出典 しゅってん : フリー百科 ひゃっか 事典 じてん 『ウィキペディア(Wikipedia)』
リベット (英 えい : rivet )は、頭部 とうぶ とねじ部 ぶ のない胴 どう 部 ぶ からなり、穴 あな をあけた部材 ぶざい に差 さ し込 こ んで専 せん 用 よう の工具 こうぐ で反対 はんたい 側 がわ の端 はし 部 ぶ を塑性 そせい 変形 へんけい させて接合 はぎあわ させる(かしめ る)ための部品 ぶひん [ 1] 。鋲 びょう 。
一般 いっぱん に鋼 はがね ・ステンレス鋼 こう ・アルミニウム合金 ごうきん ・銅 どう などの金属 きんぞく 製 せい の円柱 えんちゅう 状 じょう で、片側 かたがわ にやや直径 ちょっけい の大 おお きい頭 あたま がついており、対象 たいしょう 物 ぶつ の穴 あな に通 とお したあと反対 はんたい 側 がわ も同様 どうよう の形状 けいじょう につぶすことで固定 こてい する。同様 どうよう の目的 もくてき に用 もち いるボルト ・ナット やねじ と異 こと なり容易 ようい には取 と り外 はず しができず、半永久 はんえいきゅう 的 てき な締結 ていけつ 用途 ようと に用 もち いられる。用途 ようと によりプラスチック のものもある。
リベット(丸 まる 頭 あたま )
頭部 とうぶ の形状 けいじょう による分類 ぶんるい では、
丸 まる 頭 あたま - 半球 はんきゅう 形 がた
平 ひら 頭 あたま - 円盤 えんばん 状 じょう
皿 さら 頭 あたま (沈頭鋲 びょう )- 表面 ひょうめん 側 がわ が平 たい らで根元 ねもと が円錐 えんすい 形 がた
取 と り付 つ け方法 ほうほう では、
ブラインドリベット
片側 かたがわ からしか作業 さぎょう ができない場合 ばあい のために、ブラインドリベット(英 えい : Blind rivet )が考案 こうあん されて用 もち いられている。
釘 くぎ の様 よう に見 み える心棒 しんぼう を空気圧 くうきあつ や電動 でんどう ・手動 しゅどう などのリベッターで作業 さぎょう 者 しゃ 側 がわ へ引 ひ っ張 ぱ ることで、円筒 えんとう 状 じょう のリベット内側 うちがわ を変形 へんけい させ、心棒 しんぼう を引 ひ きちぎることによりかしめる。締結 ていけつ 圧 あつ はその細 ほそ い心棒 しんぼう の破断 はだん 耐 たい 力 りょく によるので、同 おな じ径 みち の通常 つうじょう のリベットに比 くら べて小 ちい さくなる。
リベットで台 たい 枠 わく を組 く み立 た てた蒸気 じょうき 機関 きかん 車 しゃ の端 はし 梁 はり
航空機 こうくうき でのリベッティング(鋲 びょう 打 う ち)の作業 さぎょう 。左 ひだり の女性 じょせい がリベット・ハンマーを持 も っていて、右 みぎ の男性 だんせい が当 あ て盤 ばん を持 も っている状態 じょうたい である。リベットの頭部 とうぶ を圧縮 あっしゅく 空気 くうき で作動 さどう するリベット・ハンマーで数 すう 回 かい 打撃 だげき を加 くわ えることにより、当 あ て盤 ばん のリベット後 ご 端 はし がつぶれドリブン・ヘッド(加工 かこう 頭 あたま )ができることにより外 そと 板 ばん の繋 つな ぎ目 め や部品 ぶひん を締結 ていけつ する。
リベット・スクイザーと呼 よ ばれる機器 きき を使用 しよう してのリベッティング(鋲 びょう 打 う ち)の作業 さぎょう 。作動 さどう には圧縮 あっしゅく 空気 くうき を使用 しよう しており、打撃 だげき を加 くわ えず1人 ひとり でリベッティングすることができる。
航空機 こうくうき 用 よう のリベットはソリッド・シャンク・リベットとブラインド・リベットの2種類 しゅるい が使用 しよう されているが、航空機 こうくうき の設計 せっけい 用 よう の要求 ようきゅう に応 おう じる為 ため 、形状 けいじょう ・材質 ざいしつ ・サイズで区別 くべつ され、パーツナンバー(部品 ぶひん 番号 ばんごう )とリベットのヘッド・マークで識別 しきべつ できる。規格 きかく はソリッド・シャンク・リベットの場合 ばあい 、MS(Military Standard:米 べい 軍 ぐん 規格 きかく )[ 注 ちゅう 1] が代表 だいひょう 的 てき であり。その後 ご には形状 けいじょう ・材質 ざいしつ ・サイズの番号 ばんごう または記号 きごう が記載 きさい される。
