のまネコ問題もんだい

のまネコ問題もんだい（のまネコもんだい）は、エイベックスのグループ会社かいしゃが「のまネコ」などの著作ちょさく権けん表示ひょうじをつけた商品しょうひんを販売はんばいしたことなどに対たいして、ネット上じょうで抗議こうぎが発生はっせいし、殺害さつがい予告よこくが書かき込こまれるなどの社会しゃかい的てき問題もんだいにも発展はってんした一連いちれんの事件じけんである。のまネコはインターネット掲示板けいじばん2ちゃんねるで人気にんきのあったキャラクターモナーに類似るいじしたキャラクターである。

本ほん騒動そうどうは後ごのパソコン遠隔えんかく操作そうさ事件じけんの遠因えんいんとなったと指摘してきされている。

事実じじつ経過けいか

発端ほったん

2005年ねん8月がつ22日にち、この年としの3月がつに発売はつばいされたO-Zone（オゾン）のアルバム収録しゅうろく曲きょくである「DiscO-Zone（邦題ほうだい恋こいのマイアヒ）」がオリコン・アルバムチャート総合そうごう1位いの大だいヒットを記録きろくし、日本にっぽんにマイアヒ旋風せんぷうを起おこす社会しゃかい現象げんしょうになった。日本人にっぽんじんに馴染なじみの薄うすいルーマニア語ごの歌うたを大だいヒットに導みちびいたのが、日本語にほんごの面白おもしろおかしい空耳そらみみ歌詞かしを付つけたPVである。

このPVは、元々もともとは個人こじんサイトで公開こうかいされたフラッシュ動画どうがで、アスキーアートのキャラクターを基もとにしたキャラクターたちが、空耳そらみみ歌詞かしに合あわせて楽たのしそうに踊おどる、という内容ないようのものであった。これに注目ちゅうもくしたエイベックスが動画どうが作家さっかにコンタクトを取とり、内容ないようを修正しゅうせいした上うえで、オフィシャルなPVとして採用さいようした。エイベックスの石井いしい秀浩ひでひろによれば、インターネット上じょうで話題わだいになった動画どうがの作者さくしゃは「地方ちほう在住ざいじゅうの二に十じゅう代だいのOL」だった。

9月1日にち、エイベックスの子会社こがいしゃであるエイベックスネットワークが、このPVのキャラクターを基もとに商用しょうようキャラクターを作成さくせい。グッズではこのキャラクターを「のまネコ」とし、「(c) のまネコ製作せいさく委員いいん会かい」という著作ちょさく権けん表示ひょうじをしていた。このキャラクターが「アスキーアートの『モナー』に似にている」といった指摘してきが相次あいつぎ、「誰だれの物ものでもないネット上じょうの既存きそんキャラクターを改変かいへんした上うえで独占どくせんし、利益りえきを得えようというのか」という非難ひなんの声こえが上あがった。

マイアヒフラッシュが知しられるきっかけとなった動画どうがは、pya!に投稿とうこうされていた。

公開こうかい質問しつもん状じょう

9月8日にち、エイベックスネットワークは自社じしゃウェブサイトにて以下いかのような見解けんかいを発表はっぴょうした。

• 「のまネコ」の著作ちょさく権けんは有限ゆうげん会社かいしゃZENが管理かんりしており、当社とうしゃは商品しょうひん化か契約けいやくを締結ていけつして使用しようしている。
• 「のまネコ」は、インターネット掲示板けいじばんにおいて親したしまれてきた「モナー」等とうのアスキーアートにインスパイヤ（創作そうさく意欲いよくを刺激しげきされる、等ひとしの意味いみ）されて映像えいぞう化かされ、当社とうしゃと有限ゆうげん会社かいしゃZENが今回こんかいの商品しょうひん化かにあたって新あらたなオリジナリティを加くわえてキャラクター化かしたもの。
• 「モナー」等とうの既存きそんのAAキャラクターの使用しようを制限せいげんする意図いとはない。

