくてき治療ちりょうのコーディネートをおこな役割やくわりたす。一方いっぽう、oncologistはがん生理学せいりがくてき性質せいしつるために、病理びょうり学者がくしゃ連携れんけいして治療ちりょうおこなう。外科げか手術しゅじゅつ放射線ほうしゃせん治療ちりょうおこなわない臨床りんしょう腫瘍しゅよう抗癌剤こうがんざい治療ちりょう治療ちりょう選択せんたく主体しゅたいとなる。

腫瘍しゅようがく心理しんりてき側面そくめんからのアプローチをになうサイコオンコロジー(精神せいしん腫瘍しゅようがく)も提唱ていしょうされるようになっている[1]

日本にっぽんではoncologistがこのようなコーディネートをおこなうという形式けいしきではなく、すうにん外科げか放射線ほうしゃせん治療ちりょうなどを中心ちゅうしんとしたチーム医療いりょうおこなわれるのが通常つうじょうであり、専門医せんもんいすくない小規模しょうきぼ施設しせつでは外科げか中心ちゅうしんとなることがおおい。これは日本にっぽんにおいてmedical oncologist(腫瘍しゅよう内科ないか)、radiation oncologist(放射線ほうしゃせん腫瘍しゅよう治療ちりょう)の専門医せんもんい極端きょくたんすくないからである。日本にっぽん放射線ほうしゃせん腫瘍しゅよう学会がっかい認定にんていやく500にんしかいない。また薬物やくぶつ療法りょうほう専門せんもんとする日本にっぽん臨牀腫瘍しゅよう学会がっかい専門医せんもんい認定にんてい制度せいど開始かいしされたばかりにすぎない。精神せいしんカウンセリングを担当たんとうするものいたっては、臨床りんしょう現場げんばにほとんど存在そんざいしていない実情じつじょうがあった。そのため精神せいしん腫瘍しゅようがく講座こうざかく大学だいがくげられ、一部いちぶ医療いりょう機関きかんでは精神せいしん腫瘍しゅよう開設かいせつされている。

腫瘍しゅよう診断しんだん

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いままでの診療しんりょう歴史れきしからみて、もっとも重要じゅうよう診断しんだん手段しゅだん症状しょうじょう不定ふてい愁訴しゅうそ疲労ひろう体重たいじゅう減少げんしょう原因げんいん不明ふめい貧血ひんけつそのがん付随ふずいした症状しょうじょう)である。しばしば健康けんこう診断しんだんによって局在きょくざいせい悪性あくせい腫瘍しゅよう発見はっけんされる。

診断しんだん方法ほうほうつぎしめす。

診断しんだんだけにとどまらず、これらの診断しんだん結果けっか(とくにCTぞう)は手術しゅじゅつ可能かのうせいたとえは腫瘍しゅようぜん摘出てきしゅつ可能かのうかの決定けっていにしばしば使用しようされる。

一般いっぱんてきに(Biopsyによる)組織そしき検査けんさ厳密げんみつがんかた判定はんてい基本きほんであると理解りかいされている。組織そしき検査けんさ不可能ふかのう場合ばあいは、(検査けんさ判定はんていなしなので)対症療法たいしょうりょうほうりうる手段しゅだんとなる。

ときとして、はら発癌はつがんつからず、このような場合ばあいは"原発げんぱつ不明ふめい"とばれる。特殊とくしゅ画像がぞう診断しんだん(18F-FDG PET)は対症療法たいしょうりょうほうでの特定とくていさいやくつ。

OJPC福祉ふくしいぬ育成いくせい協会きょうかい白浜しらはま育成いくせいセンターの佐藤さとう悠二ゆうじ明海大学めいかいだいがく外崎そとざきはじめいちによれば、がん患者かんじゃ呼気こき特有とくゆう臭気しゅうきる「がん探知たんちけん」の訓練くんれん成功せいこうしたが、実用じつようはまだされていないという。

腫瘍しゅよう分類ぶんるい

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診断しんだん結果けっか分類ぶんるいされ、治療ちりょう方針ほうしん反映はんえいされる。大別たいべつすると組織そしきがくてき分類ぶんるいやまい(ステージ)分類ぶんるいとがある。前者ぜんしゃについては、がん転移てんいするので発見はっけんされた組織そしき正常せいじょう細胞さいぼうとはその特性とくせいことなる場合ばあいがあるのでがん細胞さいぼう組織そしきがくてき分類ぶんるい治療ちりょう方針ほうしん立案りつあんのよりどころのひとつとなる。いいかえるならば、組織そしきがくてき分類ぶんるいげん発癌はつがんかんする分類ぶんるいともいえる。

