UEFA EURO 2016予選よせん セルビア対たいアルバニア

この項目こうもくでは、2014年ねん10月14日にちに行おこなわれたUEFA EURO 2016予選よせん・グループI・サッカーセルビア代表だいひょう対たいサッカーアルバニア代表だいひょうの試合しあいについて記しるす。

UEFA EURO 2016予選よせん セルビア対たいアルバニア

大会たいかい名めい	UEFA EURO 2016予選よせん・グループI
セルビア代表だいひょう アルバニア代表だいひょう 0 3
没収ぼっしゅう試合しあい(0-3でアルバニアの勝利しょうり)
開催かいさい日び	2014年ねん10月がつ14日にち
会場かいじょう	スタディオン・パルチザーナ(ベオグラード)
主審しゅしん	マーティン・アトキンソン (イングランド)
観客かんきゃく数すう	25,200

この試合しあいの前半ぜんはん終了しゅうりょう間際まぎわ、大だいアルバニア主義しゅぎを掲かかげたドローンがスタジアムのピッチ上じょうを飛行ひこうし、それをきっかけに双方そうほうの選手せんしゅ・サポーターが入はいり混こんじっての乱闘らんとうが発生はっせいした。試合しあいは0 - 0のスコアのまま打うち切きられ、この事件じけんを発端ほったんとした騒動そうどうが各地かくちで起おきた。10月23日にち、UEFA管理かんり・倫理りんり・規律きりつ委員いいん会かいはこの試合しあいを没収ぼっしゅう試合しあい（3-0でセルビアの勝利しょうり）とした上うえで、双方そうほうのサッカー協会きょうかいに対たいし10万まんユーロの罰金ばっきんを科かした。これに対たいしセルビア、アルバニアサッカー協会きょうかいが共ともに異議いぎ申もうし立たてを行おこない、スポーツ仲裁ちゅうさい裁判所さいばんしょはUEFAの判決はんけつを取とり下さげアルバニア側がわの主張しゅちょうを支持しじする判決はんけつを下くだし、3-0でアルバニアの勝利しょうりとされた。

背景はいけい

セルビアとアルバニアは2014年ねん2月がつ23日にちに行おこなわれた抽選ちゅうせんの結果けっか、同おなじグループIに入はいった。両国りょうこくはコソボ紛争ふんそうを頂点ちょうてんとして、コソボの対応たいおうを巡めぐって対立たいりつを深ふかめてきた。同おなじ抽選ちゅうせん会かいではアルメニアとアゼルバイジャンが政治せいじ的てき対立たいりつ（ナゴルノ・カラバフ戦争せんそう）を理由りゆうに別べつ組ぐみに分わけられたが、両国りょうこくは直接ちょくせつ戦争せんそうをしていないので問題もんだいないというUEFAの判断はんだんにより特別とくべつな対応たいおうは取とられなかった。

試合しあいの詳細しょうさい

「UEFA EURO 2016予選よせん・グループI」も参照さんしょう

2014年ねん10月がつ14日にち

20:45
(20:45 UTC+2)

セルビア	0–3 没収ぼっしゅう試合しあい	アルバニア
	Report

スタディオン・パルチザーナ(ベオグラード)

観客かんきゃく数すう: 25,200

主審しゅしん: マーティン・アトキンソン (イングランド)

セルビア

アルバニア

GK 1 ヴラディミル・ストイコヴィッチ CB 5 マティヤ・ナスタシッチ FB 6 ブラニスラヴ・イヴァノヴィッチ (c) 35分ふん FB 11 アレクサンダル・コラロヴ CB 13 ステファン・ミトロヴィッチ RM 7 ゾラン・トシッチ CM 8 ネマニャ・グデリ CM 14 ネマニャ・マティッチ CM 10 ドゥシャン・タディッチ FW 18 ダンコ・ラゾビッチ AM 19 フィリップ・ジュリチッチ 監督かんとく: ディック・アドフォカート

GK 1 エトリト・ベリシャ RM 2 アンディ・リラ RF 4 エルセイド・ヒサイ LF 7 アンシ・アゴリ 34分ふん CB 15 メルギム・マフライ LM 3 エルミル・レニャニ CB 5 ロリック・カナ (c) DM 13 ブリム・クケリ CM 14 タウラント・ジャカ CM 22 アミール・アブラシ CF 19 ベキム・バライ 監督かんとく: ジャンニ・デ・ビアージ

事件じけんの発生はっせい

事件じけんの現場げんばとなったスタディオン・パルチザーナ

2014年ねん10月がつ14日にち、セルビアのホームで試合しあいは開催かいさいされた。両国りょうこくのサッカー協会きょうかいおよびUEFAは、衝突しょうとつを予防よぼうするためアルバニアサポーターを会場かいじょうに入いれないことで合意ごういしていたが、観客かんきゃくの持もち物ものについては配慮はいりょされなかった。

アルバニアサッカー協会きょうかいの報告ほうこくによると、試合しあい当日とうじつ、アルバニアの選手せんしゅたちが乗のるバスに対たいしてセルビアのサポーターが石いしやコンクリートの塊かたまりを投なげつけ、試合しあい直前ちょくぜんのウォーミングアップ中ちゅうにもピッチ内ないにものが投なげ込こまれ続つづけた。

