「鋤すき」の版はん間あいだの差分さぶん

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2023年ねん11月7日にち (火)か 18:45時点じてんにおける最新さいしん版ばん

鋤すき（すき）は、表土ひょうどの掘ほり起おこしに用もちいられる農工のうこう具ぐの一種いっしゅ^[1]^[2]。農耕のうこう具ぐであるとともに^[1]、掘鑿くっさく（掘削くっさく）用よう手道具てどうぐ類るいにも分類ぶんるいされる^[2]。英語えいご名めいでスペード（Spade）と呼よばれる手道具てどうぐに相当そうとうする^[3]。

同音どうおんの漢字かんじに犂すき（すき）があるが、鋤すきは作業さぎょう者しゃが体重たいじゅうをかけて用もちいるのに対たいし^[1]、犂すきは牛馬ぎゅうばに牽引けんいんさせ作業さぎょう者しゃが後方こうほうから押おして用もちいる（犂すきは英語えいご名めいはPlough（プラウ）である）^[2]。なお、中国ちゅうごくでは元来がんらい「鋤すき」の字じは“くわ”を意味いみしていたが、日本にっぽんでは鋤すきを使役しえき動物どうぶつに引ひかせて使つかう農耕のうこう具ぐ（つまり、犂すき）であると誤認ごにんされ、“くわ”に当あたる漢字かんじが存在そんざいしないと考かんがえて、“くわ”を意味いみする国字こくじ「鍬くわ」を創作そうさくしたとされている^[4]。

概要がいよう[編集へんしゅう]

鋤すきは作業さぎょう者しゃが体重たいじゅうをかけながら足あしをかけたり手てで押おし込こんで使用しようする道具どうぐである^[1]。

本来ほんらいは木製もくせいで、全体ぜんたいが櫂かい（かい）の形状けいじょうで身みも柄えも木製もくせいの長柄ながえ鋤すきと、鋤すき身みの部分ぶぶんが別べつの木きになっている着ちゃく柄がら鋤すきがある^[1]。

西洋せいようでは古代こだいギリシャ、古代こだいローマの時代じだいには多種たしゅの鉄てつの道具どうぐが使用しようされるようになり、その中なかにはスペード（鋤すき）も含ふくまれている^[3]。日本にっぽんでも弥生やよい時代じだいには金属きんぞく鋤すきがみられるが、木製もくせい鋤すきのほうが出土しゅつど例れいが多おおく、湿田しつでんの耕こう起おこりには木製もくせい鋤すきで事足ことたりたのではないかという指摘してきがある^[5]。

鉄てつの先さき金きんを先端せんたんに付つけた鋤すきは、形状けいじょうによって関東かんとう鋤すき、風呂ふろ鋤すき、江え州しゅう鋤すきなどに分類ぶんるいされる^[5]。なお、これらとは別べつに踏ふみ鋤すきと呼よばれるものもある。

すき焼やき[編集へんしゅう]

柄えの取とれた古ふるい鋤すきを野外やがいで鍋なべの代かわりに使つかって鳥獣ちょうじゅうの肉にくや野菜やさいを焼やいたのが「すき焼やき」の始はじまりとする説せつがある。　

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ ^a ^b ^c ^d ^e 植田うえだ育代いくよ「弥生やよい時代じだい後期こうきの農耕のうこう具ぐをめぐって」『高円こうえん史学しがく』第だい1号ごう、高円こうえん史し学会がっかい、1985年ねん10月がつ10日とおか、18-43頁ぺーじ。
^ ^a ^b ^c 志水しみず直彦なおひこ『土木どぼく工事こうじ用よう器具きぐ機械きかい』常磐ときわ書房しょぼう、1931年ねん。
^ ^a ^b 保志ほし恂まこと「零細れいさい農耕のうこうの形成けいせい過程かてい」『農村のうそん研究けんきゅう』第だい45号ごう、東京農業大学とうきょうのうぎょうだいがく農業のうぎょう経済けいざい学会がっかい、1977年ねん9月がつ、24-33頁ぺーじ。
^ 古賀こが（2012）p.195
^ ^a ^b 八幡はちまん一郎いちろう「日本にっぽんの古代こだい鋤すき」『民族みんぞく學がく研究けんきゅう』第だい21巻かん第だい4号ごう、日本にっぽん民族みんぞく学会がっかい、1957年ねん12月。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

