リキャップ

注射ちゅうしゃ針はり

医療いりょうにおけるリキャップ（英語えいご: recap）とは、注射ちゅうしゃ器きから一いち度ど外はずしたキャップ（蓋ぶた）を、使用しよう後ごの針はり先さきに再ふたたび装着そうちゃくすることである。医療いりょう従事じゅうじ者しゃがリキャップをする際さいに、誤あやまって自分じぶんに使用しよう済ずみの注射ちゅうしゃ針はりを刺さして感染かんせん症しょうに感染かんせんする、いわゆる針刺はりさし事故じこが起おきやすいことから、リキャップ時じの針刺はりさし事故じこを低減ていげんするための取とり組くみが行おこなわれている。

概要がいよう

医療いりょう従事じゅうじ者しゃの労災ろうさい「針刺はりさし事故じこ」による肝炎かんえん等とう感染かんせんの原因げんいんとなる使用しよう済ずみ注射ちゅうしゃ針はり

エイズ治療ちりょう拠点きょてん病院びょういんを対象たいしょうとした1996年ねん-1998年ねんの調査ちょうさによると、針刺はりさし事故じこは計けい11,798件けん（病床びょうしょう100床しょうあたり4件けん）発生はっせいしており、その発生はっせい状じょう況きょうはリキャップ時じが26％と最もっとも多おおく、中なかでも採血さいけつ後ごのリキャップが最多さいたであった。

針刺はりさし事故じこによって患者かんじゃに使用しようした後のちの注射ちゅうしゃ針はりが刺ささると、患者かんじゃが感染かんせん症しょうに感染かんせんしている場合ばあい、血液けつえき感染かんせんが起おこる可能かのう性せいがある。日本にっぽんにおいても、針刺はりさし事故じこによるB型がた肝炎かんえんウイルス（HBV）C型がた肝炎かんえんウイルス（HCV）への感染かんせんや、ヒト免疫めんえき不全ふぜんウイルス（HIV）に感染かんせんし後天こうてん性せい免疫めんえき不全ふぜん症候群しょうこうぐん（AIDS）を発症はっしょうした例れいが報告ほうこくされている（ただし、その原因げんいんがリキャップであるか否ひかは特定とくていされていない）。

針刺はりさし事故じこによる感染かんせん率りつはHBVで最もっとも高たかく6〜30％、HCVで1.8％、HIVで0.3％と報告ほうこくされている。HBVは、特とくにHBe抗原こうげん陽性ようせいの場合ばあいに22〜31％と感染かんせん率りつが高たかく、HBe抗原こうげん陰性いんせいの場合ばあいの感染かんせん率りつは1〜6％と報告ほうこくされている。

対策たいさく

使用しよう済ずみ注射ちゅうしゃ針はりはフタをせず（リキャップせず）直接ちょくせつ専用せんようのゴミ箱ごみばこへ

リキャップ時じの針刺はりさし事故じこを低減ていげんするために、以下いかの対策たいさくが推奨すいしょうされている。

• リキャップは原則げんそくとして行おこなわない。
• 使用しよう後ごの注射ちゅうしゃ針はりは、速すみやかに専用せんようの容器ようきに廃棄はいきする。
• 針はりを捨すてる容器ようきは、容量ようりょうの4分ぶんの3程度ていどまで針はりが貯たまったら処分しょぶんする。
• リキャップを行おこなう場合ばあいには、キャップを机上きじょうに置おいたり、キャップスタンドなどを用もちいたりして、片手かたてで注射ちゅうしゃ針はりを把持はじして行おこなう。一方いっぽうの手てに注射ちゅうしゃ針はりを、もう一方いっぽうの手てにキャップを持もってリキャップすると、誤あやまってキャップ側がわの手てに注射ちゅうしゃ針はりを刺さす事故じこが起おこりやすいからである。
• 安全あんぜん機材きざいを使用しようする。

関連かんれん項目こうもく

• 医療いりょう事故じこ / 労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせい
• バイオハザード / 医療いりょう廃棄はいき物ぶつ