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フライパン

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ステンレスせいのフライパン
アルミせいフッ素ふっそ加工かこうのフライパン
古代こだいギリシアどうせいフライパン(紀元前きげんぜん5世紀せいき紀元前きげんぜん4世紀せいきころ)。ギリシア北部ほくぶテッサロニキ

フライパンえい: frying pan、frypan)は、おもいためるなどの調理ちょうりほうもちいる調理ちょうり器具きぐであり、かた手鍋てなべ(クッキングパン)の一種いっしゅ。ある程度ていどふかさがあれば、みずスープれて加熱かねつし、煮物にものぶつ料理りょうりにも使つかえる[1]漢字かんじ表記ひょうきでは「あげしょうなべ[2]」とも。

概要がいよう

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なべるいなかでは比較的ひかくてきあさみちおおきいこと特徴とくちょうどう外側そとがわ傾斜けいしゃしているものおお[3]元来がんらい食用しょくよう若干じゃっかんりょうれて食材しょくざいいためる、くなどの用途ようと使つかわれる。またアロゼあぶらすこおおめにれ、加熱かねつしつつフライパンをかたむけてあぶらをスプーンですくっては食材しょくざいあついシャワーのようになんもかけて上部じょうぶからも同時どうじ調理ちょうりすすめるフランス料理りょうりのテクニック)するのにも使つかえ、場合ばあいによっては食用しょくようをかなりおおめにれてげるのに使つかうことも可能かのうであり、またみずれたりぶたをすることによって使つかうことも可能かのうである。

種類しゅるい

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素材そざい種類しゅるいおおく、てつステンレスアルミニウムどう合金ごうきん琺瑯ほうろうびきなどがある[3]。さらに金属きんぞく表面ひょうめんにコーティングするフライパンが存在そんざいする。アルミせいのふっ樹脂じゅし加工かこうほどこしたフライパンには、ガス専用せんようタイプと電磁でんじ調理ちょうり(IH)対応たいおうタイプの2種類しゅるい存在そんざいする。熱源ねつげんがIHの場合ばあい、ガス専用せんようフライパンでは加熱かねつができない[4]ただしオールメタル加熱かねつ方式ほうしきIHはアルミ・どうふく大抵たいてい金属きんぞくなべ加熱かねつ可能かのう)。また、素材そざい自体じたい特徴とくちょう利用りようするものがあり、ねつあいだ圧延あつえん鋼板こうはん使用しようしたものは「くろがわてつ」などとぶ。そこ波打なみうった四角しかくいフライパンを「グリルパン」(grill pan)とぶ。

なおてつのフライパンは、使用しよう金属きんぞくしゅう金気かなけ)がるのをふせぐため使つかはじめるさいあぶらきの処理しょりおこなわれることがある[3]

かた手鍋てなべ仕様しようおおく、金属きんぞく木材もくざいたいねつ樹脂じゅし使用しようされる。本体ほんたいにネジめしたものがあるが、あつ鉄板てっぱんをVがた加工かこうしたうえリベット溶接ようせつ固定こていすることもあり、またパイプじょうもの使用しようすることもある。洗浄せんじょう乾燥かんそう収納しゅうのう便びんのため、はずせるものも出回でまわっている。内部ないぶ空洞くうどうになっている場合ばあい根元ねもとみず空気くうきくためのちいさなあなひらいている[5]

歴史れきし

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メソポタミア文明ぶんめい遺跡いせきからどうせいのフライパンが出土しゅつどしている。

材質ざいしつ製法せいほう

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てつフライパンは丈夫じょうぶなため、ふるくから多用たようされてきた。食用しょくようあぶらなじみもい。非常ひじょうびやすいので、調理ちょうり終了しゅうりょうしたらすぐにあらい、ねつくわえて水気みずけをしっかりばし乾燥かんそうさせたり、長期ちょうき保存ほぞんする場合ばあい食用しょくようくなどの気遣きづかいが必要ひつようである。現在げんざいでは、電磁でんじ調理ちょうり使つかえるというのも利点りてんとしてげられる。

