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Lossless JPEG - Wikipedia

Joint Photographic Experts Groupには、JPEGJPEG2000などよくられた可逆かぎゃく圧縮あっしゅく画像がぞうファイルフォーマットほかに、3種類しゅるい可逆かぎゃく圧縮あっしゅく画像がぞうファイルフォーマットがある。またそのうちJPEG-LSには可逆かぎゃくモードが存在そんざいする。本稿ほんこうではおもLossless JPEGJPEG-LSについてべる。

 
Fig. 1 DPCM エンコーダモデル
 
Fig. 2 ロスレスモードのブロックダイアグラム
 
Fig. 3 予測よそく画素がその3近傍きんぼう画素がそ

Lossless JPEGは1993ねんJPEG追加ついか規格きかくとして開発かいはつされた。可逆かぎゃくJPEGとはまったことなり、周囲しゅうい3近傍きんぼう(うえとなりひだりとなり左上ひだりうえ)による予測よそくおこない、その予測よそくざんたいしてエントロピー符号ふごうおこなう。Lossless JPEGはIndependent JPEG Groupによるライブラリではサポートされていないが、Ken Murchisonによるパッチをあてることで使用しよう可能かのうとなる。Lossless JPEGは医療いりょうかかわる場面ばめんDNG一部いちぶのデジタルカメラなどでもちいられているが、それ以外いがいではあまりひろくはもちいられてはいない。

Lossless JPEGのアルゴリズム

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Lossless JPEG[1]JPEGのモードの1つである。離散りさんコサイン変換へんかん(DCT)をもちいた手法しゅほうではぎゃく変換へんかん厳密げんみつには定義ていぎされていないため、デコーダ出力しゅつりょくがエンコーダ入力にゅうりょく完全かんぜん一致いっちするとはかぎらない。そこで、完全かんぜん一致いっちすることが必要ひつようとなる用途ようとのためにこのモードが存在そんざいする。DCTをもちいる可逆かぎゃくJPEGとはことなり、ロスレス圧縮あっしゅくでは差分さぶんパルス符号ふごう変調へんちょう(DPCM)とばれる簡単かんたん予測よそく符号ふごうモデルもちいる。これは、すでに符号ふごうされた隣接りんせつするサンプルもちいて予測よそくおこな方式ほうしきであり、一般いっぱんてきには対象たいしょうサンプルうえとなりひだりとなり平均へいきんもちいる。そして、たいていの場合ばあい、あるサンプルつぎのサンプル差分さぶんは0にちかいことを利用りようして、かくサンプルを個別こべつ符号ふごうするわりに予測よそくサンプルとの差分さぶん符号ふごうする。典型てんけいてきなDPCMエンコーダはFig. 1のような構成こうせいとなる。なお、ちゅうのブロックはつぎのサンプルの処理しょりまで、現在げんざいのサンプル記憶きおくする役割やくわりたす。

ロスレスモードのおも処理しょりながれはFig. 2のようになる。この処理しょりなかで、PredictorはFig. 3にしめすXの予測よそく計算けいさんするモジュールで、A, B, Cの3近傍きんぼうのサンプルもちいる[2]ため、これらはその時点じてんすで予測よそく完了かんりょうしている必要ひつようがある。また、Predictorとしてはしたひょうしめされる8つのうちのどれか1つがもちいられる。ここで、1, 2, 3は1次元じげん予測よそく、4, 5, 6, 7は2次元じげん予測よそくであり、0は階層かいそうモードの誤差ごさたいしてのみもちいられる。一度いちどすべてのサンプルが予測よそくされれば、サンプルの予測よそく誤差ごさハフマン符号ふごう算術さんじゅつ符号ふごうもちいた可逆かぎゃくエントロピー符号ふごうによってられる。

予測よそく方式ほうしき
0 予測よそくなし
1 A
2 B
3 C
4 A + B – C
5 A + (B – C)/2
6 B + (A – C)/2
7 (A + B)/2

ロスレスモードは、カラー画像がぞうたいしてはおおよそ2:1程度ていど圧縮あっしゅくりつとなる[3]。このモードは医療いりょう分野ぶんや画像がぞうたいしてよくもちいられるが、一般いっぱんてきにはそれほどひろくはもちいられていない。

