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なべ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

なべ(なべ)は、調理ちょうり一種いっしゅで、おもに金属きんぞくせい円形えんけいであり、把手とって(とって、ハンドル)やつるなどをつけることがおお[1]

なお「なべ」は、調理ちょうり器具きぐしている場合ばあいと、調理ちょうり器具きぐなべ使つかってつく料理りょうりなべ料理りょうり煮物にもの料理りょうり鍋物なべもの)を場合ばあいがある。「なべべる」とはなべ料理りょうりべるという意味いみである。なべ料理りょうりかんしてはなべ料理りょうり記事きじんでいただき、とう記事きじでは調理ちょうり器具きぐなべについて解説かいせつする。

概説がいせつ

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日本にっぽん特許庁とっきょちょう意匠いしょう分類ぶんるい定義ていぎカードによると、食材しょくざいとおすための調理ちょうり器具きぐであり、煮物にものぶつものひとし調理ちょうりほう利用りようされる[2]

通常つうじょう円形えんけいで、金属きんぞくせい陶製とうせい容器ようきで、おも調理ちょうり目的もくてき液体えきたい保持ほじする目的もくてき使つかうものである。

歴史れきし

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石器せっき時代じだい、およそ2まんねん[3]からそれ以上いじょうまえ人類じんるい土器どきつくはじめ、その当初とうしょからの用法ようほうひとつは食物しょくもつ煮炊にたきするなべであったとかんがえられている。

日本にっぽんでは、縄文じょうもん土器どき基本きほん形態けいたいであるふかはちは、とがったあるいはまるくなっているそこ部分ぶぶんゆかうえたてて、まわりでいて中身なかみ加熱かねつ調理ちょうりするなべであった。その歴史れきしは1まん4せんねんまえまでさかのぼれる[4]

金属きんぞくせいなべすくなくとも青銅器せいどうき文明ぶんめい紀元前きげんぜん2000ねんころからエジプト、メソポタミア、中国ちゅうごくコルドロン分類ぶんるいされる大釜おおかま使つかわれした。中国ちゅうごくではながあいだ使つかわれつづけ、戦国せんごく時代じだい紀元前きげんぜん403ねん - 紀元前きげんぜん221ねん)の遺跡いせきであるずいしゅう曾侯おつからも、「かなえ」、「」といったるのにてきした青銅器せいどうき出土しゅつどしている。釉薬けていない素焼すやきの土鍋どなべちがい、すなはいでこすれば清潔せいけつたもてて、ねつつたわりかたはやく、ものちがってけたりれたりすることがすくない金属きんぞくせいなべがま便利べんりであったが、当時とうじ金属きんぞくせいなべつくるのは技術ぎじゅつてきにも大変たいへんだったため貴重きちょうひんであった。

あしつきの金属きんぞくなべ(19世紀せいき

金属きんぞくせいなべ貴重きちょうひんだった時代じだいながつづき、ヨーロッパでは地域ちいきによってコルドロンの形状けいじょうおおきさの差異さいたが、全般ぜんぱんてきながらくコルドロンのみでつくれる料理りょうり一般いっぱんてき食事しょくじとされ、1412ねんにロンドン在住ざいじゅうのジョン・コールとジュリア・コール夫妻ふさいおもだった財産ざいさんえるおもさ7キロのコルドロンは、当時とうじ土鍋どなべが1ペニーほどの時代じだいに4シリング(1シリングは12ペニー)したとされる[5]多種たしゅ多様たようなべ一般いっぱんてきになったのはイギリスにおいては18世紀せいきはいってからである[6]

種類しゅるい

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特許庁とっきょちょう意匠いしょう分類ぶんるい定義ていぎカードの取手とって(ハンドル)に着目ちゃくもくした分類ぶんるいによると、片手かたてきのもの[2]片手かたてなべ)、両手りょうてきのもの[2]りょう手鍋てなべ)、手付てつきのもの[2]などがある。なお、日本にっぽん料理りょうりのプロの調理人ちょうりにん世界せかいではやっとこなべ後述こうじゅつ)のようにがなくやっとこつかんであつかうものもしばしば使つかわれる。

また、ぶたきのものとぶたしのものがある[2]

一般いっぱんには、熱源ねつげんあわっていないが[2]電気でんきなべのように熱源ねつげんあわっているものもある[2]

