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習慣しゅうかん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

習慣しゅうかん(しゅうかん、えい: habit, custom[1])とは、

  • 日常にちじょうまりきったおこないのこと[2]ながあいだそうすることによって、そうすることがあたかもきまりのようになったこと[3]
  • 心理しんりがく用語ようご反復はんぷくによって習得しゅうとくし、すくない心的しんてき努力どりょくかえせる、固定こていした行動こうどうのこと[2]

概説がいせつ

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習慣しゅうかんとは、ながあいだそれをかえおこなうことで、あたかもそうすることがきまりのようになったことである。基本きほんてきには、行動こうどう身体しんたいてきいをしているが、ひろくは、もののかんがかたなど精神せいしんてき心理しんりてきなそれもふくみうる。

あるひと習慣しゅうかんは、後天的こうてんてき行動こうどう様式ようしきであり、反復はんぷくしておこなわれることで固定こていされ、いつしかそのひととそのひと習慣しゅうかんはなしてかんがえることができないような状態じょうたいになる場合ばあいおおい。「習慣しゅうかんだい天性てんせいなり」ともわれる。

一般いっぱんてきに、年齢ねんれいかさねるにしたがい習慣しゅうかんかずえ、あるひと行動こうどうなか習慣しゅうかんめる割合わりあいえ、しかも定着ていちゃく度合どあいもたかまってくる。

習慣しゅうかんを(自発じはつてきに)えようとする場合ばあいや(他者たしゃ介入かいにゅうして)えさせようとする場合ばあいは、高齢こうれいになればなるほどその変更へんこう矯正きょうせいむずかしくなってくる。 習慣しゅうかんえるのは一般いっぱんてき困難こんなんなことだとされるが、ロバート・マウラーによれば、ちいさなひかえめないち継続けいぞくすることで習慣しゅうかんえたり、あたらしい習慣しゅうかんにつけたりすることが可能かのうだとう。

地域ちいき共同きょうどうたい

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大辞泉だいじせんでは「習慣しゅうかん」の説明せつめいの2番目ばんめ

「そのくにやその地方ちほう人々ひとびとのあいだで、普通ふつうおこなわれる物事ものごとのやりかた社会しゃかいてきなしきたり。ならわし。慣習かんしゅう

というものをせている。つまり、「習慣しゅうかん」は、個人こじんなそれも、こくごとのそれや地域ちいきてきなそれも(さらにえば、宗教しゅうきょう宗派しゅうはごとのそれも)ゆびしうる。意識いしきてき個人こじんのそれか地域ちいきてきなそれかをける場合ばあい学術がくじゅつてきにそれらをけようとする場合ばあいなどは、個人こじんてきなそれは「習慣しゅうかん」とび、地域ちいきてきなそれは「慣習かんしゅう」とぶ、というようなことがおこなわれることがある。日常にちじょう用語ようごでは「習慣しゅうかん」でどちらもしうる。

ひと誕生たんじょう出産しゅっさん)、結婚けっこんといったときに、どんなことをどのようにおこなうか、どのようなやりとりをするか、といったことはくに地域ちいきごとの慣習かんしゅうによるところがおおきい。また、なんさいになったら一人前いちにんまえ大人おとなになったとなすか、そのときにどのような通過つうか儀礼ぎれいをおこなうか、ということも慣習かんしゅうによるところがおおきい。また、日常にちじょうてきひとひと出会であったときに、どのように挨拶あいさつのしかたをするのか(ハグをするのか、ほおほおれさせるのか、握手あくしゅをするのか、辞儀じぎ会釈えしゃく)だけするのか、)ということも慣習かんしゅうによるところがおおきい。

カトリック教会きょうかいなどでは、聖書せいしょかれているわけでもなく、福音ふくいんしょなかでイエスがそうするべきだとかたったわけでもないのに、カトリック教会きょうかいなが歴史れきしなかなにかの拍子ひょうしに あるやりかたひろまり、いつしか、そうするのがたりまえのように教会きょうかいメンバーのあいだおもわれるようになっていることを、「慣習かんしゅう」とぶかわりに、(カトリック教会きょうかい内部ないぶ用語ようごで)「伝統でんとう」とぶことがおお[ちゅう 1]

