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行政指導 - Wikipedia

行政ぎょうせい指導しどう(ぎょうせいしどう)とは、日本にっぽん行政ぎょうせいほうがくもちいられる概念がいねんであり、行政ぎょうせい手続てつづきほうは、行政ぎょうせい機関きかんどうほう2じょう5ごう)がその任務にんむまた所掌しょしょう事務じむ範囲はんいないにおいて一定いってい行政ぎょうせい目的もくてき実現じつげんするため特定とくていもの一定いってい作為さくいまた不作為ふさくいもとめる指導しどう勧告かんこく助言じょげんその行為こういであって処分しょぶん該当がいとうしないものをいうと定義ていぎしている(どうじょう6ごう)。日本にっぽん特有とくゆう概念がいねんであるため、英語えいご表記ひょうきは"Gyosei-Shido" としるされる[1]

概要がいよう

編集へんしゅう

行政ぎょうせい指導しどう相手方あいてがたは、これにしたが法律ほうりつじょう義務ぎむうわけではないが、日本にっぽんでは、事業じぎょうしゃがその事業じぎょうかんする規制きせい所管しょかんする行政ぎょうせい機関きかんから行政ぎょうせい指導しどうけたような場合ばあいには、行政ぎょうせい機関きかんとの関係かんけい悪化あっかすれば以後いご事業じぎょう活動かつどう支障ししょうしょうることを懸念けねんして、行政ぎょうせい指導しどう不当ふとうかんがえてもこれに服従ふくじゅうするという対応たいおうをとることがおおかった。このことが、ぎゃく行政ぎょうせい機関きかん業界ぎょうかいとのあいだになれいや不透明ふとうめい癒着ゆちゃくんだともいわれ、外国がいこく企業きぎょう新規しんき企業きぎょうによる市場いちば参入さんにゅうさまたげる要因よういんひとつにげられることもあった。

そこで、1993ねんにおいて行政ぎょうせい手続てつづきほうは、32じょうから36じょうまでに、行政ぎょうせい指導しどう任意にんいせい内容ないよう責任せきにんしゃ明示めいじ基準きじゅん明確めいかくなどの行政ぎょうせい指導しどうかんする基本きほんてき規整きせいしめした。

行政ぎょうせい指導しどう実効じっこうせい確保かくほ手段しゅだんとして、行政ぎょうせい指導しどうしたがわない場合ばあい行政ぎょうせい指導しどうされた場合ばあいに、それらの事実じじつ氏名しめいとう公表こうひょうすることによる社会しゃかいてき制裁せいさいせられることがある[2]

ちなみに、けた行政ぎょうせい指導しどう不服ふふくがある場合ばあい行政ぎょうせい処分しょぶんとはことなり、行政ぎょうせい不服ふふく審査しんさほうもとづく不服ふふく申立もうしたてて(異議いぎ申立もうしたてておよび審査しんさ請求せいきゅう)や行政ぎょうせい事件じけん訴訟そしょうほうもとづく抗告こうこく訴訟そしょうおこなうことはできないのが原則げんそくとされている。行政ぎょうせい指導しどうはそもそも任意にんいであるので、不服ふふくであればしたがわなければよく、それでなんらかの処分しょぶんけた場合ばあいには、その処分しょぶんたいする不服ふふく申立もうしたとう手段しゅだんをとることができるからである。医療いりょうほう30じょうの7にもとづく知事ちじ勧告かんこく(=行政ぎょうせい指導しどう)が、行政ぎょうせい事件じけん訴訟そしょうほうもとづく抗告こうこく訴訟そしょう対象たいしょうとなりうることをみとめた判例はんれいがある(さいはんひらめ17・7・15みんしゅう59-6-1661行政ぎょうせい判例はんれいひゃくせんだい5はんⅡ‐167)が、これは行政ぎょうせい指導しどうについて抗告こうこく訴訟そしょうみとめたというより、しょ事情じじょう勘案かんあんした結果けっか形式けいしきてきには行政ぎょうせい指導しどうでも事実じじつじょう行政ぎょうせい処分しょぶんその公権力こうけんりょく行使こうし」(=抗告こうこく訴訟そしょう対象たいしょう)にたると判断はんだんした事例じれいである。

他方たほう行政ぎょうせい指導しどうによりなんらかの損害そんがいこうむった場合ばあいは、国家こっか賠償ばいしょうほうだい1じょう公権力こうけんりょく行使こうしについての賠償ばいしょう責任せきにん)の対象たいしょうとなりる。

