西にし角井かくい正ただし慶けい

西にし角井かくい 正ただし慶けい（にしつのい まさよし、1900年ねん（明治めいじ33年ねん）5月22日にち - 1971年ねん（昭和しょうわ46年ねん）1月がつ22日にち）は、埼玉さいたま県けん生うまれの国文学こくぶんがく者しゃ、民俗みんぞく学者がくしゃ。歌人かじんとしても著名ちょめいで、見沼みぬま 冬男ふゆお（みぬま ふゆお）のペンネームを持もつ。折口おりぐち信夫しのぶに師事しじし、折口おりぐち信夫しのぶの五ご博士はかせのうちの一人ひとりである。國學院大學こくがくいんだいがく教授きょうじゅ。文学ぶんがく博士はかせ。

西にし角井かくい 正ただし慶けい

人物じんぶつ情報じょうほう
生誕せいたん	(1900-05-22) 1900年ねん5月22日にち 日本にっぽん埼玉さいたま県けん北足立きたあだち郡ぐん
死没しぼつ	1971年ねん1月がつ22日にち(1971-01-22)（70歳さい没ぼつ）
出身しゅっしん校こう	國學院大學こくがくいんだいがく
学問がくもん
研究けんきゅう分野ぶんや	民俗みんぞく学がく
研究けんきゅう機関きかん	國學院大學こくがくいんだいがく

経歴けいれき

1900年ねん、埼玉さいたま県けん北足立きたあだち郡ぐん大宮おおみや町まち大字だいじ高だか鼻はな（現げん・さいたま市し大宮おおみや区く高鼻たかはな町まち）に生うまれる。1918年ねん、私立しりつ埼玉さいたま中学校ちゅうがっこう（現げん・埼玉さいたま県立けんりつ不動岡ふどうおか高等こうとう学校がっこう）卒業そつぎょう。1922年ねん、國學院大學こくがくいんだいがく国文こくぶん科かを卒業そつぎょう。

卒業そつぎょう後ご、埼玉さいたま県立けんりつ浦和うらわ高等こうとう女学校じょがっこう（現げん・埼玉さいたま県立けんりつ浦和うらわ第だい一いち女子じょし高等こうとう学校がっこう）教諭きょうゆとなる。1926年ねん、國學院大學こくがくいんだいがく神職しんしょく養成ようせい部ぶ講師こうし。1928年ねん、國學院大學こくがくいんだいがく講師こうしとなり、1935年ねん同どう大学だいがく教授きょうじゅ。1954年ねんから1958年ねんまで文学ぶんがく部長ぶちょう。1948年ねん、「日本にっぽん芸能げいのう史しに於おける鎮魂ちんこん要素ようそ」を國學院大學こくがくいんだいがくに提出ていしゅつして文学ぶんがく博士はかせの学位がくいを取得しゅとく。

1959年ねん、国際こくさい宗教しゅうきょう学会がっかいアジア・アフリカ・グループ日本にっぽん委員いいん会かい委員いいん。1960年ねん、神道しんとう宗教しゅうきょう学会がっかい会長かいちょう。1965年ねん、折口おりぐち博士はかせ記念きねん古代こだい研究所けんきゅうじょ所長しょちょう。

受賞じゅしょう・栄典えいてん

• 1967年ねん：紫綬褒章しじゅほうしょう受章じゅしょう。

西にし角井つのい家か

西にし角井つのい家かは明治めいじ以前いぜんは代々だいだい、大宮おおみや氷川神社ひかわじんじゃの社家しゃけを務つとめ、埼玉さいたま県けん大麻たいま（おおぬさ）頒布はんぷ事務所じむしょを務つとめる名門めいもんであった。父ちち・正男まさおは國學院大學こくがくいんだいがく卒業そつぎょう後ご、埼玉さいたま師範しはん学校がっこう教諭きょうゆ、一時いちじは大宮おおみや町長ちょうちょうも務つとめ、さらに氷川神社ひかわじんじゃ禰宜ねぎから上総かずさ一宮いちのみや玉前たまさき神社じんじゃ宮司ぐうじになっていた。母はは・佐登子さとこは、國學院大學こくがくいんだいがく学長がくちょう河野こうの省三しょうぞうの姉あねで、女子じょし学習がくしゅう院いんでは貞明皇后ていめいこうごうと同期どうきであった。西にし角井かくい正ただし慶けいは、折口おりぐち信夫しのぶより「よい星ほしの下したに生うまれた人ひと」といわれた。

