イアン・スティーヴンソン (Ian Stevenson 、1918年 ねん 10月31日 にち - 2007年 ねん 2月 がつ 3日 にち [ 1] )は、「生 う まれ変 か わり現象 げんしょう 」の研究 けんきゅう 者 しゃ である。「心 こころ 搬体 」(psychophore)という用語 ようご を創出 そうしゅつ し、記憶 きおく や感情 かんじょう や体 からだ の外傷 がいしょう が来世 らいせ に持 も ち越 こ される媒体 ばいたい の存在 そんざい を提唱 ていしょう した[ 2] 。
1918年 ねん 、カナダ モントリオール にて生誕 せいたん 、オタワ にて少年 しょうねん 時代 じだい を過 す ごす[ 3] 。幼少 ようしょう 期 き より気管支炎 きかんしえん を患 わずら い、生涯 しょうがい それに悩 なや まされていた。1939年 ねん 、マギル大学 だいがく 医学部 いがくぶ を首席 しゅせき にて卒業 そつぎょう 。生化学 せいかがく 、心身 しんしん 医学 いがく 研究 けんきゅう を経 へ て、精神 せいしん 医学 いがく を志 こころざ す。1949年 ねん よりルイジアナ州立 しゅうりつ 大学 だいがく にて助手 じょしゅ 、助 じょ 教 きょう 、教授 きょうじゅ を務 つと め、1950年代 ねんだい にはオルダス・ハクスリー らとLSD やメスカリン の研究 けんきゅう に携 たずさ わっていた[ 4] 。1957年 ねん 、バージニア大学 だいがく 精神 せいしん 科 か 主任 しゅにん 教授 きょうじゅ に着任 ちゃくにん 。1960年 ねん には「前世 ぜんせい の記憶 きおく とされるものによる死後 しご 生存 せいぞん の証拠 しょうこ 」を発表 はっぴょう し、閲読 えつどく したチェスター・カールソン の資金 しきん 援助 えんじょ を受 う ける[ 2] 。
生 う まれ変 か わり研究 けんきゅう をライフワークとしたその契機 けいき となる論拠 ろんきょ のなかには、江戸 えど 時代 じだい の当時 とうじ 8歳 さい の少年 しょうねん ・小谷田 こやた 勝五郎 かつごろう のケースも含 ふく まれていた。勝五郎 かつごろう は疱瘡 ほうそう によって6歳 さい で急死 きゅうし した、隣村 りんそん に住 す む藤蔵 とうぞう という少年 しょうねん の生 う まれ変 か わりであると自称 じしょう し、一躍 いちやく 騒動 そうどう となった[ 5] 。その顛末 てんまつ が平田 ひらた 篤胤 あつたね や池田 いけだ 冠山 かんざん によって編纂 へんさん され、小泉 こいずみ 八雲 やくも によって『Rebirth of Katsugoro (勝五郎 かつごろう の転生 てんせい )』として英訳 えいやく されたことから、知 し るところとなった[ 2] 。
スティーヴンソンは、 インド でのフィールドワーク を行 おこな った結果 けっか 、短期間 たんきかん のうちに二 に 十 じゅう 数 すう 例 れい を発見 はっけん する。1966年 ねん と1974年 ねん に著書 ちょしょ 『前世 ぜんせい を記憶 きおく する20人 にん の子供 こども 』を出版 しゅっぱん し反響 はんきょう を得 え る。現在 げんざい までにスティーヴンソンと彼 かれ が率 ひき いる研究 けんきゅう グループは、東南 とうなん アジア を中心 ちゅうしん に、前世 ぜんせい の記憶 きおく を持 も つとされる子 こ どもたちの事例 じれい を2300例 れい ほど集 あつ めている。
スティーヴンソンの研究 けんきゅう は、月刊 げっかん の科学 かがく 雑誌 ざっし として最古 さいこ の歴史 れきし を誇 ほこ る『神経 しんけい ・精神病 せいしんびょう 学 がく 雑誌 ざっし Journal of Nervous and Mental Disease』に掲載 けいさい され、特集 とくしゅう が組 く まれた。その反応 はんのう として、スティーヴンソン宛 あて に世界中 せかいじゅう の科学 かがく 者 しゃ から論文 ろんぶん の別刷 べつづ りを請求 せいきゅう する手紙 てがみ が約 やく 1000通 つう 届 とど いたとされる[ 6] 。当時 とうじ の編集 へんしゅう 長 ちょう であったユージン・B・ブローディ教授 きょうじゅ は、以下 いか のコメントを残 のこ している。