慣習かんしゅう地域ちいきてき共同きょうどうたい内部ないぶひろ浸透しんとうしている習慣しゅうかん)は、おおくがその共同きょうどうたい文化ぶんか関係かんけいがある。文化ぶんか影響えいきょうけ、また文化ぶんかにも影響えいきょうあたえている。共同きょうどうたいのメンバーにとって、なぜ、そういった慣習かんしゅうになっているのか、それなりの理屈りくつ説明せつめいできるもの、慣習かんしゅうとの関係かんけい整合せいごうせい筋道すじみちだてて説明せつめいできるものもあるが、どうしてそうやりかた慣習かんしゅうになってしまったのか共同きょうどうたいのメンバーのだれにもさっぱりからないもの(メンバーにとっても「奇妙きみょう」とかんじられるもの、くびをかしげたくなるようなもの)もある。

共同きょうどうたいのメンバーの大半たいはんよろこんでそうしている慣習かんしゅうもあれば、大半たいはんのメンバーが不幸ふこうのもととかん変更へんこうしたいとかんじている、というようなものまである。

ある慣習かんしゅうが、どの程度ていどまもられるべきか、にかんする見方みかたは、共同きょうどうたい性質せいしつや、個々ここ慣習かんしゅう内容ないようによる。 どの程度ていど慣習かんしゅうしたがうかどうかについて、その共同きょうどうたいがあるかんがかた共有きょうゆうしている場合ばあいもある(「まもるべきだ」というかんがえが慣習かんしゅうしているめんもあれば、「あまりまもらなくてもよい」と慣習かんしゅうしている場合ばあいもある)が、どの程度ていど尊重そんちょうするかは個々ここのメンバーの性質せいしつによるめんもある。

たとえば織田おだ信長のぶながなどは青年せいねんのころ、自分じぶん地域ちいきにあるいけが「りゅうんでいるからはいってはいけない」というならわしになっていたところ、あえてその慣習かんしゅうさからって、仲間なかまたちのまえでそのいけもぐって徹底的てっていてきさがしてみせて、りゅうがいないことをしめし、りゅうがいるかいないかはいってみなければからないだろう、このいけりゅうなんていないからはいってよいのだ、とやってみせた。

心理しんりがく

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心理しんりがくでは、反復はんぷくによって習得しゅうとくし、すくない心的しんてき努力どりょくかえせる、固定こていした行動こうどうのことを「習慣しゅうかん」とんでいる。様々さまざま研究けんきゅうによってわる習慣しゅうかんなおし、習慣しゅうかんけることが可能かのうであるとしめされている。また、数々かずかず研究けんきゅうによって習慣しゅうかんつくる、なおすためのいくつかの効果こうかてき方法ほうほう発見はっけんされている。そのひとつにピーター・ゴルヴィッツァー博士はかせによるメタ分析ぶんせき結果けっか発見はっけんされた「If then プランニング」がある[4][5]

習慣しゅうかんちから

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習慣しゅうかんされている行動こうどう健康けんこう状態じょうたい関連かんれんせい見出みいだしている研究けんきゅう多数たすう存在そんざいする。運動うんどうや7時間じかん以上いじょう睡眠すいみん健康けんこうてき食事しょくじなどの習慣しゅうかんっているひと健康けんこうであることがおお[6]ぎゃくに、こうカロリーな食事しょくじ過度かどなインターネットの利用りよう睡眠すいみん不足ふそくなどのわる習慣しゅうかんひと病気びょうきになりやすい[7]。「人生じんせい半分はんぶん習慣しゅうかんてき行動こうどうからできている」という言葉ことばからも、その重要じゅうようせいがうかがえる。スティーブジョブズがおなふくるのも習慣しゅうかんひとつである。食事しょくじえらぶ、ふくえらぶといった行動こうどう習慣しゅうかんすることで「決断けつだんづか」を軽減けいげんできる[5]