後者こうしゃかんしては現在げんざい病態びょうたい把握はあくすることが目的もくてきであり、その把握はあくによってりうる治療ちりょう方法ほうほう選択せんたく患者かんじゃについての判断はんだん基準きじゅんとなる。

組織そしきがくてき分類ぶんるい

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おおまかにって

である。

なお、脳腫瘍のうしゅようについては浸潤しんじゅんしめさない狭義きょうぎ悪性あくせい腫瘍しゅようであっても、増殖ぞうしょくによるのう組織そしき圧迫あっぱく致死ちしてきになる場合ばあいがあるので、悪性あくせい腫瘍しゅようとは分類ぶんるいけた。

組織そしきがくてき分類ぶんるいについては組織そしきがたこうくわしい。

やまい分類ぶんるい

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やまい分類ぶんるいはステージともいいあらわされる。はら発癌はつがん種類しゅるいごとに分類ぶんるい基準きじゅんことなるので、ステージをことなるがん種類しゅるいあいだ比較ひかくする場合ばあい注意ちゅうい必要ひつようである。普通ふつうは、0あるいはI~IVのローマ数字すうじあらわされ、かずおおきいほど進行しんこうがんである。ローマ数字すうじえい小文字こもじけ("IVa", "IVb"とう)分類ぶんるいされる。

TNM分類ぶんるい

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国際こくさいたいがん連合れんごう(UICC)によるやまい分類ぶんるいである。分類ぶんるい指標しひょうとして

  • はら発癌はつがん規模きぼ(T)
  • 近傍きんぼうリンパぶしへの浸潤しんじゅん度合どあい(N)
  • 遠隔えんかく転移てんい度合どあい(M)

もちいて、かく項目こうもく度合どあいをT,M,Nに数字すうじあるいは分類ぶんるい不能ふのうをあらわす"X"を併記へいきする。(れい;T3N0M1)

TNM分類ぶんるい一覧いちらん;英語えいご

腫瘍しゅよう治療ちりょう

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どのよう治療ちりょうほう必要ひつようになるかは腫瘍しゅよう性質せいしつ完全かんぜん依存いぞんする。症状しょうじょうによっては(急性きゅうせい白血病はっけつびょうなどでは)呼吸こきゅう管理かんり化学かがく療法りょうほうからはじめる必要ひつようがあるが、それ以外いがいはまず通常つうじょう健康けんこう診断しんだん血液けつえき検査けんさ対応たいおうする。

大抵たいてい場合ばあいは、外科げかてき手術しゅじゅつ腫瘍しゅようぜん摘出てきしゅつこころみる。手術しゅじゅつにより、実際じっさいにかなりのかくりつ腫瘍しゅよう除去じょきょすることができる。しかしのこりの場合ばあいには、しばしば手術しゅじゅつ不可能ふかのうである。その理由りゆうは、いたところ転移てんいしていたり、腫瘍しゅよう基幹きかん組織そしき浸潤しんじゅんしていたりで、患者かんじゃ生命せいめいおびやかすことなしに手術しゅじゅつができない場合ばあいである。またさん例外れいがいもあり、卵巣らんそうがん場合ばあい腫瘍しゅよう組織そしきすべ摘出てきしゅつできなくとも、外科げか手術しゅじゅつによって病状びょうじょう好転こうてんする。このよう方法ほうほうを(腫瘍しゅよう組織そしき総量そうりょう減少げんしょうさせるので)減量げんりょう手術しゅじゅつぶ。

臓器ぞうき切除せつじょにより機能きのう形態けいたいそこなわれ、生活せいかつしつQuality of Life)がいちじるしく低下ていかする腫瘍しゅよう場合ばあいは、できるだけ臓器ぞうき温存おんぞんのぞまれる。あたま頚部けいぶ腫瘍しゅようなどでは、切除せつじょにより嚥下えんか発声はっせい外観がいかんなどがそこなわれるため、早期そうきがん場合ばあい、まず放射線ほうしゃせん治療ちりょうでの制御せいぎょ選択せんたくされ、放射線ほうしゃせん治療ちりょう制御せいぎょ困難こんなん進行しんこうれいでは切除せつじょじゅつ選択せんたくされる場合ばあいおおい。

