(Translated by https://www.hiragana.jp/)
講談社X文庫ティーンズハート - Wikipedia

講談社こうだんしゃX文庫ぶんこティーンズハート

講談社こうだんしゃ刊行かんこうしていた日本にっぽん文庫ぶんこレーベル

講談社こうだんしゃX文庫ぶんこティーンズハート(こうだんしゃエックスぶんこティーンズハート)は、講談社こうだんしゃ発行はっこうしていたライトノベルけい少女しょうじょ小説しょうせつけい文庫ぶんこレーベル。

概要がいよう

編集へんしゅう

当初とうしょ講談社こうだんしゃはタレントほんやノベライズを中心ちゅうしんとする講談社こうだんしゃX文庫ぶんこのレーベルをっており、そのサブレーベルとして1987ねん創設そうせつされたのがティーンズハートである。コバルト文庫ぶんこ集英社しゅうえいしゃ)にくらべてややひくめの年齢ねんれいそうをターゲットとし、改行かいぎょう多用たようするみやすい文体ぶんたい作品さくひんおおかった。

その、ティーンズハート以外いがい講談社こうだんしゃX文庫ぶんこはほとんど発刊はっかんされず、1991ねんホワイトハート創設そうせつまでは事実じじつじょう講談社こうだんしゃX文庫ぶんこ=ティーンズハートという状態じょうたいつづいていた。

1980年代ねんだいまつから1990年代ねんだい初頭しょとうにかけての少女しょうじょ小説しょうせつブームにあって、コバルト文庫ぶんこパレット文庫ぶんこ小学館しょうがくかん)とともにブームの絶頂ぜっちょうをきずきあげたレーベルである。統一とういつされたピンク色ぴんくいろ表紙ひょうし(1996ねん12月発売はつばいぶんより、ジャンルべつに5しょく変更へんこう)とともに、小中学生しょうちゅうがくせい中心ちゅうしんとする女性じょせい読者どくしゃそうとしてすうおおくの作品さくひん発売はつばいした。

しかし少女しょうじょ小説しょうせつブームの収束しゅうそくとともに、読者どくしゃ嗜好しこう変化へんか対応たいおうできず、発行はっこう点数てんすう発行はっこう部数ぶすうともに激減げきげんしてしまう。2000ねん11月には発売はつばいペースを隔月かくげつ変更へんこう末期まっき長期ちょうきシリーズの続編ぞくへん中心ちゅうしん細々こまごますうがつすうさつ発売はつばいされていたが、2006ねん3がつに、継続けいぞくちゅうのシリーズをすべ完結かんけつさせて刊行かんこう終了しゅうりょうした。後年こうねん、コバルト文庫ぶんこやパレット文庫ぶんこ小説しょうせつジャンルや読者どくしゃそう変遷へんせんはかったながれとは対照たいしょうてきに、廃刊はいかんまで一貫いっかんして少女しょうじょ小説しょうせつ中心ちゅうしんとしてあつかっていたレーベルであった。

