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CD-R - Wikipedia

CD-R (Compact Disc Recordable) とは、データをみできるコンパクトディスク一種いっしゅ一度いちどまれたデータはえも消去しょうきょもできないものの、容量ようりょうゆるかぎ追記ついき可能かのうであり、このことから「追記ついきがた」(WORMメディア)とばれる。

Compact Disc Recordable
CD-R
フタロシアニン色素しきそ使用しようしたCD-Rの裏面りめん
メディアの種類しゅるい ひかりディスク
記録きろく容量ようりょう 650 MB、700 MBなど
速度そくど 1.2 Mbps
(150 kiB/s、1ばいそく
最高さいこう72ばいそく
速度そくど 1.2 Mbps
(150 kiB/s、1ばいそく
最高さいこう52ばいそく
回転かいてん速度そくど 200 - 530 rpm
方法ほうほう 780 nm赤外線せきがいせんレーザー
方法ほうほう 780 nm赤外線せきがいせんレーザー
回数かいすう ライトワンス
おも用途ようと データ
ディスクの直径ちょっけい 12 cm、8 cm
おおきさ 120×120×1.2 mm (12 cmCD)
80×80×1.2 mm (8 cmCD)
関連かんれん規格きかく コンパクトディスク
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1988ねん太陽誘電たいようゆうでんがCD-Rを開発かいはつ[1][注釈ちゅうしゃく 1]し、1989ねん6がつより販売はんばい開始かいし[2]、1990ねんはじめてCD-Rドライブが商品しょうひんされ[1]同年どうねん規格きかくしょ「オレンジブック パートII」に規定きていされた[3]

1990年代ねんだい以降いこうのデジタルデータ記録きろく用途ようと使用しようされており、一旦いったんむと不能ふのうなメディアであるため、データなどのバックアップや、改変かいへん不能ふのうなデータの配布はいふのためのメディアとして有用ゆうようである。に、CD-DAむことで、CDプレイヤー使用しよう可能かのう音楽おんがくCDを作成さくせいするために利用りようする用途ようともある。さらに、データとCD-DAを混在こんざいさせたメディアの作成さくせい可能かのうである。また、ビデオCD作成さくせいにも使用しようできる。

2000年代ねんだい以降いこうあたらしい規格きかく策定さくていにより、追記ついき可能かのうメディアでも再生さいせい時間じかん90ふん以上いじょう音楽おんがくCDを作成さくせい出来できる800 - 875MBばん登場とうじょう。しかし互換ごかんせい改善かいぜんみソフトの対応たいおう限定げんていてきで、データ保存ほぞん役割やくわりではDVD-RBD-RメモリーカードUSBメモリオンラインストレージといった次世代じせだいメディアのだい容量ようりょうてい価格かかくすすみ、音楽おんがくCD以外いがい用途ようとにおいてCD-Rはってわられている。

2020年代ねんだいまでに12cm・700MBばん主流しゅりゅうとなり、650MBばん、800MBばんおよび8cmばんは1、2種類しゅるい製品せいひんのみ販売はんばい継続けいぞくしている。

記録きろくできるCDとしては、CDのライセンサーであるソニーフィリップス開発かいはつし1987ねんに「ブルーブック」に規定きていされたCD-WO、おなじく1988ねんに「オレンジブック パートI」に規定きていされたCD-MOがあったものの、いずれも普及ふきゅうしなかった。

1995ねんごろにはすでにパソコンにCD-ROMドライブがほぼ標準ひょうじゅん搭載とうさいされるようになり、Windows 95のようなだい容量ようりょうのシステムも容易よういにインストールできる環境かんきょうととのい、1996ねんからCD-Rは普及ふきゅうはじめた[4]当時とうじのCD-Rドライブの価格かかくは40まんえん、メディアが1まい5せんえんしたのが、1996ねん初頭しょとうにはドライブは10まんえんるようになりメディアは1まい1000えんてい価格かかくした[5]

1999ねんごろからは台湾たいわんメーカーによるメディアの価格かかく競争きょうそうもあり、1まいすうひゃくえん値下ねさがりし急速きゅうそく普及ふきゅうした。

容量ようりょう

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CD-Rにはデータよう音楽おんがくよう存在そんざいする。両者りょうしゃともおな材質ざいしつである。

データよう

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オレンジブックに規定きていされている一般いっぱんてきなCD-Rで容量ようりょうは、12cmのディスクで最大さいだい700MB(80ふん)の記録きろく可能かのうで、650MBの場合ばあいは74ふんである。8cmのディスクで最大さいだい210MB(24ふん)の記録きろく可能かのうで、185MBの場合ばあいは21ふんである。ポケットサイズで50MBある。