このような
特集 とくしゅう を
組 く んだ
理由 りゆう は、
執筆 しっぴつ 者 しゃ が、
科学 かがく 的 てき にも
個人 こじん 的 てき にも
信頼 しんらい に
足 た る
人物 じんぶつ であること、
正当 せいとう な
研究 けんきゅう 法 ほう をとっていること、
合理 ごうり 的 てき な
思考 しこう をしていること、といった
点 てん にある。
以上 いじょう の
条件 じょうけん が
満 み たされるなら、
人間 にんげん の
行動 こうどう に
関 かん する
知識 ちしき の
増進 ぞうしん をめざす
雑誌 ざっし が、このようなテーマの
論文 ろんぶん を
自動的 じどうてき に
不 ふ 採用 さいよう にすべきではないし、そうしてはならない
義務 ぎむ があると
思 おも う
[ 6] 。
2002年 ねん 、研究所 けんきゅうじょ 所長 しょちょう を退職 たいしょく 。その後 ご も個人 こじん 調査 ちょうさ と研究 けんきゅう を継続 けいぞく し、259の論文 ろんぶん と15の著作 ちょさく 、膨大 ぼうだい な「生 う まれ変 か わり」事例 じれい のファイルを残 のこ し、2007年 ねん に肺炎 はいえん にて逝去 せいきょ 。享年 きょうねん 88歳 さい [ 2] 。ヴァージニア大学 だいがく の彼 かれ の研究 けんきゅう グループは現在 げんざい ジム・タッカー が引 ひ き継 つ ぐ形 かたち となっている。
スティーヴンソンが取 と った研究 けんきゅう 方法 ほうほう は面接 めんせつ 調査 ちょうさ であり、主 しゅ として2歳 さい から5歳 さい までの間 あいだ に「前世 ぜんせい の記憶 きおく をよみがえらせた」子供 こども とその関係 かんけい 者 しゃ が研究 けんきゅう 対象 たいしょう として選 えら ばれた。面接 めんせつ 調査 ちょうさ により、子供 こども がもつ記憶 きおく の歪 ゆが み、証言 しょうげん 者 しゃ たちの相互 そうご の証言 しょうげん の食 く い違 ちが いがないかを調査 ちょうさ し、「前世 ぜんせい の家族 かぞく 」の調査 ちょうさ も行 おこな った[ 7] 。
「前世 ぜんせい の記憶 きおく 」を持 も つ子供 こども の特徴 とくちょう [ 編集 へんしゅう ]
子供 こども たちが自発 じはつ 的 てき に「前世 ぜんせい 」を語 かた り始 はじ めるのは、発話 はつわ が可能 かのう になる2歳 さい から5歳 さい までの間 あいだ であり、多 おお くのケースでは5歳 さい から8歳 さい までには子供 こども たちは語 かた るのをやめてしまい 、成長 せいちょう するにつれ本人 ほんにん の記憶 きおく からも忘 わす れ去 さ られることになる。
子供 こども たちが語 かた る内容 ないよう は、「前世 ぜんせい 」の人物 じんぶつ が死亡 しぼう した時 とき の様子 ようす 、居合 いあ わせた人 ひと や物 ぶつ の描写 びょうしゃ 、死亡 しぼう してから生 う まれ変 か わるまでの様子 ようす などである。わずかな記憶 きおく のみをもつ子供 こども もいれば、膨大 ぼうだい な記憶 きおく を持 も つ者 もの もいる。
そうした子供 こども たちが示 しめ す行動 こうどう には、まず「前世 ぜんせい 」の家族 かぞく に対 たい する親近 しんきん 感 かん の表明 ひょうめい がある。子供 こども たちは時 とき に「現世 げんせい 」への違和感 いわかん を表明 ひょうめい し、「本当 ほんとう の親 おや のところへ連 つ れて行 い って」などと訴 うった える事 こと がある。子供 こども たちが前世 ぜんせい の居住 きょじゅう 環境 かんきょう や親族 しんぞく の名 な を語 かた り、その証言 しょうげん が事実 じじつ と符合 ふごう した例 れい も多 おお い。