執筆しっぴつしゃ

編集へんしゅう

五十音ごじゅうおんじゅん著作ちょさく10さつ以上いじょう作家さっか太字ふとじ表記ひょうき

筆名ひつめい 備考びこう
愛菜あいな 花井はない愛子あいこべつ名義めいぎ
藍川あいかわ晶子あきこ
相川あいかわなぎさ
相原あいはら夏希なつき
青山あおやまえりか
秋野あきのひとみ レーベル最多さいたの121さく刊行かんこう創刊そうかん翌年よくねんの1988ねんから2006ねん廃刊はいかんまで執筆しっぴつ代表だいひょうさくつかまえて』シリーズ。
あきばむぎ
あさぎりゆう
すなるか
麻生あそうゆう
阿月あつきありあ
雨宮あまみや沙織さおり
あやせりこ
飯田いいだ雪子ゆきこ
五十嵐いがらし優美子ゆみこ
池田いけだひろしいく
石井いしいゆうみ
石井いしい敏弘としひろ
石野いしのリホコ
いずみ優二ゆうじ
井出いで千昌ちあき
伊東いとう麻紀まき
井上いのうえほのか 代表だいひょうさく『アイドルはめい探偵たんてい』シリーズ、『少年しょうねん探偵たんていセディ・エロル』シリーズ。
岩橋いわはしひさなしこう
岩田いわた麻里まり
上田うえだ美和みわ
内館うちだて牧子まきこ
うら絵夢えむ 花井はない愛子あいこべつ名義めいぎ
大江おおえ小夜さよ
大島おおしま暁美あけみ
小川おがわ夏野なつの
奥井おくいさとし
小椋おぐら恵里子えりこ
織田おだ
小野おの由美ゆみ 代表だいひょうさく悪霊あくりょう』シリーズはのち改稿かいこうされ、2010ねんよりメディアファクトリーにて再刊さいかん
折原おりはらみと 1000まんえた3にんのうちのの1人ひとり[1]代表だいひょうさくどきかがや』は1995ねん映画えいがに『アナトゥールほしでん』シリーズなど。ブームではアイドルてきされ、イメージアルバム『折原おりはらみと ティーンズハートコレクション』ではみずか歌唱かしょう担当たんとうしている。
さとし和歌子わかこ
風見かざみじゅん 創刊そうかん翌年よくねんの1988ねんから2006ねん廃刊はいかんまで執筆しっぴつ代表だいひょうさくは『幽霊ゆうれい事件じけん』シリーズ。
梶原かじはら葉月はづき
加藤かとうみのるあき
金子かねこ晴美はるみ
鎌田かまた絵里えり
かわちゆかり
川名かわな香津こうづ
川村かわむら真澄ますみ
神崎かんざきあおい 代表だいひょうさく『ヨコハマ指輪ゆびわ物語ものがたり』シリーズ。
神戸こうべあやか 花井はない愛子あいこべつ名義めいぎ
菊池きくち早苗さなえ
北原きたはらなおみ 北原きたはら尚彦なおひこべつ名義めいぎ
喜多嶋きたじまたかし
やままみ
桐野きりのまゆみ
倉橋くらはし燿子 代表だいひょうさくかぜみちしるべに…』シリーズ、『さようならこんにちは』シリーズ。
くりたりく
くれこゆう
黒川くろかわ裕也ゆうや
黒須くろすまりや
小池こいけきよみ
小泉こいずみまりえ
小寺こでら真理まり
小林こばやし深雪みゆき ブームの1990ねんから2006ねん廃刊はいかんまで執筆しっぴつし、100さく刊行かんこう。1000まんえた3にんのうちのの1人ひとり[1]代表だいひょうさく志保しほすなはて美保みほ真保しんぼシリーズなど。
今野こんのいずよし
西条さいじょうせつな
佐伯さえき瑞穂みずほ
さくらあずさ
桜沢さくらざわ恵美えみ
五月さつき祥子さちこ
佐藤さとうまさる
佐和さわみずえ
さわしま桂子けいこ
沢木さわきりょう
如衣まりや
しおざわ千絵ちえ
篠原しのはらまり
しばかぜ美子よしこ
しばたたすく
嶋田しまだあずさ
清水しみず美季みき
神保じんぼいずみ
芹沢せりざわかおる
高岡たかおかみちしげ 創刊そうかんラインナップの1人ひとり
高木たかぎあや
高橋たかはしななを
高林たかばやし真夏まなつ
たけかわきよし
立花たちばなかおる
たちばなはな
たちばなもも
田辺たなべなししゃ
谷口たにぐち恵美子えみこ
谷脇たにわきもも
ぶんけい
つきしまりお
月森つきもり花子はなこ
月森つきもりふたみ
つじともこ
がつひかる
津原つわらやすみ 津原つわらたいすい代表だいひょうさくあたしのエイリアン』シリーズ。『ルピナス探偵たんていだん』シリーズはのち改稿かいこうされ、2007ねんはら書房しょぼうより再刊さいかん
直井なおいさよこ
中尾なかおまり
中島なかじまかほり
中嶋なかじま理香りか
中田なかた早紀さき
なかつのりこ
中原なかはらすずか 代表だいひょうさく『アリス』シリーズは1998ねん、『アリスSOS』としてアニメ
なつめ
夏井なつい瑶子ようこ
奈月なつきゆう
七瀬ななせみしか
なぶらひみ
萩原はぎはら京子きょうこ
萩原はぎはら麻里まり
羽鳥はとりあさの
花井はない愛子あいこ 少女しょうじょ小説しょうせつブームの立役者たてやくしゃ。1000まんえた3にんのうちのの1人ひとり[1]代表だいひょうさくは『山田やまだババアに花束はなたば』など。「神戸こうべあやか」「うら絵夢えむ」「愛菜あいな名義めいぎでも執筆しっぴつ
馬場ばばゆみ
はやしさわこ
林葉はやしば直子なおこ 代表だいひょうさく『とんでもポリス』シリーズ。
速水はやみあや
原田はらだやよい
原田はらだ梨花りか
久木ひさきあや
こおりどうるびい
平野ひらのあや
ふじけいこ
古屋こや智子さとこ
フローレンスらん
星名ほしなアカネ
星野ほしのりかこ
牧村まきむらゆう
まついなつき
松岡まつおかやよい
松本まつもと美緒みお
真野まのともこ
うまさと邑れい
実川じつかわ朋子ともこ
水木みずきマリ
水原みずはら沙里さりころも
三田みたさくら
皆川みなかわゆか 代表だいひょうさくティー・パーティー』シリーズ、『運命うんめいのタロット』シリーズ。
宮崎みやざきしずか
宮田みやたいづみ
宮原みやはらゆう
みやもとじゅん
宮本みやもとりり
三好みよし礼子あやこ 創刊そうかんラインナップの1人ひとり
もえさとしけい
もり美樹みき
森脇もりわきみち 創刊そうかんラインナップの1人ひとり
森本もりもと由紀子ゆきこ
矢崎やさきうららよる
矢沢やざわしょう 創刊そうかんラインナップの1人ひとり大森おおもりのぞむべつ名義めいぎ[2]
矢島やじまさら
やなぎ瑠美るみ
山田やまだあゆみ
弥生やよいまゆ
ゆうきみすず 代表だいひょうさくは『とラブるトリオ』シリーズ(通称つうしょう「〇〇がこえるシリーズ」)。
ゆめ愛子あいこ
ゆめもと杏奈あんな
吉田よしだちか 創刊そうかんラインナップの1人ひとり
芳村よしむらあんず
若菜わかなさはる
若林わかばやし真紀まき