つぎのような種類しゅるいもある。

圧力あつりょくなべ
圧力あつりょくなべ(あつりょくなべ)
なべぶたをして密閉みっぺいし、蒸気じょうきげないようにすることで内部ないぶ圧力あつりょくげ、みず沸点ふってん摂氏せっし100以上いじょうにして高温こうおんこうあつ加熱かねつするなべ完全かんぜん密閉みっぺいすると内部ないぶ圧力あつりょくたかくなりすぎて危険きけんなので、圧力あつりょく調整ちょうせいべんぶた装備そうびされており、一定いってい圧力あつりょくたもたれる仕組しくみになっている。
保温ほおん調理ちょうりなべ(ほおんちょうりなべ)
保温ほおんせいたかく、みじか加熱かねつ時間じかんでも余熱よねつ利用りようして効率こうりつてき調理ちょうりできるように設計せっけいされたなべ

サバイバルやキャンプなどでしか使つかわれない特殊とくしゅなものだが、ビニールぶくろなべという、ビニールぶくろ食材しょくざい水分すいぶん投入とうにゅうしてなどのちょくにかけるものもある。

材質ざいしつ種類しゅるい特徴とくちょう

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近年きんねん普及ふきゅうすすんでいるIHヒーターは、しるべでんたいである土鍋どなべやガラスせいなべ原則げんそくてき使用しようできない。てつけい素材そざいとは相性あいしょうがいいが、アルミやどうなどの磁性じせい金属きんぞく使用しようできない製品せいひんもあり、できても加熱かねつ効率こうりつおとる。土鍋どなべようなどとして、鍋底なべぞこしずめて使つか発熱はつねつよう円形えんけいプレート(ステンレスせい)があり、これをもちいれば加熱かねつ可能かのうであり、一部いちぶ商品しょうひんではなべ本体ほんたい最初さいしょから付属ふぞくしている。