頭部 とうぶ の形状 けいじょう は2種類 しゅるい がある。
20426(リベット頭部 とうぶ が皿 さら 型 がた 、皿 さら の角度 かくど は100度 ど [ 注 ちゅう 2] )
20470(リベット頭部 とうぶ が丸 まる 型 がた )
材質 ざいしつ はアルミ合金 ごうきん の場合 ばあい 、強度 きょうど が低 ひく い順 じゅん から高 たか い順 じゅん に上 うえ から下 した に並 なら べると5種類 しゅるい がある。
A(1100のアルミ合金 ごうきん )
B(5056のアルミ合金 ごうきん )
AD(2117のアルミ合金 ごうきん )
D(2017のアルミ合金 ごうきん )
DD(2024のアルミ合金 ごうきん )
その他 た の材質 ざいしつ として4種類 しゅるい がある。
M(モネル )
CまたはF(耐 たい 食 しょく 鋼 こう )
Pまたは-(炭素 たんそ 鋼 こう )
無 な し(耐 たい 熱 ねつ 鋼 こう )
またリベットの径 みち と長 なが さは、径 みち は1/32インチ 単位 たんい で長 なが さは1/16インチ単位 たんい で表 あらわ され、表面 ひょうめん 処理 しょり の種類 しゅるい [ 注 ちゅう 3] として無印 むじるし ・A・D・S・F・Nの記号 きごう があり、種類 しゅるい に応 おう じてパーツナンバーの最後 さいご に表示 ひょうじ される。
実際 じっさい のパーツナンバーを表示 ひょうじ すると「MS20470AD 7-7 」のようになり、最初 さいしょ のMSは規格 きかく を示 しめ し、続 つづ く5桁 けた の数字 すうじ はリベット頭部 とうぶ の形状 けいじょう 分類 ぶんるい (リベット頭部 とうぶ が丸 まる 型 がた )を示 しめ し、続 つづ くADは材質 ざいしつ を示 しめ し(2117のアルミ合金 ごうきん )、続 つづ く最初 さいしょ の数字 すうじ はリベットの径 みち (7/32インチ)、ハイフン後 ご の数字 すうじ はリベットの長 なが さ(7/16インチ)を表 あらわ し、最後 さいご は無印 むじるし のため、表面 ひょうめん 処理 しょり を黄金 おうごん 色 しょく で化成 かせい 皮膜 ひまく 処理 しょり されたことを表 あらわ す。
また材質 ざいしつ のDのリベット径 みち の大 おお きい物 もの (直径 ちょっけい 3/16インチ以上 いじょう )やDDの物 もの は、硬 かた い状態 じょうたい のため、そのまま機体 きたい の構造 こうぞう 部材 ぶざい に打 う ち込 こ むことは困難 こんなん なので、熱処理 ねつしょり (加熱 かねつ )をしてリベット自体 じたい を軟 やわ らかい状態 じょうたい にしてから[ 注 ちゅう 4] 打 う ち込 こ んで、その後 ご は時間 じかん の経過 けいか とともに硬化 こうか する[ 注 ちゅう 5] 。また、熱処理 ねつしょり したリベットを低温 ていおん 保存 ほぞん する(アイスボックス等 とう に入 い れる)ことにより、硬化 こうか の進行 しんこう を遅 おく らせて軟 やわ らかい状態 じょうたい を長 なが く保 たも つことができるため、リベッティング(鋲 びょう 打 う ち)の可能 かのう 時間 じかん の延長 えんちょう を図 はか ることができる。
1960年代 ねんだい に製造 せいぞう されたバスの例 れい 。車体 しゃたい に多数 たすう ある黒 くろ い点 てん に見 み えるものがリベットで、全体 ぜんたい にわたって多数 たすう 打 う ち込 こ まれている
初期 しょき の戦車 せんしゃ では装甲 そうこう 板 いた をリベット接合 せつごう していたが、被弾 ひだん 時 じ に衝撃 しょうげき でリベットが飛 と び散 ち って乗員 じょういん や随伴 ずいはん 歩兵 ほへい を殺傷 さっしょう する危険 きけん が生 しょう じたため、溶接 ようせつ 接合 せつごう に移行 いこう している。
鉄道 てつどう 車両 しゃりょう では、古 ふる い時代 じだい の機関 きかん 車 しゃ では全体 ぜんたい に、客車 きゃくしゃ と貨車 かしゃ が木製 もくせい だった時代 じだい は台 たい 枠 わく や台車 だいしゃ に、それらが鋼 はがね 製 せい 車 しゃ となってからは構体 (車体 しゃたい )にもリベットが使 つか われていた。国 くに によって時期 じき は異 こと なるが、電気 でんき 溶接 ようせつ が実用 じつよう 化 か されるとリベット接合 せつごう は廃 すた れて全 ぜん 溶接 ようせつ 工法 こうほう が一般 いっぱん 的 てき となり、車体 しゃたい は平滑 へいかつ になった。