編集へんしゅう体制たいせい

編集へんしゅう

ティーンズハートの編集へんしゅう当初とうしょ講談社こうだんしゃにおいてだいさん編集へんしゅうきょく企画きかく以下いか企画きかく」)と文芸ぶんげいきょく文芸ぶんげい図書としょだいさん出版しゅっぱん(いわゆる「文三ぶんぞう」。以下いか文芸ぶんげいきょく」)にかれており[3]、それぞれにうごいていた。

文芸ぶんげいきょくまれたジュニア文庫ぶんこ企画きかくが、企画きかくのX文庫ぶんこ紹介しょうかいされたことが発端ほったんわれる[4][5]以降いこう、1992ねんに「文芸ぶんげいだいよん」として統合とうごうされるまで[6][7]毎月まいつき刊行かんこうぶつは2つの編集へんしゅう分担ぶんたんして編集へんしゅうされた。

のちにティーンズハートについて回顧かいこする発言はつげんおお花井はない愛子あいこ皆川みなかわゆか津原つわらやすみ(津原つわらたいすい)はこの企画きかく作家さっかであり、現在げんざいられている当時とうじのティーンズハートの内部ないぶ事情じじょうかんする情報じょうほうは、おも企画きかくがわのものである

おなじくティーンズハート出身しゅっしんとしてかたられることのおお小野おの由美ゆみや、男性だんせいであることをおおやけにして執筆しっぴつしていた中原なかはらすずか#レーベルの特徴とくちょう参照さんしょう)は文芸ぶんげいきょく作家さっかである。花井はない皆川みなかわはそれぞれに、この2つの編集へんしゅう作家さっか接点せってんはなかったと証言しょうげんしている[8][9]