また最近さいきんは、つら素材そざいである窒化てつ使つかった商品しょうひん登場とうじょうし、初心者しょしんしゃでも使つかいやすくなっている。

ステンレス

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アルミニウムを上回うわまわねつ伝導でんどうりつがあり、熱容量ねつようりょうおおきく、業務ぎょうむようなべ・フライパン材料ざいりょうとして一定いってい需要じゅようがある。アルミニウム・てつ・SUSより密度みつどたかく、まわすには相応そうおう腕力わんりょく要求ようきゅうされる。

アルミニウム

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アルミニウムせいのフライパンはかるくてねつ伝導でんどうりつたかいことが利点りてんである。ねつ伝導でんどうりつてつやく3ばいあるため、なべ全体ぜんたい均一きんいつねつつたわりやすい。「アルミニウムせい」といっても表面ひょうめんフッ素ふっそ樹脂じゅしでコーティングしたものが一般いっぱんてき家庭かていようひろ普及ふきゅうしている。

フッ素ふっそ加工かこうをしていない「むきし」のアルミニウムせいのフライパンについても説明せつめいしておくと、あぶらのなじみがわるく、さんによって腐食ふしょくする。また熱容量ねつようりょうちいさく、摩擦まさつよわいなど耐久たいきゅうせいでもおとっていることからきやすく、プロようはAS3905/AS3905硬質こうしつアルミを使用しようしてたいしょくたい摩耗まもうせいげた製品せいひんがある。キャンプようかるさを重視じゅうししたアルミばんをプレス加工かこうした製品せいひんもある。鋳造ちゅうぞうによってにくあつつくることで、熱容量ねつようりょうちいささときやすさをおぎな製品せいひんもある。もとのアルミ合金ごうきん電磁でんじ調理ちょうり加熱かねつつらいので、電磁でんじ調理ちょうり対応たいおうためてつそうステンレスそうなどをもうけた製品せいひんがある。

おもにアウトドア用途ようとかるチタンせいもあるが高価こうかである。ともかくかるいことが長所ちょうしょで、アウトドア活動かつどうには好都合こうつごうだが、うすうえねつ伝導でんどうりつてつやく1/4しかなくひくいため、ねつ均一きんいつひろがらず、ほのおたった部分ぶぶんだけが局部きょくぶてき加熱かねつしその真上まうえ部分ぶぶん食材しょくざいだけがいてしまい、その一方いっぽう部分ぶぶん食材しょくざいはなかなかあたたまらず、つまり総合そうごうてき調理ちょうり器具きぐとしてはかなり不都合ふつごうなことがきる。したがって、道具どうぐとくかるいことが非常ひじょう重視じゅうしされる登山とざん以外いがいではあまり使つかわれず、通常つうじょうのアウトドア活動かつどうならチタンをけてアルミせいやステンレスせいえらぶことが一般いっぱんてきである。そのたいねつたいしょくぼうさびせいたかく、焚火たきびなどでありがちなこう温度おんど不完全ふかんぜん洗浄せんじょう乾燥かんそうすなすい洗浄せんじょうとうのハードな運用うんようえる。

陶磁器とうじき

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土鍋どなべをフライパン形状けいじょうにしたようもので、マイナーではあるが一定いってい需要じゅようがある。素材そざいてき金気かなけい。薄肉うすにく強度きょうど問題もんだいがありあつにくとなりがちで比較的ひかくてき均等きんとう温度おんどとなり、比熱ひねつたか蓄熱ちくねつせい保温ほおんせいすぐれる。なべのまま食卓しょくたくしても不自然ふしぜんではない。衝撃しょうげきにはきわめてよわい。