試合しあい開始かいし前まえ、セルビアサポーターは「アルバニア人じんを殺ころせ」「コソボはセルビアのものだ」というチャントを行おこない、アルバニアの国歌こっか斉唱せいしょうの際さいにはブーイングや怒声どせいが上あがった。

試合しあい開始かいし直前ちょくぜんにはNATO（北大西洋きたたいせいよう条約じょうやく機構きこう）の旗はたが燃もやされた。試合しあい開始かいしから15分ふん後ご、ピッチに発はつ炎えん筒とうが投なげ込こまれた。さらに10分ふん後ご、セルビアのサポーターがギリシャの国旗こっきを掲揚けいようした。ハーフタイムに入はいる10分ふん前まえ、コーナーキックを蹴けりにいったアンシ・アゴリの前まえに発はつ炎えん筒とうが投なげ込こまれ、爆発ばくはつした。アゴリとアシスタントレフェリーの周囲しゅういに様々さまざまなものが投なげ込こまれたため試合しあいは一時いちじ中断ちゅうだん、ダンコ・ラゾヴィッチとアレクサンダル・コラロフがスタンドの観客かんきゃくをなだめた。40秒びょう後ごに試合しあいは再開さいかいされ、ピッチに物ものを投なげ込こまないようアナウンスがあった。40分ふん頃ごろ、ベキム・バライに向むかってボトルが投なげ付つけられ、セルビアのサポーター数すう名めいがピッチへの侵入しんにゅうを試こころみた。

当とう試合しあいで主審しゅしんを務つとめたマーティン・アトキンソン

42分ふん、マーティン・アトキンソン主審しゅしんはセルビアのサポーターが発はつ炎えん筒とうを投なげ込こみ続つづけたため再ふたたび試合しあいを一時いちじ中断ちゅうだんした。中断ちゅうだん中ちゅう、旗はたをつり下さげた小形こがたのクワッドロータードローンが現あらわれ、ピッチ上空じょうくうで停止ていしした。旗はたには近代きんだいアルバニア建国けんこくの父ちちであるイスマイール・ケマリとイサ・ボレチーニの肖像しょうぞう、「先住民せんじゅうみん」とアルバニアが独立どくりつした「1912年ねん11月23日にち」の文字もじ、そして大だいアルバニアの地図ちずが描えがかれていた。セルビアのステファン・ミトロヴィッチがジャンプして旗はたを引ひきずり落おとした。これに対たいしアルバニアのアンディ・リラとタウラント・ジャカが旗はたを回収かいしゅうしようと走はしり寄より、両者りょうしゃの間あいだでもみ合あいになった。ベキム・バライはミトロヴィッチから旗はたを取とり上あげたが、ピッチに乱入らんにゅうしたセルビアサポーターがプラスチック製せいの椅子いすでバライの背中せなかや頭あたまを殴なぐった。アルバニアキャプテンのロリック・カナが駆かけ寄よってきてセルビアサポーターを殴なぐり、さらに双方そうほうのチームスタッフまで乱闘らんとうに参加さんかする事態じたいに発展はってんした。ピッチに侵入しんにゅうしたセルビアサポーターがイスやその他たの道具どうぐでアルバニアの選手せんしゅを暴行ぼうこうしたため、レフェリーは双方そうほうの選手せんしゅたちにピッチを離はなれるよう指示しじした。アルバニアの選手せんしゅたちがドレッシングルームに引ひき上あげる際さいに様々さまざまな物ものが投なげつけられ、セルビアの選手せんしゅたちが引ひき上あげる際さいにはスタンディング・オベーションが起おきた。30分ふん後ご、試合しあいは0-0のまま中止ちゅうしすることが決定けっていされた。アルバニアの選手せんしゅたちは肉体にくたい的てきにも精神せいしん的てきにもダメージを負おった。

アルバニア代表だいひょうのメンバーがスタジアムを離はなれる際さい、セルビア警察けいさつが彼かれらのバックを調しらべたがドローンのコントローラーは見みつからなかった。直後ちょくごにマケドニアのサッカークラブでアルバニア系けいのFCシュクピの関係かんけい者しゃが仕向しむけたのではないかと疑うたがわれたが、確かくたる証拠しょうこは何なにもなかった。その一方いっぽうで、エディ・ラマ首相しゅしょうの弟おとうとであるオルフィ・ラマがこのドローンの操作そうさに関与かんよしていたとして貴賓きひん室しつで現行げんこう犯はん逮捕たいほされた。

試合しあい後ごに発生はっせいした事件じけん

試合しあい後ご、これに関連かんれんした事件じけんがセルビア国内外こくないがいを問とわず発生はっせいした。

セルビア

ソンボルやスタラ・パゾヴァでは、アルバニア人じんが経営けいえいするパン屋やや居酒屋いざかやが放火ほうかされた。中なかには、爆ばく弾だんが投なげ込こまれたものもあった。