創刊そうかん盛衰せいすい

編集へんしゅう

このこう内容ないようおもに、企画きかく作家さっかであった花井はない愛子あいこ皆川みなかわゆか津原つわらやすみ(津原つわらたいすい)の発言はつげんもとづく。

1984ねん講談社こうだんしゃX文庫ぶんこ創刊そうかん。ノベライズの文庫ぶんこであった。

このげにコピーライターとしてかかわった花井はない愛子あいこが、つづけてここから刊行かんこうされるノベライズを受注じゅちゅう、その伝手つてから新規しんき企画きかくティーンズハートへの小説しょうせつ執筆しっぴつ依頼いらいされた。 1986ねん初冬しょとうすでだい2かいまでのラインナップが決定けっていしていた時期じきである。 この時点じてんでの企画きかくは「X文庫ぶんこのブランドはそのままにして、ノベライズのほかに、オリジナルの小説しょうせつをティーンズハートのサブブランドめいでリリースしていく」というものであった[10]

1987ねん2がつティーンズハートレーベル創刊そうかん

矢沢やざわしょう名義めいぎでティーンズハートでさつ執筆しっぴつした大森おおもりのぞむいわく、ティーズハートは竹田たけだすすむ企画きかくだった[2]

高岡たかおかみちしげ『ときめいてチャンピオン』、三好みよし礼子あやこふうより元気げんき!!』、森脇もりわきみち少女しょうじょ探偵たんてい明日あしたはない』、矢沢やざわしょう『テルアキ : ふうのチェッカーフラッグ』、吉田よしだちか『初恋はつこい♥スクーターロード』の5さつである[11]。バイクやミステリを題材だいざいにしたおも三人称さんにんしょう小説しょうせつという、のレーベルの傾向けいこうとは程遠ほどとおいラインナップとなっている。

創刊そうかん2箇月かげつのラインナップについて花井はないは「ターゲットのしぼみがハンパ」「カバーのデザインが地味じみ」だったと評価ひょうかしている。花井はないは、すで隆盛りゅうせいきわめていた集英社しゅうえいしゃコバルト文庫ぶんこ傾向けいこうと、当時とうじ並行へいこうして執筆しっぴつしていた少女しょうじょ漫画まんが原作げんさく経験けいけんまえ、自著じちょをプロデュースする。ターゲットはコバルト文庫ぶんこ競合きょうごうしない、「いままでマトモに活字かつじほんんだことがない15さいちゅう3少女しょうじょ」に設定せっていされた[12]のち皆川みなかわ花井はないより、コバルト文庫ぶんこたいしての番手ばんて戦略せんりゃくだったとかされたという[5]

この戦略せんりゃくたり、またまもなく花井はない複数ふくすうペンネームを使つかけることで刊行かんこうペースをげる。毎月まいつき新刊しんかん半数はんすう花井はない著作ちょさくという状況じょうきょうとなり、また作家さっかもこの方向ほうこうせい足並あしなみをそろえることで、レーベルのカラーがさだまった。

げから数箇月すうかげつ急速きゅうそくなブームとなったことで早々そうそう販売はんばい規模きぼ拡大かくだいされ、企画きかく新刊しんかん点数てんすう確保かくほ難渋なんじゅうするようになる[5]

皆川みなかわのデビューさくは、6月の編集へんしゅうへの原稿げんこうみから紹介しょうかい改稿かいこうて、9月には刊行かんこうされている[5]。 1989ねんデビューの津原つわらは、ライターとして所属しょぞくしていた事務所じむしょへの「少女しょうじょ小説しょうせつけるひとはいないか?」との打診だしんおうじて提出ていしゅつした冒頭ぼうとう13まいのサンプルがそのまま採用さいようされデビューさくとなった[13]

また秋野あきのひとみ青山あおやまえりか小林こばやし深雪みゆきは、企画きかくえんのあったホットドッグプレス執筆しっぴつしていたライターであった[14]