死亡 しぼう 時 じ の状況 じょうきょう (やそれと類似 るいじ した状況 じょうきょう )への恐怖 きょうふ があり、特定 とくてい の乗 の り物 もの や火 ひ や水 みず 、銃火 じゅうか 器 き などへの恐怖 きょうふ が見 み られる。
「前世 ぜんせい 」の人物 じんぶつ と同様 どうよう の食 た べ物 もの や衣服 いふく の好 す き嫌 きら い、前世 ぜんせい と同 おな じような発話 はつわ や動作 どうさ 、前世 ぜんせい の死 し に方 かた に関連 かんれん した先天 せんてん 性 せい 欠損 けっそん や、痣 あざ (母 はは 斑 まだら )などが見 み られる 事 こと もある。スティーヴンソンは先天 せんてん 性 せい 欠損 けっそん と母 はは 斑 むら については生 う まれ変 か わり事例 じれい の「最 さい 有力 ゆうりょく の証拠 しょうこ 」となると見 み なしている。(→#先天 せんてん 性 せい 刻印 こくいん )
そうした子供 こども たちの割合 わりあい は、いずれの文化 ぶんか 圏 けん でも男児 だんじ がかなり多 おお い という特徴 とくちょう が挙 あ げられる。次 つぎ に、前世 ぜんせい の記憶 きおく では子供 こども たちの圧倒的 あっとうてき 多数 たすう が、自然 しぜん 死 し ではなく(事故 じこ にあったり殺 ころ されたりなど)非業 ひごう の死 し を遂 と げ 、突然 とつぜん に人生 じんせい に終止符 しゅうしふ が打 う たれているという特徴 とくちょう がある。
「前世 ぜんせい 」と「現世 げんせい 」の性別 せいべつ が異 こと なっている場合 ばあい には、性 せい の違和感 いわかん が見 み られる場合 ばあい もある。また「前世 ぜんせい 」で成人 せいじん していた場合 ばあい 、その記憶 きおく を語 かた る子供 こども たちの物腰 ものごし は大人 おとな びたものである ことが多 おお い。早熟 そうじゅく な性的 せいてき 行動 こうどう や、酒 さけ ・タバコといった大人 おとな の愛用 あいよう 品 ひん への嗜好 しこう も見 み られる。
死亡 しぼう した前世 ぜんせい の人物 じんぶつ の母親 ははおや が、予告 よこく 夢 ゆめ を見 み ていた というケースも多 おお い。「次 つぎ に生 う まれる子供 こども は、死者 ししゃ の生 う まれ変 か わりである」と直観 ちょっかん するに至 いた る夢 ゆめ を見 み ている事例 じれい である。また稀 まれ ではあるが、死者 ししゃ が自然 しぜん に生 う まれ変 か わる場所 ばしょ を正確 せいかく に指摘 してき していたケースもある。
極 きわ めて稀 まれ ではあるが、前世 ぜんせい を語 かた る者 もの の中 なか には、その前世 ぜんせい で語 かた っていた言語 げんご を操 あやつ る能力 のうりょく (真性 しんせい 異 い 言 げん )のある者 もの がいる。スティーヴンソンが収集 しゅうしゅう した2000例 れい の中 なか のわずか3例 れい がこれに当 あ たる。そうした事例 じれい では、催眠 さいみん 中 ちゅう に前世 ぜんせい の人格 じんかく が出現 しゅつげん し、スウェーデン語 ご やドイツ語 ご などにより文章 ぶんしょう で意思 いし 疎通 そつう ができるほか、前世 ぜんせい の言語 げんご での歌 うた を歌 うた う能力 のうりょく などが確認 かくにん されている [ 8] 。