陶器とうき
陶器とうきせいなべ世界せかい各地かくちにあり、アフリカヨーロッパアジア北米ほくべい中米ちゅうべい南米なんべいなどにある。中国ちゅうごくでは「すななべ」といい、日本にっぽんでは「土鍋どなべ」という。のあたりがやわらかく、保温ほおんせいたかいのが特徴とくちょうかゆおでんなど弱火よわび長時間ちょうじかん煮込にこ料理りょうりてきしている。ただし衝撃しょうげきよわく、れやすい。また急激きゅうげき温度おんど変化へんかにもよわく、鍋底なべぞこ水滴すいてきいている状態じょうたいけるとひびがはいることがある。必要ひつようなものとそうでないものがある。
石鍋いしなべ(トルソッ)
いし
世界せかい各地かくち料理りょうり使つかわれている。石材せきざいとしては、ちょう水石みずいしなどがもちいられる。九州きゅうしゅう沖縄おきなわけんでは室町むろまち時代ときよまで滑石かっせきせい石鍋いしなべ使用しようされた。朝鮮ちょうせん料理りょうりでもトルソとんで使用しようし、いしビビンバ代表だいひょうれいとなっている。日本にっぽんでは鍋物なべものいしどんぶりいしオムライスいし中華ちゅうかどんぶりいしカレーなど。
どうなべ写真しゃしん手前てまえ右側みぎがわ
どう
実用じつようできる材質ざいしつなかもっとねつ伝導でんどうりつたかく、効率こうりつ加熱かねつができるのでなべ材質ざいしつとして理想りそうてきなものである。しかし材質ざいしつてきやわらかいのできずきやすく、酸化さんか電気でんき腐食ふしょくきやすいため、手入ていれには手間てまかる。そのため、現代げんだいどうなべ内側うちがわにはすずのメッキがほどこされており、内側うちがわ銀色ぎんいろかがやいている。展性てんせいすぐれていることから鍛造たんぞう成型せいけいされることがおおかった。鍛造たんぞうなべ鋳造ちゅうぞうよりうすかるいが、製造せいぞうには技術ぎじゅつりょく手間てまようするうえ地金じがねどうてつより高価こうかであるため高級こうきゅうひんであった。安価あんかなプレス成型せいけいゆき平鍋ひらなべ鍛造たんぞうづちあとしたパターンが成型せいけいされているのも、高級こうきゅうひんであった名残なごりである。現在げんざいでも細々こまごまながら職人しょくにん製造せいぞうつづけられており、本物ほんもの鍛造たんぞうなべ仔細しさい観察かんさつすれば、(製作せいさくしゃ技量ぎりょうレベルにもよるが)づちあと完全かんぜん一定いっていにはならないのでプレス成型せいけい区別くべつできる。
どうせい調理ちょうり器具きぐ調理ちょうりすると料理りょうりどうイオンがす。どうイオンは卵白らんぱくあわ安定あんていさせたりみどり野菜やさいいろあざやかにする効果こうかがある反面はんめん人体じんたいから排出はいしゅつされにくく大量たいりょう摂取せっしゅすると胃腸いちょう障害しょうがいかん障害しょうがいこす危険きけんせいがある。よって、内側うちがわすずメッキされていないどう調理ちょうり器具きぐ毎日まいにち使つかうことはすすめられない[7]
てつ
ふるくはなべ材料ざいりょうとしてもっと多用たようされていた。丈夫じょうぶねつにもつよく、あぶらのなじみがとてもいため,強火つよびあぶら多用たようする中華ちゅうかなべ材料ざいりょうとしては主流しゅりゅうである。使用しようすることで鉄分てつぶん補給ほきゅうができ、ねつ伝導でんどうりつ比較的ひかくてき良好りょうこうである。びやすいこと、おもいことが欠点けってん鋼板こうはんプレス加工かこうしたものと鋳物いもの鋳鉄ちゅうてつせいのものがある。鋳鉄ちゅうてつせいあつみがあるためとくおもいが、あつみによりねつ分散ぶんさんがおこなわれ、均一きんいつ安定あんていした加熱かねつができること、また熱容量ねつようりょうおおきいため、食材しょくざい投入とうにゅう温度おんど低下ていかすくないという特長とくちょうがある。
過去かこには鋳鉄ちゅうてつなべどうなべよりも廉価れんか普段ふだん使づかいのものがおおく、これの補修ほしゅう鋳掛いかけ各地かくち行商ぎょうしょうしていた。現代げんだいてつなべだい部分ぶぶん鋼板こうはんプレスせいってわられ、鋳鉄ちゅうてつなべぎゃく南部なんぶ鉄器てっきのようなこう付加ふか価値かち工芸こうげいひんとしてのこっていたが、いまではその調理ちょうり性能せいのうたかさからさい評価ひょうかされ普及ふきゅうしつつある。
鋼板こうはんせい鋳鉄ちゅうてつせいのいずれも、近代きんだい以後いごぼうさびりょくたかめるため表面ひょうめん琺瑯ほうろう加工かこうほどこした製品せいひん市販しはんされている。中華ちゅうかなべのようなコーティングされていないてつなべ腐食ふしょくきをこしやすいため、新品しんぴんをおろしたときにはそらきやなべならし(シーズニング)といった表面ひょうめん処理しょりおこな場合ばあいがある[8][9]
ステンレスなべ
ステンレス
さびつよく、かたさとたい衝撃しょうげきせいもあり、一般いっぱんてきなべ材質ざいしつとしてはもっと耐久たいきゅうせいすぐれる。アルミざいくらべプレス成型せいけいにはよりたか技術ぎじゅつようするが、現在げんざいではアルミとならなべ素材そざい主流しゅりゅうとなった。表面ひょうめんみがいた鏡面きょうめん仕上しあげはステンレスざい特権とっけんえる。ねつ伝導でんどうりつわる欠点けってんがあるため、後述こうじゅつ多層たそうそこ構造こうぞう改善かいぜんはかり、加熱かねつ性能せいのうをアルミなべてつなべちかづけている。
たんそうこう
ねつ伝導でんどうりつ非常ひじょうわるなべ材質ざいしつとしてはあまりこのましいものではない。調理ちょうり時間じかんがかかる。ねつムラにより食材しょくざいげやすい。