古賀こが登のぼる『両りょう税法ぜいほう成立せいりつ史しの研究けんきゅう』雄山閣ゆうざんかく、2012年ねん。

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+'''鋤すき'''（すき）は、表土ひょうどの掘ほり起おこしに用もちいられる農工のうこう具ぐの一種いっしゅ<ref name="ueda" /><ref name="shimizu">{{Cite book |和書わしょ |author=志水しみず直彦なおひこ |title=土木どぼく工事こうじ用よう器具きぐ機械きかい |publisher=常磐ときわ書房しょぼう |year=1931|url=http://library.jsce.or.jp/Image_DB/s_book/jsce100/pdf/03262/03262_A_03.pdf}}</ref>。[[農具のうぐ|農耕のうこう具ぐ]]であるとともに<ref name="ueda" />、掘鑿くっさく（掘削くっさく）用よう手道具てどうぐ類るいにも分類ぶんるいされる<ref name="shimizu" />。英語えいご名めいでスペード（Spade）と呼よばれる手道具てどうぐに相当そうとうする<ref name="hoshi" />。
+同音どうおんの漢字かんじに犂すき（すき）があるが、鋤すきは作業さぎょう者ものが体重たいじゅうをかけて用もちいるのに対たいし<ref name="ueda" />、犂すきは牛うし馬うまに牽引させ作業さぎょう者しゃが後方こうほうから押おして用もちいる（犂すきは英語えいご名めいはPlough（[[プラウ]]）である）<ref name="shimizu" />。なお、中国ちゅうごくでは元来がんらい「鋤すき」の字じは“[[鍬くわ|くわ]]”を意味いみしていたが、日本にっぽんでは鋤すきを使役しえき動物どうぶつに引ひかせて使つかう農耕のうこう具ぐ（つまり、犂すき）であると誤認ごにんされ、“くわ”に当あたる漢字かんじが存在そんざいしないと考かんがえて、“くわ”を意味いみする[[国字こくじ]]「鍬くわ」を創作そうさくしたとされている<ref>[[#古賀こが|古賀こが（2012）p.195]]</ref>。
-[[画像がぞう:A_peasant1.JPG|right|thumb|300px|江戸えど時代じだいの鋤すき]]
-'''鋤すき'''（すき）とは、農作業のうさぎょうや土木どぼく工事こうじに使用しようされた、[[地面じめん]]を掘ほったり、土砂どしゃなどをかき寄よせたり、[[土ど]]の中なかの雑草ざっそうの[[根ね]]を切きるのに使用しようされる[[道具どうぐ]]、[[農具のうぐ]]である。スペード（Spade）とも呼よばれる。
 == 概要がいよう ==
+[[画像がぞう:A_peasant1.JPG|right|thumb|300px|江戸えど時代じだいの鋤すき]]
-構造こうぞうは、[[櫂かい]]状じょうであり、[[木き]]製せいか[[金属きんぞく]]製せいの長ながい柄えと、金属きんぞく製せいの刃は、または[[竹たけ]]で編あんだ[[箕み]]で構成こうせいされ、これらが一直線いっちょくせん上じょうにあるか、または鈍角どんかくをなしている。使用しよう法ほうは、手力てじからと鋤すき重じゅうとによる押込おしごめ力りょくと、手力てじからによる土壌どじょうの反転はんてんとを適当てきとうに利用りようして、農地のうちを耕たがやせ起おこりする。「踏鍬」（ふみぐわ）と称しょうされるものは、鋤すきの1種しゅであり、踏圧力りょくを利用りようしてその鑱床部ぶを土中どちゅうに深ふかく挿入そうにゅうし、これを両手りょうてで押おし倒たおし、土壌どじょうを撥はね起おこしつつ、側がわ退すさ耕こう鋤すきするものである。
+鋤すきは作業さぎょう者しゃが体重たいじゅうをかけながら足あしをかけたり手てで押おし込こんで使用しようする道具どうぐである<ref name="ueda">{{Cite journal |和書わしょ |author= 植田うえだ育代いくよ |title=弥生やよい時代じだい後期こうきの農耕のうこう具ぐをめぐって |journal=高円こうえん史学しがく |issue=1 |publisher=高円こうえん史し学会がっかい |date=1985-10-10 |pages=18-43 |url=http://hdl.handle.net/10105/8616}}</ref>。