1980年代ねんだいおもに74ふんCDであったが、1990年代ねんだいから80ふんCDが出回でまわるようになった。このこともあり、12cmのディスクは700MB(80ふん)が、8cmのディスクでは210MB〈24ふん〉が主流しゅりゅうになっていった。

なお、以前いぜんは12cmのディスクで550MB(63ふん)、8cmのディスクでは156MBのメディアもあったが、現在げんざいでは一部いちぶ音楽おんがく愛好あいこう使用しようするのみでほとんど使つかわれなくなった。

音楽おんがくよう

編集へんしゅう

音楽おんがく専用せんようCD-R/RWレコーダーようのメディアで、データようとのちがいは、判別はんべつ信号しんごう (Disc Application Code) が記録きろくされており、レコーダーがわ識別しきべつできるようになっていること(音楽おんがくようはデータよう流用りゅうよう出来できるがこのぎゃく出来できない)と、私的してき録音ろくおん補償ほしょうきん上乗うわのせされていることである。

High Capacity Recordable Disc

編集へんしゅう

HCRDともばれる規格きかくで、記憶きおく容量ようりょうはオレンジブックの規格きかくじょうでは最大さいだいで700MBである。しかし、700MBをえるメディア、流通りゅうつうしているものでは最大さいだい870MBも存在そんざいしており、これらCD-Rや対応たいおうドライブ・ライティングソフトが各社かくしゃから発売はつばいされたため、2003ねんにフィリップスが700MBをえるCD-Rの規格きかくについてのガイドラインとして、High Capacity Recordable Disc (HCRD) 1.0を策定さくていした[6]

最大さいだい容量ようりょうは12cmのディスクで98ふん29びょう74フレーム[7]、8cmのディスクで30ぶん記録きろく可能かのうである。ただし、ATIP(Absolute Time in Pregroove、絶対ぜったい時間じかん情報じょうほう)のアドレスに矛盾むじゅんしょうじるため、オレンジブックには準拠じゅんきょしておらず、CD-Rのロゴは使用しようされていない[8][9]。そして、このオレンジブックに準拠じゅんきょしないメディアをきできる機器きき、ライティングソフトなどは依然いぜんとしてかぎられている[10]。Eight-to-fourteen modulationがさだめた規格きかく最大さいだい容量ようりょうは97ふんまでであるため、ドライブがわで97ふん26びょうであったり、97ふん32びょうであったり対応たいおうかれている[11][12]

2019ねん現在げんざい90ふんディスクは、ごく一部いちぶ市販しはんCDに採用さいようされている程度ていどである[13]。ドライブのきの問題もんだいから、いまだに難色なんしょくしめすレーベルはおおい。さらに、99ふんディスクを使用しようしたレーベルはまだあらわれていない。このため「100ふん」という都合つごうわる収録しゅうろく時間じかん音楽おんがく[注釈ちゅうしゃく 2]収録しゅうろくしようとすると、CDを2まいぐみにしなければならず、CD出現しゅつげん初期しょきからこの問題もんだい解決かいけつしていない。おおくのCDプレーヤーの時間じかん表示ひょうじはそもそも100ふん以上いじょう想定そうていしていないため、表示ひょうじ限界げんかいまでの99ふん59びょうがCD容量ようりょう限界げんかいとして認識にんしきされたとかんがえられる。

構造こうぞう

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CD-Rは、ポリカーボネイトせい基板きばん記録きろくそう反射はんしゃまくそうきむ[注釈ちゅうしゃく 3]白金はっきんぎんなど)、保護ほごそう、レーベルそうじゅんそう構成こうせいされている。サンドイッチじょう基板きばんはさまれた従来じゅうらい記録きろくみCDちがい、記録きろくそうひょうばんけただけの構造こうぞうであり、表面ひょうめんきずつけば記録きろくそうがれちる。そのため、表面ひょうめん文字もじさいには、鉛筆えんぴつやボールペンなどのさきとがった筆記用具ひっきようぐ使用しようできず、さきやわらかくてとがっていない油性ゆせいマジックやサインペンなどでむよう注意ちゅうい必要ひつようである。

従来じゅうらい記録きろくみCDが、アルミニウムせい薄膜うすまくに「ピット」とばれる微小びしょうへこみをもうけたことできるひかり反射はんしゃ度合どあいの変化へんかでデータを方式ほうしきであるのにたいして、CD-Rでは、金属きんぞく薄膜うすまく塗布とふされた有機ゆうき色素しきそ有無うむ反射はんしゃ度合どあいを変化へんかさせる。