全面ぜんめん多層たそうこうクラッドこう
外側そとがわ部分ぶぶんステンレス配置はいちし、内側うちがわてつどうアルミなどのよりねつ伝導でんどうりつ材料ざいりょうをはさみんで、圧延あつえんすることでいちまいいたじょう加工かこうした材料ざいりょう断面だんめんると、サンドイッチじょう複数ふくすう材質ざいしつかさなりって結合けつごうしているのをることができる。かく材質ざいしつねつ伝導でんどうりつことなるので、境界きょうかいめん水平すいへい方向ほうこうねつ拡散かくさんがおきて、結果けっかてきなべ全体ぜんたい均一きんいつ加熱かねつされることになり加熱かねつむらがにくい。ふくごうそうは3そう、5そう、7そうのものがおおく、これ以上いじょう多層たそうのものもある。
多層たそうそこ
たんそうなべそこ部分ぶぶんのみ多層たそう構造こうぞうにしたもの。全面ぜんめん多層たそうこうなべより安価あんか加熱かねつムラは、底面ていめんすくないが、側面そくめんとくそこちか下部かぶ)にやすくきの原因げんいんとなりやすい。
アルミニウム
現在げんざい、ステンレスとならんでなべ多用たようされている材質ざいしつである。どうにつぎねつ伝導でんどうりつたかく、かるく、びにくい。展性てんせいにもすぐれているのでプレス成型せいけい安価あんか大量たいりょう生産せいさん可能かのう。だが、やわらかできずきやすいという欠点けってんがある。さんよわいので、耐蝕たいしょくせいたかめるためアルマイト加工かこうほどこされたなべおおい。業務ぎょうむよう寸胴ずんどうなべのような大型おおがた製品せいひんではかるさのメリットがえがたく、依然いぜん主流しゅりゅうめる。以前いぜんより家庭かていようアルミなべでは内部ないぶフッ素ふっそ加工かこうしたものが販売はんばいされているが、近年きんねんはコーティング技術ぎじゅつ進化しんかによりこう耐久たいきゅうになってきたため、業務ぎょうむようとしても使つかわれはじめている。
ホーローなべ
琺瑯ほうろう(ほうろう、ホーロー)
てつどうせいなべうえに、ガラスしつ釉薬そうけたもの。腐食ふしょくつよく、金属きんぞくなべにはない独特どくとくうつくしさがある。ねつ伝導でんどうりつたか金属きんぞく使用しようしつつ耐食性たいしょくせいもあるというのもメリットである。欠点けってん加熱かねつ直後ちょくごみずにつけるなどの急激きゅうげき温度おんど変化へんかや、衝撃しょうげきけると表層ひょうそうの釉薬にちいさな破損はそんけ)がしょうじることである(だが中身なかみ金属きんぞく部分ぶぶん大丈夫だいじょうぶなべとしての機能きのうには問題もんだいいので、しょうキズをにしなければ使つかつづけることができる)。50ねんほどまえ鋼板こうはんせいのホーローなべはかなりひろ使用しようされ、たいていの家庭かていにあったが、アルミなべやステンレスなべ一般いっぱん普及ふきゅうするにつれってきた。
しかしル・クルーゼ代表だいひょうされる鋳鉄ちゅうてつせいホーローなべは、その調理ちょうり性能せいのうたかさ(「てつ」のこう参照さんしょう)にくわえ、陶製とうせいなべより頑丈がんじょう腐食ふしょくつよく、琺瑯ほうろうにはあざやかないろのものもありファッションせいそなえ、高価こうかにもかかわらず料理りょうりきたちの支持しじあつめ、近年きんねん日本にっぽんでも人気にんきである。
たいねつガラスなべ
たいねつガラス
性質せいしつ土鍋どなべちかく、中身なかみ様子ようす確認かくにんしやすいという長所ちょうしょげられる。欠点けってんは、やはり衝撃しょうげきよわいこと。
本体ほんたいよりもたい熱性ねっせい要求ようきゅうゆる鍋蓋なべぶたかんしてはおおもちいられる。
チタン
なべ材料ざいりょうとして利用りようされるようになったのは比較的ひかくてき最近さいきんであり、しかも用途ようと限定げんていされている。精錬せいれん加工かこうむずかしいことから高価こうかで、ねつ伝導でんどうりつきわめてわるく、調理ちょうり器具きぐとしては評価ひょうかひくく、通常つうじょう料理りょうりてん家庭かてい厨房ちゅうぼうでは使つかわれない。おもさはてつやく半分はんぶんでアルミよりかたいという特徴とくちょうがあり、軽量けいりょうせい非常ひじょうもとめられる登山とざんようコッヘルなべなど限定げんていされた用途ようと使つかわれていたが、現在げんざいでは30 cmえる業務ぎょうむよう中華ちゅうかなべ販売はんばい見受みうけられる。さびつよい。
シリコン
電子でんしレンジ加熱かねつすることを前提ぜんていとしており、ちょく使用しようできない。ぶたきであり、無水むすい調理ちょうり料理りょうり)や、ふくろめんインスタントラーメン調理ちょうりなどに使用しようする。おおくが一種いっしゅえるが、この"シリコンスチーマー"の大半たいはんなべがたをしており[注釈ちゅうしゃく 1]一部いちぶ商品しょうひんではなべとして販売はんばいされている。やわらかく、たか方向ほうこううすたためるものもおおい。
かみなべ
日本にっぽん宴会えんかい座敷ざしき限定げんていのもの。和紙わし耐水たいすい加工かこうほどこし、直接ちょくせつたらないようにもちいる。電磁でんじ調理ちょうり使つかい、かみなべなか、あるいはした鉄板てっぱんいて熱源ねつげんとすることもある。
貝殻かいがら
東北とうほく地方ちほうかやきなど、日本海にほんかいがわにはおおきなホタテガイアワビ貝殻かいがらなべわりにする料理りょうりれいられる。
ふくあい素材そざい
日本にっぽん近年きんねん家庭かていようキッチン用品ようひんでは、様々さまざま素材そざいわせたなべえてきている。

