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MIFARE - Wikipedia

MIFARE(マイフェア)は、NXPセミコンダクターズもとフィリップス半導体はんどうたい部門ぶもん)が特許とっきょ商標しょうひょう保有ほゆうする接触せっしょくICカードRFID、およびその通信つうしん規格きかく国際こくさい規格きかくISO/IEC 14443 Type A」として規定きていされている。

概要がいよう

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会員かいいんカード・カードキー・チケット・交通こうつうけいICカード・電子でんしマネーなど、世界中せかいじゅうひろ使用しようされている。

MIFAREとづけられた、接触せっしょくICカードは5種類しゅるい存在そんざいする。

  • MIFARE Standard (MIFARE Classic) カード:ISO/IEC 14443-4には対応たいおうしておらず、NXP独自どくじのアルゴリズム非公開ひこうかい認証にんしょう暗号あんごうプロトコルを採用さいようしている。
  • MIFARE Plusカード:MIFARE Classicカードの脆弱ぜいじゃくせい対応たいおうしたもの。
  • MIFARE UltraLightカード:MIFARE Standardからセキュリティといくつかのコマンドをのぞいたもの。ISO/IEC 14443-4準拠じゅんきょ
  • MIFARE DESfireカード:ISO/IEC 14443-4(T=CL)準拠じゅんきょのICカード。NXPせいのOSがROMにきこんである。
  • MIFARE Prox、MIFARE smartMX:ISO/IEC 14443-4 (T=CL)に準拠じゅんきょしたICカード。

安価あんかであるため、電子でんしマネー、社員しゃいんしょう交通こうつう機関きかん競技きょうぎじょうのチケットなどひろもちいられている。

メモリは、セグメントとブロックにけられ、シンプルなセキュリティのメカニズムによってアクセス制御せいぎょがなされている。ASICベースのため計算けいさん能力のうりょくかぎられている。 MIFARE Standard 1kは、やく768バイトのメモリをち、それが16のセクタにかれている。これらのセクタは、AとBとばれるふたつのかぎでプロテクトされている。それぞれのセクタにたいして、み、み、増減ぞうげんなどの操作そうさができる。MIFARE Standard 4kは、3kBのメモリをち、それが40のセクタにかれている。そのうち32のセクタがMIFARE Standard 1kのセクタとおな容量ようりょうで、のこりの8つがばい容量ようりょうつ。MIFARE Standard miniのメモリ容量ようりょうは320バイトで、5つのセクタをつ。

1994ねん発売はつばいされたということもあり設計せっけいふるく、また48ビットかぎ使つかった独自どくじ暗号あんごうアルゴリズムCrypto-1に脆弱ぜいじゃくせいがあることが判明はんめいしたため[1]、MIFARE Classicに改名かいめいされた。 2015ねんには、改良かいりょうばんのMIFARE Classic EV1にも脆弱ぜいじゃくせい発見はっけんされているため[2]新規しんき採用さいよう推奨すいしょうされていない。このシリーズの後継こうけいは、MIFARE Plus。

MIFARE UltraLight

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MIFARE Standardの簡易かんいばん。ISO/IEC 14443-4・NFCフォーラム Type 2に準拠じゅんきょ。メモリはわずか64バイトで、セキュリティ機能きのうもない。しかし非常ひじょう安価あんかであるため、会員かいいんしょう使つかてのチケットにもちいられている。2006ねんワールドカップでも使つかわれた。 改良かいりょうばんに、トリプルDESを採用さいようしたMIFARE Ultralight C、リロード攻撃こうげきによる脆弱ぜいじゃくせい対応たいおうしたMIFARE Ultralight EV1がある。

MIFARE Standardとはことなり、マイクロプロセッサにDESFire OSというソフトウェアがプログラムされている。MIFARE Standard 4kとほぼ同等どうとう機能きのうをもつが、よりたか柔軟じゅうなんせいと、より強力きょうりょくなトリプルDESセキュリティをち、より高速こうそくで、T=CLの規格きかくにも準拠じゅんきょしている。カードとリーダライタの通信つうしん可能かのう距離きょりはリーダライタの電波でんぱ強度きょうどやアンテナサイズに依存いぞんするが、およそ10cm程度ていど

2011ねんに、サイドチャネル攻撃こうげきによる脆弱ぜいじゃくせいがあることが発表はっぴょうされた[3]