  • 損害そんがい賠償ばいしょう (最高裁さいこうさい判例はんれい 昭和しょうわ60ねん07がつ16にち)
    行政ぎょうせい指導しどうおこなわれているとの理由りゆうだけで申請しんせいたいする処分しょぶん留保りゅうほすることは、国家こっか賠償ばいしょうほう1じょう1こう所定しょてい違法いほう行為こういとなる。
  • 教育きょういく施設しせつ負担ふたんきん返還へんかん (最高裁さいこうさい判例はんれい 平成へいせい5ねん02がつ18にち)
    指導しどう要綱ようこうしたがわない事業じぎょうぬし建築けんちくしたマンションについて水道すいどう給水きゅうすいとう拒否きょひしていたなどの事実じじつ関係かんけいしたにおいては、行政ぎょうせい指導しどう限度げんどえ、違法いほう公権力こうけんりょく行使こうしたる。

行政ぎょうせい手続てつづきほう

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  • 行政ぎょうせい指導しどう一般いっぱん原則げんそくだい32じょう
    • 行政ぎょうせい指導しどう限界げんかい(1こう
      • 任務にんむ所掌しょしょう事務じむ範囲はんいえない。
      • 任意にんい協力きょうりょく
    • 不利益ふりえき取扱とりあつかい禁止きんし(2こう
  • 申請しんせい関連かんれんする行政ぎょうせい指導しどうだい33じょう)
  • 許認可きょにんかとう権限けんげん関連かんれんする行政ぎょうせい指導しどうだい34じょう
  • 行政ぎょうせい指導しどう方式ほうしきだい35じょう
    • 行政ぎょうせい指導しどうたずさわるものは、その相手方あいてがたたいして、当該とうがい行政ぎょうせい指導しどう趣旨しゅしおよ内容ないようならびに責任せきにんしゃ明確めいかくしめさなければならない(明確めいかく原則げんそく 1こう)。
    • もとめられた場合ばあいは、書面しょめん交付こうふしなければならない。(2こう
    • 書面しょめん交付こうふ義務ぎむのない場合ばあい(3こう
      その完了かんりょうする行為こうい
      通知つうちされている事項じこう同一どういつ内容ないよう
  • 複数ふくすうもの対象たいしょうとする行政ぎょうせい指導しどうだい36じょう)
    複数ふくすうものたい行政ぎょうせい指導しどうをしようとするときは、行政ぎょうせい指導しどう指針ししんさだめ、行政ぎょうせいじょう特別とくべつ支障ししょうがないかぎり、これを公表こうひょうしなければならない。
    行政ぎょうせい指導しどう指針ししん命令めいれいとうふくまれ、同一どういつ行政ぎょうせい目的もくてき実現じつげんするため一定いってい条件じょうけん該当がいとうする複数ふくすうものたい行政ぎょうせい指導しどうをしようとするときにこれらの行政ぎょうせい指導しどう共通きょうつうしてその内容ないようとなるべき事項じこうだい2じょう 8ごう)。

種類しゅるい

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  • 助成じょせいてき行政ぎょうせい指導しどう - 私人しじんたいする情報じょうほう提供ていきょう活動かつどう助成じょせい目的もくてきとする。
れい保健ほけん指導しどう経営けいえい指導しどう農業のうぎょう指導しどう
  • 調整ちょうせいてき行政ぎょうせい指導しどう - わたし人間にんげん紛争ふんそう解決かいけつ目的もくてきとする。
れい仲介ちゅうかい斡旋あっせん
  • 規制きせいてき行政ぎょうせい指導しどう - 私人しじん活動かつどう規制きせいすることを目的もくてきとする。
れい物価ぶっか抑制よくせい

参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ Shiono, Hiroshi (1982). Administrative Guidance in Japan (Gyosei-Shido). International Review of Administrative Sciences, 48 (2): 239-246. doi: 10.1177/002085238204800215.
  2. ^ Gyosei ni yoru seisaiteki kohyo no horiron.. Amamoto,Satoshi, 1979-, 天本あまもと, 哲史てつし, 1979-. Nihonhyoronsha. (2019.12). ISBN 978-4-535-52446-0. OCLC 1138139427. https://www.worldcat.org/oclc/1138139427 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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