地域ちいきべつ種類しゅるい

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人類じんるいはアフリカ起源きげんなので、アフリカあたりから説明せつめいはじめ、東方とうほうかいじゅん説明せつめいする。

アフリカ

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タジンなべ
モロッコ料理りょうりなどきたアフリカ同名どうめいマグリブ料理りょうりタジン(タージーン)を調理ちょうりするのに利用りようされるあさなべ円錐えんすいかたちぶたがついているのが特徴とくちょうで、食材しょくざいから蒸気じょうきぶた上部じょうぶやされて液化えきかふたたぶたつたってもどるため、ほとんどみず使つかわずきができる。元々もともと土鍋どなべだが、現在げんざいでは琺瑯ほうろうきの鋳鉄ちゅうてつせいタジンも製造せいぞうされている。
クスクスなべ
マグリブ料理りょうりクスクス調理ちょうりするのに利用りようされる2段式だんしきなべ下段げだんふかなべでタージーンというりのスープを煮込にこみ、そこあなひらいた上段じょうだんなべでクスクスをふかす。スープからのぼ蒸気じょうきでクスクスをふか仕組しくみになっている。

ヨーロッパ

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ソースパン
片手かたてあさなべ文字通もじどおソースつくりに多用たようされる。
フライパン
フライや、いたぶつなどに利用りようされるみちおおきくあさ片手かたてなべ
キャスロール
オーブンれてぜん方向ほうこうから加熱かねつするなべ[10]。キャスロールはもとフランス語ふらんすごみ。英語えいごみではキャセロール。
ミルクパン
牛乳ぎゅうにゅうあたためるのにてきしたみちちいさくふかめのかた手鍋てなべ
キャクロン(fr:caquelon
スイス、フランス、ベルギーなどでフォンデュ使つかわれる。
パエリアなべ(パエジェーラ)
パエリアくためのみちおおきくあさりょう手鍋てなべ。なお、「パエリア」はバレンシア原義げんぎではフライパンを意味いみする。
外輪がいりんなべ(そとわなべ)
直径ちょっけい比較的ひかくてきおおきくふかさのあさりょう手鍋てなべ日本にっぽんでの。フランスのソトワール(sautoir)という片手かたてソテー(sauté)パンが語源ごげんであるが、外輪がいりんなべりょう手鍋てなべなのでソトワールとはべつ種類しゅるいなべである。
テリーヌ
フランスのぶたきのなべ名称めいしょうとおり(語源ごげんは「テール terre」、すなわち「」)元々もともと土鍋どなべだが、現在げんざいでは琺瑯ほうろうきの鋳鉄ちゅうてつせいテリーヌもある。同名どうめい料理りょうり調理ちょうりするのにもちいる。
チップ・パン
フライドポテトげるためのものなべ
コルドロン(Cauldron)
焚火たきび調理ちょうりするための大釜おおかまのこと。ケトル(Kettle)とばれることがある。
はん寸胴ずんどうなべ(はんずんどうなべ)
直径ちょっけいの2/3きょうふかさをもつふかなべ煮込にこ料理りょうり多用たようされる。
寸胴ずんどうなべ(ずんどうなべ)
直径ちょっけいふかさがほぼおなふかなべみちちいさく水分すいぶん蒸発じょうはつすくないので煮詰につまりにくく、スープったり長時間ちょうじかん煮込にこ料理りょうり利用りようされる。
ジェズベ
ジェズベ
トルココーヒーつく小型こがたなべ

中央ちゅうおうアジア

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カザン
ピラフく、チョルバ煮込にこむ、げるなど目的もくてき使つかわれる金属きんぞくせいなべ
みなみインドの陶製とうせいなべ

東南とうなんアジア

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タイなべ(タイなべ)
片側かたがわ北京ぺきんなべおながらを、片側かたがわ広東かんとんなべおなみみけた兼用けんよう中華ちゅうかなべ

