鋼板こうはん

鋼板こうはん（こうはん、英えい: Sheet steel）は、板いた状じょうに加工かこうされた鋼はがねのこと。板金ばんきんの一種いっしゅである。

分類ぶんるい

鋼板こうはんは厚あつさ(mm)によって、薄板うすいた（薄うす鋼板こうはん）・中ちゅう板ばん（中ちゅう鋼板こうはん）・厚あつ板ばん（厚あつ鋼板こうはん）・極ごく厚あつ板ばん（極ごく厚あつ鋼板こうはん）の4種類しゅるいに分類ぶんるいされる。

薄板うすいた

厚あつさ3mm未み満まんの鋼板こうはんは、薄板うすいた（薄うす鋼板こうはん、英えい：steel sheet）と呼よばれる。コイル状じょうに巻まくことも可能かのうで、そのようなものは鋼はがね帯たいあるいは帯おび鋼こう（英えい：steel strip あるいは steel coil）と呼よばれる。

薄板うすいたは、半はん製品せいひんの鋼はがね片へん（「スラブ」と呼よばれる。転てん炉ろや電気でんき炉ろで製鋼せいこうされた鋼はがねを鋳造ちゅうぞうしたもの）を圧延あつえんすることによって製造せいぞうされる。スラブはまず加熱かねつ炉ろで1000度ど以上いじょうに加熱かねつされ、続つづいて複数ふくすうの粗そ圧延あつえん機き・仕上しあげ圧延あつえん機きによって一定いっていの薄うすさに圧延あつえん（熱ねつ間あいだ圧延あつえん：熱ねつ延のべ）される。圧延あつえん作業さぎょうが完了かんりょうした鋼はがねは冷却れいきゃくされてコイル状じょうに巻まき取とられ、必要ひつような場合ばあいにはコイルにスリット（切きれ目め）を入いれ幅はばの調節ちょうせつをしたり、剪断して板いた状じょうの切きり板ばんに加工かこうしたりする。切きり板ばんは熱ねつ延のべ鋼板こうはん、コイル状じょうのもので板いた幅はばが600mm未満みまんのものは熱ねつ延のべ帯たい鋼こう、600mm以上いじょうのものは広幅ひろはば熱ねつ延のべ帯たい鋼こうと呼よばれ、3つを総称そうしょうして熱ねつ延のべ薄板うすいた類るいと呼よぶ（ただし、メーカーによっては熱ねつ延のべ薄板うすいた類るいを指さして「熱ねつ延のべ鋼板こうはん」と呼よぶ場合ばあいもある）。連続れんぞくして熱ねつ延のべ薄板うすいた類るいを製造せいぞうできるこの熱ねつ間あいだ圧延あつえん機きは連続れんぞく熱ねつ間あいだ圧延あつえん機き（ホット・ストリップ・ミル）と呼よばれる。かつては、切きり板ばんのみを製造せいぞうする非ひ連続れんぞく式しきの熱ねつ間あいだ圧延あつえん機き（プル・オーバー・ミル）も存在そんざいした。熱ねつ延のべ薄板うすいた類るいの用途ようとは自動車じどうしゃの部品ぶひんなどがあるが、多おおくは後述こうじゅつの冷ひや延のべ薄板うすいた類るいや鋼管こうかん、軽量けいりょう形がた鋼こうなど次じ工程こうてい製品せいひんの原板げんぱんに回まわされる。