子供 こども たちが語 かた る「前世 ぜんせい の記憶 きおく 」と符合 ふごう する場所 ばしょ に母 はは 斑 まだら や先天 せんてん 性 せい 欠損 けっそん が現 あらわ れるケースがある。「前世 ぜんせい の人格 じんかく 」が死亡 しぼう した際 さい に追 お った傷 きず 、あるいは前世 ぜんせい の人格 じんかく が持 も っていた痣 あざ 、傷跡 きずあと 、ほくろや手術 しゅじゅつ 痕 こん などが、現世 げんせい の人格 じんかく において同 おな じ場所 ばしょ に再現 さいげん されるケースである。中 なか には、殺 ころ される際 さい に手 て や指 ゆび を切断 せつだん されたために、その部分 ぶぶん が欠損 けっそん する形 かたち で現 あらわ れた例 れい もある。スティーヴンソンはこうしたケースを112例 れい ほど収集 しゅうしゅう している。中 なか には、「前世 ぜんせい の人格 じんかく 」が亡 な くなったときの状態 じょうたい を医者 いしゃ が記録 きろく したカルテ も入手 にゅうしゅ できたケースもある[ 9] 。
スティーヴンソンは「生 う まれ変 か わり事例 じれい 」について以下 いか の解釈 かいしゃく を検討 けんとう した[ 7] 。またスティーヴンソンは「生 う まれ変 か わりという考 かんが え方 かた は最後 さいご に受 う け入 い れるべき解釈 かいしゃく なので、これに変 か わる説明 せつめい がすべて棄却 ききゃく できた後 のち に初 はじ めて採用 さいよう すべきである」とした[ 2] 。
子 こ どもとその家族 かぞく が嘘 うそ をついているという説 せつ である。嘘 うそ をつく動機 どうき としては有名 ゆうめい になりたいという名声 めいせい 欲 よく や、金銭 きんせん 欲 よく が考 かんが えられる。
しかし、スティーヴンソンが調査 ちょうさ した事例 じれい では殆 ほとん どの家族 かぞく が子供 こども の件 けん で名前 なまえ を知 し られることを嫌 いや がっており、両親 りょうしん は子供 こども に前世 ぜんせい についての記憶 きおく を他人 たにん に話 はな すことを固 かた く禁 きん じているケースが多 おお い。また子供 こども 自身 じしん も、他人 たにん に前世 ぜんせい の事 こと を話 はな すことで嘲笑 ちょうしょう やいじめ の対象 たいしょう になり、家族 かぞく 関係 かんけい にも溝 みぞ が生 しょう じるため、自 みずか ら口 くち を閉 と ざすケースも多 おお い。また前世 ぜんせい についての作 つく り話 ばなし をしたところで、それほどの名声 めいせい や金銭 きんせん が得 え られるわけではない。(単純 たんじゅん に考 かんが えて、自分 じぶん の子供 こども を、例 たと えば「殺人 さつじん 被害 ひがい 者 しゃ の生 う まれ変 か わりだ」とすることに利点 りてん は見当 みあ たらない。)またアジア の一部 いちぶ やアフリカ に住 す む家族 かぞく は、面接 めんせつ 時間 じかん すらろくに取 と れないほど忙 いそが しく、そうした利益 りえき にもならない企 くわだ てに時間 じかん を割 さ く余裕 よゆう がないことが多 おお い。こうした理由 りゆう からスティーヴンソンは作 さく 話 はなし 説 せつ を却下 きゃっか している。
「前世 ぜんせい がある」と子供 こども が自分 じぶん 自身 じしん に強 つよ くい聞 いき かせることで、自分 じぶん 自身 じしん をだましているのではないかという説 せつ である。しかし、そうした事例 じれい では子供 こども が世界 せかい 的 てき に有名 ゆうめい な人物 じんぶつ の過去 かこ 世 よ を持 も つと主張 しゅちょう する場合 ばあい が多 おお く、その「前世 ぜんせい 」についての証言 しょうげん の誤 あやま りも容易 ようい にわかる事 こと が多 おお い。前世 ぜんせい を語 かた る子供 こども たちが被 ひ 暗示 あんじ 性 せい が高 たか いという事実 じじつ もない。スティーヴンソンはこの説 せつ も却下 きゃっか している。