中国ちゅうごく

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様々さまざまおおきさの中華ちゅうかなべ
北京ぺきんなべ
中華ちゅうかなべ(ちゅうかなべ、英語えいご wok)
中華ちゅうか料理りょうり利用りようされる、まるそこてつなべいたぶつもの煮物にものものひとしおおくの調理ちょうりほうひとつでこなすことが出来でき万能ばんのうなべである。
北京ぺきんなべ(ペキンなべ)
北京ぺきん料理りょうり利用りようされる片手かたて中華ちゅうかなべ広東かんとんなべよりきょくりつおおきいぶん、サイズにしてふかい。
広東かんとんなべ(カントンなべ)、四川しせんなべ(しせんなべ)
広東かんとん料理りょうり四川しせん料理りょうり利用りようされるりょうみみきの中華ちゅうかなべ
なべ(フオクオズ)
北京ぺきん料理りょうりようの、中央ちゅうおうすみれる部分ぶぶん煙突えんとつんだどうなべ
すななべ(シャークオ)
中華ちゅうか料理りょうりようおおきな土鍋どなべ
煲仔(パオツァイ)
広東かんとん料理りょうりようちいさな片手かたて土鍋どなべ
汽鍋(チークオ)
雲南うんなん料理りょうりようの、したからなか蒸気じょうきはいるように、そこ中心ちゅうしんあなひらいた突起とっきもうけた土鍋どなべれたなべうえいてもちいる。