皆川みなかわのちにこの状況じょうきょうを、「みの新人しんじんやライターといった有象無象うぞうむぞう無理矢理むりやりかせて、実戦じっせん投入とうにゅう」と表現ひょうげんしている[5]。 「粗製そせい濫造らんぞう」とひょうされる状況じょうきょうである[15][16]


また、読書どくしょれしていない少女しょうじょたちにもみやすいものを目指めざした作品さくひんぐんは、ときずして読者どくしゃそう年齢ねんれいげた。 読者どくしゃそう当初とうしょ中高生ちゅうこうせいから小中学生しょうちゅうがくせいへと移行いこうし、編集へんしゅう方針ほうしんてい年齢ねんれいそう迎合げいごうするようになる。以降いこうのレーベル低迷ていめい要因よういんとして、このながれが指摘してきされる[17][18][19]

読者どくしゃそう購買こうばいりょくひくてい年齢ねんれいそうへとうつったことで、毎月まいつき新刊しんかんささえられなくなったとの指摘してきもある[17]。 1991ねんごろのことであり、バブル崩壊ほうかいともな出版しゅっぱんきょう状況じょうきょう悪化あっか拍車はくしゃけた[5]

以降いこうレーベルは低迷ていめいつづけ、徐々じょじょ刊行かんこう点数てんすう発行はっこう頻度ひんどとし、2006ねん廃刊はいかんとなる。


レーベルの特徴とくちょう

編集へんしゅう

ひろ認知にんちされた特徴とくちょうとして、ピンクの表紙ひょうし少女しょうじょ漫画まんがによる表紙ひょうしイラスト、少女しょうじょ一人称いちにんしょうによるラブストーリー、「ページのした半分はんぶんがメモちょう」ともわれる極端きょくたんはんめんりつひくさがげられる。 最盛さいせいである1980年代ねんだい終盤しゅうばん刊行かんこうされた作品さくひんおおくはこれにてはまるが、レーベル最初さいしょ、また後期こうき作品さくひんには該当がいとうしないものもおおい。


少女しょうじょ漫画まんが読者どくしゃつよ訴求そきゅうする表紙ひょうし内容ないようは、初期しょき看板かんばん作家さっかとなった花井はない愛子あいこ作品さくひん傾向けいこう作家さっか追従ついしょうしたものである。 極端きょくたん改行かいぎょうおお文体ぶんたいについて花井はないは、児童じどうしょ基準きじゅん適用てきようした用字ようじ制約せいやくへの対処たいしょ、また当初とうしょ並行へいこうして執筆しっぴつしていた少女しょうじょ漫画まんが原作げんさくでの経験けいけんかした、小説しょうせつれない読者どくしゃのための可読かどくせいたかめる工夫くふうだったとかたっている[20]用字ようじ制約せいやくについては、花井はないほか皆川みなかわゆか津原つわらたいすい難渋なんじゅうしたことをそれぞれにかたっている[5][21]。 

おおくの作品さくひんは、用字ようじ制約せいやく影響えいきょうもあり仮名がなおお文体ぶんたいとなっているが、極端きょくたんはんめんりつひくいものはすくない。花井はない著作ちょさくにおいても、1990ねんはいころから改行かいぎょう減少げんしょうしている[5]少女しょうじょによる一人称いちにんしょうという形式けいしき不文ふぶんりつであった[22]われるが、少数しょうすうではあるが三人称さんにんしょう作品さくひん少年しょうねん主人公しゅじんこうとした作品さくひん刊行かんこうされている。


表紙ひょうしいろ創刊そうかんからピンクに統一とういつされていたが、1996ねん12月にリニューアルされ、ジャンルべつの4しょくとなった。

このさい作品さくひん内容ないようについてもはばひろげる方針ほうしんが、つぎのように告知こくちされた。

「ピンクは、いままでどおりティーンズのラブストーリーがメイン。グリーンは、ミステリー、ホラー、ファンタジーなどのエンタテインメント。レッドは、“ピンクのラブストーリーはもう卒業そつぎょう”というおんなのコのためのしんシリーズ。オレンジは、たのしい実用じつようです」[23]