また切除せつじょじゅつ放射線ほうしゃせん治療ちりょう化学かがく療法りょうほう単独たんどくでは制御せいぎょ困難こんなん進行しんこうれいでは、かく治療ちりょうほうわせたしゅうがくてき治療ちりょう検討けんとうされる(じゅつぜん照射しょうしゃ化学かがく療法りょうほう)、術後じゅつご照射しょうしゃ化学かがく療法りょうほう)、化学かがく放射線ほうしゃせん療法りょうほう(chemoradiotherapy))。詳細しょうさいについてはかく療法りょうほう項目こうもく参照さんしょうのこと。

あるしゅ腫瘍しゅようには免疫めんえき療法りょうほう感受性かんじゅせいがあるものも存在そんざいする。現時点げんじてんでは、免疫めんえき療法りょうほう単独たんどくでの腫瘍しゅよう制御せいぎょまではいたっていないが、症状しょうじょう緩和かんわしゅうがくてき治療ちりょう一環いっかんとして実施じっしされ、さかんに研究けんきゅうがなされている。

最近さいきん研究けんきゅう腫瘍しゅよう酸素さんそてると破壊はかいされるということがわかっている。放射線ほうしゃせん治療ちりょう化学かがく療法りょうほうおこなうえてくる副作用ふくさよう酸素さんそ療法りょうほうにはないため最先端さいせんたん治療ちりょうとして期待きたいされている。

抗癌剤こうがんざい副作用ふくさようきびしい場合ばあいには漢方薬かんぽうやくによる治療ちりょうが1つの手段しゅだんとしてがる。漢方薬かんぽうやく利用りようすることによって過剰かじょう服薬ふくやく医療いりょう抑制よくせいおこなうことができる[2]

術後じゅつご検診けんしん

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oncologistの仕事しごとりょうおおきな部分ぶぶん治療ちりょう成功せいこうした患者かんじゃ術後じゅつご定期ていき検診けんしんめる。がん治療ちりょうわせてき部分ぶぶんおおく、余命よめい生活せいかつしつ改善かいぜん早期そうき再発さいはつ発見はっけんかっている。そして、定期ていき健診けんしん期間きかん余命よめいがん性質せいしつ依存いぞんする。腫瘍しゅようがく専門せんもん領域りょういきで、"がん"と腫瘍しゅようがあり、それはがん治療ちりょう結果けっかによりべつ腫瘍しゅよう発生はっせいすることである。がん発生はっせいりつ化学かがく療法りょうほうのスケジュールや毒性どくせいひくさにより改善かいぜんされる。しかし、以前いぜんがん罹患りかんした患者かんじゃにおけるがん発生はっせいりつ一般いっぱん人々ひとびとくらべて、大幅おおはばたかりつしめす。

日本にっぽんにおいてはがん統計とうけいじょう、おおむね術後じゅつご5ねんをもって治癒ちゆとみなしている。ちなみにがん治療ちりょう成績せいせき使用しようされる5ねん生存せいぞんりつは、術後じゅつご5ねん時点じてんにおいて、(再発さいはつしている、していないにかかわらず)生存せいぞんしている人数にんずう比率ひりつをさす。

終末しゅうまつ医療いりょう

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すべてのがん患者かんじゃのおおよそ50%は完治かんじすると診断しんだんされるが、おおくのがん患者かんじゃがこの疾病しっぺいにより死亡しぼうする(今日きょうでは日本にっぽん死因しいんやく30%が、がんである)。終末しゅうまつ治療ちりょうおおいに尊重そんちょうされ、専門せんもん分野ぶんやとして独立どくりつしてきているが、腫瘍しゅようがくもまたガイダンスを提供ていきょうしたり、そのさいして終末しゅうまつ治療ちりょうほどこしている。往々おうおうにして、文章ぶんしょうでは患者かんじゃ手助てだすけにならないので、むしろ患者かんじゃは"きることとちかづきつつある"について体験たいけんするほうはげましになることがおおい。そのにおいては、できうるかぎりの治療ちりょう可能かのうせいためされる。

日本にっぽんにおいては、またホスピスとして終末しゅうまつ治療ちりょう専門せんもんとする病床びょうしょう増加ぞうかしつつある。またかつては延命えんめいさまたげになるという理由りゆうモルヒネによる終末しゅうまつ疼痛とうつう治療ちりょう忌避きひされることが普通ふつうであったが、今日きょうでは終末しゅうまつ疼痛とうつう治療ちりょうはホスピスなどにおいて実践じっせんされはじめている。