モノコック 構造 こうぞう (張 ちょう 殻 から 構造 こうぞう )は比較的 ひかくてき 薄 うす い外 そと 板 ばん をリベットで骨組 ほねぐ みに接合 はぎあわ し、張力 ちょうりょく がかかるようにして全体 ぜんたい の強度 きょうど を保 たも つ仕組 しく みで、全 ぜん 金属 きんぞく 製 せい の航空機 こうくうき を初 はじ め、鉄道 てつどう 車両 しゃりょう の構体やバス車体 しゃたい にも応用 おうよう された。
航空機 こうくうき の外 そと 板 ばん などに丸 まる 頭 あたま リベットを使 つか うと飛行 ひこう 中 ちゅう の機体 きたい 表面 ひょうめん に無数 むすう の小 ちい さな空気 くうき の渦 うず ができ、それが抗力 こうりょく となって航空機 こうくうき の性能 せいのう に悪影響 あくえいきょう を与 あた えるので、このような平滑 へいかつ 度 ど を要求 ようきゅう される箇所 かしょ には、表面 ひょうめん が面 めん 一 いち となる皿 さら 頭 あたま リベット(沈頭鋲 びょう )が使用 しよう されるか、丸 まる 頭 あたま リベットの頭 あたま を削 けず ることが行 おこな われる。
第 だい 二 に 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 時 じ にアメリカの軍需 ぐんじゅ 工場 こうじょう で働 はたら く女性 じょせい 工員 こういん はロージー・ザ・リベッター (リベット打 う ちのロージー)と呼 よ ばれ、プロパガンダ 写真 しゃしん のモチーフとなった。
接合 せつごう する対象 たいしょう は必 かなら ずしも金属 きんぞく とは限 かぎ らず、帆布 ほぬの などの厚手 あつで の布 ぬの や、皮革 ひかく の接合 せつごう にも用 もち いられる。例 れい としてはジーンズ のポケットや鞄 かばん などである。衣料 いりょう 用 よう の場合 ばあい 、装飾 そうしょく 目的 もくてき でリベットを打 う つ場合 ばあい もある。
^ 1950年 ねん 以降 いこう に米 べい 軍 ぐん により承認 しょうにん された軍用 ぐんよう 規格 きかく であり、その他 た に航空機 こうくうき 用 よう の部品 ぶひん (リベットの他 ほか にボルト・ナット・ワッシャーなど)の規格 きかく として、AN(Air force & Navy aeronautical standard:米 べい 空 そら 海軍 かいぐん 航空 こうくう 規格 きかく )とNAS(National Aerospace Standard:アメリカの航空機 こうくうき とミサイルのメーカーが協議 きょうぎ 作成 さくせい した規格 きかく )がある。
^ 沈頭鋲 びょう と呼 よ ばれている物 もの である。
^ 主 おも に化成 かせい 皮膜 ひまく 処理 しょり と陽極 ようきょく 処理 しょり と重 じゅう クロム酸 さん 封 ふう 孔 あな 処理 しょり の3つがあり、さらに処理 しょり の種類 しゅるい により細分 さいぶん 化 か される。
^ 溶体化 か 処理 しょり と呼 よ ばれる。
^ 時効 じこう 硬化 こうか と呼 よ ばれる。
^ 意匠 いしょう 分類 ぶんるい 定義 ていぎ カード(M3) 特許庁 とっきょちょう
^ “昭和 しょうわ の東京 とうきょう オリンピック前 まえ は、死 し の危険 きけん を伴 ともな う職人 しょくにん 「カシメ屋 や 」が工事 こうじ 現場 げんば にいた ”. 施工 しこう の神様 かみさま . ウィルオブ・コンストラクション (2021年 ねん 5月 がつ 5日 にち ). 2021年 ねん 4月 がつ 25日 にち 閲覧 えつらん 。
^ “「絶滅 ぜつめつ した恐怖 きょうふ の職人 しょくにん 芸 げい 」1000℃の鉄 てつ の塊 かたまり を投 な げて、それを受 う け取 と るカシメ屋 や ”. 施工 しこう の神様 かみさま . ウィルオブ・コンストラクション (2018年 ねん 9月 がつ 18日 にち ). 2021年 ねん 4月 がつ 25日 にち 閲覧 えつらん 。
ウィキメディア・コモンズには、
リベット に
関連 かんれん するカテゴリがあります。