熱ねつ延のべ帯たい鋼こう・広幅ひろはば熱ねつ延のべ帯たい鋼こうを常温じょうおんで、冷ひや間あいだ圧延あつえん機き（コールド・ストリップ・ミル）によって再さい圧延あつえん（冷ひや間あいだ圧延あつえん）したものは冷ひや延のべ薄板うすいた類るいと呼よばれる。熱ねつ延のべ鋼板こうはん類るいの場合ばあいと同様どうように、剪断された切きり板ばんを冷ひや延のべ鋼板こうはん、板いた幅はば600mm以上いじょうのものを冷ひや延広のぶひろ幅はば帯たい鋼こう、600mm未満みまんのものをみがき帯たい鋼こうという（冷ひや延のべ薄板うすいた類るいを単たんに「冷ひや延のべ鋼板こうはん」と呼よぶ場合ばあいもある）。熱ねつ延のべ薄板うすいた類るいよりも薄うすく、表面ひょうめん形状けいじょうや加工かこう性せいが優すぐれる。用途ようとは自動車じどうしゃの車体しゃたいや電気でんき機器ききなど。

薄板うすいたに錆さびを防止ぼうしするための表面ひょうめん処理しょり加工かこうを施ほどこしたものが表面ひょうめん処理しょり鋼板こうはんである。原板げんぱんは冷ひや延のべ薄板うすいた類るいが大半たいはんだが、熱ねつ延のべ薄板うすいた類るいを原板げんぱんとするものもある。亜鉛あえんをめっきした亜鉛あえんめっき鋼板こうはん、スズをめっきした錫すずめっき鋼板こうはん（ブリキ）、クロム酸さん処理しょりを施ほどこしたティンフリースチール、塗装とそうを施ほどこしたカラー鋼板こうはん（塗装とそう鋼板こうはん・プレコート鋼板こうはん）が代表だいひょう的てき。

概おおむね厚あつさ1mm未満みまんの薄板うすいたは精密せいみつ圧延あつえん品ひんもしくは箔はく、薄手うすでと区別くべつされており、通常つうじょうの薄板うすいたと比くらべて圧延あつえん設備せつび、圧延あつえん回数かいすうが異ことなる。統計とうけい上じょう表現ひょうげんされないものの、独特どくとくの業界ぎょうかいが形成けいせいされており、顧客こきゃくとする業界ぎょうかいも異ことなる傾向けいこうがある。(磨すり帯たい鋼こう、ステンレス精密せいみつ圧延あつえん品ひん) 熱ねつ延のべ薄板うすいたもしくは冷ひや延のべ薄板うすいたを他社たしゃから調達ちょうたつし、複ふく数すう回かいの冷ひや間あいだ圧延あつえんを施ほどこす再さい圧延あつえん専業せんぎょうメーカー(リローラー)も多おおく存在そんざいしている。

中ちゅう板いた・厚あつ板ばん・極ごく厚あつ板いた

中ちゅう板いた・厚あつ板ばん・極ごく厚あつ板いたの定義ていぎは以下いかのとおり。

• 中ちゅう板いた - 厚あつさ3mm以上いじょう、6mm未満みまん
• 厚あつ板いた - 厚あつさ6mm以上いじょう
• 極ごく厚あつ板いた - 厚あつさ150mm以上いじょう

これらの3種類しゅるいは「厚中あつなか板いた」と総称そうしょうされる。薄板うすいたと同おなじくスラブを原料げんりょうとし、1000度ど以上いじょうに加熱かねつされた状態じょうたいで粗そ圧延あつえん機きで一旦いったん圧延あつえんされ、仕上しあげ圧延あつえん機きの間あいだを往復おうふくすることで最終さいしゅう的てきな厚あつさに仕上しあげられる。圧延あつえん方法ほうほうは熱ねつ間あいだ圧延あつえんであり、冷ひや間あいだ圧延あつえんでは行おこなわれない。

建築けんちく物ぶつや橋梁きょうりょう、船舶せんぱく、自動車じどうしゃ、鉄道てつどう車両しゃりょう、海洋かいよう構造こうぞう物ぶつなどの部材ぶざいや、ボイラ、圧力あつりょく容器ようきなどの幅広はばひろい分野ぶんやで使用しようされる。

関連かんれん項目こうもく

• ボイラープレート
• ライナープレート

外部がいぶリンク

• いろいろな鉄てつ：一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん鉄鋼てっこう連盟れんめい