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アブラガヤぞく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
アブラガヤぞく
Scirpus cyperinus(北米ほくべいさん)
分類ぶんるいAPG III
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ angiosperms
階級かいきゅうなし : たん子葉しようるい monocots
階級かいきゅうなし : ツユクサるい commelinids
: イネ Poales
: カヤツリグサ Cyperaceae
ぞく : アブラガヤぞく Scirpus
学名がくめい
Scirpus L.
たね

本文ほんぶん参照さんしょう

アブラガヤぞく学名がくめいScirpus) はカヤツリグサぞくの1つ。茎葉けいようがあり、花茎かけい先端せんたんにはよく発達はったつしたつとがあり、多数たすうしょうぼうじょうける。

特長とくちょう

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図版ずはん
S. cyperinus

多年生たねんせい草本そうほん[1]地下茎ちかけいみじか場合ばあいもあり、なが匍匐ほふくするものもある。それにおうじてくき下部かぶあつまるか単独たんどくはなればなれでしょうじる。くき往々おうおうにしてにぶい3りょうがたで、根元ねもとよりうえに1~すうふしがある。 根元ねもとからるか、くき途中とちゅうふしからる。くきでは基部きぶつつじょうさやがあり、線形せんけいながび、その基部きぶにはしたがある。

花序かじょぼうじょう、ないしふくぼうじょうをなし、花茎かけい先端せんたんに1つしょうじるか、またはくき上部じょうぶ茎葉けいようわきに1-数個すうこぶん花序かじょける。それらをわせるとすくないものでは数個すうこからおお場合ばあいには500ほどのしょうける。花序かじょ基部きぶそうつとへん普通ふつうは3以上いじょう発達はったつし、タカネクロスゲのようにさやじょうのものもあるがおおきく発達はったつするものもおおい。

しょう披針形ひしんけいたまごがた球形きゅうけいなどでさき単独たんどくしょうじるか、あるいは数個すうこからおおいものでは20ほどが集団しゅうだんしょうじる。しょう鱗片りんぺんはらせんじょう配列はいれつし、すべて同型どうけい同大どうだいであり、褐色かっしょく、あるいはあかみやくろみをびたいろつ。またそれぞれの内側うちがわかなら1個いっこずつのはなつ。はな両性りょうせいそなわり、しべは1-3ある。しべでははなばしら先端せんたんで2-3にかれ、基部きぶふしなどなくて子房しぼうつながる。また糸状いとじょうはなへんがない場合ばあいもあるが、普通ふつうは6ほんまであり、ぐ、あるいはがりくねる。果実かじつ倒卵形とうらんけい断面だんめんは3りょうがた、あるいはレンズじょうをしており、あわ褐色かっしょく表面ひょうめんなめらか、先端せんたんくちばしじょうとがる。

たね分布ぶんぷ

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やく35しゅがある。北半球きたはんきゅう温帯おんたいいき分布ぶんぷ中心ちゅうしんとし、とくきたアメリカに種類しゅるいおおい。

ぐんとの関係かんけい

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本属ほんぞく広義こうぎホタルイぞくふくめられたものであるが、そのようなきんえんぐんなかでは茎葉けいようもよく発達はったつし、またそうつと複数ふくすうがよく発達はったつするものがおお[2]草々そうそうしい姿すがたをしたものである。和名わみょうにはれがあり、ここでは大橋おおはしへん(2015)にしたがったが、星野ほしの(2011)などではクロアブラガヤぞくっている。同様どうようつつみ発達はったつしたものとしてはオオサンカクイぞく Actinoscirpus があるが、これはくきふしく、茎葉けいよう当然とうぜんたない。茎葉けいようつつみ発達はったつするものにはウキヤガラぞく Bolboschoenus があるが、発達はったつしないのが普通ふつうである。

なお、広義こうぎのホタルイぞくはこのぞく学名がくめいたいしてあたえられた和名わみょうであったが、そのもとであるホタルイは まずSchoenoplectusけられ、その和名わみょうフトイぞくとなった。しかしこのぞくさらけられてこのたねScoenoplectiellaうつされ、そのぞく和名わみょうホソガタホタルイぞくとなった。そのためにホタルイぞくという和名わみょう現在げんざい使つかわれていない。

下位かい分類ぶんるい

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日本にっぽんには以下いかのようなたねられる[3]。ただしアブラガヤにかかわるぐんには変異へんいたね範囲はんいかんする論議ろんぎおおく、変種へんしゅあつかいなどにおおくの変遷へんせんがある。

  • Scirpus:アブラガヤぞく
    • S. fuirenoides:コマツカサススキ
    • S. karuizawaensis:ヒメマツカサススキ
    • S. lushanensis:エゾアブラガヤ
    • S. maximowiczii:タカネクロスゲ
    • S. mitsukurianusマツカサススキ
    • S. orientalis:クロアブラガヤ
    • S. radicansツルアブラガヤ
    • S. ternatanus:オオアブラガヤ
    • S. wichuraeアブラガヤ

日本にっぽんさんたねではタカネクロスゲは特殊とくしゅで、たねより小柄こがらくさ姿すがたつと発達はったつせず、しょうたねよりおおきくてかずすくない。このたねかんしてはワタスゲぞくふくめたこともあり、そこでも本属ほんぞくワタスゲぞくの「中間なかまてき存在そんざい」とみられた[4]ことがあるが、現在げんざい本属ほんぞくおさめられている。なお、琉球りゅうきゅう列島れっとうにはヤエヤマアブラガヤ[5] Rhynchospora corymbosa があり、外見がいけんてきには雰囲気ふんいき植物しょくぶつであるが、これは本属ほんぞくではなく、ミカヅキグサぞくのものである。

近年きんねん移入いにゅうしゅとして以下いかたね記録きろくされている[6]

  • S. georgianus セフリアブラガヤ
  • S. microcarpus ヒメクロアブラガヤ

また S. hattorianus イワキアブラガヤ福島ふくしまけん発見はっけんされ、新種しんしゅとして記載きさいされたものだがその報告ほうこくがなくなり、一時いちじてき移入いにゅうしゅだったとかんがえられている[7]

出典しゅってん

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  1. ^ 以下いかしゅとして大橋おおはしへん(2015),p.359
  2. ^ 大橋おおはしへん(2015),p.296
  3. ^ 星野ほしの(2011)より
  4. ^ 引用いんようども清水しみず(1997),p.243
  5. ^ 大橋おおはしへん(2015)はヤエヤマアブラスゲの和名わみょうっている。
  6. ^ 清水しみずへん(2003),p.300-301
  7. ^ 黒沢くろさわ(2015)

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 大橋おおはしひろこうへん、『改定かいてい新版しんぱん 日本にっぽん野生やせい植物しょくぶつ 1 ソテツ~カヤツリグサ』、(2015)、平凡社へいぼんしゃ
  • 星野ほしの卓二たくじ、『日本にっぽんカヤツリグサ植物しょくぶつ図譜ずふ』、(2011)、平凡社へいぼんしゃ
  • 清水しみずたてよし、『日本にっぽん帰化きか植物しょくぶつ』、(2003)、平凡社へいぼんしゃ
  • 清水しみずたてよし、「ワタスゲ」:『朝日あさひ百科ひゃっか 植物しょくぶつ世界せかい 10』,(1997)、朝日新聞社あさひしんぶんしゃ:p.242-243.
  • 黒沢くろさわ高秀たかひで、「イワキアブラガヤおよびきんえん帰化きかしゅセフリアブラガヤ(カヤツリグサ)国内こくない分布ぶんぷ由来ゆらい」、(2015)、Bunrui 15(1): p.29-40.