モンテネグロ

首都しゅとであるポドゴリツァのアルバニア大使館たいしかんには石いしが投なげ込こまれ、窓まどガラスが割われた。これに対たいし、アルバニアのモンテネグロ大使館たいしかんには抗議こうぎ文書ぶんしょが送おくられた。

ウルツィニ、プラヴ、トゥジのアルバニア系けいモンテネグロ人じんはアルバニア代表だいひょうを祝福しゅくふくした。ポドゴリツァで発生はっせいした学生がくせい同士どうしの喧嘩けんかでは、4人にんが病院びょういんで手当てあてを受うけた。

南みなみアルバニア

セルビアでの事件じけんが報道ほうどうされた直後ちょくご、国粋こくすい主義しゅぎ者しゃ約やく100人にんが旗はたやスローガンを掲かかげ、各地かくちのギリシャ系けい住民じゅうみんが襲撃しゅうげきされた。警察けいさつ介入かいにゅう後ごは沈静ちんせい化かした。これに対たいし、ギリシャ政府せいふは大使館たいしかんを通つうじてアルバニアに抗議こうぎを行おこなった。

オーストリア

試合しあい後ご、ウィーンでアルバニア人じん50人にんほどがセルビア人じんの経営けいえいするコーヒー店てんに瓶びんを投なげつけた。周辺しゅうへんに留とめてあった警察けいさつ車両しゃりょうを含ふくむ乗用車じょうようしゃ数すう台だいが被害ひがいを受うけた。

判決はんけつ

UEFAの判決はんけつ

試合しあい後ご、UEFAはセルビアとアルバニア双方そうほうのサッカー協会きょうかいに対たいする懲戒ちょうかい処分しょぶんを行おこなうことを明あきらかにした。処分しょぶんの対象たいしょうとなったのは、セルビア側がわが発はつ炎えん筒とうその他たの投なげ込こみ、騒乱そうらんの発生はっせい、ピッチへの侵入しんにゅう、不十分ふじゅうぶんな警備けいび、レーザーポインターの使用しよう。アルバニア側がわがプレーの拒否きょひと許可きょかされていないバナーの掲揚けいようである。

2014年ねん10月がつ23日にち、UEFA管理かんり・倫理りんり・規律きりつ委員いいん会かいが開ひらかれた。翌日よくじつ、UEFAが処分しょぶんの内容ないようを発表はっぴょうした。当該とうがい試合しあいは没収ぼっしゅう試合しあいとなり、3–0でアルバニアの敗北はいぼくとすること、セルビアは勝かち点てん3を剥奪はくだつし次回じかいホーム開催かいさいの試合しあいは無む観客かんきゃくで行おこなうこと、そして双方そうほうのサッカー協会きょうかいに罰金ばっきん10万まんユーロが科かされた。この判決はんけつにセルビア、アルバニア両方りょうほうのサッカー協会きょうかいが上訴じょうそを行おこなったが、UEFAは判決はんけつを支持しじした。

UEFAの判決はんけつに対たいする反応はんのう

• アルバニア代表だいひょうの選手せんしゅ、監督かんとく、協会きょうかい関係かんけい者しゃ、更さらには大統領だいとうりょうやアルバニアにルーツを持もつ外国がいこく人じんに至いたるまで、UEFAの判決はんけつに対たいする不満ふまんを露あらわにした。

• 10月15日にち、UEFAの本部ほんぶがあるスイスのニヨンにおいてアルバニアのサポーターが抗議こうぎ活動かつどうを行おこなった。ほかにもティラナ、プリシュティナ、ポドゴリツァ、テトヴォで同様どうようの抗議こうぎ活動かつどうが行おこなわれた。
• 海外かいがいメディアの中なかにはセルビア人じんサポーターによる暴力ぼうりょく行為こういと、判決はんけつ後ごのセルビア人じんの反応はんのうを批判ひはんするメディアもあった。
• アルバニア人じん音楽家おんがくかのアルディト・ジェブレアもセルビア製品せいひんのボイコットを呼よびかけた。

CASの判決はんけつ

アルバニアとセルビアのサッカー協会きょうかい双方そうほうがUEFAの判決はんけつに異議いぎ申もうし立たてを行おこなったため、スポーツ仲裁ちゅうさい裁判所さいばんしょ(CAS)で改あらためて審議しんぎを行おこなうことが決定けっていした。2015年ねん7月がつ10日とおかにCASはセルビア側がわの主張しゅちょうを退しりぞけ、当該とうがい試合しあいを0–3でセルビアの敗北はいぼくとし、さらに勝かち点てん3を剥奪はくだつする判決はんけつを下くだした。

EURO 2016予選よせんへの影響えいきょう

CASの判決はんけつで勝かち点てん3を得えたアルバニアは合計ごうけい14ポイントでグループ2位いとなり、本戦ほんせん出場しゅつじょうを達成たっせいした。アルバニアに次つぐ12ポイントを獲得かくとくしたデンマークが3位いでプレーオフに回まわり、スウェーデンと対戦たいせんしたが敗退はいたいした。セルビアは4ポイントで4位いに終おわり、本戦ほんせん出場しゅつじょうを逃のがした。

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