JPEG-LSは、モデル符号ふごうばれる2つの独立どくりつした段階だんかいからる、ていコストで高性能こうせいのう基本きほんアルゴリズムである。もともとはLossless JPEGよりも効率こうりつのよいアルゴリズムとして、ニアロスレス画像がぞう圧縮あっしゅく提供ていきょうするために開発かいはつされたものである。もちいられている全体ぜんたいてき相関そうかんせい消去しょうきょによって、以前いぜん規格きかく採用さいようされていた方式ほうしきによる予測よそくざんよりもはるかにエントロピーがひくくなっている[4][5]。 JPEG-LSのPart1は1999ねん完成かんせい公開こうかいされ、算術さんじゅつ符号ふごうのような拡張かくちょうはPart2として紹介しょうかいされた。アルゴリズムの中核ちゅうかくLOCO-I algorithmもとにしており、これは予測よそく誤差ごさもちいたコンテキストモデリングによってっている。また、予測よそくざん左右さゆう対称たいしょう幾何きか分布ぶんぷ(離散りさんラプラス分布ぶんぷぶ)にしたがうと仮定かていし、そのような分布ぶんぷたいして有効ゆうこうゴロム符号ふごうもちいることによって、ていコストを実現じつげんしている。そのうえ誤差ごさ絶対ぜったい最大さいだいをエンコード制御せいぎょできるニアロスレスモードも提供ていきょうしている。大抵たいてい場合ばあい、JPEG-LSはJPEG 2000よりもはるかに高速こうそくで、以前いぜんのLossless JPEGよりも圧縮あっしゅくりつたかい。

LOCO-I アルゴリズム

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モデルには相関そうかんせい消去しょうきょ(予測よそく)とコンテキストモデリングの2つの重要じゅうよう処理しょりがある。

相関そうかんせい消去しょうきょ/サンプル予測よそく

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LOCO-Iアルゴリズムには、Fig. 3にしめすX画素がそ近傍きんぼう画素がそによってたて方向ほうこうのエッジやよこ方向ほうこうのエッジを検出けんしゅつする原始げんしてきエッジ検出けんしゅつ使つかわれており、たて方向ほうこう場合ばあいはBの画素がそよこ方向ほうこう場合ばあいはAの画素がそ予測よそくもちいる。この簡単かんたん予測よそくほうMedian Edge Detection(MED)[6]や、LOCO-I予測よそくばれ、以下いかしきによってXの予測よそくする。

 

この3種類しゅるい簡単かんたん予測よそくしき以下いか条件じょうけんあらわしている。 (1) Xのひだりたて方向ほうこうのエッジが存在そんざいする場合ばあいにはBをもちいる (2) Xのうえよこ方向ほうこうのエッジが存在そんざいする場合ばあいにはAをもちいる (3) エッジが存在そんざいしない場合ばあいには A + B - C をもちいる

コンテキストモデリング

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JPEG-LSは、それぞれのコンテキストCtx所属しょぞくするサンプルの平均へいきん もちいて、予測よそく誤差ごさ条件じょうけん期待きたい 見積みつもる。予測よそくざんのコンテキストモデルによって、テクスチャパターンや局所きょくしょてき変動へんどうはげしい画像がぞう対応たいおうできる。コンテキストは局所きょくしょてき勾配こうばいのような、近傍きんぼうサンプルの差分さぶんによってまる。

 

局所きょくしょてき勾配こうばいは、サンプルの近傍きんぼうなめらかさや変動へんどうはげしさを反映はんえいしている。また、これら近傍きんぼう差分さぶん統計とうけいてき性質せいしつ予測よそく誤差ごさ密接みっせつ関係かんけいしていることに着目ちゃくもくし、うえしきられる差分さぶん量子りょうしすることでおおよそ似通にかよったをひとまとめにする。JPEG-LSの場合ばあい、g1, g2, g3を9つの量子りょうしし、-4から4までのインデックスをる。これによって、対象たいしょうサンプルとの相関そうかん検出けんしゅつできそうなコンテキストとのあいだ共通きょうつう情報じょうほう抽出ちゅうしゅつできる。また、
 