すべてを単 たん なる偶然 ぐうぜん の一致 いっち と片付 かたづ ける説 せつ である。しかし、母 はは 斑 むら や身体 しんたい 欠損 けっそん は医学 いがく 的 てき に発生 はっせい 確 かく 率 りつ が推定 すいてい されているため、極 きわ めて稀 まれ な「複数 ふくすう の」身体 しんたい 欠損 けっそん や母 はは 斑 まだら が、「前世 ぜんせい 」の人物 じんぶつ の傷跡 きずあと などと一致 いっち する場合 ばあい には、偶然 ぐうぜん 説 せつ に無理 むり が出 で てくる。スティーヴンソンはこの説 せつ も採用 さいよう していない。
子 こ どもが、前世 ぜんせい の人物 じんぶつ に関 かん する情報 じょうほう をテレビ や新聞 しんぶん などのマスコミ などから見聞 みき きしたことがある(あるいは前世 ぜんせい の人物 じんぶつ の家族 かぞく と会 あ ったことがある)が、それを1度 ど 忘 わす れてしまい、後 のち になってから記憶 きおく を脚色 きゃくしょく して思 おも い出 だ したのではないかとする説 せつ である。例 たと えば「前世 ぜんせい の人物 じんぶつ 」が事件 じけん や事故 じこ で亡 な くなったという話 はなし をしているところを子 こ どもが横 よこ で聞 き いていたという可能 かのう 性 せい が挙 あ げられる。
しかし、スティーブンソンが調 しら べたケースでは、「前世 ぜんせい の家族 かぞく 」と「今 こん 世 よ の家族 かぞく 」の間 あいだ に交流 こうりゅう があることを確 たし かめられたケースは稀 まれ であり、ほとんどの場合 ばあい 、そうした家族 かぞく 間 あいだ を結 むす ぶ情報 じょうほう ルートは見 み つかっていない。また、調査 ちょうさ した地域 ちいき の多 おお くは、ラジオ 、テレビなどのマスコミが存在 そんざい せず「過去 かこ の人物 じんぶつ 」について情報 じょうほう を得 え る手段 しゅだん がない。そして前世 ぜんせい を記憶 きおく している子 こ どもの多 おお くが3歳 さい 以下 いか の年齢 ねんれい で発言 はつげん を始 はじ めることを考 かんが えると、それ以前 いぜん の年齢 ねんれい の子 こ どもが大人 おとな たちの会話 かいわ (特 とく に殺人 さつじん 事件 じけん についての会話 かいわ など)やマスコミからの情報 じょうほう を一 いち 、二 に 回 かい 聞 き いたくらいで覚 おぼ えられるとは考 かんが えにくい。中 なか には「前世 ぜんせい の人物 じんぶつ 」やその家族 かぞく が周 まわ りには伏 ふ せていた秘密 ひみつ の事柄 ことがら に関 かん する情報 じょうほう を子供 こども が知 し っていたというケースも多数 たすう 存在 そんざい する。また、子 こ どもと「前世 ぜんせい の人物 じんぶつ 」の食 た べ物 もの の好 この みやクセが一致 いっち するという事実 じじつ は、単 たん に言葉 ことば を通 つう じて得 え られた知識 ちしき だけでは現 あらわ れにくい。以上 いじょう の理由 りゆう から「潜在 せんざい 意識 いしき 説 せつ 」も却下 きゃっか される。
子供 こども が断片 だんぺん 的 てき に話 はな した内容 ないよう を、両親 りょうしん などの証言 しょうげん 者 しゃ が不正確 ふせいかく に記憶 きおく し、「生 う まれ変 か わり」の証言 しょうげん を作 つく り出 だ したのではないかとする説 せつ である。実際 じっさい には、子供 こども が話 はな す「前世 ぜんせい 」の証言 しょうげん は、両親 りょうしん によって無視 むし されたり、否定 ひてい 的 てき に解釈 かいしゃく されるケースが殆 ほとん どである。一般 いっぱん 的 てき に言 い って、子供 こども の証言 しょうげん は両親 りょうしん によって「誇張 こちょう 」されることは少 すく なく、逆 ぎゃく に「過小 かしょう 評価 ひょうか 」される傾向 けいこう がある。よってこの説 せつ も当 あ てはまらない。
