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熱容量ねつようりょう

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比熱ひねつから転送てんそう

熱容量ねつようりょうひねつようりょうえい: specific heat capacity)とは、圧力あつりょくまたは体積たいせき一定いってい条件じょうけんで、単位たんい質量しつりょう物質ぶっしつ単位たんい温度おんどげるのに必要ひつよう熱量ねつりょうである。たん比熱ひねつひねつえい: specific heat)ということもおお[1][2]単位たんい記号きごうJ/(kgK) [注釈ちゅうしゃく 1]もちいられる。たとえば、みず熱容量ねつようりょう(18℃における)は、やく4184 J/(kg・K) である。

計量けいりょう単位たんい

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熱容量ねつようりょう計量けいりょう単位たんいつぎのようになっている。

なお、「ジュールごとキログラムごとケルビン」と「ジュールごとキログラム毎度まいど」の計量けいりょうほうでの定義ていぎつぎのようになっており、同一どういつである。

定義ていぎいちキログラムの物質ぶっしつ温度おんどいちケルビンげるのにようする熱量ねつりょういちジュールであるときの熱容量ねつようりょう

1グラムたりの熱容量ねつようりょう(J/(g・K) または J g−1 K−1 )は、計量けいりょうほう規定きていされていない法定ほうてい計量けいりょう単位たんいであり、取引とりひき証明しょうめいもちいることはできない。

みず熱容量ねつようりょう(18℃)は、4184 J/(kg・K)である。カロリーもちいると、1 cal/(g・K)であるが、カロリー(cal)は、SI単位たんいではなく、計量けいりょうほうじょう栄養えいようがくなどの特殊とくしゅ分野ぶんやにおける熱量ねつりょう計量けいりょうのみにもちいることができる単位たんいであるので、熱容量ねつようりょう計量けいりょう単位たんいとして取引とりひき証明しょうめいもちいることは1999ねん10がつ以降いこう禁止きんしされている[6][7]

ねつ力学りきがく比熱ひねつ

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ねつ力学りきがくでは1モル物質ぶっしつ熱容量ねつようりょうモル熱容量ねつようりょう単位たんいはJ mol−1 K−1)をもちいることがおおい。モル熱容量ねつようりょう分子ぶんしねつともばれる。単位たんい質量しつりょうあたりの熱容量ねつようりょう熱容量ねつようりょう)にモル質量しつりょう単位たんいはkg mol−1)をければ、モル熱容量ねつようりょうになる。たとえば25℃のみず (液体えきたい)ではcp = 75.291 J mol−1 K−1である。

圧力あつりょく一定いってい条件下じょうけんか測定そくていした場合ばあい定圧ていあつ比熱ひねつ体積たいせき一定いってい条件下じょうけんか測定そくていした場合ばあいていせき比熱ひねつばれる。

定圧ていあつ比熱ひねつ

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定圧ていあつ比熱ひねつ(ていあつひねつ)とは、圧力あつりょく一定いってい条件下じょうけんか単位たんいりょうあたりの物質ぶっしつ単位たんい温度おんど変化へんかさせるのに必要ひつよう熱量ねつりょうとくに1モルたりの定圧ていあつ比熱ひねつ定圧ていあつモル比熱ひねつあるいは定圧ていあつモル熱容量ねつようりょうぶ。

一般いっぱんてき記号きごうは、cpあらわし、単位たんいりょうあたりのエンタルピー変化へんかりょうかたむきをあらわす。

ていせき比熱ひねつ

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ていせき比熱ひねつ(ていせきひねつ)とは、体積たいせき一定いってい条件下じょうけんか単位たんいりょうあたりの物質ぶっしつ単位たんい温度おんど変化へんかさせるのに必要ひつよう熱量ねつりょうとくに1モルたりのていせき比熱ひねつていせきモル比熱ひねつあるいはていせきモル熱容量ねつようりょうぶ。

一般いっぱんてき記号きごうは、 cV で、単位たんいりょうあたりの内部ないぶエネルギー変化へんかりょうかたむきをあらわす。

性質せいしつ

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通常つうじょう液体えきたい固体こたいにおける比熱ひねつは、温度おんどにより極端きょくたん変化へんかしないが、気体きたいにおいてはエンタルピー変化へんかりょう体積たいせき変化へんかおおきく、状態じょうたいりょうとして定圧ていあつ比熱ひねつていせき比熱ひねつかんがえなければならない。

