通説つうせつ

通説つうせつ（つうせつ）は、世間せけんに広ひろく通用つうようしている説せつのことである。すなわち、いくつかの仮説かせつのうち多数たすうが支持しじしているものをさす。確定かくてい的てきであるとされる定説ていせつとは異ことなる。

自然しぜん科学かがく、人文じんぶん科学かがくや社会しゃかい科学かがくにおける通説つうせつ

自然しぜん科学かがくでは、実験じっけん・観察かんさつ・シミュレーションなどによって仮説かせつの正ただしさが証明しょうめいされ定説ていせつとなることがあるが、その証明しょうめいが困難こんなんであった場合ばあいや、証明しょうめいが困難こんなんである場合ばあいが多おおい人文じんぶん科学かがくや社会しゃかい科学かがくでは、仮説かせつのうち多数たすう派はが支持しじする説せつが「通説つうせつ」と呼よばれる。

通説つうせつの多おおくは検証けんしょう・査読さどくを経へた上うえで研究けんきゅう者しゃから支持しじされているため、十分じゅうぶんな妥当だとう性せいを有ゆうしていると言いえるが、いわゆる通念つうねん的てきな通説つうせつは必かならずしも妥当だとう性せいが保証ほしょうされず、検証けんしょう・査読さどくを経へた新説しんせつによって覆くつがえされることもある。

法学ほうがくにおける通説つうせつ

法学ほうがく上うえでは、法理ほうり論ろんないしは法ほう解釈かいしゃくにあたり学説がくせつ上うえ多数たすうに支持しじされている説せつをいう。

最高裁判所さいこうさいばんしょを頂点ちょうてんとした裁判所さいばんしょの判断はんだんとして判例はんれいで示しめされる法ほう解釈かいしゃくとの整合せいごう性せいが取とれている場合ばあいが多おおいものの、判例はんれいとは異ことなる理論りろん構成こうせいないしは解釈かいしゃくが学説がくせつ上じょうは多数たすう説せつとなっている場合ばあいも少すくなくない。その場合ばあいには、通説つうせつと言いっても裁判所さいばんしょが適用てきようする「法ほう」とは異ことなる内容ないようのものとなることとなる。

また、かつては多数たすうの見解けんかいが支持しじしていたが、今いまは支持しじされなくなってきていて、流動的りゅうどうてきな場合ばあいを「従来じゅうらいの通説つうせつ」、完全かんぜんに支持しじを失うしなって少数しょうすう見解けんかいになっている場合ばあいを「旧きゅう通説つうせつ」と呼よぶことがある。なお、通説つうせつには至いたらない場合ばあい、または通説つうせつに次ついで一定いっていの支持しじを受うけている学説がくせつを「有力ゆうりょく説せつ」と呼よぶことがある。

関連かんれん項目こうもく

• 仮説かせつ
• 定説ていせつ