「前世 ぜんせい の人物 じんぶつ 」が同 おな じ家族 かぞく の子供 こども として新 あら たに生 う まれ変 か わった、とされるケースでは、子供 こども が遺伝 いでん の影響 えいきょう により何 なん らかの記憶 きおく を受 う け継 つ いだのではないか、という解釈 かいしゃく が成 な り立 た つように思 おも える。しかし、子供 こども が持 も つ「前世 ぜんせい 」の記憶 きおく の詳細 しょうさい は、遺伝 いでん に基 もと づくとされる記憶 きおく をはるかに上回 うわまわ っているため、この説 せつ には説得 せっとく 力 りょく がない。
⑦ESP仮説 かせつ (超 ちょう 感覚 かんかく 的 てき 知覚 ちかく 説 せつ )[ 編集 へんしゅう ]
通常 つうじょう では知 し るすべのない出来事 できごと を子供 こども が知 し っているのは「超 ちょう 能力 のうりょく 」によるものであり、そうした能力 のうりょく によって得 え られた情報 じょうほう を「前世 ぜんせい の情報 じょうほう 」としてまとめあげたのではないか、とする説 せつ である。
しかし、この説 せつ にも問題 もんだい 点 てん がある。調査 ちょうさ された子 こ どもには、超 ちょう 能力 のうりょく をもっているという証拠 しょうこ が見 み あたらなかった。子供 こども たちには、「前世 ぜんせい 」を語 かた る以外 いがい にPSIを発揮 はっき したらしい事実 じじつ は見 み られていない。また、遠方 えんぽう にいる人物 じんぶつ に関 かん する知識 ちしき を超 ちょう 感覚 かんかく 的 てき 知覚 ちかく によって得 え たとしても、子 こ どもがそうした人物 じんぶつ と同 おな じような特徴 とくちょう をもつようになる理由 りゆう が説明 せつめい できない。そうした人物 じんぶつ の行動 こうどう を真似 まね ることは、家族 かぞく との対立 たいりつ を生 う むので子供 こども たちにはそれをする動機 どうき がない。またESPは情報 じょうほう の発信 はっしん 者 しゃ と受信 じゅしん 者 しゃ の間 あいだ に愛情 あいじょう や信頼 しんらい など強 つよ い感情 かんじょう の結 むす びつきがあるときに発生 はっせい しやすいことがわかっているが、生 う まれ変 か わり事例 じれい では子供 こども と「前世 ぜんせい の人格 じんかく 」との間 あいだ に心理 しんり 的 てき な繋 つな がりはない。そしてESP仮説 かせつ では真性 しんせい 異 い 言 げん や先天 せんてん 性 せい 刻印 こくいん などの現象 げんしょう を説明 せつめい できない。従 したが って「ESP仮説 かせつ 」は十分 じゅうぶん な説得 せっとく 力 りょく をもたない。
この説 せつ では「肉体 にくたい を持 も たない人格 じんかく 」という実体 じったい を認 みと めて、それが肉体 にくたい にとり付 つ いて子供 こども たちを支配 しはい していると考 かんが える。
しかし、子供 こども たちに憑依 ひょうい したのならば、支配 しはい に成功 せいこう した人格 じんかく が、子供 こども たちが4~8歳 さい になる間 あいだ に一様 いちよう に憑依 ひょうい をやめてしまうのは疑問 ぎもん が残 のこ る。また、憑依 ひょうい 人格 じんかく と成長 せいちょう する人格 じんかく とが闘 たたか っているような、人格 じんかく の分裂 ぶんれつ 傾向 けいこう は子供 こども たちには見 み られていない。子供 こども たちは、特 とく に人格 じんかく の変化 へんか を示 しめ さずにそうした記憶 きおく を話 はな すことから、人格 じんかく 変化 へんか や意識 いしき 変化 へんか を伴 ともな うことの多 おお い憑依 ひょうい とは違 ちが う現象 げんしょう である。また、この仮説 かせつ でも、前世 ぜんせい の人物 じんぶつ の傷 きず あとやあざがそのまま母 はは 斑 まだら となっているように見 み える現象 げんしょう については説明 せつめい できない。したがって憑依 ひょうい 説 せつ も却下 きゃっか されることとなる。