以降いこうは、1996ねん以前いぜん刊行かんこうされた作品さくひん再版さいはんにおいてもジャンルべつ色分いろわけがされた。 秋野あきのひとみ『つかまえて』シリーズ、小野おの由美ゆみ悪霊あくりょう』シリーズ、皆川みなかわゆか『運命うんめいのタロット』シリーズなどはこのさいにグリーンへと区分くぶんされている。


また、男性だんせい作家さっか性別せいべつかさない編集へんしゅう方針ほうしん存在そんざいしたことがられている。 この方針ほうしん適用てきようされたれいとしてられるのは、企画きかく作家さっかであった津原つわらやすみ(津原つわらたいすい)、北原きたはらなおみ(北原きたはら尚彦なおひこ)などである[24][25]

これにたいし、中原なかはらすずか風見かざみじゅん男性だんせいであることをかしたうえ執筆しっぴつしていたが、かれらは文芸ぶんげいきょく作家さっかであった(#編集へんしゅう体制たいせい参照さんしょう)。


花井はない参入さんにゅうする以前いぜんのレーベル最初さいしょ刊行かんこうされた作品さくひんは、そもそもターゲットが少女しょうじょしぼられておらず、上記じょうき特徴とくちょうにはすべてはまらない。

りゃく年表ねんぴょう

編集へんしゅう

レーベルの盛衰せいすいかかわる代表だいひょうてき出来事できごとに、主要しゅよう情報じょうほうげんである花井はない愛子あいこ皆川みなかわゆか津原つわらやすみ動向どうこうしめ出来事できごとくわえる。

