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エートス

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エートス (古希こき: ἦθος, ἔθος; ethos, ふく: 古希こき: θしーたηいーたθしーたεいぷしろんαあるふぁ; ethe, ethea) は、「いつもの場所ばしょ」 (ἤθεα ἵππων) を意味いみし、てんじて習慣しゅうかん特性とくせいなどを意味いみする古代こだいギリシアである。に、「出発しゅっぱつてん出現しゅつげん」または「特徴とくちょう」を意味いみする。

それをもとに、「道徳どうとく」や「道徳どうとくかん発露はつろ」を意味いみする ἠθικός (ethikos) という言葉ことばまれ、ラテン語らてんごには ethicus として流用りゅうようされる。また、その女性じょせいがたである ἠθική φιλοσοφία (ethica) はフランス語ふらんすごethique中世ちゅうせい英語えいごethikつうじて、現代げんだい英語えいごethics へと変化へんかした。「倫理りんりてき生活せいかつ態度たいど」ともいわれる[1]

アリストテレスのエートスろん[編集へんしゅう]

アリストテレス著書ちょしょ弁論べんろんじゅつ』でべたところによると、エートスは説得せっとくほう重要じゅうようみっつの方法ほうほうてき条件じょうけんひとつ(ロゴスパトス)である。まず、はじめに話者わしゃはエートスを確立かくりつしなくてはいけない。この言葉ことばたんに「道徳どうとく能力のうりょく」を意味いみするが、アリストテレスはこれに専門せんもんてき意見いけん知識ちしきエピステーメー)をくわえた。アリストテレスはとくに、エートスは、ききて予想よそうによってではなく、話者わしゃ発言はつげんによりされるべきとした。このかんがかたはしばしば非難ひなんまととなり、イソクラテスなどは、エートスはとりわけ道徳どうとくてき特徴とくちょう、またその話者わしゃ生涯しょうがいむすびついているとした。

エートスにはみっつのカテゴリーがあり、発言はつげん状況じょうきょうしたがって、ていつぎから高次こうじへと発展はってんする。

エートスは話者わしゃにではなく、きてぞくする。ききてがその話者わしゃたかいエートスかそれともひくいエートスをっているかを判断はんだんする。エートスの反則はんそくにはたとえば以下いかのものがある。

  • 話者わしゃ会話かいわ結果けっか直接ちょくせつ関心かんしんつ(たとえば、無実むじつ主張しゅちょうしているひと
  • 話者わしゃ会話かいわ結果けっか秘密ひみつ動機どうき
  • 話者わしゃ専門せんもん意見いけんたない(その事柄ことがら専門せんもんでないひと

留意りゅういすべきは、上記じょうき反則はんそくにあたるような議論ぎろん無効むこうとして退しりぞけることは形式けいしきてき誤謬ごびゅうである。


社会しゃかいがくにおけるエートスろん[編集へんしゅう]

エートスを、社会しゃかい認識にんしき基軸きじくとしてとらがえしたのがドイツの社会しゃかいがくものマックス・ヴェーバーである。ヴェーバーによれば、エートスは、以下いかみっつの性向せいこうあわつ。

  • 生活せいかつ態度たいど - 古代こだいギリシアのエートスが、「習慣しゅうかん」を意味いみしているように、エートスは、それにふさわしい行為こういいとななか体得たいとくされる「習慣しゅうかんによって形作かたちづくられた」行為こうい性向せいこうである。社会しゃかいによって人々ひとびと共有きょうゆうされるようになった行為こういパターンないし生活せいかつ形式けいしきともいえよう。
  • しんてき態度たいど - しかし、ある行為こういがいくら機械きかいてき反復はんぷくされてもエートスはつくされない。その行為こうい性向せいこう意識いしきてき選択せんたくされる必要ひつようがあるからだ。この「主体しゅたいてき選択せんたくもとづく」行為こうい性向せいこうがエートスである。
  • 倫理りんりてき態度たいど - そして、この行為こうい選択せんたくする基準きじゅんが「ただしさ」である。「ただしい」行為こういとは、内在ないざいせい基準きじゅん行為こうい固有こゆう価値かち)が選択せんたくされ、(目的もくてき達成たっせい手段しゅだんではなく)行為こういそれ自体じたい目的もくてきとしておこなわれるような行為こういのことである。外的がいてき賞罰しょうばつなしには存続そんぞくしえない行為こうい性向せいこうはエートスではない。したがって、エートスの究極きゅうきょくてきささえは個人こじん内面ないめんにある。

こうした行為こうい性向せいこうなかで、習慣しゅうかん契機けいき強調きょうちょうされると、エートスは、文化ぶんか人類じんるいがくにおける「文化ぶんかパターン」概念がいねんまれわり、選択せんたくせいあるいは主観性しゅかんせい契機けいき強調きょうちょうされると、エートスは倫理りんりがくにおける倫理りんり道徳どうとく概念がいねんへと転化てんかすることになる。これにたいし、ヴェーバー社会しゃかいがくは、倫理りんりてき態度たいど生活せいかつ態度たいど特定とくてい方法ほうほうてき合理ごうりてきかたとらえることで、以上いじょう性向せいこう総合そうごうてき認識にんしきしようとするものである。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ (116)ゾンバルトの言葉ことばひび”. 産経さんけいニュース (2021ねん12月11にち). 2021ねん12月11にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]