先述 せんじゅつ のように、ステイーヴンソンによれば、全 すべ ての仮説 かせつ を検討 けんとう した結果 けっか 、最終 さいしゅう 的 てき に最 もっと も妥当 だとう な解釈 かいしゃく として残 のこ るのが「生 う まれ変 か わり説 せつ 」である。
スティーヴンソンは、人間 にんげん の発達 はったつ は、遺伝 いでん 要因 よういん と環境 かんきょう 要因 よういん に加 くわ えて「生 う まれ変 か わり」という第 だい 3の要因 よういん の影響 えいきょう を受 う けるのではないか、と推測 すいそく している。生 う まれ変 か わり説 せつ を採用 さいよう することで、「乳幼児 にゅうようじ 期 き の恐怖症 きょうふしょう 」「幼児 ようじ 期 き に見 み られる変 か わった興味 きょうみ と遊 あそ び」「(酒類 しゅるい やタバコなど)大人 おとな の嗜好 しこう 品 ひん への愛好 あいこう 」「早熟 そうじゅく な性的 せいてき 行動 こうどう 」「性 せい 同一 どういつ 性 せい 障害 しょうがい 」「一卵性双生児 いちらんせいそうせいじ に見 み られる相違 そうい 点 てん 」「子供 こども が持 も つ理不尽 りふじん な攻撃 こうげき 性 せい 」「左利 ひだりき き 」「母 はは 斑 まだら 」「先天的 せんてんてき 欠損 けっそん 」などの広範 こうはん な現象 げんしょう を容易 ようい に説明 せつめい できるという利点 りてん がある。
子供 こども たちの中 なか には、自殺 じさつ で生涯 しょうがい を終 お えた前世 ぜんせい を語 かた る者 もの もいた。こうした事例 じれい は「自殺 じさつ しても苦 くる しみは終 お わらない 」ことを自殺 じさつ 願望 がんぼう 者 しゃ に気付 きづ かせるきっかけとなるのではないか、とスティーヴンソンは期待 きたい していた。
スティーヴンソンは「事例 じれい 報告 ほうこく をつぶさに読 よ んだうえで、各自 かくじ が自分 じぶん なりの結論 けつろん を得 え るべきであるから、私 わたし の解釈 かいしゃく は重要 じゅうよう でない」としながらも、最終 さいしゅう 的 てき に、ある種 しゅ の「生 う まれ変 か わり説 せつ 」を受 う け入 い れていた[ 7] 。
前世 ぜんせい を記憶 きおく する20人 にん の子供 こども 上 じょう (1977年 ねん ) 今村 いまむら 光一 こういち 訳 やく 、叢 くさむら 文 ぶん 社 しゃ
前世 ぜんせい を記憶 きおく する20人 にん の子供 こども 中 ちゅう (1978年 ねん ) 今村 いまむら 光一 こういち 訳 やく 、叢 くさむら 文 ぶん 社 しゃ
前世 ぜんせい を記憶 きおく する20人 にん の子供 こども 下 か (1978年 ねん ) 今村 いまむら 光一 こういち 訳 やく 、叢 くさむら 文 ぶん 社 しゃ
前世 ぜんせい を記憶 きおく する20人 にん の子供 こども (1980年 ねん 、合本 がっぽん 版 ばん ) 今村 いまむら 光一 こういち 訳 やく 、叢 くさむら 文 ぶん 社 しゃ
Twenty Cases Suggestive of Reincarnation (1966)
Twenty Cases Suggestive of Reincarnation (1974) 改訂 かいてい 増補 ぞうほ 版 ばん
虫 むし の知 し らせの科学 かがく (1992年 ねん 、新装 しんそう 版 ばん ) 笠原 かさはら 敏雄 としお 訳 やく 、叢 くさむら 文 ぶん 社 しゃ ISBN 978-4794700292