日本にっぽんにおける代表だいひょうてきなホスピス施設しせつとして外部がいぶリンクの緩和かんわケア病棟びょうとうゆうする病院びょういん一覧いちらん国立こくりつがんセンター)をしめす。

WHO方式ほうしきがん疼痛とうつう治療ちりょうガイドライン

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1986ねん、WHOはがん疼痛とうつう治療ちりょうかんするReport "Cancer Pain Rerief"(がんいたみからの解放かいほう)を報告ほうこくし、がん疼痛とうつう治療ちりょうかんするあたらしいかんがかた提示ていじした。このかんがかた基本きほんとする疼痛とうつう治療ちりょうほうはWHO方式ほうしきがん疼痛とうつう治療ちりょうばれる。

WHO方式ほうしきがん疼痛とうつう治療ちりょう鎮痛ちんつうやく鎮痛ちんつう作用さよう特性とくせい考慮こうりょしてみっつの種類しゅるい分類ぶんるいし、その使用しようについて5つのガイドラインを提示ていじしている。

鎮痛ちんつうざい

  1. ステロイドせいこう炎症えんしょうやく(NSAIDs)- アスピリン、ボルタレンとう
  2. じゃくオピオイド - コデインとう
  3. つよオピオイド - MSコンチンひとし

区分くぶんされ、段階だんかいをおって選択せんたくされる。

また、使用しようガイドラインは

  • じょせい考慮こうりょした投薬とうやく方法ほうほう(by Mouth)
  • 一定いってい間隔かんかくでの投薬とうやく(by the Clock)
  • だんのぼるようにつよ鎮痛ちんつうざい選択せんたくする(by the ladder)
  • 個々人ここじん疼痛とうつう状況じょうきょうおうじて投与とうよりょう決定けっていする(for the individual)
  • 作用さよう補助ほじょあるいは副作用ふくさよう管理かんり詳細しょうさい実施じっしする(attention to detail)

である。

WHO以前いぜん鎮痛ちんつうざい使用しよう方法ほうほうは、

  1. いたみが発生はっせいしてから投薬とうやくする。
  2. 即効そっこうせい重要じゅうようなので、静脈じょうみゃく投与とうよだいいち選択せんたく
  3. オピオイドの使用しよう最終さいしゅう手段しゅだん

というものであった。

それにたいしてWHO方式ほうしきでは以下いかのような特色とくしょくって疼痛とうつう治療ちりょうがなされる。

  • いたみが発生はっせいするまえ投与とうよする。
  • 鎮痛ちんつうざいちゅう濃度のうど必要ひつようりょうだけを継続けいぞくてき維持いじするために、静脈じょうみゃく投与とうよけ、経口けいこうあるいはざいによりじょてき計画けいかくてき投与とうよする。
  • 鎮痛ちんつうざい作用さようげんじゃくわせて、いたみがえる用量ようりょう鎮痛ちんつうざいこまかく増量ぞうりょうしてく。
  • 鎮痛ちんつう能力のうりょく天井てんじょうをもつ、NSAIDsで不十分ふじゅうぶんになったら即座そくざ鎮痛ちんつう能力のうりょく天井てんじょうがないオピオイドけい鎮痛ちんつうざいえてゆく。
  • 便秘べんぴなど鎮痛ちんつうざい副作用ふくさようたいしては、鎮痛ちんつうざいらすのではなく、鎮痛ちんつう補助ほじょざい使用しようして鎮痛ちんつうざいりょう維持いじしながら副作用ふくさよう改善かいぜんする。

WHO方式ほうしき疼痛とうつう治療ちりょう末期まっき限定げんていされるものではなく、早期そうきにおいても疼痛とうつう発生はっせいする場合ばあい適用てきようされるべきものである。

倫理りんりじょう問題もんだい

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oncologistはしばしば、倫理りんりうえ疑問ぎもんやジレンマに遭遇そうぐうする。たとえば、実際じっさいおっとあるいはつま疾病しっぺいについて患者かんじゃはなすべきかどうか?人体じんたい実験じっけんてき治療ちりょうがあることをはなすべきかどうか?(安楽あんらくとそうでないとにかかわらず)患者かんじゃ早期そうきのぞむことにどのようにうのがただしいのか?などである。