表面ひょうめん加工かこう

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フッ素ふっそ樹脂じゅし加工かこう

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特徴とくちょう

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分子ぶんしちゅうフッ素ふっそ原子げんしふくフッ素ふっそ樹脂じゅしには、摩擦まさつ係数けいすうひくく、たい熱性ねっせいすぐれ、えにくい性質せいしつがある[6]。このフッ素ふっそ樹脂じゅしでコーティングをほどこきやよごれを防止ぼうししたものがフッ素ふっそ樹脂じゅし加工かこうである[6]

フッ素ふっそ樹脂じゅし加工かこう利用りようされるフッ素ふっそ樹脂じゅしには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)である[6]たとえばデュポンしゃテフロン(テフロン加工かこう)はポリテトラフルオロエチレンを利用りようしている。

フッ素ふっそ樹脂じゅし加工かこうのフライパンではそらきに注意ちゅういする必要ひつようがある[6]。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)の使用しよう上限じょうげん温度おんどは260で、350℃をえるとねつ分解ぶんかいこり、有害ゆうがい粒子りゅうしじょう物質ぶっしつやガスが発生はっせいする危険きけんがある[6]

また、フッ素ふっそ樹脂じゅしきずつきやすいため、金属きんぞくせいへら研磨けんまざいクレンザーなどの使用しようける必要ひつようがある[6]

マーブルコート・ダイヤモンドコート

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フッ素ふっそ樹脂じゅし耐久たいきゅうせい向上こうじょうさせるため、大理石だいりせき粒子りゅうしぜたマーブルコートや人工じんこうダイヤモンド粉末ふんまつぜたダイヤモンドコートのフライパンもある[7]

アルマイト加工かこう

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エンボス加工かこう

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エンボス加工かこう表面ひょうめん凹凸おうとつ加工かこうほどこした製品せいひんである。内面ないめん上面うわつら)にほどこされる場合ばあいも、外面がいめん底面ていめん)にほどこされる場合ばあいもある。

金気かなけくなり、フッ素ふっそ樹脂じゅし上回うわまわたい熱性ねっせいがある。

セラミックコート

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金気かなけくなり、フッ素ふっそ樹脂じゅし上回うわまわたい熱性ねっせいがある。一般いっぱん摩擦まさつ係数けいすうフッ素ふっそ樹脂じゅし加工かこういでひくいコーティングざい選定せんてい使用しようされている。


脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ フライパンで「焼肉やきにくなべ」、ひと手間てまげん支持しじ エバラ食品しょくひん 日経にっけい電子でんしばん(2022ねん10がつ27にち)2022ねん11月12にち閲覧えつらん
  2. ^ 落合おちあい直文なおふみ「ふらいぱん」『げんいずみ:日本にっぽんだい辞典じてんだい芳賀はが矢一やいち改修かいしゅう大倉おおくら書店しょてん、1928ねん、4135ぺーじ 
  3. ^ a b c 社団しゃだん法人ほうじん全国ぜんこく調理ちょうり養成ようせい施設しせつ協会きょうかいへん改訂かいてい調理ちょうり用語ようご辞典じてん カラーばん』(1999ねん)1044ぺーじ
  4. ^ メーカー直伝じきでん!IH対応たいおうフライパンの見分みわかた。ガス専用せんようフライパンとのちがいって?徹底てってい解説かいせつ”. 和平わへいフレイズ株式会社かぶしきがいしゃ (2018ねん12月17にち). 2022ねん6がつ5にち閲覧えつらん
  5. ^ 「フライパン 〜ちいさなあなおおきな秘密ひみつ〜」”. ど〜なの?DJ. 東北放送とうほくほうそう (2012ねん6がつ27にち). 2013ねん10がつ14にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2013ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  6. ^ a b c d e f ちょっと注目ちゅうもく『ふっ樹脂じゅし加工かこうフライパンのそらきに注意ちゅうい』 アクティビティノートだい247ごう(2017ねん9がつ一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん日本化学工業にほんかがくこうぎょう協会きょうかい(2020ねん3がつ3にち閲覧えつらん
  7. ^ フライパンのえらかた リビングアンドヘルス(2020ねん3がつ3にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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