時期じき 出来事できごと
1984ねん 講談社こうだんしゃX文庫ぶんこ創刊そうかん
1986ねん初冬しょとう 企画きかくより、花井はない愛子あいこ執筆しっぴつ依頼いらい
1987ねん2がつ ティーンズハート創刊そうかん
1987ねん3がつ だい2かい配本はいほん
1987ねん4がつ だい3かい配本はいほん花井はない愛子あいこデビューさくいち週間しゅうかんのオリーブ』をふくむ。
1987ねん5がつ だい4かい配本はいほん花井はない愛子あいこだい2さく山田やまだババアに花束はなたば』、べつ名義めいぎ神戸こうべあやか」デビューさくふくむ。花井はない以降いこう翌年よくねんまで、名義めいぎ使つかけて毎月まいつき複数ふくすう新刊しんかん上梓じょうしする。
1987ねん3がつ 中原なかはらすずかのティーンズハートでの最初さいしょ著作ちょさく受験じゅけんくにのアリス刊行かんこう[26]
1987ねん6がつ 皆川みなかわゆか、講談社こうだんしゃ出版しゅっぱん研究所けんきゅうじょ小説しょうせつ原稿げんこうみ。企画きかくへの紹介しょうかいける。この時点じてんすでに、企画きかく毎月まいつき新刊しんかん点数てんすう確保かくほ難渋なんじゅうしている[5]
1987ねん9がつ 皆川みなかわゆかデビューさくティー・パーティー (小説しょうせつ)ぱらどっくすティー・パーティー刊行かんこう
1987ねん10がつ 神崎かんざきあおいデビューさく『Catch me!!幽霊ゆうれいくん』刊行かんこう
1988ねん 学校がっこう読書どくしょ調査ちょうさにおいて中学ちゅうがく2・3ねん女子じょし上位じょうい作品さくひん過半数かはんすう花井はない愛子あいこ著作ちょさくめる[27]。このとしだけの現象げんしょう
1988ねん2がつ 折原おりはらみとのティーンズハートでの最初さいしょ著作ちょさくゆめみるように、あいしたい』、倉橋くらはし燿子デビューさく『スウィート・リトル・ダーリン』刊行かんこう
1988ねん3がつ 林葉はやしば直子なおこデビューさく『とんでもポリスはこい泥棒どろぼう刊行かんこう
1988ねん6がつ 秋野あきのひとみデビューさく夕暮ゆうぐれどきにつかまえて』刊行かんこう
1988ねん7がつ 風見かざみじゅんのティーンズハートでの最初さいしょ著作ちょさく清里きよさと幽霊ゆうれい事件じけん刊行かんこう
1988ねん9がつ 小野おの由美ゆみデビューさく『バースデイ・イブはねむれない』刊行かんこう
1988ねん12月 花井はない愛子あいこ複数ふくすう名義めいぎによる最後さいご著作ちょさく刊行かんこう[28]以降いこう花井はない刊行かんこう速度そくどとし、すうねんでティーンズハートからフェードアウトする[29]
1989ねん 学校がっこう読書どくしょ調査ちょうさにおいて花井はない愛子あいこわり、おなじティーンズハートの倉橋くらはし燿子、折原おりはらみとの著作ちょさく上位じょういめる[30]
1989ねんごろ 少女しょうじょ小説しょうせつブーム他社たしゃより競合きょうごうレーベルの創刊そうかん相次あいつ[31]
1989ねん4がつ 津原つわらやすみデビューさくほしからきたボーイフレンド刊行かんこう
1990ねん11月 小林こばやし深雪みゆきデビューさく『ガールフレンドになりたい!!』刊行かんこう
1991ねん1がつ 折原おりはらみと『どきかがや刊行かんこう
1991ねんごろ 読者どくしゃそうてい年齢ねんれい、バブル崩壊ほうかいによる出版しゅっぱんきょうけ、げが低迷ていめい[5]
1991ねん4がつ 姉妹しまいレーベルホワイトハート創刊そうかん読者どくしゃそうてい年齢ねんれいけ、年齢ねんれいそうたか作品さくひんべつレーベルとしてはなした[5]
1992ねんなつ 文芸ぶんげいだいさんさんきょく企画きかくかれていた編集へんしゅうが「文芸ぶんげいだいよん」として統合とうごう
1993ねんごろ 読者どくしゃそうはだんだんがってきて、中学ちゅうがくいち年生ねんせい主体しゅたい」との編集へんしゅう発言はつげん[32]
1995ねん3がつ 折原おりはらみと『かがやき』映画えいが
1996ねん8がつ 花井はない愛子あいこ『ボクがいる』刊行かんこう以降いこう2002ねんまで花井はないはティーンズハートをはなれている。
1996ねん12月 津原つわらやすみのティーンズハートでの最後さいご著作ちょさく『ささやきは魔法まほう刊行かんこう
1996ねん12月 (1997ねん1がつ刊行かんこう大幅おおはばリニューアル。
2002ねん5がつ 花井はない愛子あいこすうねんぶりの新作しんさく『カレシと夜明よあけまで』刊行かんこう
2003ねん5がつ 花井はない愛子あいこのティーンズハートでの最後さいご著作ちょさく愛菜あいな名義めいぎ)『天使てんし砂時計すなどけい刊行かんこう
2004ねん7がつ 皆川みなかわゆかのティーンズハートでの最後さいご著作ちょさく『《世界せかい》。』刊行かんこう
2006ねん3がつ ティーンズハートレーベルからの最後さいご刊行かんこう