記録きろくにはつよ赤外線せきがいせん領域りょういき波長はちょう780nmのレーザーこう照射しょうしゃすることによるねつで、この有機ゆうき色素しきそまくり、反射はんしゃそう直接ちょくせつ透過とうかするてん発生はっせいさせ、これをピットに相当そうとうさせる。このためデータの記録きろく可逆かぎゃくであり、1かいまれた情報じょうほう消去しょうきょができない。

品質ひんしついCD-Rであれば、反射はんしゃりつ変化へんか在来ざいらい記録きろくみCDにほぼ匹敵ひってきしており、一般いっぱんのCD装置そうちでの使用しよう可能かのうである。しかし、音楽おんがく用途ようとではふるいCDプレーヤーや反射はんしゃこう性能せいのうひくいレンズを使用しようしているプレーヤーでは、一部いちぶのCD-Rをせない事例じれい再生さいせい不良ふりょうこす事例じれい多数たすう報告ほうこくされており注意ちゅうい必要ひつようである。

記録きろくそう

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シアニン色素しきそ
太陽誘電たいようゆうでん実用じつようした記録きろくめん材質ざいしつで、CD販売はんばい初期しょきから使つかわれている。色素しきそくらべてひかりねつなどによる化学かがくてき安定あんていせいひくいものの、CD-Rの普及ふきゅうに1やくった色素しきそである。台湾たいわんせいのメディアの一部いちぶなどは一時期いちじき、シアニンをうすったCD-Rを販売はんばいして品質ひんしつてきにも問題もんだいがあったが、フタロシアニンの普及ふきゅうなどによる代替だいたいさくがある。
フタロシアニン色素しきそ
三井化学みついかがく実用じつようした記録きろくめん材質ざいしつである。当初とうしょは1しゃのみであったが、化学かがくてき性質せいしつ比較的ひかくてき安定あんていしており、シアニンとくらべてうすくしてもそれなりの効果こうかられ、てい価格かかくなどもかさなり、近年きんねん韓国かんこく台湾たいわんはじめとするアジア諸国しょこくせいディスクでおお使用しようされている。
アゾ色素しきそ
三菱化学みつびしかがくメディアげんVerbatim Japan)が実用じつようした記録きろくめん材質ざいしつで、裏面りめんあおさが特徴とくちょうである。ぞくに「うらあお」とばれる。もっと化学かがくてき安定あんていせいたかく、市場いちば海賊版かいぞくばん製造せいぞう根強ねづよ人気にんきほこる。よりも比較的ひかくてき高価こうかであるが、耐久たいきゅうせいたいこうせいとくすぐれる。2005ねん6がつ以降いこう三菱化学みつびしかがくメディアせいディスクにもフタロシアニン色素しきそ採用さいようすすみ、希少きしょうせいたかまるなかで、同社どうしゃ委託いたく生産せいさんさき台湾たいわん)の工場こうじょう火災かさいからアゾ色素しきそ採用さいよう製品せいひん供給きょうきゅうまり、市場いちばから姿すがたした時期じきもあった[14]

レーベルそう

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CD-Rを使つかった音楽おんがくCDの私的してき複製ふくせいやオリジナルのコンピレーションCDの作成さくせいなどが一般いっぱんてきになると、レーベルめんにインクジェットプリンタで印刷いんさつができるプリンタブルメディアの需要じゅようたかまった。家庭かていようインクジェットプリンタのおおくはCD-Rのレーベルめん印刷いんさつ対応たいおうしている[注釈ちゅうしゃく 4]

記録きろく方式ほうしき

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CD-Rへの記録きろく方式ほうしきは、ディスクアットワンス方式ほうしきとインクリメンタルライト方式ほうしきとに大別たいべつされる。実際じっさい操作そうさ使用しようするライティングソフトによってことなる。

ディスクアットワンス方式ほうしき (DAO - Disk at Once)
ディスクアットワンス方式ほうしきによると、ふるいドライブやパソコン以外いがい機器ききとの互換ごかんせいたかくなる一方いっぽうで、使用しよう領域りょういきへの追加ついかてき利用りようには対応たいおうできない。
インクリメンタル方式ほうしき (Incremental Write)
セッションアットワンス方式ほうしき (SAO - Session at Once) やトラックアットワンス方式ほうしき (TAO - Track at Once)、パケットライト方式ほうしき (Packet Write) のような、インクリメンタル方式ほうしきによると、ふるいドライブやパソコン以外いがい機器ききとの互換ごかんせいひくくなる一方いっぽうで、使用しよう領域りょういきへの追加ついかてき利用りようには対応たいおう可能かのうである。ただし、クローズ情報じょうほう記録きろくファイナライズ)した場合ばあいには、それ以降いこう使用しよう領域りょういきへの追加ついかてき利用りようには対応たいおうできなくなる。

