けえらん

けえらんとは和菓子わがしの一種いっしゅ。けいらん、けーらんとも表記ひょうきされる。米べいを蒸むした生地きじで餡あんを巻まいたシンプルな菓子かしである。餡あんにはこし餡あんとつぶ餡あんがある。また、生地きじにヨモギを入いれたものもある。

起源きげん

豊臣とよとみ秀吉ひでよしが朝鮮ちょうせん出兵しゅっぺいのため名護屋なごや城しろに滞在たいざいしていた頃ころ、浜崎はまざき（現げん佐賀さが県けん唐津からつ市し浜玉はまたま町まち）の諏訪すわ神社じんじゃに戦勝せんしょう祈願きがんした際さいに地元民じもとみんが献上けんじょうしたものとい伝いつたえられている。またこの時とき、秀吉ひでよしが「戦せんに勝かつまで帰かえらん」と言いったエピソードがあり、「帰かえらん」という言葉ことばが菓子かしの名称めいしょうの「けえらん」の由来ゆらいとなったとのい伝いつたえもある。

以前いぜんはこの諏訪すわ神社じんじゃの春はる祭まつりの時期じきにのみ、神社じんじゃ近辺きんぺんに出だされる出店しゅってんで売うられていたものであったが、この地区ちくの名物めいぶつとなったため、周辺しゅうへん地域ちいきに店舗てんぽを構かまえ常時じょうじ売うられるようになった。

文献ぶんけん

「けいらん」という名称めいしょうの文献ぶんけんとしての初出しょしゅつは1603年ねん（慶長けいちょう8年ねん）の『日にち葡辞書しょ』で、「もち米ごめまたは粳米うるちまいの粉こなを水みずでこね、中なかに黒砂糖くろざとうを包つつみ、金柑きんかんほどに丸まるめて蒸むしたもの」とされていた。1643年ねん（寛永かんえい20年ねん）の『料理りょうり物語ものがたり』ではこれに加くわえ、「汁しるはうどん同然どうぜん」とあることから、この頃ころより現在げんざいのけいらんのような料理りょうりも食しょくされていたと見みられる。

しかし、けえらんには黒砂糖くろざとうを入いれたものは無なく、卵たまご状じょうに丸まるめたものも無ない。汁しるに入いれて食しょくされる事ことも無ない。 また、東北とうほく地方ちほう北部ほくぶには汁物しるものとして出だされる「けいらん」という名称めいしょうの郷土きょうど料理りょうりがある。

参考さんこう文献ぶんけん

• 吉川よしかわ誠まこと次じ、大堀おおほり恭きょう良りょう『日本にっぽん・食しょくの歴史れきし地図ちず』生活せいかつ人じん新書しんしょ、2002年ねん、pp.141-148頁ぺーじ。ISBN 4-14-088-016-3。 
• 美食びしょく通信つうしん「ごちそう佐賀さが」. “けいらん - 広ひろく長ながく愛あいされるお菓子かし”. 2009年ねん8月がつ23日にち閲覧えつらん。
• さがすばんだ. “うまかもん - けえらん”. 2009年ねん8月がつ23日にち閲覧えつらん。