参考さんこう文献ぶんけん

編集へんしゅう

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ a b c 嵯峨さが 2016, p. 81.
  2. ^ a b 大森おおもり三村みつむら (2004ねん12月17にち). ライトノベルめった. 太田出版おおたしゅっぱん 
  3. ^ 名称めいしょう各部かくぶしょ刊行かんこうぶつ奥付おくづけ下部かぶ参照さんしょう花井はない皆川みなかわはそれぞれにりゃくして記述きじゅつしている。
  4. ^ 花井はない 2005, p. 39.
  5. ^ a b c d e f g h i j k 皆川みなかわ 2004.
  6. ^ 皆川みなかわゆかツイッターアカウント2016ねん5がつ31にち投稿とうこう”. 2020ねん5がつ23にち閲覧えつらん
  7. ^ 倉橋くらはし燿子『おんなともだち』2かん(1992ねん7月刊げっかん)は「さんくわだて」、津原つわらやすみ『あたしのエイリアン かなしみがいっぱい』(1992ねん8月刊げっかん)は「ぶん4」の編集へんしゅうであることを奥付おくづけから確認かくにんした。
  8. ^ 花井はない 2005, p. 108.
  9. ^ 皆川みなかわゆかツイッターアカウント2016ねん5がつ31にち投稿とうこう”. 2020ねん5がつ23にち閲覧えつらん
  10. ^ 花井はない 2005, p. 38.
  11. ^ 国会図書館こっかいとしょかんオンライン”. 2020ねん5がつ23にち閲覧えつらん
  12. ^ 花井はない 2005, p. 55.
  13. ^ 津原つわらたいすいツイッターアカウント2019ねん5がつ30にち投稿とうこう”. 2020ねん5がつ23にち閲覧えつらん
  14. ^ 皆川みなかわゆかツイッターアカウント2016ねん6がつ2にち投稿とうこう”. 2020ねん5がつ23にち閲覧えつらん
  15. ^ 津原つわらたいすい黄昏たそがれをあるきつづけた」講談社こうだんしゃIN POCKET2001ねん6がつごう
  16. ^ 皆川みなかわゆかツイッターアカウント2017ねん1がつ3にち投稿とうこう”. 2020ねん5がつ23にち閲覧えつらん
  17. ^ a b 早見はやみ(2) 2004.
  18. ^ 津原つわらたいすい公式こうしきサイト多目的たもくてき掲示板けいじばん2012ねん 9がつ28にち投稿とうこう”. 2020ねん5がつ23にち閲覧えつらん
  19. ^ 皆川みなかわゆかツイッターアカウント2014ねん5がつ17にち投稿とうこう”. 2020ねん5がつ23にち閲覧えつらん
  20. ^ 花井はない 2005, p. 63.
  21. ^ 津原つわらたいすいツイッターアカウント2016ねん3がつ30にち投稿とうこう”. 2020ねん5がつ23にち閲覧えつらん
  22. ^ あずま雅夫まさおへん『ホラー・ジャパネスク読本とくほん』p.56/双葉社ふたばしゃ/2006ねん小野おの由美ゆみ悪夢あくむいえ』p.240/講談社こうだんしゃ/1994ねん
  23. ^ 講談社こうだんしゃX文庫ぶんこティーンズハート広告こうこく「ティーンズハートクラブvol.9」1996ねん12月25にち発行はっこう
  24. ^ 津原つわらのちに「『女性じょせいだと誤解ごかいされる余地よちのこしてくれ』という要請ようせいはありました」と証言しょうげんしている(あずま雅夫まさおへん『ホラー・ジャパネスク読本とくほん』p.56/双葉社ふたばしゃ/2006ねん)。
  25. ^ 津原つわら北原きたはらは、編集へんしゅう要請ようせいたいし、性別せいべつ特定とくていできない筆名ひつめい、あとがきで使用しようする一人称いちにんしょう工夫くふうする、という方法ほうほうおうじた。津原つわらたいすいツイッターアカウント2019ねん5がつ24にち投稿とうこう”. 2020ねん5がつ24にち閲覧えつらん北原きたはら尚彦なおひこツイッターアカウント2020ねん5がつ24にち投稿とうこう”. 2020ねん5がつ24にち閲覧えつらん北原きたはら尚彦なおひこツイッターアカウント2020ねん5がつ24にち投稿とうこう”. 2020ねん5がつ24にち閲覧えつらん
  26. ^ 以下いか年表ねんぴょうない刊行かんこう年月としつき国会図書館こっかいとしょかんオンラインのデータにもとづく。
  27. ^ 嵯峨さが 2016, p. 69.
  28. ^ 嵯峨さが 2016, p. 68.
  29. ^ 花井はない 2005, p. 221.
  30. ^ 嵯峨さが 2016, p. 70.
  31. ^ 嵯峨さが 2016, p. 86.
  32. ^ 嵯峨さが 2016, p. 85.

関連かんれん項目こうもく

編集へんしゅう