という性質せいしつつと仮定かていせいまけのコンテキストをまとめると、コンテキストの総数そうすう となる。 各々おのおののコンテキストない累積るいせき予測よそく誤差ごさをコンテキストにふくまれる要素ようそすうることによって、誤差ごさ分布ぶんぷ中心ちゅうしんがどれほどずれているのかある程度ていど推測すいそくすることができる。そこでコンテキストない予測よそく誤差ごさ中心ちゅうしんからのずれを補正ほせいする機構きこう追加ついかすることで、予測よそく精度せいど改善かいぜんすることができる。なお、LOCO-Iアルゴリズムでは、この手順てじゅんようする加減算かげんざん回数かいすうるように改善かいぜんされており、さらに除算じょざん不要ふようにした計算けいさん手順てじゅん[2]紹介しょうかいされている。

予測よそく誤差ごさ補正ほせい符号ふごう

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JPEG-LSは標準ひょうじゅんでは非負ひふのランレングスを符号ふごうするさいにゴロム・ライス符号ふごう(ゴロム符号ふごう参照さんしょう)をもちいる。このさいに、パラメータとして2^kをもちいることによりエンコード処理しょり簡略かんりゃくする。

ランレングス符号ふごう

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ゴロム・ライス符号ふごうは1シンボルあたり1bit未満みまんにはならないため、画像がぞうなめらかな部分ぶぶんなどのエントロピーのひくいデータにたいしては圧縮あっしゅくりつがあまりたかくない。この問題もんだい回避かいひするため、複数ふくすうのシンボルをまとめて記述きじゅつする方式ほうしきもちいる。これがJPEG-LSの"ランモード"で、たいらな領域りょういきなめらかな領域りょういきでゼロ勾配こうばいとして検出けんしゅつされた部分ぶぶんもちいる。"a"シンボルのランモードはことなるシンボルがあらわれるか走査そうさせん終端しゅうたんいたったら終了しゅうりょうし、ランのながさを符号ふごうして通常つうじょうのモードにもどる。

JPEG 2000には特別とくべつウェーブレットフィルタ(biorthogonal 3/5)によるロスレスモードがある。JPEG 2000のロスレスモードは人工じんこう画像がぞう合成ごうせい画像がぞう[3][4]などの場合ばあい、JPEG-LSよりも速度そくど圧縮あっしゅくりつてんおとるが、デジタルカメラの写真しゃしんなどではJPEG-LSより性能せいのうる。また、スケーラブルであり、プログレッシブであり、ひろくサポートされている。

JPEG XRにもロスレスモードが存在そんざいする。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ W. B. Pennebaker and J. L. Mitchell, JPEG Still Image Data Compression Standard. New York: Van Nostrand Reinhold, 1993.
  2. ^ ITU-T. ISO DIS 10918-1 Digital compression and coding of continuous-tone still images (JPEG). Recommendation T.81.
  3. ^ C. K. Wallace. The JPEG still picture compression standard. Communications of the ACM, 34(4):31-44, 1991.
  4. ^ M. J. Weinberger, G. Seroussi, and G. Sapiro, “LOCO-I: A low complexity, context-based, lossless image compression algorithm,” in Proc. 1996 Data Compression Conference, Snowbird, UT, Mar. 1996, pp. 140–149.
  5. ^ M. Weinberger, G. Seroussi, and G. Sapiro, “The LOCO-I lossless image compression algorithm: Principles and standardization into JPEG-LS,” IEEE Trans. Image Processing, vol. 9, no. 8, pp. 1309–1324, Aug. 2000, originally as Hewlett-Packard Laboratories Technical Report No. HPL-98-193R1, November 1998, revised October 1999. Available from [1].
  6. ^ Nasir D. Memon, Xiaolin Wu, V. Sippy, and G. Miller, “Interband coding extension of the new lossless JPEG standard,” Proc. SPIE Int. Soc. Opt. Eng., vol. 3024, no. 47, pp.47–58, January 1997.

外部がいぶリンク

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