スタンザ

スタンザ（伊い: stanza, 連れんまたは節ふし）は詩し節ぶしとも呼よばれ、文学ぶんがくや音楽おんがくの歌詞かしにおいて、定型ていけい詩し（ていけいし）を構成こうせいする数すう行ぎょうを、1つのまとまりとしてとらえるための単位たんいである。

概要がいよう

スタンザはイタリア語ごで「部屋へや」を意味いみする "stanza" が語源ごげんである。日本にっぽんでは連れん（れん）と訳やくされることもある。さらに複数ふくすうの連れんをまとめたものを節ふし（せつ）や詩し節ぶし（しせつ）ともいう。歌詞かしの中なかの節ふしは、通常つうじょう「番ばん」と呼よばれ、「この歌うたの歌詞かしは3番ばんまである。」などという。

英語えいごなどの言語げんごでは、言語げんごが内包ないほうするシラブルから生うまれるリズム、つまり韻律いんりつ（いんりつ）を活用かつようして作つくられる韻文いんぶん（いんぶん）に対たいする用語ようごである。通説つうせつとしては、「韻いんを踏ふむ（いんをふむ）」語句ごく、すなわち押韻おういん（おういん）を含ふくんだ、4行ぎょう以上いじょうからなる詩しに対たいして使つかう。行くだりと行くだりのあいだに空白くうはくやインデントが置おかれている場合ばあいは、その前後ぜんごのまとまりはそれぞれ別べつのスタンザであるととらえる。空白くうはくの行いか句読点くとうてんでスタンザを区切くぎるのが印刷いんさつ上じょうの慣習かんしゅうなので、現代げんだい詩しのほとんどは、印刷いんさつされたページ上じょうでスタンザを恣意しい的てきに表あらわすことが可能かのうである。

スタンザを用もちいた実例じつれい

文学ぶんがくに使つかわれるスタンザ

14行ぎょうで構成こうせいされたソネットのように、必かならずしもスタンザとスタンザのあいだに空白くうはくやインデントがあるとは限かぎらない。

イングランド王国おうこくの詩人しじん、シェイクスピアの『ソネット集しゅう』から「ソネット18番ばん」より（原典げんてんはウィキソースを参照さんしょう：「ソネット18番ばん」）。

 Shall I compare thee to a summer's day?
 Thou art more lovely and more temperate:
 Rough winds do shake the darling buds of May,
 And summer's lease hath all too short a date:
 Sometime too hot the eye of heaven shines.
 And often is his gold complexion dimm'd,
 And every fair from fair sometime declines,
 By chance, or nature's changing course untrimm'd.
 But thy eternal summer shall not fade,
 Nor lose possession of that fair thou ow'st;
 Nor shall death brag thou wander'st in his shade,
 When in eternal lines to time thou grow'st;
     So long as men can breathe, or eyes can see.
     So long lives this, and this gives life to thee.

押韻おういん部分ぶぶんをみると、四よん行ぎょう連れんによる3つのスタンザ、つまりABAB形式けいしきの連続れんぞく（ABAB CDCD EFEF）と、二に行ぎょう連れんによる1つのスタンザ（GG）を組くみ合あわせた、合計ごうけい4つのスタンザからなるソネットである。

音楽おんがくに使つかわれるスタンザ

スタンザは歌うたの歌詞かしにおいても成立せいりつすることがある。

イギリスのロックバンド、ザ・ビートルズの楽曲がっきょく「ヘイ・ジュード」より。

ヴァース1……第だい1スタンザ

bad
-ter
heart
-ter

ヴァース2……第だい2スタンザ

-fraid
her
skin
-ter

ヴァース1とヴァース2をスタンザとしてとらえると、どちらも押韻おういん構成こうせいがABCB形式けいしきに一致いっちしている。

関連かんれん項目こうもく

• ストローフィ……自由じゆう詩しにおける連れん、節ふし
• パラグラフ……スタンザが定型ていけい詩しの「行くだり」をまとめるに対たいし、散文さんぶんの「文ぶん」をまとめる役割やくわり