速度そくど初期しょき(1999ねんごろ)にはとう倍速ばいそく(1ばいそく)から4ばいそくであったが、徐々じょじょ向上こうじょうし、2001ねんごろには8から16ばいそく、2003ねんごろには52ばいそく程度ていどまで実用じつようされた。この速度そくど向上こうじょうには、1994ねんに、ソニーヤマハ太陽誘電たいようゆうでんなどすうしゃが「オレンジ研究けんきゅうかい」をげ、製造せいぞう段階だんかいでディスクに識別しきべつ符号ふごう各々おのおの互換ごかんせい保証ほしょうする「ライトストラテジー」を制定せいていしたことが影響えいきょうしている。なお、フィリップスはオレンジブックに準拠じゅんきょする立場たちばから反対はんたいした。この高速こうそくのためにはバッファーアンダーランの防止ぼうし技術ぎじゅつ必要ひつようとされた。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ CD-Rは元々もともと太陽誘電たいようゆうでんない社内しゃないようコードネームであった[1]
  2. ^ たとえばマーラーブルックナーなどの交響こうきょうきょくなど。
  3. ^ 太陽誘電たいようゆうでん開発かいはつした当初とうしょのCD-Rは、反射はんしゃまくそうかねもちいていた。
  4. ^ なお、CD-Rのレーベルめん印刷いんさつ対応たいおうしている機種きしゅ場合ばあい、メディアのサイズがおなじであるためDVD-R・BD-Rとうのレーベルめん印刷いんさつにも対応たいおう可能かのうである。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c CD-Rの誕生たんじょう”. CDs21ソリューションズ. 2022ねん1がつ9にち閲覧えつらん
  2. ^ 2003ねんにおけるCD-Rの世界せかい生産せいさんりょうが100おくまい突破とっぱ -CDs21が記念きねんパーティー、累計るいけい300おくまい地球ちきゅう一周いっしゅう”. AV Watch. インプレス (2004ねん5がつ10日とおか). 2022ねん1がつ9にち閲覧えつらん
  3. ^ CD Products”. フィリップス. 2020ねん8がつ8にち閲覧えつらん
  4. ^ 太陽誘電たいようゆうでん だい4かい『CD-Rがブレークする瞬間しゅんかん』 CD-ROMの存在そんざいがCD-Rの普及ふきゅううながす――そしてむかえたCD-Rのブレーク - ウェイバックマシン(2015ねん11月17にちアーカイブぶん
  5. ^ CD-Rドライブ価格かかく調査ちょうさ PC Watch 1996ねん8がつ22にち
  6. ^ High Capacity Recordable Disc 1.0 by Philips”. www.afterdawn.com. 2019ねん1がつ30にち閲覧えつらん
  7. ^ High Capacity Recordable Disc system, Version 0.9, dated Sept 2002”. forum.videohelp.com. 2019ねん1がつ30にち閲覧えつらん
  8. ^ 800 Mb 90 Min”. www.philips.ie. 2019ねん1がつ30にち閲覧えつらん
  9. ^ High Capasity CD-R”. images.philips.com. 2019ねん1がつ30にち閲覧えつらん
  10. ^ もり康裕やすひろきミスよさようなら!! DVD/CD-Rパーフェクトデータ』さんさいブックス、2004ねんISBN 4915540839 
  11. ^ 97ふん26びょう前後ぜんこうであることを証明しょうめいする資料しりょうおおくのドライブが97ふん〇〇びょう設計せっけいしている。”. pioneer.jp. pioneer.jp (2021ねん5がつ27にち). 2022ねん4がつ25にち閲覧えつらん
  12. ^ Eight to Fourteen Modulation (EFM) allowed a theoretical maximum of 97 minutes on a 120mm disc.”. forums.stevehoffman.tv. 2019ねん1がつ30にち閲覧えつらん
  13. ^ Field: Nocturnes”. store.deccaclassics.com. 2019ねん1がつ30にち閲覧えつらん
  14. ^ SONIC-AZO 48x CD-R (データよう) 供給きょうきゅう再開さいかいのおらせ - ウェイバックマシン(2007ねん10がつ26にちアーカイブぶん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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