土鍋どなべ

土鍋どなべ

土鍋どなべ（どなべ）は、土ど（陶土とうど）を原料げんりょうとする日本にっぽんの陶器とうき製せい鍋なべ。

概要がいよう

ルーツは縄文じょうもん時代じだいに煮炊にたきに使つかわれた土器どきに遡さかのぼり、中世ちゅうせいから近世きんせいは素焼すやきの土鍋どなべも使つかわれた。

1950 年代ねんだいにリチウム鉱物こうぶつのペタライトを用もちいたリチア系けい（Li₂O － Al₂O₃ － SiO₂ 系けい）耐たい熱ねつ陶器とうき製せいの土鍋どなべが開発かいはつされ、家庭かてい用よう、業務ぎょうむ用ようとして広ひろく普及ふきゅうした。この土鍋どなべは非常ひじょうに低てい熱ねつ膨張ぼうちょう性せいであり、高たかい耐たい熱ねつ衝撃しょうげき性せいを有ゆうしている。製造せいぞう法ほうは通常つうじょうの陶磁器とうじきと同様どうようであるが、素地そじはペタライトを約やく 40％使用しようし、釉薬はペタライトを 60 ～ 75％程度ていど使用しようする。これを 1150 ～ 1200℃で焼成しょうせいすると、低てい熱ねつ膨張ぼうちょう性せいの結晶けっしょうが多おおく生成せいせいするため、高たかい耐たい熱ねつ衝撃しょうげき性せいを示しめす。特とくにジンバブエ産さんはリチウムの含有がんゆう割合わりあいが適度てきどで、土鍋どなべに向むいていている。ペタライトはリチウムを含ふくむことから、家電かでんや自動車じどうしゃに幅広はばひろくリチウムイオン電池でんちの需要じゅようが世界せかいで広ひろがってきたのを背景はいけいに価格かかくが高騰こうとうしており、一部いちぶでは代替だいたい原料げんりょうを採用さいようする動うごきも見みられる。

利用りよう

土鍋どなべは水炊みずたきやちゃんこ鍋なべなどの鍋なべ料理りょうりに利用りようされる。また、おでんなどの煮込にこみ料理りょうり、燻製くんせいづくりにも使つかわれる。

このほかグラタンやドリア、ローストチキンなどオーブンで調理ちょうりする西洋せいよう料理りょうり、魚介ぎょかい類るいや野菜やさいなどを使つかった蒸むし料理りょうり、炊飯すいはんなどにも利用りようされるようになっている。このため直ちょく火ひのほか、オーブンや電子でんしレンジに対応たいおうした土鍋どなべもある。またIH調理ちょうり用ように、銀ぎんやアルミニウムを溶射したり、ステンレス板いたやカーボン板いたを底面ていめんに固定こていしたりしたIH土鍋どなべもある。

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  湯豆腐ゆどうふ
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  鍋なべ焼やきうどん

特性とくせい

蓄熱ちくねつ性せい

陶器とうきの比熱ひねつは鉄てつの約やく2倍ばいといわれており、土鍋どなべは一いち度ど温あたためると冷さめにくい。

保湿ほしつ性せい

土鍋どなべなどの耐たい熱ねつ陶器とうきは多孔たこう質しつで一般いっぱんに吸水きゅうすい率りつが10%程度ていどあり、調理ちょうり物ぶつの乾燥かんそうを防ふせぐことができる。

調理ちょうりと保管ほかん

目め止とめ

初はじめて使用しようする土鍋どなべには釉薬部分ぶぶんに入はいった細こまかい溝みぞ（貫入かんにゅう）や気泡きほうなどが全体ぜんたい的てきにみられる。これらは水みず漏もれの原因げんいんとなったり、臭くさいやカビの原因げんいんとなる。それを防ふせぐため初はじめて使用しようする土鍋どなべの場合ばあい、お粥かゆを炊たいたり、米べいのとぎ汁しるや小麦粉こむぎこを入いれた水みずをひと煮立にたちさせてデンプンで埋うめる「目め止とめ」と呼よばれる処理しょりが必要ひつようである（製品せいひんによっては目め止とめが不要ふような土鍋どなべもある）。

熱ねつによる変化へんか

土鍋どなべは急激きゅうげきな熱ねつの変化へんかに弱よわく、冷さめた土鍋どなべを急きゅうに強火つよびで熱ねっしたり、熱あついままの土鍋どなべを水みずで洗あらったりすると割われることがある。

保管ほかん

土鍋どなべは多孔たこう質しつであるため汚よごれを放置ほうちしたり乾燥かんそうが不十分ふじゅうぶんだと臭くさいやカビの原因げんいんとなる。

関連かんれん項目こうもく

• 萬古ばんこ焼しょう
• タジン鍋なべ（北きたアフリカ発祥はっしょうの土鍋どなべ）