エジソンズ・ゲーム

エジソンズ・ゲーム
The Current War
第だい42回かいトロント国際こくさい映画えいが祭さいに出席しゅっせきするニコラス・ホルト
監督かんとく	アルフォンソ・ゴメス＝レホン
脚本きゃくほん	マイケル・ミトニック
製作せいさく	ティムール・ベクマンベトフ ベイジル・イヴァニク
製作せいさく総そう指揮しき	マーティン・スコセッシ スティーヴン・ザイリアン ギャレット・バッシュ マイケル・ミトニック アン・ロアク ミシェル・ウォーコフ ベネディクト・カンバーバッチ アダム・アクランド デヴィッド・C・グラッサー デヴィッド・ハッキン ボブ・ヤーリ アダム・シドマン
出演しゅつえん者しゃ	ベネディクト・カンバーバッチ マイケル・シャノン キャサリン・ウォーターストン トム・ホランド タペンス・ミドルトン マシュー・マクファディン ニコラス・ホルト
音楽おんがく	ダスティン・オハロラン フォルカー・ベルテルマン
撮影さつえい	チョン・ジョンフン
編集へんしゅう	デヴィッド・トラクテンバーグ
製作せいさく会社かいしゃ	サンダー・ロード・ピクチャーズ フィルム・ライツ バザレフス・カンパニー
配給はいきゅう	101スタジオズ KADOKAWA
公開こうかい	2017年ねん9月9日にち（TIFF） 2019年ねん10月25日にち 2020年ねん6月19日にち
上映じょうえい時間じかん	108分ふん
製作せいさく国こく	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
言語げんご	英語えいご
製作せいさく費ひ	$30,000,000
興行こうぎょう収入しゅうにゅう	$10,799,576 7500万まん円えん

『エジソンズ・ゲーム』（The Current War）は2017年ねんのアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの伝記でんき映画えいが。監督かんとくはアルフォンソ・ゴメス＝レホン、出演しゅつえんはベネディクト・カンバーバッチとマイケル・シャノンなど。1880年代ねんだいのアメリカで、電力でんりょくの供給きょうきゅう方法ほうほうを巡めぐって直流ちょくりゅう送電そうでん派はのトーマス・エジソンと交流こうりゅう送電そうでん派はのジョージ・ウェスティングハウスが繰くり広ひろげていた電流でんりゅう戦争せんそうの様子ようすを描えがいている。

なお、日本にっぽんで公開こうかいされたのはハーヴェイ・ワインスタインによる再さい編集へんしゅうが施ほどこされていないディレクターズ・カット版ばんである。

キャスト

※括弧かっこ内ないは日本語にほんご吹替声優せいゆう。

• トーマス・エジソン: ベネディクト・カンバーバッチ（三上みかみ哲あきら）
• ジョージ・ウェスティングハウス: マイケル・シャノン（小原おはら雅人まさと）
• ニコラ・テスラ: ニコラス・ホルト（福西ふくにし勝也かつや）
• マーガリート・アースキン・ウェスティングハウス: キャサリン・ウォーターストン（伊藤いとう静しず）
• サミュエル・インサル: トム・ホランド（榎木えのき淳あつし弥わたる）
• ルイス・ラティマー: サイモン・マニョンダ
• フランクリン・ポープ: スタンリー・タウンゼント
• メアリー・スティルウェル・エジソン: タペンス・ミドルトン（山咲やまざきしづ香が）
• ジョン・モルガン: マシュー・マクファディン（関口せきぐち雄吾ゆうご）
• ウィリアム・ケムラー: コナー・マクニール
• バーク・コックラン: デイミアン・モロニー

製作せいさく

2012年ねん3月3日にち、バザレフス・カンパニーがマイケル・ミトニックの脚本きゃくほんの映画えいが化か権けんを購入こうにゅうしたとの報道ほうどうがあった。当初とうしょ、ティムール・ベクマンベトフが監督かんとくを務つとめる予定よていであったが、後のちに取とりやめとなった。2014年ねん3月31日にちにはベン・スティラーに監督かんとくのオファーが出でていると報ほうじられた。2015年ねん9月24日にち、ベネディクト・カンバーバッチにエジソン役やくの、ジェイク・ジレンホールにウェスティングハウス役やくのオファーが出でているとの報道ほうどうがあった。また、製作せいさく側がわがアルフォンソ・ゴメス＝レホンを監督かんとくに起用きようする意向いこうであるとの報道ほうどうもあった。2016年ねん9月29日にち、出演しゅつえん交渉こうしょうが不調ふちょうに終おわったジレンホールに代かわって、マイケル・シャノンがウェスティングハウス役やくに起用きようされた。10月4日にち、ニコラス・ホルトがニコラ・テスラ役やくに起用きようされたと報ほうじられた。11月には、キャサリン・ウォーターストンとトム・ホランドの出演しゅつえんが決きまった。12月には、タペンス・ミドルトン、マシュー・マクファディンの出演しゅつえんも決きまった。