9月22日にち、特許とっきょ電子でんし図書館としょかんにて、有限ゆうげん会社かいしゃZENの商標しょうひょう登録とうろく申請しんせいが公開こうかいされた。

• 文字もじ商標しょうひょうとして「のまネコ」の名称めいしょうを出願しゅつがん（商しょう願ねがい2005-69971）
• 図形ずけい商標しょうひょうとして「のまネコ」の図案ずあんを出願しゅつがん（商しょう願ねがい2005-69972）

9月24日にち、2ちゃんねるの西村にしむら博之ひろゆきが「のまタコ」のグッズ展開てんかいをする予定よていであるとして、それに問題もんだいがないことを確認かくにんする旨むねの公開こうかい質問しつもん状じょうをエイベックス・グループ・ホールディングス宛あてに提出ていしゅつ。

商標しょうひょう登録とうろく断念だんねん

9月30日にち、エイベックスは“いわゆる「のまネコ」問題もんだいについての当とうグループの考かんがえ方かた”として、「のまネコ」の商標しょうひょう登録とうろくを中止ちゅうししCDの付録ふろくとしてフラッシュ動画どうがを付つけることをやめると発表はっぴょうした。同時どうじに、同日どうじつに行おこなわれたエイベックス社員しゃいんに対たいする殺人さつじん予告よこくについて被害ひがい届とどけを出だすことを表明ひょうめいした。だが、出願しゅつがんを取とり下さげたのは「のまネコ」のロゴ文字もじのみで、モナーのキャラクターの図案ずあん「米べい酒しゅ」は取とり下さげておらず、結局けっきょくは問題もんだいが解決かいけつしていないのではないかとしてエイベックスへの非難ひなんの声こえは止とまらなかった。

10月1日にち、松浦まつうら勝人まさと宅たくに対たいする放火ほうかを仄ほのめかす文章ぶんしょうが2ちゃんねる内うち掲示板けいじばんに書かき込こまれる。エイベックスは被害ひがい届とどけを出だすことを表明ひょうめい。

10月3日にち、松浦まつうらの妻つまに濃こ硫酸りゅうさんを浴あびせるという内容ないようの書かき込こみが確認かくにんされる。エイベックス本社ほんしゃの所轄しょかつである赤坂あかさか署しょが松浦まつうらの相談そうだんを受うけて脅迫きょうはく容疑ようぎで捜査そうさを開始かいし。また、有限ゆうげん会社かいしゃZENがモナーのキャラクターの図案ずあん「米べい酒しゅ」の商標しょうひょうを取とり下さげ、エイベックスも当該とうがいのフラッシュ動画どうがを収録しゅうろくしたCDを廃盤はいばんとして回収かいしゅうする旨むねを各かく販売はんばい店てんに通達つうたつした。

10月4日にち、2ちゃんねるの管理かんり者しゃ・西村にしむら博之ひろゆきがコメントを発表はっぴょう、その中なかで「2件けん目めに関かんしては、エイベックス社しゃのグループ会社かいしゃの会員かいいん回線かいせんからの犯罪はんざい予告よこくでした」という内容ないようが掲載けいさい、情報じょうほう提供ていきょうを求もとめることになった。但ただし、飽あくまでも“グループ企業きぎょうの回線かいせん”（今回こんかいはUCOMの回線かいせん）であり、例たとえばYahoo!BBのユーザの書かき込こみを「ソフトバンクの回線かいせんからのもの」と主張しゅちょうするのと同おなじことである。だが、Yahooとでは回線かいせん普及ふきゅう規模きぼが段違だんちがいであり、同どう一いち視しはできない。この犯行はんこう予告よこくに関かんしては、投稿とうこうした男性だんせいが12月5日にちに逮捕たいほされている。

10月7日にち、O-Zoneがテレビ朝日てれびあさひ系けい音楽おんがく番組ばんぐみ・ミュージックステーションに出演しゅつえんした際さいに「恋こいのマイアヒ」を熱唱ねっしょうした。だがそこにはflashは掲載けいさいされていなかったものの（ディズニー映画えいが「チキン・リトル」の映像えいぞうが代替だいたい映像えいぞうとして流ながれた）、空耳そらみみで日本語にほんご化かされた歌詞かしのテロップが出でてきた為ため「空耳そらみみ化かした日本語にほんご歌詞かしを無む許可きょかで使用しようするな」という抗議こうぎが20件けん近ちかくあった。