韓国かんこく

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日本にっぽん

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囲炉裏いろりなべ
囲炉裏いろりなべ(いろりなべ)
囲炉裏いろりけるのにてきした、いたまるそこ鋳物いものなべアルコールねっする焜炉こんろわせた一人ひとりようのものもある。
土鍋どなべ(どなべ)
陶製とうせいなべ日本にっぽん土鍋どなべのサイズはごうすう表示ひょうじされ、ごうすうすん3.03 cm)と同一どういつなので、7ごうであればやく21 cmとなる。
ゆきひらめ行平ゆきひらなべ(ゆきひらなべ)
和風わふうなべであり、ぶたのないなか程度ていどふかさのかた手鍋てなべしるそそこう左右さゆう両方りょうほういている場合ばあいおおい。煮物にものぶつ出汁だしつくときなど、なべ利用りようする日本にっぽん料理りょうり使用しようされることおお一種いっしゅ万能ばんのうなべである。ぶたとしぶた利用りようする。本来ほんらいぶた、つぎこういた土製どせいなべ、あるいはどうせい鍛造たんぞうなべであったが、現在げんざいではアルミせい軽量けいりょうかた手鍋てなべであることがおお[11]うろこのように表面ひょうめんおおポリゴンじょう模様もようは、本来ほんらい銅板どうばん金槌かなづちたたいて成型せいけいしたあとである。廉価れんかなプレス成型せいけいひんでも、鍛造たんぞうなべせる装飾そうしょくとして模様もようけている。木製もくせいがネジで固定こていされているものがあり、これはいたんだ場合ばあい木製もくせいだけを交換こうかんすることが可能かのうである。安価あんかき、容量ようりょう丁度ちょうどよいことから屋台やたいなどではボウルわりに使用しようされることもおおい。
やっとこなべ
ゆき平鍋ひらなべそそこうった形状けいじょうなべ漢字かんじでは「床鍋とこなべ」のがあてられることがおおい。がないのでなべつときは、プライヤのような形状けいじょうなべえんつかやすくしたはさこう先端せんたんひらたくつくられた専用せんようなべばさみであるやっとこ使つかう。利用りようほうゆき平鍋ひらなべ同様どうようであるが、けられていないため、業務ぎょうむよう調理ちょうり器具きぐのガスバーナを使用しようするさいなど火力かりょくつよいために木製もくせいえてしまうことをふせぐことができる、同時どうじ進行しんこう複数ふくすうなべならべて調理ちょうりするさい邪魔じゃまにならない、ちがおおきさのものであればかさねてコンパクトに保管ほかんすることができる、全体ぜんたいまる部分ぶぶんだけなのであらいやすいといった利点りてんがある。一般いっぱんてきには業務ぎょうむようなべである。なべあつみは比較的ひかくてき分厚ぶあついものがおおい。
坊主ぼうずなべ(ぼうずなべ)
ゆき平鍋ひらなべそこまるそこにした形状けいじょうなべまるそこのため煮汁にじる対流たいりゅう効率こうりつよくおこなわれねつまわりがい。い、やっとこタイプの坊主ぼうずなべもある。一般いっぱん家庭かてい利用りようされることはほとんどい。
えんづけなべだんづけなべ
なべえんちか部分ぶぶん円形えんけい段差だんさはいっている大型おおがたなべ円形えんけいふけごもなどを使つかうことができる。
親子おやこなべ(おやこなべ)
直径ちょっけい16 cm前後ぜんごふか2.5 cm前後ぜんごで、どんぶりもののたねをつく専用せんようなべ複数ふくすうのバーナーを業務ぎょうむよう焜炉こんろ複数ふくすう同時どうじ調理ちょうりする場合ばあい同士どうしがぶつからないよう、なべ本体ほんたいたいして直角ちょっかく真上まうえびたようにいているものがおおい。親子おやこどんぶり名前なまえ由来ゆらいである。
てんぷらなべあぶら
てんぷらなべ
ものもちいられるなべあぶらるためのてんぷらもうあぶらはねを防止ぼうしするためのフードなどをゆうする[2]温度おんどけいなどが付属ふぞくするものもある。
すきなべ鉄製てつせい1964ねん
すきなべ
すきもちいられるなべ鋳鉄ちゅうてつせい円形えんけいのものがおおい。
しゃぶしゃぶなべ
しゃぶしゃぶ専用せんようなべ
ちりとりなべ
ちりとりなべもちいる正方形せいほうけいあさなべ。「てっちゃんなべ」ともばれる。
うどんすきなべ
うどんすき専用せんようなべ
ジンギスカン鍋じんぎすかんなべ
ジンギスカン鍋じんぎすかんなべ
ジンギスカン専用せんようあさなべにくくために中央ちゅうおうまるがっており、余分よぶんあぶらちるようにみぞあなひらいているものもある。
おでんなべ
おでんもちいられる専用せんようなべ
湯豆腐ゆどうふなべ(ゆどうふなべ)
湯豆腐ゆどうふもちいられる専用せんようなべ
湯葉ゆばなべ(ゆばなべ)
湯葉ゆばもちいられる専用せんようなべ
燗鍋かんなべ(かんなべ)
平安へいあん時代じだいごろ、さけかんするときにもちいたどうせいまたはてつせいなべちょく加熱かねつした。
熱燗あつかん
燗酒かんざけもちいられる専用せんようなべ
玉子たまごなべ
玉子たまごなべ(たまごやきなべ)
卵焼たまごやだしたまご専用せんようあさ四角しかくなべ正方形せいほうけい関東かんとうがたと、長方形ちょうほうけい関西かんさいがた家庭かていようがある。
たこなべ
たこやき専用せんようまるくぼみがならんだなべ一般いっぱんてきには鋳鉄ちゅうてつせいだが、明石あかしにはどうせいのものがもちいられる。
羽釜はがま(はがま)、つばがま(つばがま)
まるそこなべ外周がいしゅう中央ちゅうおう付近ふきん円盤えんばんじょうつばはね)がしているかまど専用せんようなべ。つばはかまどあななべをしっかりえるためのもので、ねつ効率こうりつたかめるのにも一役ひとやくっている。ぶたせいあつみがあるおもものもちいる。炊飯すいはん主役しゅやくてきなものであったため、現在げんざいでも形状けいじょうしたガスなべとう販売はんばいされている。
文化ぶんかなべ(ぶんかなべ)
炊飯すいはんようふかさがあるりょう手鍋てなべ材質ざいしつアルミ合金ごうきんせいである。なべえんぶたよりもうえにせりし、おもさのあるぶた富士山ふじさん裾野すそのじょうかたちとなっているのが特徴とくちょう炊飯すいはんときぶた隙間すきまからした水分すいぶんは、せりしたえんによりせきめられきこぼれる心配しんぱいく、ぶた傾斜けいしゃ沿ってまたなべなかながむよう工夫くふうされている。本来ほんらい炊飯すいはん最適さいてきされてつくられたなべであるが、あつみもありねつ効率こうりついことから、煮込にこ料理りょうり利用りようされることもある。過去かこには家庭かてい必需ひつじゅひんで、はん上手うまけることが料理りょうり上手じょうずひとつの条件じょうけんであったが、電気でんき炊飯すいはん普及ふきゅうにより利用りようしゃ激減げきげんした。
いたなべ(いためなべ)
フライパンよりふかく、中華ちゅうかなべのようにまるみをびた、通常つうじょう28 cmなべ
湯煎ゆせんなべ
じゅう構造こうぞうになっている湯煎ゆせんのためのなべ
焙烙ほうろくなべ(ほうろくなべ)
豆類まめるい胡麻ごまなどをるための素焼すやきのなべ
はくなべ(はくなべ)
アルミニウムはくせい昨今さっこんのスーパーマーケットとうでは、あらかじめいち食分しょくぶんけた食材しょくざいとともに、なべセットとして販売はんばいされているのをることができる。ポップコーンには、材料ざいりょうはくなべ封入ふうにゅうした形態けいたい販売はんばいされており、購入こうにゅうしゃ自分じぶん調理ちょうりしてりたての風味ふうみあじわえる製品せいひんもある。
かみなべ(かみなべ)
おも宴会えんかいもちいられるもので、なべとして使用しようできるよう特殊とくしゅ加工かこうほどこした卓上たくじょうなべなべ料理りょうり#使用しようされるなべ参照さんしょう

