ウィラメットバレー

ウィラメットバレー
ウィラメットバレー
	ポーク郡ぐん北部ほくぶの農場のうじょう風景ふうけい
	ウィラメットバレー
地理ちり
場所ばしょ	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくオレゴン州しゅう
境界きょうかい	カスケード山脈さんみゃく（東ひがし）; オレゴン海岸かいがん山脈さんみゃく（英語えいご版ばん）（西にし）; カラプーヤ山脈さんみゃく（英語えいご版ばん）（南みなみ）
座標ざひょう	北緯ほくい44度ど54分ふん西経せいけい123度ど06分ふん / 北緯ほくい44.9度ど西経せいけい123.1度ど
河川かせん	ウィラメット川がわ

ウィラメットバレー（英えい: Willamette Valley）は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくオレゴン州しゅうの北西ほくせい部ぶ、ユージーンの側がわの山やまから北側きたがわに流ながれコロンビア川がわに流ながれ込こむウィラメット川がわに囲かこまれた地域ちいきである。

オレゴン州しゅうの70パーセントの人口じんこうに住すむ場所ばしょを提供ていきょうしている。

ボルドーワインの産地さんち、フランスのボルドー地方ちほうとほぼ同どうじ、葡萄ぶどうの栽培さいばいに適てきした、北緯ほくい45度ど前後ぜんこうに位置いちするため、ワインの産地さんちとしても知しられるようになってきている。

1902年ねんにウィラメット隕石いんせきが発見はっけんされた。

地質ちしつ

ウィラメットバレーの土壌どじょうは氷河期ひょうがきに頻繁ひんぱんに発生はっせいした洪水こうずいによる堆積たいせき物ぶつで構成こうせいされている。モンタナ州しゅうにかつて存在そんざいしたミズーラ湖こから溢あふれた水みずが東ひがしワシントンの土壌どじょう表面ひょうめんを削けずり取とり、それがコロンビア川がわ峡谷きょうこくへと押おし流ながされてきた。そして、材木ざいもくや氷河ひょうがの一部いちぶが南西なんせいワシントンのカラマ周辺しゅうへんで滞留たいりゅうしてウィラメットバレーに天然てんねんダムを構成こうせいした。そのダムの水面すいめんは現在げんざいの海面かいめんより300〜400フィート（91〜122m）高たかかったとされている^[1]。地質ちしつ学者がくしゃの中なかには、最終さいしゅう氷ごおり期きの間あいだにこのような洪水こうずいが複ふく数すう回かい発生はっせいしていたのではないかと考かんがえる者ものもいる^[1]^[2]。もし洪水こうずいの規模きぼが2010年ねん時点じてんでの標高ひょうこうが6.1mであるポートランドをも覆おおうほどであれば、水面すいめんから出でるのはテュアラティン山脈さんみゃく、タボー山さん、ロッキー・ビュート、ケリー・ビュート、スコット山やま程度ていどであり、市街地しがいちではごく少数しょうすうの高層こうそうビルしか見みえなくなる^[2]。この渓谷けいこくの中なかにある他ほかの町まちの標高ひょうこうは、ニューバーグ（48m）、オレゴンシティ（42m）、マクミンビル（48m）、セイラム（47m）、コーバリス（72m）、ユージーン（130m）となっている。このダム湖みずうみは次第しだいに排水はいすいされ、その底そこにたまった堆積たいせき物ぶつによってテュアラティン・バレー、ヤムヒル川がわ、ウィラメットバレーの標高ひょうこうは180~200フィート（55~61m）となっている^[2]。

地形ちけい学者がくしゃはアリソン湖みずうみがその痕跡こんせきであるとしている。また、このアリソン湖こという名前なまえは、1953年ねんにウィラメット・スリットの土壌どじょうについて言及げんきゅうし、それが東ひがしワシントンにかつて存在そんざいしたルイス湖このものと似にているとしたオレゴン州立しゅうりつ大学だいがくの地形ちけい学者がくしゃアイラ・アリソンに由来ゆらいしている。また、アリソンは1930年代ねんだいに行いった迷子まいご石せきの調査ちょうさによっても知しられている。

また、1902年ねんにウェストリンで発見はっけんされたウィラメット隕石いんせきも洪水こうずいで流ながされてきたと考かんがえられている。

地理ちり

州しゅう間あいだ高速こうそく道路どうろ5号線ごうせんがウィラメットバレーを通過つうかしている。

含ふくまれる都市とし

含ふくまれる郡ぐん

気候きこう

ウィラメットバレーの気候きこうはケッペンの気候きこう区分くぶんでは西岸せいがん海洋かいよう性せい気候きこう（Cfb）に分類ぶんるいされ、涼すずしい夏なつと湿潤しつじゅんな冬ふゆ、日常にちじょう的てきな曇くもり空ぞらが特徴とくちょうである。