10月12日にち、エイベックスはぬいぐるみなどの「のまネコ」グッズについて、同社どうしゃが受うけ取とる契約けいやくになっているキャラクター使用しよう料りょうを一切いっさい受うけ取とらないと発表はっぴょうした。これにより事態じたいは収束しゅうそくに向むかった。

殺害さつがい予告よこく事件じけん

11月1日にち、仙台せんだい市内しないの小学校しょうがっこうの児童じどうを殺害さつがいすると2ちゃんねるに書かき込こみして逮捕たいほされた男おとこ（2ちゃんねるの歴史れきし2005年ねん10月がつ20日はつか参照さんしょう）が、エイベックス社員しゃいんを殺害さつがいする予告よこくなどの書かき込こみも行おこなったと供述きょうじゅつ。強要きょうよう未遂みすいの疑うたがいで22日にちに再さい逮捕たいほ。

12月5日にち、上述じょうじゅつで再さい逮捕たいほされた男おとこが、松浦まつうら宅たくに対たいする放火ほうか（西村にしむらの言いう「avex社しゃのグループ会社かいしゃの会員かいいん回線かいせんからの犯罪はんざい予告よこく」）を行おこなったとして再さい逮捕たいほされる。

2006年ねん1月がつ20日はつか、上述じょうじゅつの犯行はんこう予告よこくを行おこなった男おとこが、松浦まつうらに「暴力団ぼうりょくだんと深ふかく関係かんけいがあるのは間違まちがいない」と書かき込こんだとして、親告罪しんこくざいである名誉めいよ毀損きそんの疑うたがいで追つい送検そうけんされる。投稿とうこう文ぶんには「（一連いちれんの犯行はんこう予告よこくは）社長しゃちょうから直接ちょくせつ指示しじされてやりました」等とうとも含ふくむもので、ブログ等とうで取とり上あげられ、犯行はんこう予告よこくの自作じさく自演じえんの可能かのう性せいが指摘してきされていた。

2月がつ3日にち、東京とうきょう地裁ちさいで犯行はんこう予告よこくを行おこなった男おとこの初はつ公判こうはんがされる。世間せけんを騒さわがせるのが目的もくてきで、脅迫きょうはくに関かんする殺意さつい等とうは無なかったと主張しゅちょうした。

3月2日にち、東京とうきょう地裁ちさいで犯行はんこう予告よこくを行おこなった男おとこの第だい2回かい公判こうはんがされる。弁護人べんごにんは被告ひこくの回避かいひ性せい人格じんかく障害しょうがいを主張しゅちょう。懲役ちょうえき3年ねんを求刑きゅうけいされる。その後ご、東京とうきょう地裁ちさいで懲役ちょうえき1年ねん6ヶ月かげつの実刑じっけい判決はんけつがい渡いわたされ確定かくていした。

その他た

商標しょうひょう登録とうろく出願しゅつがんが炎上えんじょうしたという点てんについては、東北大学とうほくだいがくの稲穂いなほ健市けんいち特とく任にん教授きょうじゅが日本にっぽん弁理べんり士し会かいの会誌かいし「パテント」で考察こうさつしている。

関連かんれん項目こうもく

• エイベックス
• 2ちゃんねる
• のまネコ (アスキーアート)
• ギコ猫ねこ#ギコ猫ねこ商標しょうひょう問題もんだい（ギコ事件じけん）
• 恋こいのマイアヒ
• パソコン遠隔えんかく操作そうさ事件じけん
• ゆっくり茶番ちゃばん劇げき商標しょうひょう登録とうろく問題もんだい

外部がいぶリンク

• 「のまネコ問題もんだい」ってなによ　日経にっけいビジネスAssocie 2005年ねん11月1日にち号ごうの記事きじ
• のまネコ問題もんだいのウェブリング