アリン・テムル

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アリン・テムルモンゴル: Arin temürなま没年ぼつねんしょう)は、モンゴル帝国ていこくつかえたウイグルじん一人ひとり。『もと』における漢字かんじ表記ひょうきおもねとなりじょう(ālín tièmùér)。

概要がいよう[編集へんしゅう]

アリン・テムルの祖先そせん天山あまやまウイグル王国おうこくつかえていたカラ・イカチ・ブイルクで、アリン・テムルはカラ・イカチ・ブイルクの息子むすこユトゥス・イナル(Yutus Inal/つき朶失訥)の息子むすこキチク・ソンクル(Kičig Songur/乞赤そうゆるがせ)の息子むすこウルスマン(Ürsman/つきおもえ蛮)の息子むすこアルトミシュ・テムル(Altmiš temür/おもねてき迷失じょう)の息子むすこにあたる[1]

アリン・テムルはウイグル文字もじ通達つうたつすると同時どうじ博識はくしきなことでられ、翰林かんりんまちせいさかえろく大夫たいふ翰林かんりん学士がくしうけたまわむねとされた。ゲゲーン・カアン(えいむねシデバラ)治世ちせいちゅうはカアンのがわちかくにつかえ、古代こだい哲学てつがくしゃ王侯おうこう善行ぜんこうおしえたという。また経書けいしょ翻訳ほんやく故実こじつ記録きろくたずさわり、モンゴル帝国ていこく国政こくせい中枢ちゅうすうたるクリルタイ記録きろくった[2]

1328ねんにはトク・テムルようするだいラジバグようするうえあいだてんれき内乱ないらんこり、だい一時いちじ勝利しょうりおさめたものの、チャガタイ・ウルス支援しえんけたコシラがモンゴル高原こうげん制圧せいあつするとトク・テムルがわがコシラに帝位ていいゆずることになった。アリン・テムルは北上ほくじょうしてコシラをむかえる人員じんいんくわわり、アリン・テムルと対面たいめんしたコシラは「これぞちんである」とかたったという。しかしコシラは即位そくい直後ちょくご毒殺どくさつされ、あらためて即位そくいしたトク・テムルの治世ちせい1330ねんてんれき3ねん/いたりじゅん元年がんねん)にひかりろく大夫たいふけいむしろごと地位ちいさづけられた[3]

子孫しそん[編集へんしゅう]

アリン・テムルにはサルバン(Sarban/すな剌班)、トゥクルク(Tuqluq/禿かぶろゆるがせ魯)、ろくじゅう、チャナル(Čanar/咱納ろく)という息子むすこがおり、このなかでもサルバンがもっと出世しゅっせ中書ちゅうしょたいらあきら政事せいじだいつかさ宣政のぶまさいん使地位ちいいたった[4]

ブイルク[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ もとまき124列伝れつでん11哈剌また哈赤きた魯伝,「哈剌また哈赤きた魯、かしこ兀人也。……つき朶失訥卒、乞赤そうゆるがせざいふとし宗時むねとき襲爵しゅうしゃくたまものごうこたえ剌罕。よんにん曰塔とう、曰忽棧、曰火おもえ蛮、曰月おもえ蛮。いのちおもえ蛮従ゆきゆきてききん鎮雲みなみつきおもえ蛮事けんそうかさねちち爵、けんりょうそうじんこういんぐんそちさつゆるがせだいよりどころべつしつはちつきしつ徙居ひらたすずしあずか其子おもねてき迷失じょうにゅう覲、みことのりにゅう宿衛しゅくえいため必闍あかいのちしたがえ安西あんざいおうせわし哥剌鎮六ばん安西あんざいおう薨、其子おもねなんこたえ嗣。なりむね即位そくい使つかい入朝にゅうちょういんそうおもねてき迷失じょう父子ふしほん先帝せんてい旧臣きゅうしんらいこと先王せんおうふくつとむじゅうねん矣。わかおわりろうおう所以ゆえんつき其才也、ねがい以帰陛下へいかよう』。なりむね其奏、授阿てき迷失じょうなんじしゅうたち魯花あかせきかん秘書ひしょふとしかんそつ
  2. ^ もとまき124列伝れつでん11哈剌また哈赤きた魯伝,「おもねとなりじょうおもねとなりじょうぜん国書こくしょ聞識、れきごとるいあさゆかり翰林かんりんまちせいるい遷栄ろく大夫たいふ翰林かんりん学士がくしうけたまわむねえい宗時むねとき、以旧がくさむらい左右さゆうひねせつ祖宗そそう以来いらい及古先哲せんてつおう嘉言よしとき善行ぜんこう翻訳ほんやくしょけいろく故実こじつそう諸王しょおう・駙馬・ばんこく朝会ちょうかいこと
  3. ^ もとまき124列伝れつでん11哈剌また哈赤きた魯伝,「てんれきはつきたむかいあきらそうにゅう正大せいだいすべ一見いっけん歓甚、顧左右さゆう曰『此朕也』。てんれきさんねんすすむこうろく大夫たいふけいむしろごと
  4. ^ もとまき124列伝れつでん11哈剌また哈赤きた魯伝,「曰沙剌班、曰禿ゆるがせ魯、曰ろくじゅう、曰咱おさめろくすな剌班、るいはい中書ちゅうしょたいらあきら政事せいじだいつかさ宣政のぶまさいん使

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]