また、抗癌剤こうがんざい治療ちりょう研究けんきゅうする臨床りんしょう腫瘍しゅようおも研究けんきゅう対象たいしょう抗癌剤こうがんざいわせ療法りょうほうにある。また、「既存きそん化学かがく療法りょうほう効果こうか期待きたいできず、患者かんじゃ延命えんめいたいして多少たしょうのリスクは容認ようにんする」というかんがかたにより開発かいはつ途上とじょう治験ちけんやく利用りようさせる場面ばめんおおい。これはあたらしい治療ちりょうほう開拓かいたくするというめんだけではなく、製薬せいやく会社かいしゃ臨床りんしょう試験しけんといういちめんつ。このため、米国べいこく臨床りんしょう腫瘍しゅよう学会がっかいASCO(American Society of Clinical Oncology)でも製薬せいやく会社かいしゃ巨大きょだい資本しほん影響えいきょう介入かいにゅうけられない問題もんだいがある。

腫瘍しゅようがく研究けんきゅう進歩しんぽ

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腫瘍しゅようがく最前線さいぜんせんで、腫瘍しゅよう細胞さいぼう生物せいぶつがくから化学かがく療法りょうほう投薬とうやく方法ほうほうあるいは疼痛とうつう治療ちりょう鎮痛ちんつう最適さいてきなどの領域りょういきわたって、膨大ぼうだいりょう研究けんきゅう実践じっせんされている。このことにより腫瘍しゅようがくはエキサイティングで変化へんかつづける学問がくもん領域りょういきとなっている[よう検証けんしょう]

代替だいたい治療ちりょう

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すうおおくの治療ちりょうほう患者かんじゃためされている。そのなかいくつかは医学いがくかいからはうたがわしいとされているものもある。たとえば、レアトリル®としてられている、アプリコットのたねから抽出ちゅうしゅつされるアミグタリンがある。ほかにもハーブ製剤せいざいなど種々しゅじゅ生薬きぐすり試行しこうされている。ある外科げか投与とうよ方法ほうほう改良かいりょうした、IPTとりゃくすインスリン増強ぞうきょう療法りょうほうで、化学かがく療法りょうほうおおくの実績じっせきげたと主張しゅちょうしている。

ほかにも人体じんたい免疫めんえきけい賦活ふかつし、がんたいする治癒ちゆ能力のうりょくたかめることを原理げんりとする種々しゅじゅこころみがある。あいにくなことに、おおくのがん細胞さいぼう表面ひょうめん自己じこ認識にんしき抗原こうげんは、まったく健康けんこうなオリジナルな細胞さいぼうのものとそっくりなので、ほとんどの免疫めんえき療法りょうほう大抵たいていがんには効果こうかがない。

ある患者かんじゃは、ビジュアル自己じこ催眠さいみん)といったような補助ほじょ療法りょうほうという呼称こしょうられている方法ほうほうためすものもいる。このようにひろ実践じっせんされているが明確めいかく効果こうかがないので、それらのおおくは、やってもがいがないというだけである。患者かんじゃ医学いがくてき治療ちりょうけているのであれば、精神せいしん安寧あんねいをサポートする意味いみがあるかもしれない。

ただし、近年きんねん西洋せいよう医学いがく代替だいたい医療いりょうわせた統合とうごう医療いりょうによってがん治療ちりょうおこなうことがさかんになってきており、日本にっぽんでも一部いちぶ医療いりょう機関きかんによってはじめられている。

心理しんり社会しゃかい腫瘍しゅようがく精神せいしん神経しんけい免疫めんえきがくもとづいて、カウンセリングにより患者かんじゃ心理しんりめんをサポートすることにより、治癒ちゆ効果こうかたかめたり生活せいかつしつ(QOL)をたかめることを目的もくてきとした治療ちりょうおこなわれている。創始そうししゃカール・サイモントンにちなんでサイモントン療法りょうほうばれる。

免疫めんえき療法りょうほうも、開発かいはつ臨床りんしょう試験しけんすすんで医療いりょう機関きかんもちいられはじめており、高度こうど先進せんしん医療いりょう指定していされているものもある。

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ もと明寛あきひろ中高年ちゅうこうねんのこころの健康けんこうがく金子かねこ書房しょぼう、2006ねん、87ぺーじ
  2. ^ 2017/4/24づけ 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん 朝刊ちょうかん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • Vickers, A. Alternative Cancer Cures: "Unproven" or "Disproven"? CA Cancer J Clin 2004 54: 110-118. Full text online

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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