Telepathic Impressions: A Review and Report of 35 New Cases (1970)
前世 ぜんせい を記憶 きおく する子 こ どもたち (2021年 ねん 、文庫 ぶんこ 版 ばん ) 笠原 かさはら 敏雄 としお 訳 やく 、KADOKAWA ISBN 978-4041114179
Children Who Remember Previous Lives: A Question of Reincarnation (1987)
Children Who Remember Previous Lives: A Question of Reincarnation (2000) 改訂 かいてい 版 ばん
Unlearned Language: New Studies in Xenoglossy (1984)
Where Reincarnation and Biology Intersect (1997) Reincarnation and Biology Volume 1 & 2 短縮 たんしゅく 版 ばん
前世 ぜんせい を記憶 きおく する子 こ どもたち 2:ヨーロッパの事例 じれい から (2005年 ねん ) 笠原 かさはら 敏雄 としお 訳 やく 、日本教文社 にっぽんきょうぶんしゃ ISBN 978-4531081493
European Cases of the Reincarnation Type (2003)
Medical History-Taking (1960)
The Psychiatric Examination (1969)
The Diagnostic Interview (1971) Medical History-Taking 改訂 かいてい 増補 ぞうほ 版 ばん
Xenoglossy: A Review and Report of A Case (1974)
Cases of the Reincarnation Type Vol. I: Ten Cases in India (1975)
Cases of the Reincarnation Type Vol. II: Ten Cases in Sri Lanka (1978)
Cases of the Reincarnation Type Vol. III: Twelve Cases in Lebanon and Turkey (1980)
Cases of the Reincarnation Type Vol. IV: Twelve Cases in Thailand and Burma (1983)
Reincarnation and Biology: A Contribution to the Etiology of Birthmarks and Birth Defects Volume 1: Birthmarks (1997)
Reincarnation and Biology: A Contribution to the Etiology of Birthmarks and Birth Defects Volume 2: Birth Defects and Other Anomalies (1997)
Handbook of Psychiatry volume Five (2019) ジャバド・ヌルバフシュ 、ハミデ・ジャハンギリ共著 きょうちょ
Psychological Treatment Techniques For Social Anxiety Disorder (2020) アリクバル・ショリネジャード、ハミデ・ジャハンギリ共著 きょうちょ
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^ 『前世 ぜんせい の言葉 ことば を話 はな す人々 ひとびと 』春秋 しゅんじゅう 社 しゃ
^ 『生 う まれ変 か わりの刻印 こくいん 』日本教文社 にっぽんきょうぶんしゃ
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