+本来ほんらいは木製もくせいで、全体ぜんたいが櫂かい（かい）の形状けいじょうで身みも柄えも木製もくせいの長柄ながえ鋤すきと、鋤すき身みの部分ぶぶんが別べつの木きになっている着ちゃく柄がら鋤すきがある<ref name="ueda" />。
-鋤すきは人間にんげんが手て作業さぎょうで使つかう道具どうぐであり、馬うまや牛うしなどに引かせる[[犂すき]]（すき、[[プラウ]]）とは、同おなじ発音はつおんではあるが別べつの道具どうぐである。なお、中国ちゅうごくでは元来がんらい「鋤すき」の字じは“[[鍬くわ|くわ]]”を意味いみしていたが、日本にっぽんでは鋤すきを使役しえき動物どうぶつに引ひかせて使つかう農耕のうこう具ぐ（つまり、犂すき）であると誤認ごにんされ、“くわ”に当あたる漢字かんじが存在そんざいしないと考かんがえて、“くわ”を意味いみする[[国字こくじ]]「鍬くわ」を創作そうさくしたとされている<ref>[[#古賀こが|古賀こが（2012）p.195]]</ref>。
+西洋せいようでは[[古代こだいギリシャ]]、[[古代こだいローマ]]の時代じだいには多種たしゅの[[鉄てつ]]の道具どうぐが使用しようされるようになり、その中なかにはスペード（鋤すき）も含ふくまれている<ref name="hoshi">{{Cite journal |和書わしょ |author= 保志ほし恂まこと |title=零細れいさい農耕のうこうの形成けいせい過程かてい |journal=農村のうそん研究けんきゅう |issue=45 |publisher=東京農業大学とうきょうのうぎょうだいがく農業のうぎょう経済けいざい学会がっかい |date=1977-09 |pages=24-33
-洋ようの東西とうざいを問とわず、反乱はんらんや[[一揆いっき]]の際さいには武器ぶきに変へんじた。
+|url=https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010160153.pdf}}</ref>。日本にっぽんでも[[弥生やよい時代じだい]]には金属きんぞく鋤すきがみられるが、木製もくせい鋤すきのほうが出土しゅつど例れいが多おおく、湿田しつでんの耕こう起おこりには木製もくせい鋤すきで事足ことたりたのではないかという指摘してきがある<ref name="yawata">{{Cite journal |和書わしょ |author= 八幡やはた一郎いちろう |title=日本にっぽんの古代こだい鋤すき |journal=民族みんぞく學がく研究けんきゅう|volume= 21 |issue=4 |publisher=日本にっぽん民族みんぞく学会がっかい |date=1957-12 |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/minkennewseries/21/4/21_KJ00003557852/_pdf/-char/ja}}</ref>。
+鉄てつの先さき金きんを先端せんたんに付つけた鋤すきは、形状けいじょうによって関東かんとう鋤すき、風呂ふろ鋤すき、江え州しゅう鋤すきなどに分類ぶんるいされる<ref name="yawata" />。なお、これらとは別べつに[[踏ふみ鋤すき]]と呼よばれるものもある。
-現在げんざいでは農業のうぎょう用よう・土木どぼく作業さぎょう用ようともに、[[シャベル]]にとって代かわられ、日本にっぽんの伝統でんとう的てきな鋤すきは一般いっぱんに見みることはできなくなった。
 == すき焼やき ==
-なお、柄えの取とれた古ふるい鋤すきを野外やがいで[[鍋なべ]]の代かわりに使つかって鳥獣ちょうじゅうの[[肉にく]]や[[野菜やさい]]を焼やいたのが「[[すき焼やき]]」の始はじまりといわれている。
+柄えの取とれた古ふるい鋤すきを野外やがいで[[鍋なべ]]の代かわりに使つかって鳥獣ちょうじゅうの[[肉にく]]や[[野菜やさい]]を焼やいたのが「[[すき焼やき]]」の始はじまりとする説せつがある。
 == 脚注きゃくちゅう ==

2023年ねん11月7日にち (火)か 18:45時点じてんにおける最新さいしん版ばん

概要がいよう[編集へんしゅう]

すき焼やき[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]