理想りそう気体きたいにおいてはR気体きたい定数ていすうとして

 (マイヤーの関係かんけいしき)

関係かんけいがある(記事きじ比熱ひねつくわしい)。このことはつぎのように説明せつめいされる。エネルギーの出入でいりについてていせき場合ばあい定圧ていあつ場合ばあいかんがえてみると、ていせき場合ばあい変化へんかさいしてけい仕事しごとをしないからけいはいってきたエネルギーはすべて温度おんど上昇じょうしょう使つかえる。ところが、定圧ていあつ場合ばあいにはけい温度おんどげたうえで、さらに体積たいせき変化へんかぶん仕事しごとをしなければならない。この仕事しごと内部ないぶエネルギーは使つかえない(理想りそう気体きたい場合ばあい温度おんど内部ないぶエネルギーの関数かんすうである)から、結局けっきょくこのぶんのエネルギーも余分よぶんそとからあたえてやらなければならないのである。

固体こたい液体えきたいねつ膨張ぼうちょう物質ぶっしつ混合こんごうとうによるものもふくしょうによりせいにもまけにもなるので両者りょうしゃ大小だいしょう関係かんけい不定ふていである。

気体きたい混合こんごうぶつについては、一般いっぱんてきには、モルぶんあつつ。

ある温度おんど以上いじょう単体たんたい固体こたいではていせきモル熱容量ねつようりょうcV一定いっていになるというデュロン=プティの法則ほうそくがある。

金属きんぞくちゅう自由じゆう電子でんしけい比熱ひねつ電子でんし比熱ひねつ)は低温ていおんでは絶対温度ぜったいおんど比例ひれいする[8]

容積ようせき比熱ひねつ

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熱容量ねつようりょう考慮こうりょするときに、質量しつりょう単位たんいでなく体積たいせき単位たんいほう便利べんり場合ばあいがあり、その場合ばあいは、容積ようせき比熱ひねつもしくは体積たいせき比熱ひねつもちいられる。単位たんいたとえば、J/(m3·K)である。

使つかわれる分野ぶんやとしては以下いかがある。

  • 建築けんちく分野ぶんやでのかべざい断熱だんねつ特性とくせい用語ようごとして容積ようせき比熱ひねつがよくもちいられる。
  • 土壌どじょう分野ぶんやでのねつ特性とくせい用語ようごとして体積たいせき比熱ひねつがよくもちいられる。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 計量けいりょうほうにおける単位たんい記号きごうである。

出典しゅってん

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  1. ^ 比熱ひねつ”. www.cradle.co.jp. 2023ねん12月15にち閲覧えつらん
  2. ^ kenki (2020ねん7がつ21にち). “比熱ひねつ熱容量ねつようりょう)について / ヒートポンプ汚泥おでい乾燥かんそう, 汚泥おでい乾燥かんそう, スラリー乾燥かんそう | KENKI DRYER”. 2023ねん12月15にち閲覧えつらん
  3. ^ 国際こくさい単位たんいけい(SI)だい 9 はん(2019) p.109 ひょう6、産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう研究所けんきゅうじょ計量けいりょう標準ひょうじゅん総合そうごうセンター、2020ねん3がつ
  4. ^ 計量けいりょうほう 別表べっぴょうだい1、熱容量ねつようりょうらん
  5. ^ 計量けいりょう単位たんい規則きそく 別表べっぴょうだい2、熱容量ねつようりょうらん
  6. ^ 計量けいりょうほう附則ふそくだいさんじょう計量けいりょう単位たんいとうさだめる政令せいれい平成へいせいよんねん政令せいれいだいさんひゃくじゅうはちごう 別表べっぴょうだい3、こうばん9、熱容量ねつようりょうらん、なお係数けいすうとして4.184ではなく、4.18605が使つかわれていたことに注意ちゅうい
  7. ^ 計量けいりょうほう附則ふそくだいさんじょう計量けいりょう単位たんいとうさだめる政令せいれい平成へいせいよんねん政令せいれいだいさんひゃくじゅうはちごう 別表べっぴょうだい4、こうばん10、熱容量ねつようりょうらん、「カロリーごとグラム毎度まいど
  8. ^ かずいたる三樹みき; 十河そごうきよし; 出口いでぐち哲生てつお『ゼロからのねつ力学りきがく統計とうけい力学りきがく岩波書店いわなみしょてん、2005ねん、170ぺーじISBN 4-00-006700-1 

関連かんれん項目こうもく

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