NFCフォーラム Type 4に準拠じゅんきょした改良かいりょうばんには、128ビットAESに対応たいおうしたMIFARE DESFire EV1、リレーアタックに対応たいおうしたMIFARE DESFire EV2、オープンDES・2K3DES・3K3DES・AESに対応たいおうしISO/IEC 14443 Type-A・ISO/IEC 7816-4に準拠じゅんきょしたMIFARE DESFire EV3もある。

MIFARE DESFireの8kBばんだが、以下いかのような特長とくちょうがある。

  • ランダムUID
  • AES128暗号あんごう対応たいおう
  • コモンクライテリアEAL4+

2006ねん11月に発表はっぴょうされた。

MIFARE Classicの脆弱ぜいじゃくせい対応たいおうしたもの。既存きそんシステムをより安全あんぜんせいたかオープン標準ひょうじゅんにアップグレードできるよう考慮こうりょされている。に、以下いかのような特長とくちょうがある。

  • ランダムUID(7バイト)
  • AES128暗号あんごう対応たいおう
  • コモンクライテリアEAL4+

改良かいりょうばんに、リレーアタックに対応たいおうしたMIFARE Plus EV1、高速こうそくちゅうあいだしゃ攻撃こうげき対策たいさくこうじたMIFARE Plus EV2がある。

MIFARE T=CL カード

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MIFARE ProXとSmartMXは、マイクロプロセッサもちいている。ハードウェア単体たんたいでは動作どうさせず、専用せんようOS必要ひつようになる。暗号あんごう計算けいさんトリプルDESAESRSA暗号あんごうひとし)のためにコプロセッサ内蔵ないぞうされていることがおおい。処理しょり速度そくど機能きのう接触せっしょくがたカードに匹敵ひってきする。実際じっさい、SmartMXシリーズには、接触せっしょくがた接触せっしょく/接触せっしょく両方りょうほうインタフェースそなえたカードもある。ベンダ独自どくじのOS、オープンOS(JavaCardとう両方りょうほう対応たいおうできる。

インストールされるソフトウェアによって、カードはさまざまな目的もくてき使つかわれるが、たかいレベルのセキュリティが必要ひつようとされる場合ばあいもちいられることがおおく(ICパスポート、クレジットカードなど)、コモンクライテリアなど、第三者だいさんしゃ認定にんていをうけていることがおおい。SmartMXは、ドイツ連邦れんぽう電子でんし情報じょうほう保安ほあんきょくによって、コモンクライテリアのEAL5+認定にんていけており、リバースエンジニアリング、故障こしょう利用りよう攻撃こうげき電力でんりょく解析かいせきとうへのたかたいタンパーせいつ。最終さいしゅう製品せいひんでこのような認証にんしょう取得しゅとくするためには、チップじょう動作どうさするOSも認証にんしょう取得しゅとくする必要ひつようがある。

MIFAREはもともとはMikronによって開発かいはつされたもので、MIFAREは「MIkron FARE-collection System」のりゃくである。Mikronは、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのAtmel、オランダのフィリップス、ドイツシーメンスにMIFARE技術ぎじゅつをライセンスした。1998ねんにフィリップスしゃによって買収ばいしゅうされた。

フィリップスによる買収ばいしゅうのち日立製作所ひたちせいさくしょもMIFAREのライセンスを取得しゅとくした。これは1999ねん開始かいしされ2006ねん終了しゅうりょうしたNTTの接触せっしょくICテレホンカード開発かいはつプロジェクトのためだった。NTTの接触せっしょくICテレホンカード開発かいはつプロジェクトには3つの陣営じんえい参加さんかしていた。トーキン-田村たむら電機でんき-シーメンス連合れんごう日立製作所ひたちせいさくしょ-フィリップス(技術ぎじゅつサポートのみ)連合れんごうデンソー-モトローラ製造せいぞうのみ)連合れんごうである。NTTは、MIFARE Classicのような、ワイヤードロジックによるしょう容量ようりょうのものとだい容量ようりょうの2種類しゅるいのチップを要求ようきゅうした。日立製作所ひたちせいさくしょだい容量ようりょうバージョンのみを開発かいはつし、そのメモリ容量ようりょうちいさくしてしょう容量ようりょうバージョンとした。シーメンスは保有ほゆうするMIFAREテクノロジーを改良かいりょうし、チップを開発かいはつした。モトローラはMIFAREのようなチップの開発かいはつこころみたが、最終さいしゅうてきには断念だんねんした。当初とうしょ、ICテレホンカードは100まんまい/つきげが見込みこまれていたが、最終さいしゅうてきげは10まんまい/つき程度ていどだった。