2016年ねん12月18日にち、本ほん作さくの主要しゅよう撮影さつえいがロンドンとその周辺しゅうへん地域ちいきで始はじまった。

公開こうかい・マーケティング

当初とうしょ、本ほん作さくは2017年ねん12月22日にちに全米ぜんべい公開こうかいされる予定よていだったが、後のちに公開こうかい日びが同年どうねん11月がつ24日にちに前倒まえだおしされると報ほうじられた。感謝かんしゃ祭さいの週末しゅうまつに公開こうかいすることで、第だい90回かいアカデミー賞しょうをはじめとする賞しょうレースで有利ゆうりになるとの判断はんだんに基もとづく変更へんこうである。

2017年ねん9月がつ7日にち、本ほん作さくのオフィシャル・トレイラーが公開こうかいされた。2019年ねん6月がつ25日にち、ディレクターズ・カット版ばんのオフィシャル・トレイラーが公開こうかいされた。

当初とうしょ、日本にっぽんでは2020年ねん4月がつ3日にちに公開こうかいされる予定よていだったが、新型しんがたコロナウイルスの流行りゅうこうの拡大かくだいを受うけて、3月27日にち、配給はいきゅう元もとのKADOKAWAは公開こうかい延期えんきを発表はっぴょう。6月19日にちの公開こうかいとなった。

ハーヴェイ・ワインスタインをめぐる混乱こんらん

ポスト・プロダクション作業さぎょう中ちゅう、プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインはゴメス＝レホン監督かんとくに対たいして次々つぎつぎと修正しゅうせい要求ようきゅうを突つき付つけてきた。修正しゅうせい要求ようきゅうは多岐たきにわたっていたが、中なかでもワインスタインが拘かかわったのはトーマス・エジソンの描写びょうしゃであった。ワインスタインによる修正しゅうせいの結果けっか、一癖ひとくせも二に癖へきもある男おとことして描えがかれていたはずのエジソンが単たんに性格せいかくの良よい人ひとになってしまった。しかも、ワインスタイン・カンパニー（TWC）の重役じゅうやくたちも編集へんしゅう作業さぎょうに介入かいにゅうしてきた。時ときには、彼かれらが相反あいはんする要求ようきゅうを出だしてきたこともあった。

まともに作業さぎょうできない状態じょうたいが続つづいていたにも拘かかわらず、ワインスタインは2017年ねん9月がつに開催かいさいされる第だい42回かいトロント国際こくさい映画えいが祭さいで本ほん作さくをプレミア上映じょうえいする決断けつだんを下くだした。ワインスタインの介入かいにゅうがエスカレートしていく中なか、ゴメス＝レホン監督かんとくは心身しんしん共どもに疲弊ひへいしていった。トロントでの上映じょうえいに間まに合あわせるために編集へんしゅう作業さぎょうを急きゅうピッチで行おこなった結果けっか、ゴメス＝レホン監督かんとくは1日にちに2時じ間あいだしか眠ねむれないという事態じたいに陥おちいった。それが原因げんいんで、監督かんとくは25ポンド（約やく11.3kg）も痩やせてしまった。結局けっきょく、作業さぎょうが終おわったのはプレミア上映じょうえいの2日にち前まえのことであった。

7日にちのプレミア上映じょうえい後ごに出でてきたレビューは本ほん作さくに否定ひてい的てきな評価ひょうかを下くだすものが多おおかった。それを受うけて、ワインスタインは11月24日にちに予定よていされていた劇場げきじょう公開こうかいに向むけて再さい編集へんしゅうを行おこなうことにし、ゴメス＝レホン監督かんとくとベクマンベトフに「自分じぶんが間違まちがっていた。あの編集へんしゅうは大胆だいたんに過すぎた。」と謝罪しゃざいしてきたのだという。ところが、ワインスタインは再さい編集へんしゅうにも執拗しつように口くちを出だしてきた。そんな彼かれの姿すがたを見みたTWCの重役じゅうやくたちの中なかには、「彼かれが一ひとつの作品さくひんにこれほど執着しゅうちゃくするのを見みた記憶きおくがない」と監督かんとくに漏もらす者ものがいた。

10月5日にち、『ニューヨーク・タイムズ』がワインスタインによるセクハラを告発こくはつする記事きじを掲載けいさいした。この記事きじを皮切かわきりに、ワインスタインに性的せいてき暴行ぼうこう・セクハラを受うけたという告発こくはつが次々つぎつぎと行おこなわれた。9日にち、TWCはハーヴェイ・ワインスタインの名前なまえを本ほん作さくのクレジットから削除さくじょすると発表はっぴょうした。14日にち、TWCが本ほん作さくを公開こうかいスケジュールから引ひき上あげたとの報道ほうどうがあった。