ルーチン

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ルーチンえい: routine)は、スポーツ選手せんしゅがピッチングやバッティング、フリーキック、サーブなどをするさいまった行動こうどうをとる場面ばめん使つかわれる。この場合ばあいのルーチンには緊張きんちょうやわらげたり、集中しゅうちゅうりょくたかめたりする効果こうかがあるとかんがえられている[8]。また、ルーチンにしている行動こうどう自体じたい運動うんどう能力のうりょくたかめる効果こうか存在そんざいする場合ばあいもある。

社会しゃかいがく教育きょういくがく

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エミール・デュルケームによれば、習慣しゅうかんはそれが通用つうようしているあいだは、じっくり考察こうさつされること[9]がない。習慣しゅうかんすたれてはじめて、熟考じゅっこうされることになる。子供こども習慣しゅうかん固執こしつし、暗示あんじによって容易ようい習慣しゅうかんえることから、子供こどものこの性質せいしつ道徳どうとく教育きょういく応用おうようできるともかんがえた。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ カトリックの「伝統でんとう」は、かならずしも「伝統でんとうてき」なそれだけをそうんでいるわけではない。ほんの5ねん~10ねんまえ程度ていどまえにある神父しんぷ意識いしきてきつくしたものも、ともかく教会きょうかい聖職せいしょくしゃやメンバーの大半たいはんがそれにしたがっていれば「伝統でんとう」とんでいることがある。カトリックの慣習かんしゅう内部ないぶ用語ようごの「伝統でんとう」)のなかには、福音ふくいんしょなかしめされているイエス・キリストのおしえとあきらかに根本こんぽんてき対立たいりつするようなものさえあり、それがプロテスタントしょ教会きょうかいから批判ひはんまととなることもおおい。

出典しゅってん

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  1. ^ ウィズダム英和えいわ辞典じてん習慣しゅうかんだいはん
  2. ^ a b 広辞苑こうじえんだいろくはん習慣しゅうかん
  3. ^ デジタル大辞泉だいじせん習慣しゅうかん
  4. ^ DaiGo『短時間たんじかんで”習慣しゅうかん”がにつき人生じんせいおもどおりになる!ちょう習慣しゅうかんじゅつ』ゴマブックス出版しゅっぱん、2019ねん 
  5. ^ a b ハイディ・グラント・ハルバーソン『やりくための9つの習慣しゅうかん コロンビア大学ころんびあだいがく成功せいこう科学かがく』ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017ねん 
  6. ^ クリスティアン・ベネディクト、ミンナ・トゥーンべリエル『Sleep, Sleep, Sleep』サンマーク出版しゅっぱん、2020ねん、172-230ぺーじ 
  7. ^ 片山かたやま友子ゆうこ, 水野みずの松本まつもと由子ゆうこ大学生だいがくせいのインターネット依存いぞん傾向けいこう健康けんこうおよび生活せいかつ習慣しゅうかんとの関連かんれんせい」『総合そうごう健診けんしんだい43かんだい6ごう日本にっぽん総合そうごう健診けんしん学会がっかい、2016ねん、657-664ぺーじdoi:10.7143/jhep.43.657ISSN 1347-0086CRID 1390282680176185472 
  8. ^ 木田きだ健太けんた, 田中たなかよし吏「スポーツ選手せんしゅの「あがり」の対処たいしょほうかんする実践じっせんてき研究けんきゅう-パフォーマンスルーティンに着目ちゃくもくして-」『健康けんこう運動うんどう科学かがくだい7かんだい1ごう武庫川女子大学むこがわじょしだいがく健康けんこう運動うんどう科学かがく研究所けんきゅうじょ、2017ねん3がつ、9-14ぺーじdoi:10.14993/00001263ISSN 2185-338XCRID 1390009224960923648 
  9. ^ 英語えいごreflectフランス語ふらんすごréfléchir相当そうとうする表現ひょうげん文脈ぶんみゃくおうじて「熟慮じゅくりょする」「熟考じゅっこうする」「じっくり考察こうさつする」「反省はんせいする」などの訳語やくごがあてられる。

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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