亡ほろび

漢字かんじ

亡ほろび

指事しじ。「刀かたな」の刃先はさきの部分ぶぶんに印しるしを加くわえたもの。「きっさき」を意味いみする漢語かんご｛芒すすき /*maang/｝を表あらわす字じ。のち仮借かしゃくして「なくなる」を意味いみする漢語かんご｛亡ほろび /*mang/｝に用もちいる。^{[字源じげん 1]}

甲骨文字こうこつもじ	金文きんぶん	簡帛文字もじ	小篆しょうてん	流伝りゅうでんの古こ文字もじ

殷いん	西にし周あまね	戦国せんごく時代じだい	《説せつ文ぶん》（漢かん）	《六書りくしょ通どおり》（明あきら）

↑ 周しゅう法ほう高だか、張ちょう日にち昇のぼり編纂へんさん『金文きんぶん詁林』香港ほんこん中ちゅう文ぶん大学だいがく出版しゅっぱん社しゃ、1975年ねん、7058-7059頁ぺーじ。
裘錫圭けい「釈しゃく“無む終おわり”」中国ちゅうごく古こ文字もじ研究けんきゅう会かい第だい八はち届とどけ討論とうろん会かい、江蘇こうそ太ふとし倉くら、1990年ねん。
季き旭あさひ昇のぼる撰せん『説せつ文ぶん新しん証あかし』芸文げいぶん印しるし書しょ館かん、2014年ねん、871頁ぺーじ。
林はやし志こころざし強きょう等とう評注ひょうちゅう『《文ぶん源げん》評注ひょうちゅう』中国ちゅうごく社会しゃかい科学かがく出版しゅっぱん社しゃ、2017年ねん、481頁ぺーじ。
葛かずら亮あきら「古こ字じ新しん識（18）――説せつ“無む”“亡ほろび”」『書しょ与あずか画が』2021年ねん第だい6期き 51-52頁ぺーじ。

「亡ほろび」を音符おんぷとする形声けいせい文字もじ（諧声かいせい域いき＝*MANG）
		明あかり母はは	曉あかつき母はは
一等いっとう	平声ひょうしょう唐から韻いん	茫吂䀮汒恾忙せわし朚邙芒すすき𥐞杗𡩩𨛌	荒あら𥡃肓衁𩣐𥿼㠵𧧢䀮𣆖㡆巟𣺬（開口かいこう：䐠）（溪けい母はは開口かいこう：㼹）
	上声じょうせい蕩とろけ韻いん	㟐	慌𡧽㬻𣆖𧧢
	去声きょしょう宕韻	吂㟐	荒あら
	入声にっしょう鐸韻
		明あかり母はは	曉あかつき母はは
二に等とう	平声ひょうしょう庚かのえ韻いん	盲めくら蝱䥰（耕こう韻いん：氓甿）
	上声じょうせい梗韻
	去声きょしょう映うつ韻いん	朚
	入声にっしょう陌韻
		明あかり母はは	曉あかつき母はは
三さん等とうA	平声ひょうしょう陽ひ韻いん	亡ほろび芒すすき莣鋩硭杗朚邙𨛌望もち
	上声じょうせい養やしなえ韻いん	網あみ罔輞棢惘菵誷𡔞𦖉魍（敷じき母はは麌韻：𢻬）	𧧢
	去声きょしょう漾韻	妄望もち朢忘汒𧫢
	入声にっしょう藥やく韻いん	-
		明あかり母はは	曉あかつき母はは
三さん等とうB	平声ひょうしょう庚かのえ韻いん
	上声じょうせい梗韻
	去声きょしょう映うつ韻いん
	入声にっしょう陌韻	-

（自動詞じどうし）なくなる。きえる。
- 焼亡しょうぼう
（自動詞じどうし）ほろぶ。しぬ。つぶれる。消滅しょうめつする。
（対たい義ぎ字じ）: 興きょう（うまれる）、存そん（いきる）
- 滅亡めつぼう、死亡しぼう、衰亡すいぼう、興亡こうぼう
（他動詞たどうし）なくす。うしなう。
- 亡失ぼうしつ
（他動詞たどうし）ほろぼす。しなす。つぶす。消滅しょうめつさせる。
（対たい義ぎ字じ）: 興きょう（うむ）、存そん（いかす）
- 亡国ぼうこく
にげる。のがれる。
- 亡命ぼうめい、逃亡とうぼう

ロろーマ字まじ表記ひょうき
- 普通ふつう話ばなし
  - ピンイン: wáng (wang2)
  - ウェード式しき: wang²
  - 注ちゅう音符おんぷ号ごう: ㄨㄤˊ
- 広東かんとん語ご
  - イェール式しき: mong4, mou4
- 閩南語ご
  - POJ: bông
- 閩東語ご
  - 平話へいわ字じ: uòng
- 客きゃく家か語ご
  - 白話はくわ字じ: mòng
- 呉ご語ご
  - ピンイン: vaon1, maon1
- 中ちゅう古音こおん: mjang
- 上古じょうこ音おん:
  - 白はく一平いっぺい-サガール: *maŋ
  - 鄭てい張ちょう: *maŋ