年間ねんかんを通とおして穏おだやかな気候きこうであり、夏場なつばで華氏かし90度ど（摂氏せっし32度ど）を上回うわまわる日ひは毎年まいとしあるが、100度ど（摂氏せっし38度ど）を越こすような日ひはほとんどない。また、冬場ふゆばにも最高さいこう気温きおんが氷点下ひょうてんかになる日ひは毎年まいとし2、3日にち程度ていどであり、特とくに低地ていちではほとんどない。また、気温きおんが華氏かし5度ど（摂氏せっし-15度ど）を下回したまわったのは過去かこ25年間ねんかんで一いち度どきりである。春はると秋あきの気温きおんは華氏かし50度ど（摂氏せっし10度ど）から70度ど（摂氏せっし21度ど）の間あいだに収おさまる^[3]。

降水こうすい量りょうはバレー内ないでも多様たようであり、標高ひょうこうによる変化へんかが大おおきい。例たとえば、谷たに底そこでは年間ねんかん910ミリ程度ていどなのに対たいして山麓さんろくでは2,000ミリ以上いじょうを記録きろくする。また、谷たにの南端なんたんに位置いちする標高ひょうこう130mのユージーンでは1,168ミリであるのに対たいし、北端ほくたんに位置いちする標高ひょうこう15mのポートランドでは914ミリと大おおきな開ひらきがある^[3]。

激はげしい嵐あらしに襲おそわれることも少すくない。しかし、時ときおり海岸かいがん沿ぞいを南下なんかしてくる低てい気圧きあつによってコロンビア川台かわだい地ちからの冷つめたい空気くうきがコロンビア川がわ峡谷きょうこくを通とおり抜ぬけ、この地ちに吹雪ふぶきをもたらすことがある。また、谷たにの北部ほくぶでは時ときおり強風きょうふうが吹ふくこともある。冬場ふゆばは曇くもりの日ひが非常ひじょうに多おおいが、夏場なつばは晴はれの日ひが続つづく^[3]。また、竜巻たつまきが発生はっせいすることも少すくなく、たとえ発生はっせいしたとしてもその被害ひがいは少すくない^[4]。

農業のうぎょう

ウィラメットバレーには、最終さいしゅう氷ごおり期きにあたる15,000年ねん~13,000年ねん前まえに40回かい程度ていど発生はっせいしたミズーラ洪水こうずい（英語えいご版ばん）によって運はこばれてきた肥沃ひよくな土壌どじょうがあるため、農業のうぎょうが盛さかんである。この洪水こうずいはミズーラ氷河ひょうが湖みずうみ（英語えいご版ばん）の定期ていき的てきな決壊けっかいによって引ひき起おこされ、コロンビア川がわからウィラメットバレー南端なんたんのユージーンまであふれた。一方いっぽうでこれによって東ひがしワシントン（英語えいご版ばん）から肥沃ひよくな火山かざん性せい土壌どじょうと雪解ゆきどけ水すいがウィラメットバレー全域ぜんいきに運はこばれてきた。その土壌どじょうの厚あつさは、場所ばしょによっては深ふかさ1,000mにもおよぶ^[5]。

脚注きゃくちゅう

^ ^a ^b Cataclysms on the Columbia, by John Elliott Allen and Marjorie Burns with Sam C. Sargent, 1986. Pages 175–189.
^ ^a ^b ^c Geology of Oregon, by Elizabeth L. Orr, William N. Orr and Ewart M. Baldwin, 1964. Pages 211–214.
^ ^a ^b ^c Taylor, George. “Climate of Multnomah County”. Oregon Climate Service, Oregon State University. 2010年ねん6月がつ24日にち時点じてんのオリジナルよりアーカイブ。May 31, 2010閲覧えつらん。
^ Foden-Vencil, Kristian. “Oregon Tornadoes Rare But Dangerous” (英語えいご). www.opb.org. 2020年ねん2月がつ15日にち閲覧えつらん。
^ Allen, John Eliot; Burns, Marjorie; Sargent, Sam C. (1986). Cataclysms on the Columbia : a layman's guide to the features produced by the catastrophic Bretz floods in the Pacific Northwest. Portland, OR: Timber Press. ISBN 0-88192-067-3