エピソード

• 愛称あいしょうは「角すみさん」。
• 西にし角井かくいは代々だいだい「正ただし」の字じを受うけ継ついでいる。子供こどもたちも、正大せいだい（長男ちょうなん）・正彦まさひこ（次男じなん）・正文せいぶん（三男さんなん）である。ちなみに、長男ちょうなんの西にし角井つのい正大せいだいは実践女子大学じっせんじょしだいがく教授きょうじゅとして民俗みんぞく芸能げいのうを教おしえた。立教大学りっきょうだいがく教授きょうじゅ・宗教しゅうきょう学者がくしゃの藤田ふじた富雄とみおは女婿じょせい。
• 大宮おおみや尋常じんじょう小学校しょうがっこう時代じだいは泣なき虫むしだったらしい。中学校ちゅうがっこう時代じだいは陸上りくじょう短距離たんきょり走はしの選手せんしゅであった。
• 民俗みんぞく学がくや作歌さっかを通つうじて折口おりぐち信夫しのぶに可愛かわいがられた。折口おりぐちは西にし角井つのいのためわざわざ東京とうきょう女子じょし高等こうとう学園がくえんの作歌さっかの講師こうしとなり、後のちにその職しょくを西にし角井つのいに譲ゆずった。新任しんにん講師こうし紹介しょうかいの際さい、折口おりぐちに褒ほめられすぎて教壇きょうだんから転ころがり落おち、女おんな生徒せいとたちから笑わらわれたという。
• 魚さかな嫌ぎらいの肉にく好すきで、特とくに生魚なまざかなが苦手にがてであった。神官しんかんにならなかったのも、神前しんぜんに供そなえる生魚なまざかなで気分きぶんが悪わるくなるためである。ただしサンマ、塩鮭しおざけ、くさやなどは口くちにした。晩年ばんねんはマグロの赤身あかみ、鯛たいの刺身さしみまでは口くちに出来できるようになった。
• 家いえが茅ちがや舎しゃであったためか、火ひの用心ようじんについてはうるさかった。
• 折口おりぐちの影響えいきょうで「アララギ」に入会にゅうかいし、見沼みぬま冬男ふゆおのペンネームで和歌わかを詠よんでいる。ただし、大正たいしょう7年ねん（1918年ねん）から大正たいしょう10年ねん（1921年ねん）までが活動かつどうのピークで、戦争せんそう中ちゅうに見沼みぬま冬男ふゆおは自殺じさつしたことになり、戦後せんごは戯じゃれ歌かしか作つくらなかった。ただ明治めいじ神宮じんぐうの献詠けんえい歌か撰者せんじゃは戦後せんごも長ながく務つとめた。

著書ちょしょ

単たん著ちょ

• 『神楽かぐら研究けんきゅう』壬生みぶ書院しょいん、1934年ねん5月がつ。 
• 『神楽かぐら歌か研究けんきゅう』畝傍うねび書房しょぼう、1941年ねん5月がつ。 
• 『村むらの遊あそび』三さん国こく書房しょぼう〈女性じょせい叢書そうしょ〉、1943年ねん5月がつ。 
  • 『村むらの遊あそび』ジープ社しゃ、1950年ねん8月がつ。 
  • 『村むらの遊あそび 民俗みんぞく芸能げいのうの見方みかた』岩崎いわさき美術びじゅつ社しゃ〈民俗みんぞく民芸みんげい双書そうしょ 10〉、1966年ねん11月。 
  • 『村むらの遊あそび』岩崎いわさき美術びじゅつ社しゃ〈民俗みんぞく民芸みんげい双書そうしょ〉、1977年ねん4月がつ。 
• 『祭祀さいし概論がいろん』神社じんじゃ新報しんぽう社しゃ、1957年ねん10月がつ。 
• 『古代こだい祭祀さいしと文学ぶんがく』中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ、1966年ねん9月がつ。 

編集へんしゅう

• 『まつり』誠まこと文ぶん堂どう新光しんこう社しゃ〈こども百科ひゃっか 50〉、1956年ねん1月がつ。 
• 『年中ねんじゅう行事ぎょうじ辞典じてん』東京とうきょう堂どう出版しゅっぱん、1958年ねん5月がつ。 
• 『日本にっぽん・東洋とうよう文芸ぶんげい』誠まこと文ぶん堂どう新光しんこう社しゃ〈玉川たまがわ百科ひゃっか大だい辞典じてん 15〉、1960年ねん9月がつ。 

共著きょうちょ

• 高崎たかさき正ただし秀しゅう、西にし角井かくい正ただし慶けい『民衆みんしゅう歌人かじん』非凡ひぼん閣かく〈作者さくしゃ別べつ万葉集まんようしゅう評釈ひょうしゃく 第だい8巻かん〉、1936年ねん5月がつ。 

共編きょうへん

• 西にし角井かくい正ただし慶けい・新しん間あいだ進一しんいち・志田しだ延のべ義よし編へん 編へん『日本にっぽんの歌謡かよう』角川書店かどかわしょてん〈日本にっぽん古典こてん鑑賞かんしょう講座こうざ 第だい14巻かん〉、1959年ねん8月がつ。 

参考さんこう文献ぶんけん

• 長野ながの甞一「学者がくしゃ評判ひょうばん記き」『解釈かいしゃくと鑑賞かんしょう』第だい29巻かん第だい14号ごう 1964年ねん12月がつ号ごう
• 「西にし角井かくい正ただし慶けい先生せんせい略歴りゃくれき」『神道しんとう宗教しゅうきょう』第だい65・66号ごう 1972年ねん1月がつ
• 大場おおば磐雄いわお「西にし角井かくい正ただし慶けい先生せんせい追悼ついとう 西にし角井かくい正ただし慶けいさんのみたまにささげる詞し」『芸能げいのう』第だい13巻かん第だい2号ごう 1971年ねん2月がつ
• 阿部あべ正路まさじ「西にし角井かくい正ただし慶けい」『芸能げいのう』第だい31巻かん第だい10号ごう、1989年ねん、24-26頁ぺーじ、NAID 40000967004。 

外部がいぶリンク

• 『西にし角井かくい正ただし慶けい』 - コトバンク
• 『西にし角井かくい 正ただし慶けい』 - コトバンク