  • 1994ねん - MIFARE Standard 1k 接触せっしょくテクノロジが発表はっぴょうされる
  • 1996ねん - 韓国かんこくソウルの「バスカード(現在げんざいUパス)」でMIFARE Standard 1kがもちいられる
  • 1997ねん - トリプルDESコプロセッサ搭載とうさいのMIFARE PROが発表はっぴょうされる
  • 1999ねん - PKIコプロセッサ搭載とうさいのMIFARE PROXが発表はっぴょうされる
  • 2001ねん - MIFARE UltraLight が発表はっぴょうされる
  • 2002ねん - マイクロプロセッサをもちいた、MIFARE DESFireが発表はっぴょうされる
  • 2004ねん - MIFARE DESFiireをもちいるシステムで使用しようするMIFARE DESFiire SAMが発表はっぴょうされる
  • 2006ねん - MIFARE DESFiire8が、AES128暗号あんごう対応たいおう最初さいしょ製品せいひんとして発表はっぴょうされる
  • 2008ねん3月 - MIFARE PLUS が、MIFARE Classicの代替だいたいとして発表はっぴょうされる

セキュリティ

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2007ねん12月におこなわれただい24かいカオスコミュニケーション会議かいぎ (Chaos Communication Congress)で、ヘンリック・プロッツとカーステン・ノールは MIFARE Classic脆弱ぜいじゃくせいかんするプレゼンテーションをおこなった。かれらは MIFARE Classic のチップにたいしてリバースエンジニアリングをおこない、MIFARE Classic のアルゴリズムを解析かいせきし、いくつかの脆弱ぜいじゃくせい発見はっけんした。かれらは、解析かいせきされた暗号あんごうアルゴリズムの詳細しょうさいとその脆弱ぜいじゃくせいについての論文ろんぶんを2008ねんちゅう発表はっぴょうするとした。なお、このけんは MIFARE Classic 以外いがいのカードには無関係むかんけいである。

2008ねん3がつには、オランダのナイメーヘンにあるラドバウド大学だいがく (Rdaboud University Nijmegen) のデジタルセキュリティ研究けんきゅうグループが、MIFARE Classicカードのプロトコルを解析かいせきすることによって認証にんしょう/暗号あんごうアルゴリズムの特定とくてい成功せいこうし、さらにかぎ効率こうりつてき特定とくていできることを公表こうひょうした。MIFARE Classic のかぎちょう48ビットなので、そのままでもそうあた攻撃こうげき可能かのうであるが、アルゴリズムの脆弱ぜいじゃくせい利用りようすればすうふん特定とくていできるという。かぎ特定とくていできるとクローンカードを作成さくせいすることができる[4][5]

この結果けっかけて、オランダ自治省じちしょうおよびオランダ王国おうこく関係かんけいしゃRijkspas導入どうにゅうを2008ねんだい4四半期しはんきから延期えんきするか検討けんとうすると発表はっぴょうした[6]

参考さんこう脚注きゃくちゅう

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  1. ^ K. Nohl, Starbug and H. Plotz. "Mifare, little security, despite obscurity." Pre-sentation on the 24th Congress of the Chaos Computer Club (CCC), December 2007.
  2. ^ Carlo Meijer, Roel Verdult "Ciphertext-only Cryptanalysis on Hardened Mifare Classic Cards". 22nd ACM Conference on Computer and Communications Security (CCS 2015), ACM, 1 October 2015
  3. ^ Oswald, David, and Christof Paar, “Breaking Mifare DESFire MF3ICD40: Power Analysisand Templates in the Real World,”CHES 2011, LNCS, Vol. 6917, 2011, pp. 207–222.
  4. ^ http://www.hrgeeks.com/2008/03/14/so-long-mifare-rf-id-system/
  5. ^ 「ICカードの暗号あんごうすうふん解読かいどく可能かのう」――RFIDのセキュリティ懸念けねんひろがる
  6. ^ http://www.minbzk.nl/actueel/110972/veel-chips-in (オランダ

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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