北米ほくべい

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北米ほくべい南米なんべい先住民せんじゅうみん陶製とうせいなべ
ダッチオーブン
アメリカ起源きげん鋳鉄ちゅうてつなべ

南米なんべい

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関連かんれん法規ほうき

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日本にっぽんでは家庭かてい用品ようひん品質ひんしつ表示法ひょうじほう適用てきよう対象たいしょうとされており雑貨ざっか工業こうぎょうひん品質ひんしつ表示ひょうじ規程きていさだめがある[12]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ シリコンスチーマーはやわらかい素材そざいであるものの精巧せいこうつくり、ったデザインのものもおおく、ホーロー鋳鉄ちゅうてつなべなどと間違まちがうようなものもある。またタジンなべかたのものもある。

出典しゅってん

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  1. ^ 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ』【なべ
  2. ^ a b c d e f g h 意匠いしょう分類ぶんるい定義ていぎカード(C5) 特許庁とっきょちょう
  3. ^ 中国ちゅうごく世界せかい最古さいこ土器どきへん 2まんねんまえ料理りょうりあと?”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. 共同通信社きょうどうつうしんしゃ. (2012ねん6がつ29にち). https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2803Y_Y2A620C1CR8000/ 2016ねん3がつ10日とおか閲覧えつらん 
  4. ^ 料理りょうり使つかった最古さいこ土器どき 縄文じょうもんじんがサケ煮炊にたきか”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. 共同通信社きょうどうつうしんしゃ. (2013ねん4がつ11にち). https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG10042_Q3A410C1CR8000/ 2016ねん3がつ10日とおか閲覧えつらん 
  5. ^ Wilson 2014, p. 41-46.
  6. ^ Wilson 2014, p. 48-53.
  7. ^ McGee 2008, p. 763.
  8. ^ おとこ道具どうぐ山田やまだ工業こうぎょうしょ打出うちだ中華ちゅうかなべ”. All About (2002ねん7がつ30にち). 2015ねん3がつ28にち閲覧えつらん
  9. ^ McGee 2008, pp. 763–764.
  10. ^ [1]
  11. ^ 調理ちょうり用具ようぐ”. 和田山わだやま郷土きょうど歴史れきしかん. 朝来あさく. 2007ねん12月14にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2008ねん12月29にち閲覧えつらん
  12. ^ 雑貨ざっか工業こうぎょうひん品質ひんしつ表示ひょうじ規程きてい”. 消費しょうひしゃちょう. 2013ねん5がつ23にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • McGee, Harold ちょ香西こうざいみどり やく『マギー キッチンサイエンス』共立きょうりつ出版しゅっぱん、2008ねんISBN 978-4-320-06160-6 
  • Wilson, Bee ちょ真田さなだ由美子ゆみこ やく『キッチンの歴史れきし 料理りょうり道具どうぐえた人類じんるいしょく文化ぶんか』(初版しょはん河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、2014ねん1がつ30にち原著げんちょ2012ねん)。ISBN 9784309022604 

関連かんれん項目こうもく

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  • なべつかみ - ねっせられたなべなどを安全あんぜんつための道具どうぐ
  • なべじき - ねっせられたなべをテーブルとうくための道具どうぐ
  • そら - なべでの火災かさい原因げんいんとしておおい。
  • ねこなべ - ねこ土鍋どなべはいってまるくなってているさまなべ料理りょうりなぞらえた投稿とうこう動画どうが
  • 筑摩ちくま神社じんじゃ (米原まいばら) - 毎年まいとし5がつ3にちに、8さい前後ぜんこう少女しょうじょ8にんなべこうむって行列ぎょうれつなかくわわる「なべかんむりさい」がおこなわれる。
  • おなべ