その後ご、経営けいえい破綻はたんしたTWCは本ほん作さくの権利けんりを売うりに出だしたため、ゴメス＝レホン監督かんとくは編集へんしゅうを一切いっさい行おこなえない状態じょうたいに陥おちいった。2018年ねん10月8日にち、ランタン・エンタテインメント（LE）が本ほん作さくの全ぜん世界せかい配給はいきゅう権けんを獲得かくとくしたと報ほうじられた。監督かんとくとベクマンベトフはLEに再さい編集へんしゅうを願ねがい出でたが、き入きいれてもらえなかったのだという。そんな折おり、監督かんとくのマネジャーと代理人だいりにんが「本ほん作さくの契約けいやくには「監督かんとくの同意どういなしに本ほん作さくの編集へんしゅうが行おこなわれる場合ばあい、製作せいさく総そう指揮しきのマーティン・スコセッシの同意どういが必要ひつようとなる」という条項じょうこうがありますが、それを活用かつようしてはどうですか」と提案ていあんしてきた。監督かんとくはすぐさまスコセッシの協力きょうりょくを仰あおぎに行いった。弟子でしの苦境くきょうを知しったスコセッシは監督かんとくによる編集へんしゅう作業さぎょうが終おわるまで同意どうい書しょにサインしなかった。

俳優はいゆうたちの協力きょうりょくもあって、監督かんとくは再さい撮影さつえいを敢行かんこうすることができた。その際さい、監督かんとくはワインスタインに苦くるしめられた経験けいけんから着想ちゃくそうを得えたシーンを追加ついかした。それはニコラ・テスラが狡猾こうかつなビジネスマンに騙だまされて特許とっきょを奪うばい取とられるシーンである。

2019年ねん10月がつ、ワインスタインは『ビジネス・インサイダー』の取材しゅざいに対たいし「アルフォンソ・ゴメス＝レホン氏しとティムール・ベクマンベトフ氏しは類るい稀まれなる才能さいのうの持もち主ぬしで、両者りょうしゃが手掛てがけた作品さくひんは実じつに素晴すばらしいものだと聞きいております。両りょう名なとこれ以上いじょう仕事しごとをするだけのリソースがないことは残念ざんねんなことですが、『The Current War』には胸むねが高鳴たかなるばかりです。両りょう名なが同どう作さくで成功せいこうを収おさめることを願ねがっております」というコメントを出だした。

興行こうぎょう収入しゅうにゅう

本ほん作さくは『カウントダウン』及および『ブラック アンド ブルー』と同おなじ週しゅうに封切ふうぎられ、公開こうかい初はつ週末しゅうまつに280万まんドル前後ぜんこうを稼かせぎ出だすと予想よそうされていたが、この予想よそうは的中てきちゅうした。2019年ねん10月がつ25日にち、本ほん作さくは全米ぜんべい1022館かんで公開こうかいされ、公開こうかい初はつ週末しゅうまつに266万まんドルを稼かせぎ出だし、週末しゅうまつ興行こうぎょう収入しゅうにゅうランキング初はつ登場とうじょう9位いとなった。

評価ひょうか

ワインスタイン・カットに対たいする評価ひょうか

ワインスタイン・カットに対たいする批評ひひょう家かからの評価ひょうかは芳かんばしいものではない。映画えいが批評ひひょう集積しゅうせきサイトのRotten Tomatoesには49件けんのレビューがあり、批評ひひょう家か支持しじ率りつは29%、平均へいきん点てんは10点てん満点まんてんで4.73点てんとなっている。サイト側がわによる批評ひひょう家かの見解けんかいの要約ようやくは「『エジソンズ・ゲーム』はどうにもパッとしないが、素晴すばらしいキャスト陣じんと史実しじつに触発しょくはつされた巧妙こうみょうなストーリーのお陰かげで、観客かんきゃくの心しんを刺激しげきする作品さくひんには仕上しあがっている。」となっている。また、Metacriticには10件けんのレビューがあり、加重かじゅう平均へいきん値ちは42/100となっている。

ディレクターズ・カットに対たいする評価ひょうか

ディレクターズ・カットに対たいする批評ひひょう家かの評価ひょうかは平凡へいぼんなものに留とどまっているが、ワインスタイン・カットより高たかく評価ひょうかされている。映画えいが批評ひひょう集積しゅうせきサイトのRotten Tomatoesには88件けんのレビューがあり、批評ひひょう家か支持しじ率りつは60%、平均へいきん点てんは10点てん満点まんてんで6.37点てんとなっている。サイト側がわによる批評ひひょう家かの見解けんかいの要約ようやくは「出演しゅつえん者しゃが一流いちりゅうだからといって、それに見合みあう出来できではないかもしれない。しかし、『エジソンズ・ゲーム』のディレクターズ・カットはワインスタイン・カットよりも大幅おおはばに質しつが向上こうじょうしている。」となっている。また、Metacriticには24件けんのレビューがあり、加重かじゅう平均へいきん値ちは55/100となっている。なお、本ほん作さくのCinemaScoreはBとなっている。

外部がいぶリンク

• 公式こうしきウェブサイト（英語えいご）
• 公式こうしきウェブサイト（日本語にほんご）
• エジソンズ・ゲーム - allcinema
• エジソンズ・ゲーム - KINENOTE
• The Current War - IMDb（英語えいご）